映画「インサイド・ヘッド」観ました
原題:INSIDE OUT
製作:アメリカ’2015 94分
監督:ピート・ドクター
ジャンル:★ドラマ/ファンタジー/ファミリー
【あらすじ】11歳の女の子ライリーの頭の中にいるヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミの5つの感情たちは、いつもライリーの幸せのために行動していた。だが、引っ越しをきっかけにライリーの心が不安定になり、ふとした拍子にヨロコビとカナシミが司令室の外へ飛び出してしまい…。
CMでほとんど内容を把握してる気になってましたが、実際に見てみると想像していたより内容が濃かったです。自分の子供の頃と重ねて辛くなったり反省させられたりするシーンもあって、精神力が削られる感動作でした。劇場版クレヨンしんちゃんシリーズが好きな人におすすめかも。
11歳の女の子に無理をさせてしまう母親の「笑って」の一言や、子供の態度につい怒鳴ってしまうシーンなどは親の立場からも見られるし、ライリー目線で不安や孤独、何も上手くいかない苛立ちや無力感など、子供の頃と重ねて見ることもできます。
頭の中でライリーのために頑張っている感情たちも人間らしく、ハッピー至上主義なヨロコビの押しつけがましさや空回りっぷりと、何をやっても否定され邪魔にされるカナシミの自己嫌悪&無気力っぷりは、誇張されているとはいえ「こういう時もあるよな~」と思えました。
また、島として表現されている感情や個性の肝となる部分が崩壊していく描写は、とても哀しく寂しかったです。残りの島が友情や家族になってくると恐怖すら感じられるほどで、頭の中の冒険もスリリングに描かれます。
でも、後半で描かれるイマジナリーフレンドのビンボンは、忘れ去られることも受け入れるんですよね。人は変化して成長していくものだから、その過程で失われるものもあるのだと。
役割のわからなかったカナシミが、何故怒られても特別な思い出に触ろうとするのか。それはビンボンに寄り添い、共感して悲しみを乗り越える手伝いをしたときと同じ気持ちによるものだったと思います。
悲しみや忘れることを恐れているばかりではいけないのだというメッセージが伝わってくる作品でした。
…と、ここで終わるとあまりにも真面目な作品みたいなので、アニメーションらしい楽しくコミカルな部分にも触れておきます。
まずは、カナシミが悲しみに暮れる時の地面突っ伏しモード。丸っこい体でぺたーんとなるのが可愛くて、それを仕方なく引きずって歩くヨロコビとあわせるとより可愛い!
次に、ライリーの幼い頃の遊び相手ビンボンもいい味出してました。立ち入り禁止の張り紙があるのに内容が理解できてないというか、頭に入ってきてないというか…。そのせいでみんな一緒に分解されそうになるんだけど、分解の仕方がアニメならではの面白い表現なのも一見の価値あり。
あと、ビンボンの代わりに生み出された想像の恋人にも笑わされました。「ライリーのためなら死ねる!」しか言わなくて、終盤ヨロコビによってとんでもない使われ方をします。ビンボンとの扱いの差がヒドイ(笑)
他にも、イカリ、ムカムカ、ビビリの居残り組も個性的だったし、ライリーだけでなく他の人達の頭の中でも、人間以外の動物の頭の中でも同じように感情たちが仕事してる描写もよかった。とくに猫好きとしては、猫の感情たちが猫そのものなのが嬉しい。にゃんこの心の中は計り知れないのだ!