映画「ジャイアンツ」観ました

原題:GIANT
製作:アメリカ’56
監督:ジョージ・スティーヴンス
原作:エドナ・ファーバー
ジャンル:★西部劇/ドラマ
【あらすじ】馬を買いに来たテキサスの大牧場主ジョーダン・”ビック”・ベネディクトと一目で恋に落ち、そのままテキサスに嫁いだレズリー。ときに傲慢で差別的な態度を見せる夫に衝突する事もあったが、彼女は自分らしさを貫きながら夫を支えてゆく。
3時間以上の西部大河ドラマで、終りに近づくにつれ感動が波のように押し寄せてきました。実は感動のたびに”やっと終ったか”とも思ってしまったんですが、ラストをみて思い知りました。
最後まで観て良かった…と。
差別問題や貧富の差からくる嫉妬、過去から受け継いだものと未来へ残すもの。そして成功と愛と人生と…と様々なテーマを扱っていたけれど、やっぱりこの夫婦が”築きあげた”幸せを発見するという締めくくりがなければ輝きを失っていたと思います。
この奥さんの大樹の様な力強さが印象的です。
ちなみにタイトルの「ジャイアンツ」の意味がよく分からなかったんですが、調べたら「成功者」「立派な人」「広大なテキサス」など抽象的にとらえる人と、1日5万バレル以上出る油田のことを「ジャイアント」と言うのが関係すると考える人がいるみたいです。意味が一つとは限らないので、全部ひっくるめてという事なのかもしれませんね。
<2018/3/23 再見>
久しぶりに再見。今回は初見時ほど感動することはなかったんですが、最後の最後でレズリーの魔法のような言葉で明るい気持ちで見終えたところはおんなじでした。
ケンカで負けて、しみじみと自分は人生に失敗したんだとこぼすビックに対し、そんなことはないと力強く断言するレズリーの言葉はまさに魔法。自らも偏見を持っていたビックが見知らぬメキシコ人一家のため差別に立ち向かった姿を、誇らしかった、私のヒーローだったと熱っぽく語ります。
それを聞いて、ビックも思わず力が湧いてきたという感じで、起き上がって彼女の言葉に聞き入るんですね。(そのあと「君のことは90年一緒にいてもわからないだろう」というけど 笑)
再見であまり感動しなかった理由がビックの頭の固いテキサス野郎っぷりにあって、人種差別や女性蔑視、自分が一番偉いんだという態度に何度もイラつかされました。でも、ラストのビックは昔とは違います。レズリーや子供たちと衝突するたびに彼は自分を見つめ直し、考えに固執するよりも愛する家族を選んできたからです。
偏見の強い西部育ちで、大事な跡取りとして育てられた彼が、今まで当たり前だと思っていたことを改めるというのはすごいことだと思います。自分の考え方が時代遅れだと認めたのと同じことですから。
最初から品行方正な人よりも、悪いところに気付いて変われる人の方が貴重かもしれません。
一方、彼と同じく”成功”や”差別意識”に捉われてきたジェットが、お金と成功を手にしても孤独なまま酒に溺れてしまうというのが対称的。ビックと似たところはあっても、最初から貧しくて孤独だった彼がこんな道をたどってしまうのが悲しいです。
唯一の味方だったビックの姉ラズには感謝していたし、彼女の遺してくれた土地に賭けて全財産を石油掘りにつぎ込んだりと、それなりに人情を大切にしてたのにね…。
やっと石油を掘り当てて歓喜していたのを思い出すと、パーティ後に酔っぱらって「金持ちになってもいいことなんてなかった…」と美しき花嫁レズリーの名を繰り返し繰り返し呟くシーンが切ない!
しかも、後で調べていて知ったんですが、このセリフは全部ジェームズ・ディーンのアドリブなんだそうです。彼にとっての最後の出演シーンでもあり、真に迫るものがありました。
- 関連記事
- 「シェーン」観ました
- 「ショウ・ボート(1951)」観ました(エドナ・ファーバー)
■ Comment
>1日5万バレル以上出る油田のことを「ジャイアント」と言う
そうかも知れません。
まあ、人によって色々な解釈があってもいいんじゃないでしょうか?
僕はジェームズ・ディーンが出演している映画の中ではこれが一番好きです。アメリカ版大河ドラマです。
最初はカウボーイハットをかぶったジェームズ・ディーンが出て来る。「西部劇かな?」と思ったら自動車が出て来る。「ちょっと違う。」30年後には大型旅客機が出て来る。
エリザベス・テーラーが演じるレズリー、芯が強くていいですね。
ロック・ハドソンが演ずるベネディクト。男らしくてまさに一国一城の主。
終盤。酔いつぶれた初老の大金持ちを演じるジェームズ・ディーンが悲しいです・・・・・・。
2010/03/22 19:25 間諜39〔
編集〕
はじめまして、コメントありがとうございます!
