忘却エンドロール

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ファンタジーアニメ企画 今敏作品「パプリカ/千年女優」再見

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Tag:日本 

『パプリカ』(日’06 今敏監督、筒井康隆原作)

「パーフェクトブルー」でこの監督の描く”醜さ”に耐性ができたおかげか、なかなか楽しめました。初見はテープが悪かったのもあって寝ちゃったもんなー。
夢を共有できる機械が盗まれて悪用されたのを何とかしようとする話と、セラピーを受ける刑事が過去と向き合う話が同時進行するんですが、監督お得意の現実妄想が入り乱れる映像の奔流が楽しいんですよね。普段使ってない部分の脳を刺激されてる感じ(笑)
刑事さんのパートも、映画への愛とノスタルジーが伝わってきて良かったです。というか、このエピソードがないと中身スッカスカかも…。
でも実は一番好きなのが主題歌「白虎野の娘(←youtubeへ)」で、これを聴くとパプリカみたいに夢の世界を駆け回りたくなります。

『千年女優:CHIYOKO MILLENNIAL ACTRESS』 (日’01 今敏監督)

ネタバレ注意!
今監督にしてはクリーンで一般向けの作品。
大好きな女優・千代子のドキュメンタリーを撮りにきた立花たちが、彼女の昔語りに引き込まれていくのを回想シーンに入り込んでしまう事で表現するのが面白いですね。終いにはヒートアップして、彼女の映画を何度も何度も観て台詞も覚えている立花が、彼女を助ける役になりきって妄想の中で共演!
これは憧れの俳優さんがいる人ならドキドキするんじゃないだろうか。
千代子が大切な人を追い求める情熱・経験をすべて演技に活かしているというのも伝わってきて、ぐいぐい引き込まれます…が、40分くらいのところで飽きました(汗)
彼女が彼を追いかけて、立花がそんな彼女の後を追うパターンの繰り返しなので、少しくどいかも。
でも、最後の最後の台詞には痺れました。さすが女優!という気持ちと、その裏にある深い想いに涙…。
相手が目の前にいない場合、そのいない相手を追い求める自分を好きだと言える(全肯定する)のは、相手を愛しているのと同義だと思います。もう会えないと心の奥底では気付いていて、それでもその想いは無駄じゃない、否定しないし風化もさせない。彼のおかげで女優になれたんだから、彼からもらったものをすべて自分の血や肉にして、一緒に生き続けたい…という事だと思いました。
老婆の姿で描かれる”不安”に押しつぶされなかったのも、長年引き立て役だった女優に「あなたはいつまでも若いまま」と言わしめたのも、自分を好きになることで彼への想いを保ち続けたからでしょう。
「もう彼の顔も思い出せない…!」と泣き崩れたのも、彼女の本当の姿だったと思います。

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「東京ゴッドファーザーズ」観ました

■ Comment

こんにちは

千年女優もみてます。(記事にはない)
泣き崩れる所、印象に残ってます
千代子の感じがなんだか昔の女優さんのイメージぴったりで、
現代の女優とはちょっと違った意味合いですよね

パプリカは夢の狂気的な部分が良く出ていた作品だと思います
ここまでごっちゃじゃないけど、起きたときになんだか変な夢だなあということ、結構ありますもんね(私だけ?)
2015/01/28 14:03  maki編集

>makiさん

> 泣き崩れる所、印象に残ってます
> 千代子の感じがなんだか昔の女優さんのイメージぴったりで、
> 現代の女優とはちょっと違った意味合いですよね

千代子は自分が実際に体験した事を貪欲に演技の糧にしていて、女優をしているというより女優を生きてるって印象でした。
昔の映画とか観ると、今の女優さんと比べて迫力が違いますよね~。

> パプリカは夢の狂気的な部分が良く出ていた作品だと思います
> ここまでごっちゃじゃないけど、起きたときになんだか変な夢だなあということ、結構ありますもんね(私だけ?)

私も壮大でハチャメチャで残酷な夢をよく見る方なので、パプリカの表現には既視感おぼえまくりでした(笑)
そんな形にしにくいものを見事にアニメーションで表現してしまう今監督は、やはり凄い人だったんでしょうね~。
2015/01/29 11:11  宵乃〔編集

No title

こんにちは^^
『パプリカ』は中学生の時に何の感慨もなく見ましたが、『インセプション』を見てからも、感じ方が変わりましたね。
ホテルで無重力になるシーンのオマージュだったり。
世界的に有名な作品になる可能性もあったのに、なんだか寂しく思いました。
ジャパニメーションらしい一作ですよね^^
ちなみに「白虎野の娘」ですが、「妄想代理人」みたいな感じがしました笑
2015/01/29 17:20  茶栗鼠

>茶栗鼠さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます♪
そうそう、この作品は「インセプション」と比べると知名度がね…。

