忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「モールス」観た

 | ホラー/パニック  com(8) 

モールス
原題:LET ME IN
製作:アメリカ’2010
監督:マット・リーヴス
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
ジャンル:ホラー/ロマンス

【あらすじ】母親と2人きりで暮らし、学校ではいじめられている12歳の孤独な少年オーウェン。ある日、隣に引っ越してきたばかりの謎めいた裸足の少女アビーと出会う。2人はしだいに打ち解けあうが、やがてオーウェンは彼女の驚くべき秘密を知ってしまい…。

前回「ぼくのエリ」を観たので、ハリウッドリメイクのこちらも観てみました。
かなり忠実なリメイクだったと思います。雰囲気も似せてあるし、とくにアメリカらしいところもなく、ただ薄めた感じ?
本作の特徴は、両親を見せないでふたりの世界を中心に描いている事、アビーと男の関係を単純化して明示している事くらいでしょうか。
あと、アビーの体を見てしまうシーンは彼が目撃したという映像だけで、視聴者に解釈をゆだねてます。ここは潔くてよかったです。

両親を見せないのは、私的に閉塞感が薄まってしまったように思えました。いじめに気付かない母親、自分の事を優先する父親…それを見せることで少年が”ミステリアスな少女”にのめりこんでいって、最後には彼女を守るために人生を捧げる事になるのも納得しやすいというか。
アビーと男の関係の方は、ある写真を少年が見てしまうシーンがあるんですよね。そのせいで、ラストの旅立ちの先にあるものが限定されて、想像の余地がなくなってしまってます。
プールでアビーの笑顔を映さないのもがっかり!
先に観ていたら楽しめただろうけど、「ぼくエリ」のインパクトに負けてしまいました。
内容を知っているからか、アビーの行動もオーウェンを次の”従者”としてたぶらかそうとしているように見えてしまったし。

あと、最近知った事なんだけど、自称吸血鬼がネット上で血の提供者を募集して、実際に提供する人がいるらしいので、彼らも20年くらい頑張れば安泰だろうなぁと思ってしまいました(笑)
そもそも、昔から吸血鬼信仰の人はたくさんいるので、そういう人たちを見つけ出せれば、あんなリスクの高い事をしなくてもいいんですよね~。
それとも、アビーは吸血鬼界で指名手配とかされてるんでしょうか?

ラストのモールス信号のやり取り、メモして調べてみたら、アビーは「HI」、オーウェンは「IL」。アビーは挨拶だとして、ILって何?
更に調べると、american morsecodeというのがあって、そちらだとオーウェンのモールス信号はOX=hug and kissということでした。
タイトルにするほどのものでもないし、原題の「LET ME IN:わたしを受け入れて」の方がしっくりくるかな~。
あ、でもクロエちゃんは可愛かったですよ。中性的で、繊細さの裏に強かさも感じられて、演技も素晴らしかったと思います!

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■ Comment

こんにちは

さすが宵乃さん
モールス信号での会話を読み取っちゃうとは。

子供らしい純真さと老獪な従者としての欲望とが混じったような、クロエちゃんの僕エリでございました
ただやはり僕エリを最初にみてしまうと、あの凍てつくような心さえ凍えてしまうような雰囲気のほうがインパクトがあって。
どうしてもこちらは説明的にみえてしまうのですよね。
とはいえ良く出来たリメイクだったと思います

そういえば私も自称ヴァンパイアの血液提供の話きいたことがあります
実際に提供する人は、一体どうやって血液を抜き取っているのだろう??と疑問に思いますです
2013/09/01 16:49  maki編集

こんばんは☆

きもだめし作品にコメントさせて頂けるなんて、ビックリ☆
7月に見ました。
よく考えれば、きもだめしにすれば良かったのにね~(笑)。

>かなり忠実なリメイクだったと思います。雰囲気も似せてあるし、とくにアメリカらしいところもなく、ただ薄めた感じ?

・・・そうですか?
私はこの作品は「字幕を読みたくないおバカなアメリカ人の皆さま」に
ものすごく親切に作ってあると思いました(笑)。

>本作の特徴は、両親を見せないでふたりの世界を中心に描いている事、

これダメですよね~!

>アビーと男の関係を単純化して明示している事くらいでしょうか。

これもね~(笑)。

>あと、アビーの体を見てしまうシーンは・・・ここは潔くてよかったです。

オリジナル作品の評価を聞いて作った感じですよね~!

>先に観ていたら楽しめただろうけど、「ぼくエリ」のインパクトに負けてしまいました。

まぁ全体的にそういう作品だったと思います☆
特に悪くはないけど・・・。

>ラストのモールス信号のやり取り、メモして調べてみたら、

凄いですね~!
勉強になりました!

