映画「AAAH!ゾンビーズ!! 俺タチだって生きている」観た
原題:WASTING AWAY/AAAH! ZOMBIES!!
製作:アメリカ’07
監督:マシュー・コーネン
ジャンル:★ホラー/コメディ
【あらすじ】アメリカ西海岸。ボーリング場でバイトするティムの元に、おバカな親友マット、マットの元カノ・ヴァネッサ、そしてティムが長年想い続けるシンディが集まる。マットは勝手に売店でソフトクリームを作りみんなにふるまうが、それには陸軍が極秘に開発した超兵士薬が混入し…。
gyaoで観賞。ネタバレ注意!
アイデアが光るB級ブラックコメディでした。前半は大笑いということはないものの、進むにつれてじわじわ笑いと切なさがきて、最終的には妙に幸せな気分で笑顔になれました。これはエド・ウッド作品とか「ゾンビ処刑人」「ゾンビランド」とか好きな人は楽しめるんじゃないかなぁ。
モノクロとカラーを切替える作品はいくつか知ってるけど、これはゾンビ視点がカラーというのが斬新(笑)
だってゾンビが主人公なんですもの!
しかも、自分達がゾンビになってしまったなんて、これっぽっちも気付いてません。
ゾンビとして蘇ったところからカラーに変わり、急に怪力になったり、周りの人が早送りしたみたいに見えることに、ただただ戸惑ってしまうんですね。
それがモノクロで描かれる人間視点に切り替わると、彼らの実際の姿…見るからに”ゾンビ”な彼らが「う~あ~」と言いながら近づいてくる姿が!
でも、それに気付かず普通に行動する彼らから見たら、周りの人たちの方が異常なんです。普通に話しかけても、奇声をあげて逃げていったり、襲い掛かってくるんですから。
その認識のギャップが面白くて、『ノロノロゾンビから見たら、普通の人の動きや喋りはこう見えるんだ~』と妙に感心してしまいました。
そこに、事情を半分くらい知ってるゾンビ軍人が現れ、さらに話がややこしくなります。周りの”異常者”たちは”感染者”で、運よく本来の効き目で超兵士になった自分達が人類を救わなければならない!と、普通のゾンビ映画とはまったくあべこべに。
そんなひねった展開も面白かったんですが、ゾンビ化してからの悪趣味な描写もツボに嵌れば最高です。とくにティムの頭皮とか、マットの腕とか頭とか、色々とシュールすぎて笑うしかない。ティムの頭皮を見なかったことにして頭に戻し、ポンポンとしてあげるシンディとか可愛すぎ!(笑)
人間視点で見れば不気味なゾンビが絡み合ってるようにしか見えなくて「うぇっ」って感じなんですが、ラブラブな二人が幸せそうなのでOKです。
でも、周りから見ると化け物でしかなくて、殺すのが当然だと思われてしまうくだりは、笑いもあるんだけど今まで見てきたゾンビ映画のゾンビたちも実は…と思うと切なくなりました。
「ゾンビになっても生きる権利はあるんだ」とユートピアを求めて旅立つ展開も熱いです。
戦力的に不利な状況を打開するため取った方法や、軍の目をくらますための作戦が意外とまともに通用しそうだったし、何より仲間を想う気持ちがB級なりに効いてます。
終盤はベタだけど妙に感動しちゃって、「ゾンビだって生きてるんだよ!」とか思いつつ彼らを応援してました。
これからはゾンビ映画の見方が変わってしまいそうです。