忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「西部戦線異状なし(1930)」観ました

 | 戦争  com(8) 

西部戦線異状なし(1930)
原題:ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT
製作:アメリカ’30
監督:ルイス・マイルストン
原作:エリッヒ・マリア・レマルク
ジャンル:★戦争/ドラマ

【あらすじ】第一次世界大戦時、ドイツ。教師の熱弁に感化され戦場に赴いたポール。彼を待っていたのは厳しい訓練と物資不足、死と隣り合わせの戦場だった。やがて、わずかな休暇をもらった彼は、戦場の実体を知らない人々を目の当たりにする。

以前、一度観て途中うとうとしたから感想書かなかったっぽい作品を再見しました。
驚くほど古さを感じませんね。あえて言うなら、冒頭の学生を扇動するシーンで”らんらんと光る目”を強調しているところが、サイレント時代の名残を感じます。
でも、私の苦手な軍服ばかりで見分けにくい戦争映画にも関わらず、話の流れもわかりやすくて、主人公の心情がするすると入ってくるようで最後まで一気に観られました。
志願したばかりの頃は、遊びに行けないと文句を言ったり、上官(元郵便配達員)に仕返ししたりと学生気分が抜けてなかったのが、実際に戦場に出てから直面する、死と、物資不足と、虚しさによって、瞬く間に表情が変わっていってしまうんですよね。
友人の死を見取り、彼のブーツが新しい所有者の元を転々としていく描写は、一瞬「呪いのブーツ!?」とか馬鹿なことを考えてしまったものの(汗)、若者たちが次々と死んで補充され、また死んでを繰り返していって、それが日常になってしまう恐ろしさを感じました。

戦場もまさに不毛という感じで、実際に戦っている彼らでなくとも「こんな事をして何の意味があるんだろう…」と虚しさを覚えます。
1930年の作品とは思えないような戦闘シーンの激しさもあって、目が離せませんでした。
桜の花を見て望郷の念を抱く若者や、ポスターの女優を見て「女の事を忘れてた」と平穏に暮らしていた頃を思い返す表情、死にゆくフランス兵と一晩過ごして敵が同じ人間であると思い知り、すがりつくように懺悔するくだりも印象的。
そして、故郷に帰った時に肌で感じた「世界が違う」ということ…孤独感もしみじみ伝わってきます。

彼の両親の反応の違いが印象に残ったんだけど、たぶん彼の親の世代は戦争の経験がないんでしょうね。祖父母の代は知ってるのかな?
酒場でまさに机上の空論を繰り広げる父親たちと、それを虚しく眺める主人公。
そんな彼に追い討ちをかけるように…。
気絶しているだけさと言っていた彼の表情がみるみる沈んでいくシーン、寂しげな後姿が痛々しい。
ラストはこれ以外ありえないという名シーンで、それゆえに「西部戦線異状なし」の言葉がグサリときます。たくさんの十字架と、それに重なる若者たちが振り返り振り返り歩いていく映像に涙が…。
戦争がいかに愚かで不毛な行為なのかが伝わってくる反戦映画の名作でした。

■ Comment

今日はコメントを有難うございました☆

>驚くほど古さを感じませんね。
>話の流れもわかりやすくて、主人公の心情がするすると入ってくるようで
>戦場もまさに不毛という感じで、
>そして、故郷に帰った時に肌で感じた「世界が違う」ということ…孤独感も
>ラストはこれ以外ありえないという名シーンで、
>戦争がいかに愚かで不毛な行為なのかが伝わってくる反戦映画の名作でした。

仰るとおりですネ~。
85年前の映画とはとても思えないですし、名作です☆

>彼の両親の反応の違いが印象に残ったんだけど、たぶん彼の親の世代は戦争の経験がないんでしょうね。祖父母の代は知ってるのかな?

この件ですが「第一次世界大戦」と言うくらいなので、こういう大きいのは初めてだったと思いますが、人間の歴史は戦争の歴史、地域紛争やらなんやら色々と、小さく言えば村同士のいざこざとか、そういう事で殺し合ってきたとは思うのですが、いつもどこでもやっていたわけではないので、たまたま両親の世代は、すこーんと抜けていた時期だったのかもしれませんね?

