忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「レベッカ(1940)」観ました

レベッカ(1940)
原題:REBECCA
製作:アメリカ’40
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ダフネ・デュ・モーリア
ジャンル:★サスペンス/ミステリー

【あらすじ】リビエラ旅行にホッパー夫人の付き人として来た少女は、英国紳士マキシムと出会い、恋に落ちる。そして、帰国することなく彼の後妻としてイギリスの屋敷に向かうのだった。だがその屋敷には、マキシムの死んだ前妻レベッカの影が付きまとい…。

色々と後味が悪いけど、先の読めない展開の連続で見応えありました。
まず、ヒロインを演じる女優さんがすごいんですよ。最初は”恋する少女”のようだったのが、屋敷に来て怯える子猫のようになり、そしてすべてを知って(状況が良くなったわけじゃないのに)女としての自信を得て生き生きしだすなど、別人のように変わっていくのが面白かったです。
逆にマキシムの方は、個人的には最初から最後まで魅力を感じず、彼女がどうしてこの男に入れ込むのかよくわかりませんでした。終盤になって彼の心の内がわかってからは、普通の男になってマシだと思えたけど、やはりただの”キレやすい自己中な中年”にしか見えません。

で、中盤に主役級の存在感を発揮するメイドはホラーでしたね!
一目見ただけで”奥様”を見下しているとわかる表情、たまりません。この目の演技には「嘆きのテレーズ」のお義母様を思い出しました(笑)
とくに、仮装パーティーの衣装選びでスッと助言する時の悪意のオーラは怖すぎです。ある意味、飛び降りを唆すシーンより怖くて、ヒロインはよく気付かなかったなぁ。
しかし、本当に怖いのはこのお人じゃないんですよね…。
以下ネタバレがあるので、未見の方は映画を先に見た方がいいですよ~。

なんと言っても、この作品で一番悪魔的なのは、亡き奥様レベッカでしょう。一度も姿を見せる事なく、鑑賞者に強烈な印象を残してくれます。さすが真の主役!(ヒロインは最後まで名無しだし…)
マキシムを手の上で転がし、貴族社会を嘲笑い、最後の最後まで悪意と絶望を彼に遺していく執念には、何ともいえぬ恐怖を感じます。
一体どうしてあそこまで世の中を憎むようになったのか?
何が彼女を破滅に駆り立てたのか?
もしかしたら可哀想な人だったのかもしれません。最後まで憎しみに溺れながら、救われる事なく死んでいったと思うとね…。主人公たちの幸せも、彼女の不幸の上に成り立ってると思うと後味が悪いし、きっとあの二人も長く続かないだろうなぁと思ったり。
それでも最後まで目を離せないのは、ヒッチコック監督の手腕によるものでしょう。観てよかったです!

関連記事
「知りすぎていた男」観ました
「ファミリー・プロット」観ました
「鳥」観ました(同原作者)

■ Comment

No title

懐かしいです。
多分30年以上前に観たと思いますが、
ジョーン・フォンテインが美しかったですね。
流石ヒッチコックと思いました(^_^;)。

サスペンスというかホラーとしても怖かった覚えがあります。
流石ヒッチコック(笑)。
2015/07/10 (Fri) 21:19  バニーマン  

こんばんは☆

凄いイラストですネ~! いや~怖さがひしひしと感じられます☆ 今日はコメントを有難うございました☆

>別人のように変わっていくのが面白かったです。

まぁそれが役者と言うモノで(笑) でもホントお上手でしたね☆

>彼女がどうしてこの男に入れ込むのかよくわかりませんでした。

お金、ですよね~♪

>中盤に主役級の存在感を発揮するメイドはホラーでしたね!

あの頃はずっと、彼女が主人公のように思えました(笑)。

>この目の演技には「嘆きのテレーズ」のお義母様を思い出しました(笑)

オッ、そうきましたか? たしかにね~笑。
悪意の眼差し競争、ですね?笑

>ヒロインはよく気付かなかったなぁ。

ちょっと詳細は思い出せませんが、元々が孤児風の出自のようでしたのでね~気付かないふりだったのかもですネ? (したたか、という意味ですが、孤児の方への偏見ではありません・・・最近孤児がモチーフの映画を見たのもあって、色々と思うところがありまして・・・) 

>なんと言っても、この作品で一番悪魔的なのは、亡き奥様レベッカでしょう。一度も姿を見せる事なく、鑑賞者に強烈な印象を残してくれます。さすが真の主役!

