忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「何がジェーンに起ったか?」観ました

何がジェーンに起こったか
原題:WHAT EVER HAPPENED TO BABY JANE?
製作:アメリカ’62 132分
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ヘンリー・ファレル
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】子供時代”ベイビー・ジェーン”と呼ばれ劇場を賑わしていた妹。その妹を見返す為に大女優にまでなったブランチは、ある日事故で車いす生活を余儀なくされる。ジェーンは姉の世話をして暮らすが、姉が自分を施設に入れようとしていると知って逆上し…。

ミステリー企画で見ようと思った作品です。映画に嵌りだした頃に見た作品で強烈な印象を残していたんだけど、ミステリーではなかったですね。
何をしだすかわからない怖さのある酒浸りのジェーンと、足が不自由でジェーンに頼らざるを得ない姉のブランチ。ジェーンを施設に入れようとしたのをきっかけに、ブランチの孤独と恐怖の日々(と言っても数日)が始まります。

まず、ジェーンの唯我独尊な性格を作った子供時代のエピソードから引き込まれました。人気子役でいつも拍手喝采を浴びていたジェーンと、家計を支える娘をあからさまに特別扱いする両親、そして完全におまけ扱いの姉…。ファンの前で「アイスを買って」とわがまま言い放題のジェーンは、幻滅されているのにも気付かず永遠に自分はスターだと思い込んでいます。この思い込みが彼女の転落人生を決定づけたようなものなので、せめて親がしっかりしてればと思わずにはいられません。

数年後の大逆転は当然と言えば当然で、ブランチの女優としての大成に、妹を見返すため血の滲むような努力を重ねたんだろうなぁとしみじみ。ここはある意味、理不尽な親のおかげかもしれません。結果的に、幸せになったとは言い難いけど…。才能が溢れているはずなのに誰も見向きもしないという現実とのギャップに苦しみ、酒浸りになっていったジェーンが哀れです。
ブランチが成功するまで二人の関係がどんなだったかは描かれませんが、きっと心の底から憎み合っているわけではなくても、仲良くはできなかったでしょうね。そして二人の人生を変える事故が起こって…。

その20年くらい?後の、ブランチを世話するジェーンの恐ろしい婆さんっぷりが強烈でした。ちょっと少女趣味が入った服装と歪んだ内面を表すかのような表情、中年太りした体でどたどた歩いて、姉に対してはまるで看守のように振舞います。
計画を知って逆上して食事におぞましい細工をするのが陰湿で、クロッシュ(料理にかぶせる金属製の蓋)を開けるのが怖くて食べられなくなるところなんて、見ていて可哀そうになりました。
でも、これくらい序の口なのがジェーンの怖いところ。糸が切れた凧のように好き勝手に振舞い始め、本当に何をしでかすかわかりません。大根女優と言われていたのは努力が足りなかっただけだとわかるエピソードもあり「リプリー」を思い出しました。家から出られないブランチの知らないところで、彼女ら姉妹の運命は崩壊に向かっていきます。

一方、純粋に芸能界復帰を夢見て歌うエピソードは切なくなりました。お金のため仕方なく伴奏を引き受けた太めの青年に乙女のように一喜一憂しているジェーンは、不気味なのに少女時代の面影も重なって見えます。凶悪な彼女と少女のままの彼女が入れ替わっているかのような不安定なジェーンを演じたベティ・デイヴィスの怪演に脱帽。
ラストの砂浜の姉妹のやりとりは残酷で哀しくて、それでいて少しほっとするものでした。ジェーンの「わたしたち、無駄に憎み合っていたのね」という彼女の穏やかな表情に、二人の間には確かに愛情が存在していたことがわかります。冒頭のアイスのエピソードにも繋がり、二人が赦し合えたことが救いになりました。
お隣さん親子がいまいち中途半端だったけど、再見でもぐいぐい引き込まれる名作だと思います。

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「ロンゲスト・ヤード(1974)」観た(同監督)
「私のように美しい娘」観ました(同原作者)

■ Comment

こんばんは☆

すごい画力ですね!
惹きつけられます、怖いです、すごいです、未見の人もビックリ仰天のイラストです☆

>映画に嵌りだした頃に見た作品で強烈な印象を残していたんだけど、ミステリーではなかったですね。

やはりお若い頃に見る人には、そういう作品になるのですね~!
でも「あの事故の秘密」は、ミステリーと言えるような気が・・・。

>せめて親がしっかりしてればと思わずにはいられません。
>ここはある意味、理不尽な親のおかげかもしれません。

誰もが親の影響を受けて育つけれども
この姉妹はね・・・本当に考えさせられますね・・・。

>クロッシュ(料理にかぶせる金属製の蓋)を開けるのが怖くて食べられなくなるところなんて、見ていて可哀そうになりました。

もう、見たくなくて飛ばそうかと思ったくらいでした(笑)。

>凶悪な彼女と少女のままの彼女が入れ替わっているかのような不安定なジェーンを演じたベティ・デイヴィスの怪演に脱帽。

心底、すごい女優ですよね~!
でも、クロフォードさんも凄かったと思います。

>ラストの砂浜の姉妹のやりとりは残酷で哀しくて、それでいて少しほっとするものでした。~ 二人の間には確かに愛情が存在していたことがわかります。
>二人が赦し合えたことが救いになりました。