ジェームズ・ディーンが出演している映画の中では、わたしもこの作品が一番好きです。(といっても、ほかに観たのは「エデンの東」と「理由なき反抗」だけですが。)
初めて観た3時間以上の大作で、心地良い疲労感が残りました。
ベネディクトとレズリーが一緒にいると安心感がありますよね。強い絆に憧れます。
その分、心がすれ違ってしまったジェットの酔いつぶれた姿は切ない・・・。
コメントを頂いて、また観たくなってきました。また、お気軽にお越しくださいね~。
2010/03/23 07:18 宵乃
こんにちは。
この映画、良いですよね!!
時間的な理由で(笑)
何度も繰り返しは観てはいないのですが。
ベネディクトとレズリーが
夫婦になっていく姿というのか
お互いがお互いを
認めていくというのか
本当に
>一緒にいると安心感がありますよね。強い絆に憧れます。
良いですよね。
その分、ジェットが・・・・
見ていて、切なくなります。
“成功”ってなんだろうって?
見終わったときはそんなことを考えていました。
こんにちは、きみやすさんもお好きでしたか~。
いいですよね、観るにはちょっとしたスケジュール調整が必要ですが(笑)
> “成功”ってなんだろうって?
> 見終わったときはそんなことを考えていました。
ですよね・・・。あの夫婦とジェットのような対比は他でも描かれていますが、あのラスト、ジェットの姿は今でもはっきり覚えてます。スケールが大きい作品だけに、多くの事を考えさせられる作品でした。
2010/03/28 13:10 宵乃
まだ他のがひかえているのでレビューは後になりそうですが、さすがに語り継がれる名作だと思いました。冒頭部分では大牧場主ジョーダン・”ビック”・ベネディクトなる人がかっこいいので、これが噂のジェームズ・ディーンかと!
後からジェームズ・ディーン登場で彼がロック・ハドソンとわかったしだいです(*_*;
>奥さんの大樹の様な力強さが印象的です
その表現、ぴったりですね。
ジェームズ・ディーンの役どころにもっと肉付けが欲しかった??けれども、あれぐらいがいいのかもしれませんね。
>差別問題や貧富の差からくる嫉妬、過去から受け継いだものと未来へ残すもの。そして成功と愛と人生と・・・と様々なテーマを扱っていたけれど、やっぱりこの夫婦が”築きあげた”幸せを発見するという締めくくりがなければ輝きを失っていたと思います
ラストで店主に向かって拳をふるった夫がサラダにひっくり返ったのを見て、レズリーがベネディクトに愛を感じたのも印象に残りました。感覚があの時代にしては新しい!
久しぶりの超大作に映画を観た充実感があります。
記事にしたらTBさせて下さいね。
2011/12/21 15:56 bamboo〔
編集〕
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
この作品も素晴らしいですよね。今でもラストの感動が思い浮かびます。
> 冒頭部分では大牧場主ジョーダン・”ビック”・ベネディクトなる人がかっこいいので、これが噂のジェームズ・ディーンかと!
> 後からジェームズ・ディーン登場で彼がロック・ハドソンとわかったしだいです(*_*;
その勘違いは仕方がないです、ベネディクトさん素敵でしたから♪
ジェームズ・ディーンは影のあるひねた感じの役しか観た事ありませんね。というか、私が観た3作くらいしか日本で見られないかもしれませんが。演技の幅を広げる前に亡くなってしまったのが惜しいです・・・。
> ラストで店主に向かって拳をふるった夫がサラダにひっくり返ったのを見て、レズリーがベネディクトに愛を感じたのも印象に残りました。感覚があの時代にしては新しい!
あのシーンは良かったです。ふとした事で愛を再確認する、素敵な瞬間でしたよね~。
2011/12/22 11:01 宵乃
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/09/11 13:51
あの二人は親友だったのかな?
ジェームズ・ディーンが少年時代の暗い想い出をエリザベス・テーラーに語る。撮影中にいろんな話をお互いにして気がついたら朝になっていた事もあったようですね。
ディーンの撮影は終わった。でも、リズの撮影はまだ残っていた。ジャイアンツの撮影中にディーンが事故死したので、エリザベス・テーラーがショックのあまり入院してしまい、映画の完成が2週間遅れた。
「理由なき反抗」がアメリカで公開された時には既にこの世にいなかったジェームズ・ディーン。24歳での死は早過ぎました。今も根強いファンがいますね。
>心がすれ違ってしまったジェットの酔いつぶれた姿は切ない・・・。
本当にそう思います。5年ぶりのレスになってしまいました。すみません・・・。
2015/06/09 07:13 間諜X72〔
編集〕
いらっしゃいませ、5年ぶりのレスありがとうございます。
共感して頂けて嬉しいです♪
ディーンとテーラーはそんなに仲が良かったんですか。朝まで語り合うなんて、ちょっとした友達レベルではなかなか出来ませんよね。
その彼が亡くなって、それでも最後まで演じられたのはプロ意識ももちろんあっただろうけど、彼のためにこの作品を早く世に出したかったのかも。
> 「理由なき反抗」がアメリカで公開された時には既にこの世にいなかったジェームズ・ディーン。24歳での死は早過ぎました。今も根強いファンがいますね。
そうですね、早世した俳優さんというと彼が真っ先に思い浮かびます。でも、人々の心の中にいるかぎり、彼が本当にこの世から消えてしまうことはないでしょう。
コメントありがとうございました。