映画「ティモシーの小さな奇跡」観た

原題:THE ODD LIFE OF TIMOTHY GREEN
製作:アメリカ’02 125分
監督:ピーター・ヘッジズ
ジャンル:コメディ/ファミリー/ファンタジー
【あらすじ】医者から子供ができないことを告げられたジムとシンディ。ふたりは自分たちの理想の子供について書いたメモを庭に埋め、子供への思いを断とうとする。だがその夜、ティモシーと名乗る脚に葉っぱが生えた少年が現れ、彼らをパパ、ママと呼ぶのだった。彼らは、ティモシーを自分たちの子として育てることを決意する。
ファンタジー企画参加の2作品目は、またまたディズニーの実写映画です。子供ができない夫婦の元へ、彼らが描いた理想の子供が現れるというお話。
彼らが本当にいい人たちで、”自分たちの子供はこんな子だ”と楽しそうに思い描きながらメモに書き出していって、その気持ちと一緒に庭に埋めるシーンでは泣きそうになりました。
ティモシーが現れてからは、心配しすぎて過干渉になったり、父親や姉を見返したくてサッカーの試合でティモシーを自慢材料として見てしまうこともあったけど、子供のために悩んで、反省して、勇気を出したりしていくうちに、親として、人間として成長していくわけです。
先は読めるものの、ティモシーが一目惚れした女の子と秘密を共有し、ふたりで創りあげた世界が「テラビシアにかける橋」みたいで惹かれました。
ただ、いい作品ではあるものの、あまりにティモシーが理想的な子供であり、完璧な天使なので、あのふたりへの試練みたいなものとしてみると「神様、甘すぎじゃない?」と思ったり(劇中でハッキリ神の奇跡と描かれてるわけではない)。
しかも、そこでふと「A.I.」のデイビットを思い出してしまったんですよね。もしティモシーとデイビットの中身が入れ替わったらどうなるだろう?…と考えてみたら、どうしてもハッピーエンドが想像できない!
ティモシーと違って、デイビットは”子供は成長して親離れするものだ”ということを知らない…それを望まないようインプットされているんでしょう、きっと。
どちらもざっくり言えば”望まれたとおりの理想の子供”なのに、ティモシーはなんでも持っていて、歪んだ人間作ったせいでデイビットは幸せになれないのか…と思ったら、デイビットが不憫で不憫で…(涙)
一方ティモシーの方は、演じている子が本当に可愛らしく、その容姿だけで映画の評価に「可愛い加点」するところでしたよ。ずるい!
「リトル・ランボーズ」のリーみたいな、ちょっと癖のある悪ガキっぽい子で、自分たちの子供として受け入れるまでにもう少し時間を割いていれば、夢から醒めずにこの優しいファンタジーの世界に浸れたかも?
ですが、そこまで考えて「ティモシーにとっても、これは試練だったのでは?」と気付いたら、また妄想スイッチが入りました(笑)
例えばデイビットみたいな哀れな存在に「現世で誰かを幸せにできたら魂をあげるし、生まれ変わることもできるよ」とチャンスをあげたとか。もちろん、天使として修行してから行うので、ティモシーのように完璧すぎてもおかしくない!
そう思ったら、醒めた気持ちも少しは戻ってきました。
他に気になった点としては、あのふたりが開発した鉛筆のメリットや将来性をもっと伝えてほしかったです。ぜんぜんアップで見せないし、どこが気に入られたのかわからなかった。
ちなみに、原題の意味は「ティモシー・グリーンの奇妙な人生」。傍目からみると確かに”奇妙”だけど、本人はそんなこと思ってないんだろうな。邦題はわかりやすくて普通に良かったと思います。
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■ Comment
しみじみとしてしまいました・・・。
>ティモシーが一目惚れした女の子と秘密を共有し、ふたりで創りあげた世界が「テラビシアにかける橋」みたいで惹かれました。
私もそう思いました☆
>あのふたりへの試練みたいなものとしてみると「神様、甘すぎじゃない?」と思ったり
与えた事ではなく、理想の子供を与えたうえで取り上げる事が、試練なのですよね~
そして本当の試練は、ティモシーではない、理想ではない子供をもらって、育てて、一歩ずつ歩む、ラスト以降の毎日の事なのですよね~
>しかも、そこでふと「A.I.」のデイビットを思い出してしまったんですよね。
私には思い出せない組み合わせで・・・すみません、思考不能です。。。
やはりロボットは人間ではないと思うからでしょうか?
