製作:日本’96 97分
監督:本郷みつる
原作:臼井儀人
ジャンル:★ファミリー/コメディ/アドベンチャー/ファンタジー
【あらすじ】幼稚園の遠足で“群馬ヘンダーランド”に来たしんのすけたち。みんなとはぐれ、メモリ・ミモリという女の子を見つけるが、スタッフは人形だと言い張る。代わりに見せてもらった歌って踊る人形トッペマのネジを巻いたことで、地球を侵略しようとする魔女マカオたちとの戦いに巻き込まれ…。
これも面白かったです。「ブタのひづめ」と違って泣き要素は少なめですが、あの怖いもの知らずのしんちゃんの子供らしい一面を見られて大満足でした。
ヘンダーランドで迷子になって、悪い人たちと戦って思いっきり怖い目に遭ったしんちゃんが、女の子のお人形トッペマに魔女を倒すのを手伝ってほしいと頼まれるんですが、なんと怖いから無理だと断ってしまうんですね。そこに「ブタのひづめ」で怖がる様子をほとんど見せなかったしんちゃんの面影はありません。
これを見て、いつもしんちゃんがリラックスできたのは、友達や家族が傍にいたからなんだと納得できました。
独りぼっちの時に怖い目に遭い、その上、幼稚園にやってきたス・ノーマンという刺客は、またたく間に友人たちや先生、みさえとひろしの心を掴んでしまいます。そして、いくら彼が悪い奴だと言っても信じてもらえず、唯一信じてくれたまさお君も、もう暗いから帰らなきゃと行ってしまうんですよ。
孤立無援の状態では普通の幼稚園児。そして裏を返せば、しんちゃんの勇気の源が友達や家族だということがわかって、ジーンときました。
そんな状況を救ってくれたのが、魔法のトランプで呼び出した、正義のヒーロー、アクション仮面とカンタム・ロボ、そしてぶりぶりざえもんというのも素敵です。
この魔法はしんちゃんのイメージを実現できるんですが、線路を出したり、自分が電車などに変身した時は、ラクガキみたいな曖昧なイメージなのに、この3ヒーローはハッキリとしたイメージで、それぞれ人格も(おそらくTV通りに)ちゃんとしていて、いかにしんちゃんが彼らを大好きなのか伝わってきました。
熱い正義の心を持つアクション仮面とカンタム・ロボ、卑怯な手も辞さないぶりぶりざえもんのやり取りは楽しく、しんちゃんも彼らの登場によっていつもの調子を取り戻します。
ス・ノーマンのキャラもよくて、しんちゃんの「作戦ターイム!」に何度も「認める」と待ってくれるから、この3ヒーローとしんちゃんのおバカなやりとりを思いっきり楽しめました。
「家を破壊してしまうかもしれないがカンタムパンチを撃ってもいいか?」「火事になるかもしれないがアクションビームを撃ってもいいか?」で、答えを待たずに撃っちゃうところとかサイコー!
あと、ホラー色も結構強くて、両親とヘンダーランドに行って、帰りにトイレから出てきてから家の風呂場までの恐怖演出は子供映画とは思えないくらいぞわっとします。映画の序盤はあんなに楽しそうで、とくにヘンダーランドを楽しみにしていた風間君が可愛すぎて微笑ましかったのに、いつの間にやらホラーになっていたので驚いてしまいました。
オカマ魔女のマカオとジョマのインパクトもすごいし、ババ抜き勝負やヘンダー城での追いかけっこも見応えあります。
企画で選んだ作品がこれと「ブタのひづめ」で本当に良かったと思えました。