忘却エンドロール

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映画「彼岸花」観ました

 | 家族ドラマ  com(4) 
Tag:小津安二郎 日本 

彼岸花(1958)
作中に彼岸花は登場しません。
製作:日本’58
監督:小津安二郎
原作:里見とん
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】娘の節子に良い縁談がないかと考えていた平山。だがある日、節子との結婚を了解して欲しいという青年・谷口が現れる。節子が相談なしに結婚の約束をしたと知り、激怒した彼は結婚に反対。そんな時、節子の友人・幸子が、自分の縁談で困っていると相談にきて…。

忙しかったので”ながら観”してしまったんですが、途中から声をたてて笑ってしまいました。いっつも同じような話なのに、なんで面白いんだろう~?
とにかく頑固親父の平山が面白いんですよ。娘が自分に相談もなしに結婚の約束をした上に、自分以外は節子の味方という事で、もう完全にすねてしまいます。
今まで、知人に同棲した娘の相談をされても他人事だったのに、こうなって急に我が事のように思えてきたり(笑)
娘の友人の”トリック”のくだりも最高でしたね。自分の娘の時とは全く違う反応!
それが当然といえば当然なんだけど、同時期にここまで正反対の態度を見せられると笑うしかありません。
娘のために、ビシッと夫の矛盾を突く奥さんもカッコよかったです。
なのに、この男の往生際の悪さときたら…。だんだん頑固オヤジというより駄々っ子のように…。
「人生は矛盾だらけ、矛盾がないのは神様だけだ!」と開き直った時は、奥さんの額に青筋浮いてくるんじゃないかと心配してしまいました(笑)
傍から見てると面白いけども、娘の幸せがかかってるお母さんにとっては、こんな面倒な夫、頭が痛かったに違いない。夫が結婚式用の衣装?を用意していることに気付いた時の、一仕事終えたような笑顔がよかった。
ところどころ見逃してるし、いつかしっかり再見したいです。

<再見追記:2015/12/04>
今回はきちんと観ました。概ね初見時と同じように呆れ半分で楽しめたし、節子が選んだ男性が父親そっくりだと気付いて大笑い。
結婚のことは母親から話してもらうと言っていたのに(その時は同意してたと思われる)、それを無視して勝手に父親に話しに言ったあげく、節子もこのことは知ってると大嘘ついてんの!
父親からみて第一印象最悪なのもわかるし、最初から自分で決めていて人のいう事なんて聞かないところは節子の父親そっくり。これは結婚してからお母さんと同じように苦労するわ~と思いました。
そんな男に娘はやらないと言い張る父親は、奥さんを苦労させた自覚があるのかね(笑)
同属嫌悪するのもいいけど、父親そっくりの男を選ぶなんてよっぽどパパ大好きってことだよ!

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■ Comment

宵乃さん、おはようございます☆

この映画、見ていなかったのですよ~
まさか、この記事の時はNHKじゃなかったのかなぁ???
で、今回初見しました☆

イラスト良いですよ~!
この映画の最後の方の季節感が、とっても伝わってきました☆

>とにかく頑固親父の平山が面白いんですよ。
>他人事だったのに、こうなって急に我が事のように思えてきたり(笑)
>娘の友人の”トリック”のくだりも最高でしたね。自分の娘の時とは全く違う反応!
>なのに、この男の往生際の悪さときたら…。だんだん頑固オヤジというより駄々っ子のように…。
>「人生は矛盾だらけ、矛盾がないのは神様だけだ!」と開き直った時は、

佐分利信、良かったですネ、私的な「悪の親玉・政界の重鎮」も
当時はこういう普通の役柄が多かったのかも?

役柄としては面白かったです、たしかに駄々っ子のようです。
でもこれが年頃の娘を持つ父親なんですよね~。
すごくよく分かりました。
この立場に立った方には、身につまされる作品だと思います☆

>娘のために、ビシッと夫の矛盾を突く奥さんもカッコよかったです。

田中絹代、良かったですネ☆
小津作品は少ししか出ていないと思うけど
(溝口作品のドロドロ系が多いですよね~・笑)
こういう爽やか系・庶民派も似合って、素晴らしい女優です♪

まぁこの役柄は、それまでの人生での夫婦のあり方に関係ありますが、
母親は、父親とは反対に息子の結婚には厳しくなりがちなのですよね~笑。
この映画には娘しか出ていなかったのでアレですが・・・。

いつものメンバー、安心感ありました☆
詩吟は、2倍速でちょうど良かった!

そしてこの作品は、美人女優3人が本当に素晴らしかったです☆
やはりお顔は山本富士子、演技もグー(大阪の子)
いつもと同じふうが有馬稲子、普通でした(主人公夫婦の子)
そして役得は久我美子、汚れ役も素敵♪(笠智衆の子)

皆さん、私的にはおばさん時代しか知らなかったけど
ここ数年、小津作品はじめ、昔の邦画で見て、すっごく綺麗で上手なのが、今の女優と比べ物にならないって思います☆

宵乃さんは、今回再見なさいましたか?
もし再見なさったら、是非お話致しましょうネ~☆


.
2015/12/04 08:55  miri〔編集

>miriさん

いらっしゃいませ!
もしかしたらGyaoでの配信だったかもしれません。小津監督特集とかやってた覚えがあるので。

> イラスト良いですよ~!
> この映画の最後の方の季節感が、とっても伝わってきました☆

ありがとうございます。
実は今朝再見し終わって、赤いやかんを描こうとしてやめたのを思い出しました。
「彼岸花」って何のことだったんだろうと思ったら、赤い彼岸花の花言葉のひとつが「独立」なんですね。劇中でいってたかな?