最近見たある映画でも、ロボット自身が「ロボットは人間ではないから〇〇です」とか、色々なシーンで言っていて、私は納得してしまったのですよね~。
(ティモシーは人間でもロボットでもないけど) デイビッドの事はスピルバーグに聞いて下さい、って感じです、ごめんチャイ☆
>他に気になった点としては、あのふたりが開発した鉛筆のメリットや将来性をもっと伝えてほしかったです。ぜんぜんアップで見せないし、どこが気に入られたのかわからなかった。
これは当時は分かっていたと思うのですが、今はハッキリとは言えないので、いつか再見したらまたお邪魔させて頂きますね~。
>傍目からみると確かに”奇妙”だけど、本人はそんなこと思ってないんだろうな。邦題はわかりやすくて普通に良かったと思います。
仰る通りで、アメリカの映画鑑賞者を含めて他人から見た彼の事でしょうね~? 邦題の方が断然良いですネ♪ だって、彼らは理想ではない子供を育てる決意をしたんですものね~それが小さな奇跡なのでしょうし、バカ姉を含めた葉っぱをもらった人々の事も含めているような邦題ですよね~。
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2016/02/17 17:22 miri〔
編集〕
> しみじみとしてしまいました・・・。
ありがとうございます。光合成のシーンもいいなと思ったけど、パッケージとかで使われてそうだし、あの女の子とのエピソードがいちばんグッときたので。
> 私には思い出せない組み合わせで・・・すみません、思考不能です。。。
> やはりロボットは人間ではないと思うからでしょうか?
あはは、私は子供の頃から日本むかしばなしや古い怪談が好きだったので、モノにも魂が宿る八百万の神の考え方が染み付いてるんですよ。その上、ネイチャードキュメンタリーもよく観てたので「地球にとって人類はガン細胞」みたいな極端な考えも抜けなくて…。なので大雑把に言うと、元々命をもたなかったものの方が人間より好きだし、尊いと思ってしまうみたいです。
> 与えた事ではなく、理想の子供を与えたうえで取り上げる事が、試練なのですよね~
あ~、確かにそれなら納得です。
たぶん、あのふたりに感情移入できて、ティモシーを自分の子だと思えれば、自然とそう思えたんじゃないかな。ラストの後が本番という風には私も感じていましたし。
ただ、↑のような考え方をする人間なので(汗)、あんなに完璧な子が自分の子供だなんて思えなかったし(不完全なデイビットの方がむしろ私に近い)、ティモシーは私がいなくても大丈夫で、ただ使命のためにやって来ただけなんだろうなと思えてきてしまったんですよね。
なので、あの別れも卒業式くらいの感覚でしか見られず、試練というより特別講習みたいな印象で。
あのふたりも私なんて足元にも及ばないくらい素晴らしい人たちだから、わざわざ特別扱いしなくても5年以内に養子のことを考え始めると思ったし、その時も最大限努力してちゃんと幸せな家庭を築けると思えたのですよ。
…まあ、あの女の子のために時期を早める必要があった、ということも考えられますが。
> これは当時は分かっていたと思うのですが、今はハッキリとは言えないので、いつか再見したらまたお邪魔させて頂きますね~。
その時はよろしくお願いします!
まったくアップで映らなかったので、もしかしてカットされたのかも?
> それが小さな奇跡なのでしょうし、バカ姉を含めた葉っぱをもらった人々の事も含めているような邦題ですよね~。
そうですね、似たような邦題は多いから埋もれそうですが、原題より的を得ていて鑑賞後はしっかり印象に残りそうなタイトルでした。劇場未公開作品でも、きちんと作品を観てじっくり考えてくれたんでしょうね~。
長文になってしまいましたが、同じ作品でも観る人が違えば別物に見えるというのがよくわかって面白かったです。同じ作品を同じように感じてコメントで盛り上がるのも楽しいけど、そればっかりだと映画を観る目がダメになりそうだから、こうやって「自分はこう思った、こう感じた」と議論ではなく見せ合うことも必要ですよね。いつもお相手してくれるmiriさんには感謝です!