本当にね~こういう上手な作品ってあまりお目にかかりませんよね~本当のホラー(幽霊系)は意味が違うしね~怖かったです!

>もしかしたら可哀想な人だったのかもしれません。最後まで憎しみに溺れながら、救われる事なく死んでいったと思うとね…。

だんだんそんな気がしてきました。 やはり人間は誰もがたった一人で良いのでこころから愛してくれれば、病気やいろいろな事があっても、救われないという事にはならないのですよね~。 

>主人公たちの幸せも、彼女の不幸の上に成り立ってると思うと後味が悪いし、きっとあの二人も長く続かないだろうなぁと思ったり。

まぁレベッカが生きているうちに知り合ったのではないので、不幸の上に成り立っているというのとはちょっと違うと思いますが(もしそうなら、この男は一生涯誰とも幸せになれないから)

あの二人がもしも万一ずっと添い遂げるとしたら、お金の力って凄いと思うんですよ~お金以外の理由なら、あの二人は続かないと思うので・・・お金お金と言って恥ずかしいですが、孤児(?)だった女には充分に魅力ですよね~♪

ローレンス・オリヴィエさん、メッチャうまかったですネ!

>それでも最後まで目を離せないのは、ヒッチコック監督の手腕によるものでしょう。観てよかったです!

ハイ、良い作品でした。 宵乃さんがお気に召して、私も嬉しいです☆


.
2015/07/10 (Fri) 21:37  miri〔編集〕  

ヒッチコック作品は好きですねー!

どきどき、はらはら、女優さんもキレイ(なことが多い)。
これぞ映画、という。
ジョーン・フォンテインは線が細いのが、こわがる気弱なヒロインに合っていました。
レベッカ、存在しないままに存在感があるって、すごいですよね。
2015/07/10 (Fri) 22:00  ボー編集〕  

>バニーマンさん

いらっしゃいませ!
あまりオンエアがないので知られてないのかと思ったけど、意外と見てる人は多いようで嬉しいです。
ホント、ヒロインが美しくて演技も上手でした。
ヒッチコックヒロインは苦手なことが多いんですが、今回はよかったです♪

> サスペンスというかホラーとしても怖かった覚えがあります。
> 流石ヒッチコック(笑)。

あのメイドさんがマジで怖い!(笑)
ミステリアスでホラーで、さらにヒッチコックテイストも味わえて、贅沢な作品ですよね。
コメントありがとうございました。
2015/07/11 (Sat) 15:07  宵乃〔編集〕  

>miriさん

> 凄いイラストですネ~! いや~怖さがひしひしと感じられます☆

ありがとうございます、本物はもっと怖いけど、少しでも伝わったようで嬉しいです♪
ホント、主役級の存在感ですよね。

> >彼女がどうしてこの男に入れ込むのかよくわかりませんでした。
> お金、ですよね~♪

突き詰めればそういうことなんでしょうけど、女の子なら誰でも?夢見る「王子様が現れて…」な展開に浮かれてるのかなぁとは思いました。そのうちハッと我に返りそうですよね~。

> 元々が孤児風の出自のようでしたのでね~気付かないふりだったのかもですネ?

いや、彼女が嵌められたエピソードなので、気付いてなかったと思います。
あの作品で彼女が冷静でいたのって、彼と出会う前の付き人やってる時だけのような気がします(笑)
あとは浮かれたり、怯えたり、悲劇に浸ってみたり…。

> 本当にね~こういう上手な作品ってあまりお目にかかりませんよね~本当のホラー(幽霊系)は意味が違うしね~怖かったです!

