読み:りょじょう
原題:SUMMERTIME
製作:イギリス’55 100分
監督:デヴィッド・リーン
ジャンル:ロマンス/ドラマ
【あらすじ】お金を貯めて憧れの街ベネツィアに来たジェーンは、そこで骨董品店を営むレナートと出会う。彼に惹かれつつも積極的になれない彼女に、レナートは情熱的に迫る。しかし幸せもつかの間、彼に妻子がいたという事実が発覚し…。
なんと言ってもヒロインのジェーンが魅力的です。
美しい街並みに目を輝かせたり、ふと孤独を感じて表情を歪めたり、見栄を張っていたら彼と話す機会を逃して泣きそうになったり…彼女の豊かな表情に自然と感情移入させられます。また、孤独な中年女性でありながら身のこなしはどこか可憐なんですよね。つい心の中で応援してました。
お相手のレナートさんはどうも苦手で、ロマンス部分は入り込めませんでした。でも、河を流れるクチナシの花を名残惜しそうに見送るシーンは、ラストを暗示しているようで心に残ります。
久しぶりに再見しました。
相変わらずキャサリン・ヘップバーンは繊細で可憐で引き込まれるんですが、改めて見ると演技が舞台向けな感じでした。まあ、それでも上手いことには変わりませんが。
また、ベネツィアの街並みや見どころ、美しいベネチアングラスや住んでいる人々の人柄なんかが伝わってきて観光映画として優れていたと思います。デジタルリマスター版だったので色もキレイ!
最初に出会う少年のことはすっかり忘れていて、彼女の旅の良き想い出には必ず彼がいるんだろうなぁと思うと温かい気持ちになれました。あんな胡散臭いレナートよりよっぽどいいです。
いちおうレナートの目線でもこの作品を見てみましたが、カフェでジェーンを見てるところなんて完全に品定めしてるし、どう考えても常習犯。別居の原因って女性観光客との火遊びだよね!?としか思えなかったです(汗)
あんな風に情熱的に迫れるのも、ジェーンみたいな内向的な女ならビザが切れれば縁の切れ目で、後腐れなく別れられる保証があるからでしょう。「飢えているなら目の前のラビオリを食べろ」とか言い回しを工夫してても、つまりは「お前もやりたいんだろ!さっさとやろうぜ!」ってことだからね。
たぶん初見時には気付かなかったセックスの暗喩である花火のシーンでは、ジェーンにとっては素晴らしい想い出かもしれないけど性病をうつされたら台無しだなとか思ってしまいましたスミマセン。
あと、住人が窓から川にゴミを捨てている描写があるようにヴェネツィアの川は汚く、川に落ちるシーンのせいでヘップバーンは生涯治らない眼病にかかったんだとか。…細菌やウイルスを侮ると痛い目みるぞ!
…非常に残念な感想になってしまって、この作品がお好きな方には申し訳ないです。