私は言葉選びが下手なので、不愉快に感じられることもあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします♪
>同じ作品でも観る人が違えば別物に見えるというのがよくわかって面白かったです。
>議論ではなく見せ合うことも必要ですよね。いつもお相手してくれるmiriさんには感謝です!
>私は言葉選びが下手なので、不愉快に感じられることもあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします♪
いえいえ、全て、私の方こそ、そう思っています。
こちらこそ、宜しくお願い致します☆
ところで、急に気付いたのですが、
>私はティモシーと同じく、手がかからなさそうなおとなしい可愛い娘でガッカリしたんですが…。
>「リトル・ランボーズ」のリーみたいな、ちょっと癖のある悪ガキっぽい子
「ティモシーと、あの女の子」が、「リーみたいな子ではない事」で同様、という意味だったのですネ?
昨日はよく分からなくて失礼しました。
そういう意味でしたら、よその家にもらわれて来る、まさにその時に、リーみたいなヤンチャをやらかす子供は皆無・いないと思います。。。
ティモシーの場合は、時間が限られていたので、最初からあぁいう感じで良かったと思いますし、
ラストのあの子の場合は、今後どうなるかは分からないわけで、実際慣れてきたらトンデモないお転婆の不良娘になるかもしれませんよ?(笑) ・・・っていうか、そういう娘であるべきだと思います。
あと、カットって書いてあるので、字幕完全版ではなかったのですネ? 字幕カット版かなぁ? 吹き替え?
私は字幕完全版だったので、英語を喋る喋らないがよく分かったつもりになったのですが・・・。
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2016/02/18 19:03 miri〔
編集〕
> 「ティモシーと、あの女の子」が、「リーみたいな子ではない事」で同様、という意味だったのですネ?
> 昨日はよく分からなくて失礼しました。
そうですね、端的に言うと”手を焼きそうな印象”を持っているかどうかという事です。
miriさんは彼女が英語をほとんど話せないと感じられたので、彼らのこれからの試練を自然に想像できましたよね?
でも私の場合、彼女から感じ取れたのは”戸惑い”や”不安と期待”だけで、心を閉ざしてるとか、性格的に問題がありそうだとは思えなかったので、彼らなら多少失敗はあっても上手くやっていけるし、1年後には本当の家族のようになれるだろうと思いました。
もし女の子の登場時に、ボロボロの人形をぎゅ~っと抱き締めてるとか、爪を噛んでいる、大人が車のドアを開けて声を掛けしばらくしてから姿を現す、ひじやひざが擦り傷だらけ、ずっとうつむいて目を合わせない、目を合わせるけど警戒していて壁を作っている…などのわかりやすい描写が一つでもあれば、私でもこれからの紆余曲折を想像できただろうなぁと。
…あくまで私の場合ですが。
> ティモシーの場合は、時間が限られていたので、最初からあぁいう感じで良かったと思います
こちらも、実際にどんな子なのかは重要ではなく、どういう印象を与えるかで受け取り方が変わっただろうなということです。
miriさんの場合は、”理想的な子供ティモシー”との幸せな時間を与えた上で取り上げること、それ以降の現実が試練だと受け止めましたよね?
私の場合は、完璧すぎるティモシーを”理想的な
子供”と思えなかったから、最後の別れが、あのふたりの卒業式(おめでたい門出)のように感じてしまったので試練と思えませんでした。
でも、外見上だけでも子供らしい自然な可愛さがあれば、中身的に完璧でも”理想的な子供”と思えたんじゃないかなと。
メモに外見的特長も書いていたのかは忘れましたが、パッと見はジャイアンみたいな印象のあるリー君も、少し一緒に過ごせば笑顔の可愛さとか、子供らしいところが見えてきて可愛かったじゃないですか。ちょっと不細工でも自分の子は可愛いですし、むしろ笑顔になった時の可愛さが強調される、みたいな。
中身はティモシーでも、外見上は前歯が1本ないとか、そばかすだらけのひょろっとした少年とか、目つきが悪いとか、そういうどこにでもいそうな子供の印象を与える子役だったら、きっと私でも彼らに感情移入して最後までティモシーを”理想的な子供”という目で見られたし、彼との別れも大きな試練だと思えた気がします。
> あと、カットって書いてあるので、字幕完全版ではなかったのですネ?
