映画「激突!(1971)」観ました

なぜここで本気を出してしまったのか、自分でもわからない…。
原題:DUEL
製作:アメリカ’71
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:★サスペンス
【あらすじ】取引先が休暇に入る前に商談を済ませようと、車を走らせていたデヴィッド。その道中、何気なく追い抜いたタンクローリーが、挑発するかのようにまた前方をふさぐ。イラつきながらもまた追い越したデヴィッドだったが、やがてタンクローリーは明確な殺意をもって彼を執拗に追いかけるようになり…。
勝負映画企画、最後の作品。スピルバーグ監督作品が連続してるのは偶然です。
ちょうどオンエアがあってピッタリな作品だと思ったら、原題は「デュエル(決闘・勝負)」なんですよ。まさしく勝負映画の代表みたいな。
ずっと前に一度見たきりなんですが、追い越したのがきっかけで目をつけられたのかと思いきや、どう見ても最初から「次すれ違った奴で遊んでやろう」と考えてたように見えたのには驚きました。タンクローリーという凶器をもったシリアルキラーというところでしょうか?
それだけでも怖いのに、さらに怖いのは相手の運転手の顔が見えないところ。最初から最後まで、ガソリンスタンドで見かけたブーツと、窓から出す左手くらいしか見えません。まるでタンクローリー自体が悪意を持って追いかけてくる怪物のようで、不気味さを際立たせていました。
これほど悪役としてキャラが立っている車は他にないかも(笑)
また、基本的に主人公が追われているだけの映画なのに、最後までまったく飽きさせないのもすごいです。カフェで客の中にあの運転手がいるかもしれないという緊張感、ふと背後に現れたり人目も気にせず突進してくる恐怖、逃げられない状況でトンネルの向こうからヘッドライトを点灯し近づいてくる不気味さなど、ぐいぐい引き込まれるんですよね。
デヴィッドを精神的にいたぶる敵のいやらしさもさることながら、何も知らないスクールバスの子供たちのウザさがまたイライラや緊張感を煽ってきます。
カメラワークや構図も凝っていて、タンクローリーがあそこまで怪物じみて見えるのも撮り方が上手いからだと思いました。音が怪獣みたいだったし!
<結末まで書いてるので未見の方は注意!>
終盤ついに覚悟を決めて、タンクローリーとの真っ向勝負に出るデヴィッドはカッコよかったです。眼鏡をかけて、シートベルトをしめる姿は、カウボーイハットとガンベルトで決める決闘前のガンマンのよう。
途中ピンチに陥りながらも、最後はギリギリの勝負に出るところは痺れました。ただのセールスマンなのに頑張った!
ラストも印象的で、荒野の真ん中で呆然としている姿を見ると、列車の音で恐怖に目を覚ました彼が思い出されます。きっとこれから先ずっとトラウマに悩まされるんでしょうね…。
勝負映画企画のおかげで、この作品を再見する良いきっかけになりました。リクエストして下さった方、本当にありがとうございます♪
- 関連記事
- 「続・激突!/カージャック」観ました
- 「ジュラシック・パーク」観ました
■ Comment
これは怖かったです!
しばらくはトラックが後ろに付くと嫌な気分になりました。
単純な設定でここまで出来るのかという良い見本ですね。
>なぜここで本気を出してしまったのか、自分でもわからない…。
いや、素晴らしいですよ。
この作品や『JAWS』もありましたね。
子供の頃、観た時もあの左手が強く印象に残りました。
その当時は、悪いヤツの姿が見えなくてすっきりしなかったのですが、改めて観てみると
だからこそ、良いのだと思い知らされた気がします。
『六花の勇者』3話目で止まっているので
宵乃さんの記事を読んで続きを観ていこうと思います。
それでは!!
2015/09/24 21:27 きみやす
いらっしゃいませ!
運転する方は、これを観た後は怖くなるでしょうね~。
ああいう人気のない荒野を走ることになったらなおさらかも。その点、日本人の方がマシかな?
> 単純な設定でここまで出来るのかという良い見本ですね。
ですよね、この設定で90分くらい持たせる…どころか楽しませ続けるというのは驚きです。
再見して、こんなに面白い作品だったのか!と改めて痛感しました。
いらっしゃいませ!
イラスト見て下さってありがとうございます。腕が筋肉痛になるほど描いて、自分で何やってるんだと呆れてたので、見ていただけて報われました♪
> 子供の頃、観た時もあの左手が強く印象に残りました。
> その当時は、悪いヤツの姿が見えなくてすっきりしなかったのですが、改めて観てみると
> だからこそ、良いのだと思い知らされた気がします。
カフェのシーンでは、主人公と一緒になって探してしまいますよね。
あの手は…、あの靴は…と、じろじろ見てしまう気持ちもわかります(傍から見ると不審者 笑)
私も再見して、この作品の素晴らしさを再確認できました。
> 『六花の勇者』3話目で止まっているので
> 宵乃さんの記事を読んで続きを観ていこうと思います。
フレミーちゃんの可愛さもさることながら、犯人探しをしつつ、自分の無実を信じてもらって生き延びなければならない展開はなかなかでした。
BS組なので最終回が楽しみです♪
なるほど。勝負ものの特集をやられてたんですね。
「激突!」=「デュエル」ですから、まさに勝負ですね。
顔の見えない相手というのはかなり不利ですが、開き直らざるを得ないまで追い詰められていく過程が実にうまく作られてますよね。
2、3年前に息子に見せたくて再見しましたが、やっぱり面白かった。でも高校生の息子には特に感激した様子はありませんでした。
僕は高校生で一気にスピルバーグファンになったんですけどねぇ。
2015/09/25 11:58 十瑠
以前宵乃さんに、描いた「バグダッド・カフェ」のイラストは写真じゃないのと、お訊ねしたのを覚えてますか?返事を貰えずにいますが・・・。
今回の激突のイラストを見る限り、やはり手描きなんですね!
