映画「ピクニックatハンギング・ロック」観ました
読み:ぴくにっくあっとはんぎんぐろっく
原題:PICNIC AT HANGING ROCK
製作:オーストラリア’75
監督:ピーター・ウィアー
原作:ジェーン・リンジー
ジャンル:★ミステリー/青春
【あらすじ】1900年2月14日、ピクニックに出掛けた名門女子学園の生徒たちの内、ミランダを始めとする数名が忽然と姿を消してしまう。町の人々の必死の捜索もむなしく、手がかりのないまま一週間が過ぎるが…。
いかにも実話を基にした作品のようにみせかけて、(おそらく)創作だということでビックリしました。幻想的なのに妙に説得力あったから、本気で実際にあった事件なのかと…。
確かに、冒頭の少女たちの様子は浮世離れしてたけどね~。恋の話をしたり、詩を口ずさんだり、4人くらいで一列になってきゃっきゃしながら前の子のコルセットを締めたり、切り花がいっぱいの洗面台で美少女が顔を洗ってたり、もう甘美としか言いようがないその世界にうっとりしてしまいました。
美少女ミランダとルームメイト・セーラのやり取りはとくにキュンときて、「私以外も愛しなさい…ずっと一緒にはいられないかもしれない」というミランダの別れを予感させるセリフと、ミランダや生き別れの兄しか心の支えがない孤児セーラの不安げな表情が印象的。
ピクニックに行ってからも、野原で思い思いにくつろいで、ケーキを食べたり、お昼寝したり、本を読んだり、その光景はまるで絵画のよう…。
日の光の下、輝くようなミランダをみて、美しい女教師が「わかったわ。ミランダはボッティチェリの天使よ…」とつぶやく程で、そんなセリフにまったく違和感を覚えさせないんですよ。
それが次第に不気味さをみせ始め、彼女たちが岩山の奥へ引き寄せられていく展開はややオカルトめいていて、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
↓以下、ややネタバレ。
ミランダに一目惚れして、彼女や岩山の事が頭から離れなくなってしまった青年や、親友を失った上に学園を去らざるを得なくなったセーラ、一人だけ生還するもクラスメイトの好奇の目にさらされる少女、酒を飲みながら涙する女校長など、この失踪事件の影響が徐々に学園に不協和音をもたらす展開は、静かながらスリルすら感じます。
少女たちが失踪したというよりは、まるで彼らが取り残されたように見えるんですよ。
消えた少女たちは永遠にあの時のままで、永遠に美しいんです(オールドミスも一人いるけど)
失踪事件の真相は最後まで描かれませんが、それでよかったと思います。
ちなみに幻の18章があるらしく、そこで彼女たちが失踪する描写がしっかり書かれているそうです。こちらのサイトで詳しく考察されているので、気になる方はどうぞ。