>中性的で、繊細さの裏に強かさも感じられて、演技も素晴らしかったと思います!

私はこの女優さんにした理由が、「見てくれの良いヒト」を見たい・使いたいアメリカ人らしいな~と気に入りません(笑)。
この子は「オンナ」過ぎて・・・
やはりオリジナルの子役さんは「本当に中性的」で良かったです☆

イラストのシーン、いろんな意味で、今後の事が決まってしまった一瞬ですよね~!
切ないというか・・・何というか・・・胸が苦しくなります。
イラストの方が映画のシーンよりも美しくなっているように思います♪


.
2013/09/01 18:52  miri〔編集

>makiさん

いらっしゃいませ!
モールス信号はやはり前作との違いが気になったので調べてみました。まあ、結局ネットで検索することになってしまいましたが(笑)

> ただやはり僕エリを最初にみてしまうと、あの凍てつくような心さえ凍えてしまうような雰囲気のほうがインパクトがあって。
> どうしてもこちらは説明的にみえてしまうのですよね。

ですね~。よくできた宣伝映画と思えばいいかも?
雰囲気をまねる事は出来ても、あの凍てつく町の空気までは再現できませんでした!

> そういえば私も自称ヴァンパイアの血液提供の話きいたことがあります
> 実際に提供する人は、一体どうやって血液を抜き取っているのだろう??と疑問に思いますです

注射針があれば簡単に採血できると思いますが、彼らはナイフで傷をつけて直接すすってるらしいですね。病気とかが怖いです…。
2013/09/02 11:53  宵乃〔編集

>miriさん

> きもだめし作品にコメントさせて頂けるなんて、ビックリ☆
> 7月に見ました。
> よく考えれば、きもだめしにすれば良かったのにね~(笑)。

コメントありがとうございます♪
最近観た作品の中に書かれていたので、ちょっと気になってたんですよ~。
あまりホラーの印象がなかったのかな?
でも、ここでお話できてよかったです。

> 私はこの作品は「字幕を読みたくないおバカなアメリカ人の皆さま」に
> ものすごく親切に作ってあると思いました(笑)。

あはは、確かに”わかりやすくシンプルに”というのを心がけているような作品でしたね。そのせいで色んな物を犠牲にしてしまったけど、まあ宣伝にはなっただろうからいいかなと思います。

> オリジナル作品の評価を聞いて作った感じですよね~!

監督さんは最初乗り気じゃなかったわりに、結局、原作だけでなく映画の方も踏襲して作ったみたいですね。厳密にはリメイクではなというような事を言ってますが(笑)

> 私はこの女優さんにした理由が、「見てくれの良いヒト」を見たい・使いたいアメリカ人らしいな~と気に入りません(笑)。
> この子は「オンナ」過ぎて・・・
> やはりオリジナルの子役さんは「本当に中性的」で良かったです☆

エリは野性味もある中性的な子でしたが、アビーは最初男の子を使ってるのかと思ってしまいました(クロエちゃんだと忘れていて…)
彼女の顔つきって男っぽいし、時々すごく男らしい表情しませんか?
私的に、妖艶な美少年風で、これはこれでヴァンパイアのイメージにぴったりだと思います。

> イラストのシーン、いろんな意味で、今後の事が決まってしまった一瞬ですよね~!
> 切ないというか・・・何というか・・・胸が苦しくなります。
> イラストの方が映画のシーンよりも美しくなっているように思います♪

ありがとうございます。このくだりはタイトルの意味もわかる重要なシーンでしたね。子供には重すぎる真実だけど、それでも一緒にいたいという覚悟が切なかったです。
2013/09/02 13:30  宵乃〔編集

No title

 宵乃さん、こんばんは

出来の良いリメイクだと思いますけど、「僕のエリ」があれば充分な気がします。
(僕は、「モールス」を先に観ちゃったんだけど)

しいて言えば、
「僕のエリ」>文芸作品
「モールス」>初恋物語

「モールス」の暗色にオレンジを効かせた色調も悪くはないのだけど、淡色系で肌に突き刺ささる空気を感じさせる「僕のエリ」のカメラには、及ばなかったですね。
(あの乾いた空気と、透き通るような透明感は本当に素晴らしかった)

2年前、この作品でクロエちゃんを知りました。
今では、アヴィを演じたクロエ・グレース・モレッツばかりが印象に残っていて、物語がその陰に隠れてしまったような印象さえあります。

オーウェンが初めて登場するシーン、あからさまに「裏窓」の真似だったけど、真夏の「裏窓」を真冬にやってみたかったのかなァ、よく解かりません。

モールス信号>僕より、よっぽどマニアックじゃないですか!(笑)
もう最初から「どうせ英語だから解からん」と投げてましたよ。
2013/09/03 23:53  鉦鼓亭編集