> ホテルで無重力になるシーンのオマージュだったり。
> 世界的に有名な作品になる可能性もあったのに、なんだか寂しく思いました。

元ネタがわかるようにオマージュを捧げてくれればいいのに!
まあ、インセプションと比べると万人受けはしないですけどね~。

> ちなみに「白虎野の娘」ですが、「妄想代理人」みたいな感じがしました笑

たしか今監督は「妄想代理人」から意識するようになりました。
あちらの主題歌も同じ方が歌ってましたね。幻想的で少し怖くて、みんなが輪になって眠ってる映像がシュールでした(笑)
2015/01/30 07:21  宵乃〔編集

こちらにもお邪魔いたします☆

>『千年女優:CHIYOKO MILLENNIAL ACTRESS』 (日’01 今敏監督)

今日、良い機会があり、何も知らずに見ました☆ 監督さん早世なさったのですネ~。

>今監督にしてはクリーンで一般向けの作品。

私は他の作品は見ない方が良いでしょうか?笑

>これは憧れの俳優さんがいる人ならドキドキするんじゃないだろうか。

そうですね~私もチラッと考えましたよ~今は亡きあの方の・・・ほほほ。

>…が、40分くらいのところで飽きました(汗)
>彼女が彼を追いかけて、立花がそんな彼女の後を追うパターンの繰り返しなので、少しくどいかも。

そう言われればそうかもしれませんね~? 再見の時は絶対そう思いそうだからもう見ない方が良いですネ(笑)。 今はくどいとは思っていないので・・・。

>でも、最後の最後の台詞には痺れました。さすが女優!という気持ちと、その裏にある深い想いに涙…。以下・・・

宵乃さんのお考えの深さにまいりました、ははーっ!!!

私はもっとドライに考えてしまって・・・人間はそういうモノだと思うので特に何の感慨もなかったです・・・ただ、この女優さんの場合とは違うけど自分でも分からないでもない感情に多少似ているのかもしれないとは思いました☆

>老婆の姿で描かれる”不安”に押しつぶされなかったのも、

導入部から「原節子だよな~」と白けてしまって(笑)。 まぁ本編が始まったらそういう事は思わなかったけど(昭和史・邦画史でしたしね~) 最終盤もやっぱり原節子で(笑) しかも主人公が「藤原」で(笑) しかも私の明日の記事も主演が原節子で(笑)。。。映画の神さまの悪戯せう。。。

では今年のファンタジー企画の作品をゆっくりと探しま~す♪


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2016/01/29 18:57  miri〔編集

>miriさん

お~、こちらの作品をご覧になりましたか!
いちおうこの監督さんの他作品で一般向けなのは「パプリカ」と「東京ゴッドファーザーズ」なのかな?
「パプリカ」はよく「インセプション」と比較されてて、若干気持ち悪い描写はあるしストーリーはあってないようなものですが、刑事さんの映画に対する想いとか自主制作の思い出は共感できるかも。
「東京ゴッドファーザーズ」は聖夜の奇跡を描いた人情喜劇で、良く覚えてないけど高校生くらいの時に観て感動したような。でも、今見たら色々引っかかるかも?
観ない方がいいと断言できるのは、「ブラックスワン」そっくりの「パーフェクトブルー」くらいですね~。

> そうですね~私もチラッと考えましたよ~今は亡きあの方の・・・ほほほ。

うふふ、やはり映画ファンの夢ですよね。この監督さんは映画が大好きなようなので、そういう面が作品に表れていると共感できます♪

> 私はもっとドライに考えてしまって・・・人間はそういうモノだと思うので特に何の感慨もなかったです・・・ただ、この女優さんの場合とは違うけど自分でも分からないでもない感情に多少似ているのかもしれないとは思いました☆

このラストの台詞で白けたという方が意外と多く、ただ自分に酔ってたんじゃないんだよ~愛なんだよ~と思ったので力説してみました(笑)
その時、ちょっとmiriさんを思い浮かべていたかもしれません。

> 導入部から「原節子だよな~」と白けてしまって(笑)~しかも私の明日の記事も主演が原節子で(笑)。。。映画の神さまの悪戯せう。。。

あちゃー、色々タイミングが悪かったですね(汗)
まあ、そんな時もあるからこそステキな偶然が重なった時に嬉しさ倍増ということで♪
こちらもコメントありがとうございました。
2016/01/30 12:47  宵乃〔編集

天才です

今監督の作品は
東京ゴッドファーザーズが好きで
千年女優も同様
もちろん、パプリカもね。
今監督の遺言のサイトを見るたびに
泣けますわ。
無念な気持ち。
そして
未完の夢みる機械。
天才ゆえに、ほかの人では完成できない。
2017/04/24 00:32  レーザー〔編集

