映画「サン・ルイ・レイの橋」観ました
原題:THE BRIDGE OF SAN LUIS REY
製作:スペイン・フランス・イギリス’2004
監督:メアリー・マクガキアン
原作:ソーントン・ワイルダー
ジャンル:★歴史劇/ドラマ
【あらすじ】18世紀、ペルーの都市リマ。山奥の聖地へと続くサン・ルイ・レイ橋が落ち、偶然居合わせた5人が不慮の事故で命を落とす。目撃者の修道士は、彼らの死の理由…神の意思を知るため、6年もの歳月をかけて彼らの人生と共通点を探るが…。
Gyaoで鑑賞。ほんのりネタバレしてるかも?
宗教色の強い作品かなぁと身構えてしまったんですが、異端審問とかあるものの、一番大切なのは”愛”という普遍のテーマなので問題なかったです。
まあ、異端審問やこの時代の事をわかっていた方がわかりやすいですけどね。大雑把にまとめると、こんな調査をせずにはいられない神を疑う心の持ち主は、教会にとって不都合ということでしょう。彼の影響を受けて、信者たちが自分の頭で考え出したら扱いにくいという事です。
でも、この作品において彼の行動や理屈に大した意味はなくて、彼らの物語を伝える事が役目だったと思いました。
5人それぞれ思うところはありましたが、やはりキャシー・ベイツ演じる公爵夫人が印象に残りました。
おそらくユーモアのセンスのある頭のいい人なのに、それが誤解されて愚かな変人扱い(原作では吃音があるらしい)。頻繁に娘への手紙を書き続けているものの娘は冷たく、酒に溺れてふらつく(そして失敗して嗤われる)姿が哀しい…。
「ベラスケスの絵のネックレスが見事だったから、(絵の中の)王妃から貰い受けた」なんて表現してしまうお母さん、素敵ですよね?
映像化されたそのシーンも素晴らしかったです。
途中、彼女の世話をしていた修道女のペピータが、「帰りたい」という内容の手紙を夫人に見つかってしまうんですが、その時「美しい手紙ね」と言われて「こんなもの」とばかりに捨ててしまうのは、自分を恥じたからでしょうか?
夫人の届かない手紙を大事に全部とっておいたのも彼女だし、誰よりも夫人の才能と孤独を知っていたわけだから、自分の弱さや夫人には及ばない文章、夫人を悲しませたかもしれないという事で、いたたまれなくなってしまったのかなぁと思いました。
この作品、基本的に心情を表すセリフが少ないので(修道士の調査に基づいてるから)、何考えてるかわからないシーンが多いです。
想像力を働かせないと置いてきぼりくらうかも…。
でも、最終的には修道院の院長がまとめてくれるから難しくはないです。
「みな、誰かに愛され、そして忘れられる。
~生者の国と死者の国を繋ぐのは愛。愛だけは残る、唯一意義のあるもの。」
5人の犠牲者すべての物語を目にした後だと、このセリフが深く心に響きました。
衣装や美術は素晴らしいし、キャストも豪華で見ごたえある秀作です。