あまり放送されない上に、ヒッチコックの人気作ランキングの上位にも出てこない気がしますが、さすがヒッチコックさんという感じの出来でした。

> やはり人間は誰もがたった一人で良いのでこころから愛してくれれば、病気やいろいろな事があっても、救われないという事にはならないのですよね~。

一番強烈な印象と、「一体過去に何があったんだ」という謎を残していきましたね…。
きっとマキシムは、彼女の本心を知ってからは、人前では会話しても、その他の時は彼女なんていないものと思って生活していたのかも。無理もないですが、どうして?と考えることがあれば、少しは違ったかもしれませんね。

> まぁレベッカが生きているうちに知り合ったのではないので、不幸の上に成り立っているというのとはちょっと違うと思いますが(もしそうなら、この男は一生涯誰とも幸せになれないから)

確かに「成り立つ」だとちょっと違うかな?
いちおう彼は死体遺棄という(レベッカの不幸ゆえに起こった)犯罪を犯して、それを知っていて偽証し続けた共犯なので、もはや彼らふたりの過去からレベッカという存在を消す事はできないという意味です。

> ローレンス・オリヴィエさん、メッチャうまかったですネ!

う~ん、正直よくわからなかったです。監督が彼をどう描きたかったのか、私が感じたように嫌な中年に見せたかったなら上手いのかもしれないけど…。このひと、すごい性格悪そうでしたよね?
でも、それも忘れるくらい引き込まれる作品でした。miriさんや鉦鼓亭さんの記事を読んで観ようと思ったので、おふたりには感謝です!
コメントありがとうございました。
2015/07/11 (Sat) 15:33  宵乃〔編集〕  

>ボーさん

いらっしゃいませ!
ホント、これぞ映画っていう見応えある作品でしたね。さすがヒッチコック監督!
なんでこれがあまり話題に上がらないのか不思議です。

> ジョーン・フォンテインは線が細いのが、こわがる気弱なヒロインに合っていました。
> レベッカ、存在しないままに存在感があるって、すごいですよね。

そうですよね、キレイなヒロインよりもっと完璧な美女だというだけでも驚きなのに、本性は理解不能な悪意の塊ですもんね…。下手なホラーよりこわかったです!
でも、その一方で哀しみも感じるという…。
名作でした!
2015/07/11 (Sat) 15:48  宵乃〔編集〕  

No title

 宵乃さん、こんばんは

「昨日、マンダレーの夢を見た~」(原作も出だしは同じ)
カメラが門扉を擦り抜け、荒れた道を辿り、廃屋となった屋敷が映し出される。
それに被さるモノローグ。

個人的には、ここがこの映画で一番好きで(TV初見の時から、このシーンだけは忘れた事がなかった)、その後、思い詰めた表情で崖っぷちに佇むマキシム、そこへ叫び声と共に登場するヒロイン。
このヒロインを見ただけで「この映画、最後まで見るぞ~!」。(笑)

何が彼女を破滅に駆り立てたのか?
>何が?と言われれば「病気による寿命」で、病死や自殺をするくらいなら、わざと血の上り易いマキシムを炊き付けて自分を殺させ、「一生、その残像を残し、いつまで呵責に耐えられるか「あの世」から楽しみに見させてもらう」が彼女の計略。
映画では、その前に事故死してしまいましたが。
でも、健康のままだったら確実に破滅(自滅)したのはマキシムの方だったでしょう。
彼が生きてるレベッカの呪縛から解放されるには、自殺するか殆どの財産を渡し、僅かな捨扶持で遠く離れた場所に隠居するしか道は無かった(この場合、マキシムの生殺与奪権はレベッカが握ったまま)。
(架空の地ですが)イギリスは元より、ヨーロッパでも絵葉書になるようなマンダレーの景観は、レベッカがマキシムの金を使って(笑)、自分の才能だけで作り上げたもの。(ウィンター家は、庭の整備とか美術に興味は無く荒地のままで、ばかでかい屋敷も居住スペース以外、使われてなかった)
もし元気に寿命を終えたなら、レベッカは屋敷の女王に君臨し、昔あったように国王を迎える事も有って、レベッカ・ド・ウィンターとして、その名を後世まで語られたと思います。
その本性をミセス・ダンヴァース、マキシム、ミセス・レイシー、フランク以外に知られる事なく。
レベッカは「悪魔の申し子」、単純かもしれませんが、そう考えた方が、作品を楽しめると僕は思っています。
2015/07/12 (Sun) 00:02  鉦鼓亭〔編集〕  