>レーザーさん

こちらもコメントありがとうございます。
「東京ゴッドファーザーズ」は彼の作品の中で一番再見したい作品です。本当に惜しい方を亡くしました。
彼の遺言を読むと今でも涙が…。

> 未完の夢みる機械。
> 天才ゆえに、ほかの人では完成できない。

完成は無理でも、できている部分だけでも公開してほしいですよね。
2017/04/24 11:05  宵乃〔編集

この作品を今日見ました☆

>『パプリカ』(日’06 今敏監督、筒井康隆原作)

やっとオンエアに恵まれました、こちらでお話したこと忘れていなかったので☆

>夢を共有できる機械が盗まれて悪用されたのを何とかしようとする話と、セラピーを受ける刑事が過去と向き合う話が同時進行するんですが、監督お得意の夢と現実と妄想が入り乱れる映像の奔流が楽しいんですよね。普段使ってない部分の脳を刺激されてる感じ(笑)

私には難しい作品でしたが、なんとか必死についてゆきました。
「インセプション」もあまり覚えていないけど、現実にはならないでしょうから、映画として楽しむのが良いですね♪

>刑事さんのパートも、映画への愛とノスタルジーが伝わってきて良かったです。というか、このエピソードがないと中身スッカスカかも…。

まあスッカスカという事はないと思いますが、刑事さんの姿を借りて、自分の映画への愛を描写しつくした感があって、お得な職業=映画監督って感じでした(笑)。

>でも実は一番好きなのが主題歌「白虎野の娘(←youtubeへ)」で、これを聴くとパプリカみたいに夢の世界を駆け回りたくなります。

平沢進ですね・・・(笑)。
息子が師匠と崇め奉っています(笑)。
今はあまり聞かないけど、結婚前には息子一人で遅くなって夕食の時は、毎回毎回聞かされて・・・もうけっこうです(笑)。

でも、たしかにこの監督作品には(千年女優もそうでしたし)平沢の音楽が合うと思います♪

「パプリカ」って私的には、Eテレの2020応援ソングなんですが、この映画のタイトルと何か関係あるのでしょうか???


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2019/03/04 19:13  miri〔編集

Re: この作品を今日見ました☆

こちらもコメントありがとうございます。「パプリカ」をご覧になりましたか!
この作風に慣れてないと付いていくのも大変ですよね。アニメ的表現の集大成という感じです。

> 刑事さんの姿を借りて、自分の映画への愛を描写しつくした感があって、お得な職業=映画監督って感じでした(笑)

ですよね~。アニメーションに人生を賭けたアーティストでした。

> 今はあまり聞かないけど、結婚前には息子一人で遅くなって夕食の時は、毎回毎回聞かされて・・・もうけっこうです(笑)

息子さんの尊敬する方でしたか!
私も好きですが、毎回毎回人のタイミングで聞かされるのは辛いですね(汗)
ホント、この監督の作品と相性の良い音楽だと思います。

> 「パプリカ」って私的には、Eテレの2020応援ソングなんですが、この映画のタイトルと何か関係あるのでしょうか???

応援ソングっていうのがあるんですか。初めて知りました。
調べてみたら作詞作曲プロデュースが元ボカロPの人じゃないですか!!
米津玄師さんは平沢進さんに影響を受けたと言っているし、パプリカのこともたぶんご存知でしょうから意識はしてたかもしれませんね。
2019/03/05 08:36  宵乃〔編集

ご無沙汰です

 宵乃さん、こんばんは

いない相手を追い求める自分を好きだと言える(全肯定する)のは、相手を愛しているのと同義だと思います
〉宵乃さんらしい優しい視点、でも、流石な鋭い観察だと思います、僕は自分で記事に書いたようにそこまで深く見れなかった、冷酷?に見てしまいました。

「もう彼の顔も思い出せない…!」と泣き崩れた
〉何十年、一途に慕っていたのに時の無情さ、哀しさを表した端的な台詞だったと思います。
2023/05/19 22:07  寂庭〔編集

>寂庭さん

いらっしゃいませ、「千年女優」は大好きな作品なのでコメント頂けて嬉しいです♪

> 〉宵乃さんらしい優しい視点、でも、流石な鋭い観察だと思います、僕は自分で記事に書いたようにそこまで深く見れなかった、冷酷?に見てしまいました。

ありがとうございます。実は私も見た時は「え、そういうことだったの?」とポカーンとしてしまったんですよ。でもそれまでの彼女の姿が頭の中でぐるぐる回って離れなくて、最終的にこの持論にたどり着きました。

> 〉何十年、一途に慕っていたのに時の無情さ、哀しさを表した端的な台詞だったと思います。

ですよね、思い出すと胸がきゅっとします。全体の受け取り方は人それぞれだと思うけど、ここはきっと誰でも感じるものがあるシーンでしたよね~。
2023/05/20 08:25  宵乃〔編集
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