> 佐分利信、良かったですネ、私的な「悪の親玉・政界の重鎮」も
> 当時はこういう普通の役柄が多かったのかも?

ふて腐れたみたいにぼそぼそ話すのが、どこにでもいる普通のお父さんって感じでした。
これを見ちゃうと、他の役柄を忘れてしまいます(笑)

> でもこれが年頃の娘を持つ父親なんですよね~。
> この立場に立った方には、身につまされる作品だと思います☆

あはは、娘を持つ世のお父様方には共感できる作品でしょう。
そしてそんな旦那に振り回されるお母様方も。
ホント、田中絹代さんがはまり役で。ほのぼの家族映画でもドロドロ愛憎劇でも、いつも見事に演じてますね。

> 母親は、父親とは反対に息子の結婚には厳しくなりがちなのですよね~笑。

確かに!小津監督に男女逆転バージョンを撮ってほしかったかも(笑)

> そしてこの作品は、美人女優3人が本当に素晴らしかったです☆
> 皆さん、私的にはおばさん時代しか知らなかったけど
> ここ数年、小津作品はじめ、昔の邦画で見て、すっごく綺麗で上手なのが、今の女優と比べ物にならないって思います☆

いつもは同じくらいの年齢の女性が3人も出てきたらごっちゃになりそうですが、今回は3人とも簡単に見分けられました。なまりとか髪型とかの違いのおかげもあるけれど、3人とも身にまとう雰囲気からして違います。仰るとおり、今の女優さんとは存在感や演技の安心感がまるで違います。
古い邦画は銀幕のスター目当てで観てもいいですね♪
2015/12/04 13:55  宵乃〔編集

コメントを読ませてもらって理解できました

スクリーンでそれらしき花がいっこうに現れないのでタイトルが気になっていました。
最近辛抱が足りず家事をし”ながら観”で、セリフにあったのを聞き逃したのかなと・・・。

>「彼岸花」って何のことだったんだろうと思ったら、赤い彼岸花の花言葉のひとつが「独立」なんですね

そうだったからなんだ!
そんな思いを含んだ彼岸花が巧く描かれているわね。

すべての俳優さんの演じている役柄年齢が、同年齢の現代と比べて何て大人なんだろうと驚きました。たぶん、私より年下の年齢設定の父親、母親なんだろうけど、落ち着いた佇まい。服装が着物で茶の間や家の造りなどからの雰囲気だけではなく、精神年齢が高いのかも!?生物学的に寿命から考えても、時代や環境が早く大人になるように要求されていたのかな。
しかし、礼儀正しい言葉遣いに品位を感じる一方でセリフが直線的に流れているみたいで物足りなくも思えたり・・・。私には主要俳優陣より脇の俳優さんたちのセリフ回しや表情が好ましく映りました。(浪花 千栄子)初の気風良さ、逆さにしてあった箒を元に戻すのもユーモアたっぷり。娘・幸子を演じた山本富士子のカレンダーが幼い頃にどの家庭にもあったのも想い出しています。カレンダーの絵姿そのままでした。
娘の結婚式場の様子がなかったのと、ラストで娘夫婦との久々の対面シーンを撮らなかったのは、さすがに名監督と唸ってしまいました。
単なるゆるいホームドラマとは一線を画してました!
余談ですが、原作の里見弴・父親の生誕地は実家のすぐ近くで石碑が立っています。弴氏のお兄さんは小説家の有島武郎、その子供は森雅之で雨月物語の夫役を演じた俳優。そうそうたる御家系です。
2015/12/09 15:11  しずく〔編集

>しずくさん

いらっしゃいませ!
私も古い邦画は途中で気が散ってしまうことが多いんですよ。
でも、ながら観でもタイトルの由来が気になっていたのがしずくさんらしいです。私なんて、初見時は気になりませんでしたから(笑)

> すべての俳優さんの演じている役柄年齢が、同年齢の現代と比べて何て大人なんだろうと驚きました。~雰囲気だけではなく、精神年齢が高いのかも!?生物学的に寿命から考えても、時代や環境が早く大人になるように要求されていたのかな。

わりと上流階級なのもあると思いますが、親子の会話など聞いていると、しっかりした落ち着いた印象ですよね。戦時中を描いた作品などでも、子供たちが現在より大人びて描かれることが多いし、確かに時代や環境による影響は大きいと思えます。

> (浪花 千栄子)初の気風良さ、逆さにしてあった箒を元に戻すのもユーモアたっぷり。娘・幸子を演じた山本富士子のカレンダーが幼い頃にどの家庭にもあったのも想い出しています。

浪花千栄子さんが演じてたのは女将さんでしたっけ。あの母娘はみていてホッとするというか、彼女らがいなかったら、あの父娘のケンカに耐えられなかったと思います(汗)
カレンダーには気付きませんでした。あの時代をそのまま切り取ったような作品ということなのかな。

> 娘の結婚式場の様子がなかったのと、ラストで娘夫婦との久々の対面シーンを撮らなかったのは、さすがに名監督と唸ってしまいました。

ホント思い切りがよくて、必要ない部分はバッサリ切り捨てる。こういうことが出来ない監督さんも多いですもんね~。さすが日本が誇る名匠です。

> 余談ですが、原作の里見弴・父親の生誕地は実家のすぐ近くで石碑が立っています。弴氏のお兄さんは小説家の有島武郎、その子供は森雅之で雨月物語の夫役を演じた俳優。そうそうたる御家系です。

おぉ、才能溢れる血筋なんですね。
親戚がそんな人ばかりだったらプレッシャーもすごそうです…!
2015/12/10 08:12  宵乃〔編集
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