映画「大いなる勇者」観た
原題:JEREMIAH JOHNSON
製作:アメリカ’72
監督:シドニー・ポラック
原作:レイモンド・ソープ 、ロバート・バンカー
ジャンル:ドラマ/西部劇
【あらすじ】1850年代の西部、ジェレマイア・ジョンソンはロッキー山中で狩りをして生きると決めた。厳しい自然やインディアン、猛獣と戦いつつも、ひょんなことから奇妙な出会いに恵まれる。口の利けない少年と言葉が通じない嫁との、穏やかで幸せな生活が始まるが…。
冒頭で報われない物語だと暗示しているし、凍死した男の死体と出くわしたりと不穏な空気が流れているものの、どこかほのぼのしていて油断してしまいました。
何度か描かれる”出会い”の描写が秀逸なんですよね~。俗世が嫌で山に来たと思われるんですが、そんな彼を待ち受けていたのは自然の厳しさだけではなく、さまざまな人との出会いだったりします。
サバイバル術を教えてくれたお爺さんは、「イントゥ・ザ・ワイルド」でもこんな人と出会えてればなぁと思えるような頼れる人生の先輩だったし、子供たちを殺されて気が狂ってしまった(たぶん最初は錯乱してたけど、墓を立てた後は冷静だったと思う)母親との出会いは、”一人で生きる”という彼の決意を簡単に壊してしまいます。
口が利けなくなってしまった幼い息子を彼に預けた(おそらく復讐に巻き込まないため)のは、彼が信用できる男だったからだけではなく、人恋しい気持ちを見破ったからかも。
その後も、先住民に襲われたという男を助け、復讐に巻き込まれた挙句に、なぜか英雄扱いされて族長の娘をもらったりと波乱万丈(笑)
言葉が通じない嫁と心通わせ、喋れない息子とも笑顔で意思疎通できるようになっていきます。
この”本当の家族”になっていくくだりが本当に幸せに満ちていて素晴らしいんですよ。言葉が通じない(嫁は英語を覚える気なし!)からこそ目と目でお互いを観察し、相手を思いやります。
擬似親子でクリケット?みたいな遊びをしてる様子なんて、ホント幸せな家族そのものでした。
しかし、そんなふうに人との出会いを大切にするジェレマイアだからこそ、時には不幸を呼び寄せてしまいます。
一度に全てを失ってしまった彼の抜け殻のような表情…俗世間を捨ててから彼が得たもっとも大切なものが”家族”だったと伝わってきて涙が溢れました。これからも彼は悲しみを抱えながら山で生きていくんでしょうね…。
西部劇というより、ひとりの男の人生を描いた良質なドラマでした。
ただ、この作品で描かれる先住民”クロウ族”のやり方はあまりに卑劣かつ冷酷で、違和感があって調べてみたところ、白人を敵対視してない友好的な部族だったそうです。
実話(1847年に奥さんを殺され、何十年もかけて復讐し続けた)を基にしており、伝承などを集めて小説にしたのでしょう。実際は、奥さんを殺されたということ以外は、映画(原作)とは違うかもしれません。
ロバート・レッドフォードの演技も素晴らしかっただけに、この部分には時代を感じてしまいました。
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