映画「ビッグ・バグズ・パニック」観た
原題:INFESTATION
製作:アメリカ’09
監督:カイル・ランキン
ジャンル:★コメディ/パニック
【あらすじ】何をやってもまるでダメな冴えない青年クーパーは、ついに会社からクビを宣告されてしまう。その瞬間、奇妙な耳鳴りに襲われ、目を覚ますと世界は巨大な昆虫に支配されていた。彼は生存者たちとサバイバルを繰り広げつつも、生存者の一人サラに惹かれ…。
こういうコミカルな軽いパニック映画大好きです♪
わりと脚本も頑張ってるし、登場人物もきちんと描き分けできていたと思います。B級パニックものが好きならお勧めですね~。
こんな状況でものほほんとした空気を漂わせている主人公クーパーが憎めないんですよ。ダメダメなのに誰かがピンチになれば当然のように助けようとするし、どんな相手でも基本的に友好的に接してます(ヘタレ根性ゆえ)。
とくに聴覚に障害を持つ黒人青年ヒューゴに優しい言葉を掛けるところに優しさが表れてました。生き残るのに必死で他人のことに目が行かない方が普通なのに、必死に頑張るタイプじゃないところが逆に心の余裕に繋がってるのかな?
ネタバレですが、彼がサラに特別な感情を抱く理由が、この手の作品にありがちな吊り橋効果だけじゃなく、実はその日の朝に轢かれそうになって口論になり、その時に惚れていたことがわかるくだりも良かったです。
また、後半で登場する父親との衝突と和解も定番ながら良かったですね。
息子に厳しく、やる事なすこと否定しかしない厳しすぎる父親なんだけど、わんこ溺愛キャラなのが可笑しい。行方不明のわんこを必死で探す父親に対し、「たかが犬だろ」と言ったらすかさず「お前の妹だぞ?」には笑わせられました。
しかも、虫の化け物に変貌して登場したわんこに、赤ちゃん言葉で「取って来い」をして(ちゃんと犬の本能が残ってた!)、しみじみ「可愛い」と言ってるし…。蜘蛛みたいな脚がはえてるんですけど!?
この虫の化け物に変身してしまった(場合を想定した)メインキャラが3人いて、それぞれの行動が違うのも性格が表れていて面白かったです。
クーパーはサラに「自分が化け物になったら…撃たないで!逃げてもいいから!」と情けなくお願いし、ヒューゴの父親は化け物になったら自分を撃つよう頼み、クーパーの父親は「お前は死なせない」と息子を残し、死ぬ気でひとり敵地に乗り込んでいくんですよ。
いい父親とはいえなかったけど愛情はあったのだとわかりホロリときました。
…この直前まで、音に敏感な虫を避けるため、みんなでほのぼのサイクリングしてたんですけどね(シュール! 笑)
あと、個人的には、非常時にも関わらず化粧直しばかりして、冴えない主人公クーパーに色目を使うお天気キャスターのシンディが印象に残りました。こういうパニック映画に一人はいる”ヒステリー女”担当なんですが、彼女なりの”生きるのに必死な姿”と、一人でぬいぐるみを抱えて泣いてる姿を見たら…。
化粧直しばかりしてるのも、自分の武器が”容姿”しか思い当たらないからで、知識やタフさを持ち合わせてる他の女性キャラと比べたら不安で仕方なくなるのも頷けます。しかも、周りにいるのは頼りなさそうな一般人だけ。
ナイト役にクーパーが選ばれたのは、暴走車から自分を守ってくれたり、父親が軍人だという話を聞いたからでしょう。たくましいヒューゴを選ばなかったのは…たぶん偏見もあったんじゃないかな?
死と隣り合わせでいるより、みんな一緒に死んだほうがマシ!という行動も、いつもならイラッとしそうなのに彼女の場合は不憫に思う気持ちの方が勝ってしまいました。
ラストはやや盛り上がりに欠けたものの、ヒューゴの耳が聞こえない設定を活かした展開は良かったです。
ちなみに原題は、イナゴの大群などの”襲来”を意味してます。