>鉦鼓亭さん

いらっしゃいませ!
映画を見終わった頃には冒頭の事はすっかり忘れてるタイプなんですが、鉦鼓亭さんのおかげで思い出しました。これから始まるぞ~という雰囲気があって引き込まれますよね。
そして登場するヒロインの美しさに心奪われない男性はいないでしょう。

> 何が?と言われれば「病気による寿命」で、病死や自殺をするくらいなら、わざと血の上り易いマキシムを炊き付けて自分を殺させ、「一生、その残像を残し、いつまで呵責に耐えられるか「あの世」から楽しみに見させてもらう」が彼女の計略。

「何が」というのは、彼女の破滅的な(人を不幸にする事にしか喜びを見出せない)生き方について言ったつもりでした。
返信にあった「原作のレベッカは「愛」の概念を持たない(理解出来ない)女」ということでとても納得なのですが、「悪魔の申し子」というより、やはり孤独で可哀想な人なんだなぁという印象です。
才能も美貌も身分もすべてレベッカより劣る人々が、彼女の理解できないもので幸せそうにしているのをみるのは、さぞ腹立たしかったと思うんですよ。
愛なんてくだらないと思っていても、完璧であるはずの自分に理解できないものが存在していることが許しがたくて、愛なんて存在しないと証明するために他人の心をもてあそんでいたのかなと。

> ヨーロッパでも絵葉書になるようなマンダレーの景観は、レベッカがマキシムの金を使って(笑)、自分の才能だけで作り上げたもの。(ウィンター家は、庭の整備とか美術に興味は無く荒地のままで、ばかでかい屋敷も居住スペース以外、使われてなかった)

素晴らしい才能だったんですね。完璧な自分、完璧なお屋敷、完璧なものにしか価値が見出せないなら、彼女は若くして亡くなって運が良かったのかもしれません。きっと老いて醜くなっていくのには耐えられなかったでしょうから。血の伯爵夫人みたいになってたかも…。

> その本性をミセス・ダンヴァース、マキシム、ミセス・レイシー、フランク以外に知られる事なく。

そんな限られた人の前でしか思ったことを口にできないなんて、想像するとちょっと泣けます…。親の前でも完璧な娘を演じてたという事ですよね?
何というか、聞けば聞くほど繊細で脆い人に思えてきたんですが…(汗)
個人的には諸刃の剣を振り回して自分も傷ついているようなキャラって好きなので、レベッカに感情移入できるほど楽しめます♪

>マキシムがダンヴァースを解雇しなかったのは、「真相を知ってるのでは」と恐れたから。

これも納得です!
死体遺棄&偽証でも、貴族的にはアウトでしょう。

>二人は本当の「わたしたち」になり、望み通り二人だけの静かで幸せな時間を手に入れてます。
>「わたし」が得たものは廃人手前のようなマキシムだった

レベッカとは違ったベクトルで歪んだヒロインですね。「わたしたち」と称してるのは彼女の方だけな気がするし、夢にまで見た”王子様”を自分だけの”もの”にできて幸せにとは…。
マキシムはつくづく不運な人だけど、原作の流れではこの顛末も仕方ないかも。
色々教えて下さってありがとうございました!
2015/07/12 (Sun) 15:09  宵乃〔編集〕  
名前
タイトル
URL
本文
非公開コメント

■ Trackback

この記事のトラックバックURL
トラックバック一覧
「レベッカ」
 「レベッカ」(1940年・米)監督アルフレッド・ヒッチコック 出演ローレンス・         オリヴィエ、ジョーン・フォンテイン、ジュディス・アンダーソン          音楽フランツ・ワックスマン 撮影ジョージ・バーンズ  ヒッチコックと言えば「...
セピア色の映画手帳|2015-07-12 00:05
「レベッカ」
文学作品が原作だけあって文芸ロマンス的な色も濃いが、ヒッチコックらしいサスペンスも堪能できる。
或る日の出来事|2015-07-10 21:33
.