映画「ヘヴン」観ました

製作:ドイツ/イギリス/アメリカ/フランス’02
原題:HEAVEN
監督:トム・ティクヴァ
ジャンル:ロマンス/ドラマ
【あらすじ】夫や教え子たちが麻薬の餌食となり、フィリッパは元締めのオフィスに爆弾を仕掛ける。しかし、憲兵隊に捕らえられ知らされたのは、4名の無関係な者の死だった。尋問に同席していたフィリッポは、酷く傷ついた彼女を放っておけず…。
あらすじだけ見るとサスペンス要素もありそうなんですが、そういう部分はストイックなまでに削られていて、あくまで”静かな純愛”を描いていました。
素晴らしかったのが、彼女に恋したフィリッポ。無関係の人間(幼い少女も含む)を殺してしまったと知り、激しく狼狽し泣き崩れ気絶する”爆破犯”を、じっと見つめるフィリッポの瞳の表情が素晴しかった!
もう言葉なんて要らない、という感じ。
彼女を逃がそうと思い立ってからの行動も迅速で、普通なら緊迫感を煽るような演出・音楽などで盛り上げる所を、あっさり逃亡成功。それが、逆に”彼が恋に没頭していく様子”を表しているかのようでした。
ココからネタバレ有ります。
逃げ遂せた彼女は、「自分が逃げたのは罪から逃れるためじゃなく、あいつを殺すためだ」と宣言しているにもかかわらず、元締めを殺した後も自首しないんですよね。
それを”卑怯だ”と言っている人もいるみたいなんですが、彼女は罪から逃れようとした訳ではなくどう終わらせるか考える時間が必要だったんじゃないでしょうか。
私も倫理観とかはちゃんとしてないと嫌なほうなんですが、彼女の場合、憲兵の中に麻薬組織と繋がってる人間がいるので、罪に見合った罰を受けるとは限りません。憲兵の様子を見てると拷問すらしそうな勢いでした。
もちろん彼女は死刑になるべきですが、もみ消そうとする人間のいるところへ帰っても、彼女が倒そうとした悪が世に知られる可能性をなくすだけだと思います。
まあ、爆弾の事といいラストの「ヘリでどんどん上昇して、最終的には墜落死(イカロスのつもりか?)」という死に方といい、ちょっと後先考えない人だとは思いますが、どうせ地獄に落ちるなら最後に愛する人たちに少しでも近い場所へ行きたかったのかも。
彼女のすべてを許せるわけではないけど、それを差し引いても、ロマンチックで雰囲気のある映画でした。
■ Comment
宵乃さん、こんにちは。
コメント&トラックバックありがとうございました。
>じっと見つめるフィリッポの瞳の表情が素晴しかった!
自分の記事には書いていませんが^^;
台詞は少なかったですが、お互いの表情や視線などが素晴らしくて
フィリッポのピュアなところが際立っていたような気がします。
>どう終わらせるか考える時間が必要だったんじゃないでしょうか。
まったく同感です!私も二人は逃げおおせるために逃亡したんじゃないと思います。
彼女が逃亡を続けた理由・・・・・
私は純なフィリッポの事を愛したからだと思います。
でも、自分は罪人であるからこのままおめおめと
生き続けるわけにはいかない、
二人は死に場所を探していたんだと思います。
> 台詞は少なかったですが、お互いの表情や視線などが素晴らしくて
> フィリッポのピュアなところが際立っていたような気がします。
内容は忘れかけてますが、彼の眼差しや”ふたりの世界”という濃密な雰囲気はハッキリ覚えてますね~。純愛ものとしての印象は強く残ってるみたいです。
> 私は純なフィリッポの事を愛したからだと思います。
> でも、自分は罪人であるからこのままおめおめと
> 生き続けるわけにはいかない、
> 二人は死に場所を探していたんだと思います。
そうですよね。フィリッポも彼女を逃がそうとした時から覚悟してたんでしょう。もっと早くに出会っていれば、何か変わっていたかもしれないと思うと切ないです。
ヘリコプターが上昇し続けると墜落してしまうというモノローグ(だったかな)が伏線として効いてるのもよかったですね。でも、せめてもっと何もないところでやって欲しかったかな~。
2011/11/27 10:06 宵乃
宵乃さん、ふたたびこんにちは。
>でも、せめてもっと何もないところでやって欲しかったかな~。
確かに!言われて気づきました。
あのお友達は犯人隠蔽で捕らえられちゃうだろうし、
受難でしたよね。お気の毒です。
キレイには終わりましたが、お友達の行く末などを考えだすと
大変な事になっていそうですね^^;
> あのお友達は犯人隠蔽で捕らえられちゃうだろうし、
> 受難でしたよね。お気の毒です。
あの怖い警察?に目を付けられたら大変ですよね!
ヒロインは後先考えなさすぎで、そこは嫌でした。
友人家族は恨んでるだろうなぁ・・・。
■ Trackback
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