でもその頃でも、他の地域では闘いはあったと思います。 お父さんが机上の空論を言えるのは、やっぱりたまたまそういう事のない世代だったのでしょうね~? 息子が戦っていたのが「史上初めての世界大戦」だったのだという事は、ずっと後になってしか理解できなかったのかもしれませんね?

以上、私の勝手な考えですので、調べたわけではありませんので・・・長々読んで下さり、有難う☆

>たくさんの十字架と、それに重なる若者たちが振り返り振り返り歩いていく映像に涙が…。

今見てもこんなに恐ろしく胸に響くので、封切り時の鑑賞者たちが何を感じたのか?・・・そう思うと、映画とは本当に、残酷で、なおかつ、素晴らしいモノだと思えますね☆


.
2015/01/19 (Mon) 18:56  miri〔編集〕  

悲しいですね・・・。

>一瞬「呪いのブーツ!?」とか馬鹿なことを考えてしまったものの(汗)

僕も同じ事を考えました・・・(^^;

>死にゆくフランス兵と一晩過ごして

フランス兵が落とした彼の妻子の写真。悲しいです・・・。

そして古参兵カジンスキー役を演じたルイス・ウォルハイム。彼はこの映画が公開された翌年に胃癌で死去。名演でした。
2015/01/20 (Tue) 07:55  間諜X72〔編集〕  

>miriさん

> でもその頃でも、他の地域では闘いはあったと思います。 お父さんが机上の空論を言えるのは、やっぱりたまたまそういう事のない世代だったのでしょうね~?

なんとなくそんな雰囲気をかもし出してましたよね。
今の日本で戦争が起こったとしたら、あんな風になるのかなと想像してしまいました。

> 息子が戦っていたのが「史上初めての世界大戦」だったのだという事は、ずっと後になってしか理解できなかったのかもしれませんね?

息子が帰ってこなかったときと、メディアでも事実を広く伝えるようになってから、第二次世界大戦が始まって、大敗して…とじわじわ後悔や怒りが湧き上がってきたかもしれません。その時、息子が感じていた孤独を少しでもわかってあげられればいいなぁ。

> 今見てもこんなに恐ろしく胸に響くので、封切り時の鑑賞者たちが何を感じたのか?・・・そう思うと、映画とは本当に、残酷で、なおかつ、素晴らしいモノだと思えますね☆

本当に映画がひとに与える影響の大きさを実感できる作品でしたね。
埋もれさせてはいけない名作だと思います!

miriさんと同じ日に同じ監督作品の記事をアップできて嬉しかったです♪
また機会があったら同じ監督作品をアップしたいですね~。
2015/01/20 (Tue) 10:56  宵乃〔編集〕  

>間諜X72さん

> >一瞬「呪いのブーツ!?」とか馬鹿なことを考えてしまったものの(汗)
> 僕も同じ事を考えました・・・(^^;

あ、よかった。お仲間がいましたか。
お互い、ホラー映画に毒されてしまいましたね~(笑)

> フランス兵が落とした彼の妻子の写真。悲しいです・・・。

その写真を目にして、きっと故郷の家族を思い出したでしょうね…。
軍服を脱げば仲良くできたのにという言葉は、実際に戦争を経験した多くの若者の叫びだったと思います。

> そして古参兵カジンスキー役を演じたルイス・ウォルハイム。彼はこの映画が公開された翌年に胃癌で死去。名演でした。

カジンスキーは良かったですよね。この作品が遺作ですか。
彼の演技は多くの人の心に残ったことでしょう!
2015/01/20 (Tue) 11:07  宵乃〔編集〕  

軍服を脱げば・・・。

>軍服を脱げば仲良くできたのにという言葉は、実際に戦争を経験した多くの若者の叫びだったと思います。

本当に悲しいです!

>ラストはこれ以外ありえないという名シーンで、それゆえに「西部戦線異状なし」の言葉がグサリときます。

一人の兵士の死。でも「異状なし」になってしまうんですよね・・・。

>1930年の作品とは思えないような戦闘シーンの激しさもあって、目が離せませんでした。

ロサンゼルス近郊の牧場に巨大なオープンセットを作って撮影したそうですね。映画に登場する2000人のエキストラの兵士はいずれも退役軍人。

>カジンスキーは良かったですよね。この作品が遺作ですか。
>彼の演技は多くの人の心に残ったことでしょう!

