映画「見わたすかぎり人生」観ました
原題:TUTTA LA VITA DAVANTITUTTA LA VITA DAVANTI
製作:イタリア’08
監督:パオロ・ヴィルズィ
ジャンル:★ドラマ/コメディ
【あらすじ】就職難のローマ。大学の哲学科を優秀な成績で卒業したマルタがようやく見つけたのは、住み込みのベビーシッターの仕事だった。雇い主のシングルマザー、ソニアの紹介で、怪しげな浄水器を売る会社のコールセンターの職も得るが…。
Gyaoで鑑賞。
全体的にブラックコメディなノリで、たまにミュージカルっぽさも入るものの、なんだかグサグサくるストーリー。観ているのが辛いのに、何故か目を離せませんでした。
コメディという割りに笑えないし(唯一、ビッチなルームメイトが風呂上りに男性と出くわし、タオルで隠すけど胸しか隠れてないくだりは笑った)、でも暗いわけではなくてブラック企業の方針で毎回仕事前に歌って踊るのがシュールなんだけども…。
ラストはとくに何も解決してないにもかかわらず、大丈夫だよと言ってもらっているような気持ちになって泣けてきました。
就職難で高学歴でも仕事にありつけないマルタが、生きるために他人を騙すような仕事をはじめて、いつの間にか心が痛まなくなっていく(でも、心の奥底で悲鳴をあげているようでもある)。
そんなマルタの言葉を全部信じた上で、彼女のことを心から心配する老婦人の優しさが彼女を救ったんだろうなぁ…。
あとは、頑張って書いていた論文が認められたのと、なおかつ面倒を見ていた女の子が将来「哲学」をやりたいと言ったところも。
この作品に登場する人たちは良くない事をしている人ばかりだけど、それぞれ必死に生きているのが垣間見えて、現代社会で生きていく辛さが描かれています。
ラストの「ケセラセラ」が胸に迫ってきました。
ちなみにタイトルは、母親がマルタに言った「自分の事だけ考えなさい。見わたすかぎりお前の人生よ」という台詞から。