忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ライトスタッフ」観ました

ライトスタッフ
読み:らいとすたっふ
原題:THE RIGHT STUFF
製作:アメリカ’83
監督:フィリップ・カウフマン
原作:トム・ウルフ
ジャンル:★ドラマ/アドベンチャー

【あらすじ】ソ連との技術競争の真っ只中。ロケットの弾道飛行に成功したアメリカの次の目標は、有人宇宙ロケットだった。空軍パイロットの中でも特に優れた資質“ライトスタッフ”を持つ男たちが宇宙飛行士を目指す中、イエーガーはひたすら音速飛行の限界に挑む。

ハリウッド白熱教室でもやってたけど、映像表現が色々と凝ってる作品でした。同じ訓練を受ける猿と人間の繰り返しの他に、投げるシーンから放物線のような飛行機雲、傾けたグラスのウイスキーと夕焼け、おしっこを我慢する様子の後に水撒き・注がれるお茶・ウォーターサーバーのタンク、舞い散る粒子に焚き火の火の粉と満点の星空などなど、私が気付いただけでもこれだけあったので他にもっとあるかも。どちらかと言うと静かな作品なので、こういうところで工夫して長時間楽しませてくれるんですね〜。

初見では登場人物を見分けるので精一杯だったけど、今回はほとんど大丈夫でストーリーに集中できました。
改めて観てみて印象に残ったのは、夫の帰りを待つ奥様方です。「彼女らに聞いてみたいわ。 夫が生きて帰らない確率が4回に一回だったらどうするかって」という台詞がグサリ!
具体的な数字を聞くと彼らがどんなに無謀なことをしているかわかって、何が彼らをそんなにも惹きつけるのか考えずにはいられません。
私はずっと限界に挑戦したいという気持ちからだと思っていたけど、こちらの方のレビューを読んだら、職業軍人としてパイロットになった彼らは生活のために命を張っていて、記録を競い合ったり宇宙を目指していたのは後付の理由だろうと仰っており、そういう見方もあるのかと目からウロコでした。確かに、軍人ってほいほい転職できなさそうだし、後は己れを信じて突き進むしかないですよね。

そうやって頑張れるのは愛する家族あってこそで、取材を無理強いされようとしていた奥さんに、嫌ならやらなくていい!とキッパリ言うエピソードは、支えてくれる奥さんへの愛情がよく伝わってきました。
このジョン・グレンと奥さんが仲良しでホント可愛かったです。吃音があり、時に”お高くとまってる”と誤解されることもある奥さんなんですが(この誤解が解けたとわかるのが、ロングショットでの会話だけなのが物足りない…)、そんな彼女の言葉をやさしい眼差しで受け止めるジョンとの濃密なラブラブ空間がもう…新婚さんですか?という感じです(笑)
この夫婦だけでなく、奥様仲間もパイロット仲間もみんな、身勝手な役人たちや技術者、マスコミたちに負けまいと、お互い助け合ってました。

また、初見で印象に残っていた飛行パイロットとしての道を貫いたイエーガーのエピソードもやはり素晴らしかったです。宇宙飛行士のメンバーが仲間たちと一丸となって戦っているのに対し、彼はストイックなまでにひとりで限界に挑み続けます。
でも、彼にとっても奥さんの存在は欠かせないもので、違う場所で違うものを目指していても、彼らはみんな根っこは同じ。”ライトスタッフ:正しく優れた資質を持った者”であり”扱いにくいテストパイロット”であり、”共に戦う仲間”なんでしょうね。
「最高のパイロットは?」「目の前にいるさ」がお決まりの台詞のゴードンが、終盤にふと真剣に語り出したシーンからも、それがわかります。
彼のイエーガーに対する尊敬の念にはホロリときました。

ちなみに、もう一つ印象に残ったエピソードで、ガスの乗ったポッドのハッチが開いた原因について調べたところ、現在では、「確率は低いがあり得た事故」という事になっているそうです。
彼はとても信頼されている宇宙飛行士だったそうで、それを知ってなんだか嬉しくなったり。ただ、皮肉にも彼が亡くなったのは”ハッチが開かなかったため”なんだとか。運命のいたずらですね…。
色々調べるきっかけにもなって、再見して良かったです。

■ Comment

こんにちは☆

リアル・コズミックフロントですね~☆ 
ちょうど2年前に見ました。 素敵なイラストと分かりやすい記事で、またまた再見したくなってきましたよ~ホントに罪作りです(笑)。 

>ハリウッド白熱教室でもやってたけど、映像表現が色々と凝ってる作品でした。

再見する時にはこちらの記事をよくよく噛みしめて、シッカリと見たいと思います♪

>「彼女らに聞いてみたいわ。 夫が生きて帰らない確率が4回に一回だったらどうするかって」という台詞がグサリ!

この台詞は、あれから時々思い返すんですよ~(笑)。 
怖いですよね~!


>”ライトスタッフ:正しく優れた資質を持った者”であり”扱いにくいテストパイロット”であり、”共に戦う仲間”なんでしょうね。

初見時に一番思ったのは、コズミックフロントで見て勉強になっている事は全部上の方の人の事で、こういう実際に動く人の事は知らなくて・・・あぁいう番組だから仕方ないけど、それ以降ちょっとさめた目で見るようになってしまいました。


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「ロング・グッドバイ」の返信を有難う~!

>自力で探し出すとはすごい!有言実行で見習いたいです。

いえいえホントにあのヒントがすごく良かったので♪

>コメントで教えてもらったこと、miriさんにも連絡しようと

携帯で読ませて頂いてました。 リンク先はまだ見ていませんが、同じ場所だと思うし、それで闘志がわいて、何とか午後遅くに確認できました☆

>お~、そんなに違いましたか。ここ数年で技術が進歩したということかな?