仰る通りです!
ルイス・ウォルハイム。彼に関して色々検索しました。
「コーネル大学で工学を学ぶ。卒業後6年間そこで講師として数学を教えた。見かけと違って(失礼!)インテリでフランス語、ドイツ語、スペイン語、イディッシュ語に堪能。」と書いてあります。
2015/01/21 (Wed) 06:33  間諜X72〔編集〕  

Re: 軍服を脱げば・・・。

> 一人の兵士の死。でも「異状なし」になってしまうんですよね・・・。

戦争の残酷さをよく表していました。

> ロサンゼルス近郊の牧場に巨大なオープンセットを作って撮影したそうですね。映画に登場する2000人のエキストラの兵士はいずれも退役軍人。

退役軍人ですか!
それはそれは、トラウマ刺激されなかったかしら…(汗)
でも、仕事に困っている人もいただろうし、反戦映画だとわかれば喜んで出演したかもしれませんね。彼らにとっても、この作品に出られたことは一生の自慢になったでしょう。

> 「コーネル大学で工学を学ぶ。卒業後6年間そこで講師として数学を教えた。見かけと違って(失礼!)インテリでフランス語、ドイツ語、スペイン語、イディッシュ語に堪能。」と書いてあります。

何気にインテリな方だったんですか。
長生きしてたら、もっと幅広く活躍したでしょうね。
コメントありがとうございました!
2015/01/21 (Wed) 07:21  宵乃  

No title

 宵乃さん、おはようございます
 昨日はコメントありがとうございました

呪いのブーツ
〉これは僕も思いました、行軍シーンで足元が写されると誰が履いてるのか気になって・・・。

彼の親の世代
〉あの頃の欧州は帝国主義全盛の時代、日本の戦国時代に似てしょっちゅう何処かでやってました、ドイツ(プロイセン)の場合は普仏戦争が前の戦争だった気がします。(植民地を除く)
只、45年前だから親の世代はエアポケットで「勝った勝った」の記憶しかないという。
ちょうど戦前の日本のような感覚だったんじゃないでしょうか。

ラストのたくさんの十字架
〉あれを見て「ひまわり」のオープニングを連想してました、あの見渡す限りの「ひまわり」も戦争で亡くなった数え切れない人達の象徴でしたから。
2017/03/25 (Sat) 09:33  鉦鼓亭〔編集〕  

>鉦鼓亭さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。
呪いのブーツはやっぱり思いましたか(笑)
不吉だろうが何だろうがボロボロのブーツよりはマシなんでしょうか。それとも、そんなことを考える余裕もないのかも…。

> 只、45年前だから親の世代はエアポケットで「勝った勝った」の記憶しかないという。
> ちょうど戦前の日本のような感覚だったんじゃないでしょうか。

あぁ、納得です。戦争をしていても、勝って身近に犠牲者がいなければ気楽なものですね。

> 〉あれを見て「ひまわり」のオープニングを連想してました、あの見渡す限りの「ひまわり」も戦争で亡くなった数え切れない人達の象徴でしたから。

そういえばそうですよね。あちらも切なかったです…。
ああいう場所がこれ以上増えないよう、戦争のない世界を目指したいですね。
2017/03/25 (Sat) 17:19  宵乃〔編集〕  
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「西部戦線異状なし」
 「西部戦線異状なし」(「All Quiet on the Western Front」、1930年・米)    監督 ルイス・マイルストン    原作 エーリヒ・マリア・レマルク    脚本 マクスウェル・アンダーソン        デル・アンドリュース        ジョージ・アボ...
セピア色の映画手帳|2017-03-25 09:34
西部戦線異状なし
(1930/ルイス・マイルストン監督/リュー・エアーズ、ウィリアム・ベイクウェル、ラッセル・グリーソン、ルイス・ウォルハイム、スリム・サマーヴィル、ジョン・レイ、ウォルター・ブラウン・ロジャース、レイモンド・グリフィス、ベリル・マーサー/130分)
テアトル十瑠|2015-01-19 13:12
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