>なぜここで本気を出してしまったのか、自分でもわからない…。
凄いなぁ!
当時ともに大学生だった休み明け、久しぶりに会った夫がいきなり「激突を観たか」と聞きました。凄い監督が出たと興奮気味に伝えたのを覚えています。テレビの日曜洋画劇場で放映されたために、当時は随分悔しい思いをしました。「激突」を鑑賞できなかった事が今でもトラウマ(笑)となっています
私の初めてのスピルバーグ作品との衝撃の出会いは「ジョーズ」。
以降彼の作品はほとんど観ています。
でもね、やはり「激突」から始めたかったスピルバーグ遍歴です。
皆さんのと比べ、KYのような私が第2弾を書きました。
よろしかったら暇な折にご覧ください。
40年以上前の映画。。。
さすがに今見たら古臭くってツマンナイだろう。
と思いきや!!
全然。退屈どころか引き込まれました。
単純なストーリーなのに、ここまで魅せてくれるなんて!
いかついタンクローリーをどんな奴が運転してるのか、想像力を掻き立てられます。(姿が見えないまま終わるのがいいんですよね)
2015/09/25 22:04 mia☆mia
> なるほど。勝負ものの特集をやられてたんですね。
> 「激突!」=「デュエル」ですから、まさに勝負ですね。
そうなんですよ~、絶妙なタイミングでオンエアしてくれて助かりました。
企画の〆にこの作品を観られて大満足です♪
> 顔の見えない相手というのはかなり不利ですが、開き直らざるを得ないまで追い詰められていく過程が実にうまく作られてますよね。
顔を見せないというのを運転手の側から見ると、案外小心者という感じもしました。自分では賢いと思ってるかもしれませんが…。あの追い詰め方、絶対今までに何度かやってると思います。
> 高校生の息子には特に感激した様子はありませんでした。
> 僕は高校生で一気にスピルバーグファンになったんですけどねぇ。
う~ん、それは残念ですね。今は派手なカーアクション作品も多いから、そっちを期待してしまったのかも。
息子さんも、いつか再見した時にこの作品の良さに気付くかもしれません。良い経験になったと思いますよ~。
> 以前宵乃さんに、描いた「バグダッド・カフェ」のイラストは写真じゃないのと、お訊ねしたのを覚えてますか?返事を貰えずにいますが・・・。
あぁ、スミマセン。質問ではなく、確認というか念押しというか、返事はいらないタイプかと思いまして(汗)
イラストつき映画感想ブログなのでイラストです、ハイ。
いつもイラストも見て下さってありがとうございます!
> 当時ともに大学生だった休み明け、久しぶりに会った夫がいきなり「激突を観たか」と聞きました。凄い監督が出たと興奮気味に伝えたのを覚えています。
大学時代から仲良しだったんですね。映画や小説、登山と、一緒に楽しめる趣味があるって素敵です♪
> 私の初めてのスピルバーグ作品との衝撃の出会いは「ジョーズ」。
> 以降彼の作品はほとんど観ています。
> でもね、やはり「激突」から始めたかったスピルバーグ遍歴です。
「ジョーズ」もいいですよね。私もたぶんそれが初めてだったと思います。
好きな監督だと、見逃した作品のことをずっと引きずってしまう気持ち、わかります。しかも、やっと観られたと思ったら面白くなかったりすると悲惨…。
その点「激突」は期待以上だったでしょうから、そこはよかったかも。
コメントありがとうございました。
ですよね!
私も再見なので侮っていたところもあり、それが覆された時の感動もすごかったです。
映画は色んな要素で成り立っているから、ストーリーが単純とか、製作年とか、観ないで一部の情報だけで判断するのは無理だと、今回改めて痛感しました。
> いかついタンクローリーをどんな奴が運転してるのか、想像力を掻き立てられます。(姿が見えないまま終わるのがいいんですよね)
ホント、どんな奴だったんでしょう?
あの運転手を演じた人は、そんな鑑賞者の気持ちを想像してニマニマしてるかもしれません(笑)
ヒゲハゲ観察者のタカハシと申します。
以後お見知り置きくださいませ。
私はパニック映画が苦手なんですけど、ひょっとするとこの作品のせいかもしれない、とも思っています。
そのくらい初見の時の恐怖感は半端なかった。今観ても相当コワいし。
「ジョーズ」と比べるとどうですか?
初めまして、ご訪問とコメントありがとうございます♪
ヒゲハゲ観察者ですか~、渋い感じの男性俳優がお好きなんでしょうか。
実は私もオジサマ大好きです。お髭やハゲもいいけど、とくにシワが好きですね。
> 私はパニック映画が苦手なんですけど、ひょっとするとこの作品のせいかもしれない、とも思っています。
確かにトラウマ映画になりうる作品でした。パニックものが苦手ならなおさらでしょう。
「ジョーズ」は怖いけれど、あまり海に近づかない生活を送っていれば他人事と思えますし。車は身近な分、観終わった後も怖さが続きます。
比べるとなると難しいですが…鑑賞中のみで考えれば「ジョーズ」かな?
同じ監督の同ジャンルの映画を比較するのも面白いですね♪
ケフコタカハシさんとお話できて楽しかったです。
よかったらまたお越し下さい。