昨年のイマジカのオンエアでしたので、技術的な事より、イマジカの画質が「標準画質」で いまいち だからだと思います。。。 今回のを保存したので、いつか再見したいと思います。

>今回は私のために調べて下さって本当にありがとうございました!

いえいえいえ・・・自分も見たかったので(笑)。

>あと、神社にお参りしてきたんですね。毎年行ってるとは素晴らしい。

いや~お恥ずかしい、1時間少しのところにあるんですが、毎年花粉症が終わってから行っています。 でも「参拝」というのではなく「参道」が好きなんですよね~ちょっと雰囲気というか、精霊がささやく的な? 私には好きな場所なんです。。。自分勝手な好感で、映画の神様もご迷惑かもしれません(笑)。


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2015/06/17 09:41  miri〔編集

>miriさん

嬉しいお言葉ありがとうございます♪
再見された時は、わたしが気付いてない映像表現があったら教えて下さいね~。

> この台詞は、あれから時々思い返すんですよ~(笑)。 
> 怖いですよね~!

ホント、4回に一回って恐ろしい数字です…。毎日無事帰ってくるか考えてたら、1年もしないうちに胃に穴が開きそう。

> 初見時に一番思ったのは、コズミックフロントで見て勉強になっている事は全部上の方の人の事で、こういう実際に動く人の事は知らなくて・・・

確かに思い返してみるとそうかもしれません。日本人宇宙飛行士は特集してた気がするけど、他は記憶にないです。宇宙の作業の様子などはCGですしね。

> ****************************
>
> 携帯で読ませて頂いてました。 リンク先はまだ見ていませんが、同じ場所だと思うし、それで闘志がわいて、何とか午後遅くに確認できました☆

ライバルが現れるとやる気が出るタイプでしたか!
これはフラ語にも応用できたり…!?

> 自分勝手な好感で、映画の神様もご迷惑かもしれません(笑)。

きっと素敵な参道なんでしょうね。参道目当てでも来てくれたらきっと神様も喜んでますよ~。
近くにそんな神社があるなんていいなぁ。

コメントありがとうございました!
2015/06/17 13:56  宵乃〔編集

No title

多分20年以上観ていないので、記憶もいいかげんなものですが、大変感動しました。

最初に日本で劇場公開された時は、かなりカットされていたので、つじつまの合わない作品でしたが、それでもとても面白かったです。そんなバージョンでも評論家の評価も高かったですしね。

数年後、ノーカット版を初めて観た時は、本当に感激しました。

アメリカで上映された時は、ジョン・グレン氏が上院に出馬した時?だったので、グレンのエピソードが良いのは選挙運動だと非難されいたそうです。なんともアメリカ的だなと思ったものでした。

チャック役のシェパードが、とってもかっこよかったですね。ある意味でハードボイルド作品だなと、当時は思っていました。

女性の視点からすると、奥様方へ眼が行きますね。
2015/06/18 21:23  バニーマン

>バニーマンさん

いらっしゃいませ。
20年前ですか~。再見したら古さを感じなかったので、そんなに前の作品という印象がなかったです。名作は時が経っても色あせないものですね。

> 最初に日本で劇場公開された時は、かなりカットされていたので、つじつまの合わない作品でしたが、それでもとても面白かったです。そんなバージョンでも評論家の評価も高かったですしね。

この作品も最初はカットされていたんですか。でも、それがマイナスにならなかったのは幸いでした。二度も感動できてある意味ラッキーだったかも?(笑)
あと、ジョン・グレンと選挙運動の関係については初耳です!
確かにアメリカ的ですよね~。映画の中の彼は、そんなことするイメージじゃないのに…。

> チャック役のシェパードが、とってもかっこよかったですね。ある意味でハードボイルド作品だなと、当時は思っていました。

そうなんですよ、チャックがハードボイルドしてました!
しかも愛妻家で、この作品が女性にも受け入れられてるのはこういうところがしっかり描かれてるからだと思います。

この作品の記事を書いてる人があまりいなくてガッカリしてたところだったので、コメントを頂けて嬉しかったです♪
ありがとうございました。
2015/06/19 13:18  宵乃〔編集

こちらにお邪魔します。

公開当時に映画館で見ました。

>ガスの乗ったポッドのハッチが開いた原因
>彼はとても信頼されている宇宙飛行士だった

イエーガーやジョン・グレンのような主役級ではないのですが、ガスも心に残る人物でした。
フレッド・ウォードは大変な好演です。他の6人ほど背は高くないのですが、存在感があります。
実生活ではアメリカ空軍、ボクサー、樵という経歴があり、鍛えられた肉体です。
先日お邪魔した「トレマーズ」でフレッド・ウォードの事を久しぶりに思い出しました。

>皮肉にも彼が亡くなったのは”ハッチが開かなかったため”なんだとか。運命のいたずらですね…。

悲しいです・・・。
2019/05/06 09:45  間諜X72〔編集

>間諜X72さん

いらっしゃいませ。公開当時に劇場でご覧になったんですか~。飛行シーンの迫力はスクリーン映えしそうです。贅沢な鑑賞でしたね♪

> フレッド・ウォードは大変な好演です。他の6人ほど背は高くないのですが、存在感があります。実生活ではアメリカ空軍、ボクサー、樵という経歴があり、鍛えられた肉体です。

がっしりした体つきは印象に残ってます。この作品での彼のことは忘れかけてますが、感想でも彼のシーンが印象に残ってたようですし彼の演技のたまものでしょうね。
ご本人も彼に演じてもらって天国で喜んでいると思います。
2019/05/07 08:03  宵乃〔編集
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