映画「あの子を探して(あのこをさがして)」観た
原題:一個都不能少
製作:中国’99 106分
監督:チャン・イーモウ
ジャンル:ドラマ
【あらすじ】中国の田舎の学校で、カオ先生が私用で1ヵ月間学校を離れることに。なんとか見つけた代行は、まだ13歳の少女ウェイだった。生徒が一人も辞めなければ賞金を貰えると聞き、彼女は必死に28人の生徒を見張るが、少年チャンが家庭の事情で町へ出稼ぎに行ってしまい…。
中国の都市部と田舎の落差や、貧しいなか必死に生きる人たちのふてぶてしさが伝わってくる作品でした。前半は主人公ウェイの”自分の利益しか頭になく、代行教師としての責任感も能力もないのに偉そう”な様子なのが、鼻につくというかイラつくレベルなんですが、50元のために都会で必死に一人の生徒を探すあたりから印象が変わってきます。
ただ報奨金のためにやってきたはずが、少年が迎えに来た親戚とはぐれて行方不明になっているとわかり、だんだんとお金のことが頭から消えていくのが見ていて伝わってくるんですよね。なけなしのお金で尋ね人のビラを作り、それが役に立たないと言われて諦めるかと思いきや、じゃあどうすればいいと他の方法を尋ねます。ある意味すごく素直な子で、見知らぬ他人に教えてもらった通りにテレビ局を探し、局長に会えるまで空腹に耐えて待ち続けるんですよ。
彼女の心情がハッキリ描かれるわけではないものの、自分が今感じている空腹や疲労、世間の冷たさなどを、自分よりも幼い少年も感じているかもしれない、もしかしたら何か事件に巻き込まれているのかもしれないと、局長を待ち続けている間に色々想像してしまったと思います。
それを乗り越えての涙…、「心配でたまらない」という言葉を受けての少年の様子にも思わずホロリ。
それからは大団円という感じで出来すぎ感はありましたが、冒険を終えて成長した少年少女が、たくさんのカラフルなチョークで生徒たちと一文字ずつ黒板に試し書きするくだりは心温まります。
実話風に終わるのもあって、前半のイラつきはすっかり消えて爽やかな気持ちになれました。
ちなみに、イラストは少年を迎えに街まで歩いていくところ。この時点ではまだ「あのクソガキ、見つけたら引っぱたいてやる!」くらいは思ってそう(笑)