ディーライフで放送してた吹き替え版です。家の前にふたりが立っていて、ちょっと離れたところに役人?とそれにやや隠れる感じで女の子が立っていて、彼女がアップになることなくそのままふたりの表情という流れだったと思います。台詞はたぶん大人たちが軽く挨拶したあと、役人の女性が「さあ、いらっしゃい」と少女に声を掛けたくらいかな?…あまり自信ないです(汗)
だいぶ前に見た作品ですが印象に残っています。
1番たのしかった&笑えた部分はティモシーと夫妻2人による即興演奏シーン!
夫妻が抱えていた悩みが解決して、最後はホッとしました。
素敵なイラストですね♪すごく雰囲気が出てる(*'ω'*)
2016/02/23 18:30 mia☆mia
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます♪
そうそう、あの即興の演奏シーンはとても楽しそうでしたね。あんな風にノリノリで仲の良い家族に憧れます。
色々と余計なことを考えて見てしまったけど、普通に身を任せて観られればホッコリできる感動作品でした。
> 素敵なイラストですね♪すごく雰囲気が出てる(*'ω'*)
ありがと~。実際は背景がもっと黒いんですが、印象のままに描いてみました。
ティモシー役の少年が本当に可愛らしくて
それだけで加点というのはわかる気がします(笑)
微妙に出来ないところと、出来るところのある「うちの子」が、付け加えた設定どおりに事を為すと消えてしまうというのは切ないですよね
ただラストはてっきりティモシーにそっくりな少年が容姿として現われると(勝手に)思い込んでただけに、
えー!という驚きがありました
> ティモシー役の少年が本当に可愛らしくて
> それだけで加点というのはわかる気がします(笑)
ですよね!あまりに天使すぎますよね!
そんな加点したい気持ちを抑えての厳しい評価にしてみました(笑)
> 微妙に出来ないところと、出来るところのある「うちの子」が、付け加えた設定どおりに事を為すと消えてしまうというのは切ないですよね
ホント、切なかったです。ティモシー自身は寂しそうにはしてるものの達観してるし、あのふたりは何も知らずに大はしゃぎしてるし、その温度差が…。
> ただラストはてっきりティモシーにそっくりな少年が容姿として現われると(勝手に)思い込んでただけに、えー!という驚きがありました
私は性格が悪いのか「どうせ”有色人種の女の子”を養子にする優等生的展開なんだろうなぁ」と思ってしまって(汗)
makiさんのように素直な気持ちで観たかったです!
レンタル屋さんで発見できたので、今回の企画に合わせて鑑賞しました。
周囲の人を少しずつ幸せ…というか穏やかな気持ちにしてくれるティモシー。ラスト物悲しさもありましたが、ほんのり幸せになれる作品だったと思います。
ティモシーが彼らに与えたのは、大きな愛情があり、それが本当なら、どんな奇跡も起こる。
新しく家族になるリリーのために、ちょっぴり後押ししてくれたのかもしれませんね。
彼ら3人にとっては、これからの生活こそが大変なのですから。
最後に3人を見守るかのように舞い降りる葉っぱが…きっと。(^^)
いい作品の紹介をありがとうございました。
追伸:私はどうもAIというのは…前半はよかったのですが…。(- -;
トラックバックさせて頂きました。
イラストが素晴らしいので、今回のチケットに使わせて頂きました!((o(^∇^)o))
2016/02/27 16:42 白くじら〔
編集〕
いらっしゃいませ。こちらをご覧になったんですね~!
好感だったようで良かったです♪
> 新しく家族になるリリーのために、ちょっぴり後押ししてくれたのかもしれませんね。
> 彼ら3人にとっては、これからの生活こそが大変なのですから。
そうですね~、全ては彼らがリリーと本当の家族になるために用意されたことなんだと思います。
再見する時は素直な気持ちで観たいです(汗)
> 追伸:私はどうもAIというのは…前半はよかったのですが…。(- -;
あはは、私もずっと苦手な作品だったのですが、企画で再見してぐるぐる考え続けたら、一週周って思い入れが深い作品になって。手放しに好きとは言えないけど、ふと思い浮かぶ作品です。