あんまりそういうふうには思えなかったです。
そういうふうに思えれば良かったのになあって今思いました☆

>冒頭のアイスのエピソードにも繋がり、

あ、そうだったんですね! 鈍くて恥ずかしい!

全体的には良い作品でしたが、見る時期が良い人にはそれ以上の作品になると思いますが、私には見た年齢も見た時期もちょっと外れていて、残念でした。

でも、紹介してくれた知人(私より10歳位上で、リバイバル公開時に若くて映画館では見たらしいです)の気持ちが、宵乃さんの記事で少し理解できたような気がしました、有難うございました☆


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2017/11/05 22:38  miri編集

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017/11/05 22:39  

>miriさん

ありがとうございます。未見の人にも伝わりますかね?
少しでも伝わっていれば嬉しいです。

> でも「あの事故の秘密」は、ミステリーと言えるような気が・・・。

かなり迷ったんですけど、見てる側は「知ってる」と思って見てるので、最後に「そういうことか!」とはなるけどミステリアスではないかなぁと。まあ、見る人しだいかな。

> 誰もが親の影響を受けて育つけれども
> この姉妹はね・・・本当に考えさせられますね・・・。

ある意味、ジェーンよりも怖いです。自分が幼い子供に対して残酷なことをしていると気付きもしないで…。きっと生きている間ずっとああだったんでしょう…。

> もう、見たくなくて飛ばそうかと思ったくらいでした(笑)。

あのシーンは人によってはトラウマになりそうです。
ジェーンもよくあんなデカいのを…(汗)

> 心底、すごい女優ですよね~!
> でも、クロフォードさんも凄かったと思います。

実際に仲の悪い女優を共演させた監督さんの意地の悪さもすごいです。
ぜったいに負けるものかと張り合って演技してたんだろうなぁ。どちらも良い女優さんです。

> でも、紹介してくれた知人の気持ちが、宵乃さんの記事で少し理解できたような気がしました、有難うございました☆

そう思っていただけて嬉しいです。私的に泣ける映画で考えさせられる名作なので、色んな人に見てもらいたいですね~。
あと、タイトルの件、教えてくださってありがとうございました。
2017/11/06 13:21  宵乃〔編集

女優魂

ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、大物女優が、ここまでやるか的な。
女優魂なんでしょうね。
TB行かないので、記事URLをリンクしました。
2017/11/10 08:54  ボー編集

>ボーさん

ホント、大迫力の演技対決でしたね。
とくにジェーンは一度見たら忘れられないです。

>TB行かないので、記事URLをリンクしました。

お手数おかけして申し訳ありません…(汗)
2017/11/10 19:48  宵乃〔編集

こんにちは。

バーフバリ完全版を挟みつつ、
子供たちを預かりつつ、観ましたが
それでも面白かったし、恐ろしかったです。
姉妹愛が根底にあるのが、最後何とも言えない余韻を残して
観客が取り残されるのがとても良かったです。
それにしても、ベティ・デイビスが、白塗りの醜悪なメイクで
女優の意地ですよね、素晴らしかった。
姉役の告白も、あのタイミングがベスト。
そのときにはもう昔の少女のようなジェーンになっていて
醜悪な顔つきがとても安らいでいたのが印象に深いです
2018/06/16 15:08  maki編集

>makiさん

いらっしゃいませ!
この作品、大好きなのでコメントいただけて嬉しいです。
ホント、見る環境に左右されない、ぐいぐい引き込まれる作品ですよね~。

> 姉妹愛が根底にあるのが、最後何とも言えない余韻を残して観客が取り残されるのがとても良かったです。

そうそう、愛憎のコントラストが見事でした。ベティ・デイビスの怪演もあって、一度見たら忘れられないタイプの作品だと思います。

> そのときにはもう昔の少女のようなジェーンになっていて
> 醜悪な顔つきがとても安らいでいたのが印象に深いです

それまでの緊張感が一気に解ける瞬間ですね。あの後のことを考えると悲しさもあるけれど、それでも最後に許し合えたのが救い…。ジェーンのあの表情は映画であることを忘れるほどでした。
2018/06/17 08:08  宵乃〔編集
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