>鉦鼓亭さん

いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
ホント出来の良いリメイクで、それ以上でもそれ以下でもないという感じでしたね。「モールス」を先に観た鉦鼓亭さんでも、はっきりとそう感じるのだから、宣伝としては優秀かも。

> 「僕のエリ」>文芸作品
> 「モールス」>初恋物語

ですね~。ぼくエリの時より「小さな恋のメロディ」を強く思い起こしました(笑)

> (あの乾いた空気と、透き通るような透明感は本当に素晴らしかった)

そうそう、真似しようとしてできるものではない素晴らしさです。
鉦鼓亭さんの仰っていた吐く息が白くないというのも興ざめでした。

> 今では、アヴィを演じたクロエ・グレース・モレッツばかりが印象に残っていて、物語がその陰に隠れてしまったような印象さえあります。

わかります。他に印象に残る人もいなかったし、物語だったらぼくエリの方が上だし、結局彼女の映画になってる気がします。

> オーウェンが初めて登場するシーン、あからさまに「裏窓」の真似だったけど、真夏の「裏窓」を真冬にやってみたかったのかなァ、よく解かりません。

わたしも思いましたよ。オスカーより性的なイメージが強くなってますよね。
次々と部屋を変えて覗き見してて、「子供の癖になに見てんだ~!」って思ったけど、大人の男がやる方がヤバイか。こんなところで「裏窓」のヘンタイさを改めて知るとは(笑)

> モールス信号>僕より、よっぽどマニアックじゃないですか!(笑)
> もう最初から「どうせ英語だから解からん」と投げてましたよ。

あはは、短かったから調べればすぐわかるかと思って。
予想より時間がかかってしまいましたが…。中学二年生くらいの時に、モールス信号覚えたいなぁとぼんやり考えていたんです(笑)
2013/09/04 07:40  宵乃〔編集

No title

原作を読み終わってから本作を鑑賞しました。
原作ではもっと色んな人のエピソードが複雑にからみあっていて
そこにひきつけられて、色々と考えさせられたのですが
映画ではホント二人の世界、二人のエピソードにしぼられていました。
実はそこが残念でした。
(原作を完全映画化しようとすると膨大な上映時間になりそうですが・・・。)

>アビーと男の関係の方は、ある写真を少年が見てしまうシーンがあるんですよね
これは不思議なんですよね。
原作ではあの男は成人してからアビーと出会っているはずなのですが
この写真ではオーウェンがあの男のようになる事を
暗示させられたような気がしました。

>アビーの行動もオーウェンを次の”従者”として
>たぶらかそうとしているように見えてしまったし。
なんか下心ありそうに見えましたよね。

モールス信号の補足もありがとうございました!
今回は調べる気にならず(^^;
そういえば、原作ではラストはモールス信号使ってなかったんですよ。
モールス信号で二人だけで話し合うというのは
なんともロマンチックというか、こそばゆいです。笑


イラストはアビーが妖艶です!
クロエちゃんは血まみれでも美しいです。
(本気で血を吸ってる時は顔が変わって
いかにも特殊メイクっぽい感じがしてしまいました。)
2013/09/24 18:05  マミイ編集

>マミイさん

いらっしゃいませ、さっそくご覧になったんですね!
こちらは「ぼくエリ」をさらに単純化しているので、濃密な原作の後ではスカッスカに感じられたでしょう(笑)

> 原作ではあの男は成人してからアビーと出会っているはずなのですが
> この写真ではオーウェンがあの男のようになる事を
> 暗示させられたような気がしました。

完全に「ぼくエリ」の評判を考慮に入れてのことですよね。
いちおうリメイクではなく再映像化(企画が動き出したのはこちらが先)という事らしいけれど、あまりにも「ぼくエリ」を意識していて驚きました。しかも、想像の余地を減らしてしまっただけという…。

> そういえば、原作ではラストはモールス信号使ってなかったんですよ。
> モールス信号で二人だけで話し合うというのは
> なんともロマンチックというか、こそばゆいです。笑

そうだったんですか!?
一番印象に残っているシーンなので驚きです。あの殺伐とした出来事の後で、一気に雰囲気を変えてくれますよね。

> イラストはアビーが妖艶です!
> クロエちゃんは血まみれでも美しいです。
> (本気で血を吸ってる時は顔が変わって
> いかにも特殊メイクっぽい感じがしてしまいました。)

ありがとうございます♪
顔が変わるのはホント作り物っぽくていただけません。演技は上手いんだから、彼女に任せてほしかったです。

あと、リンクの件、教えて頂いてありがとうございました!
調べてみたら、普通に記事に飛べて「あれ?」と思ったんですが、そういえば昨日、記事更新の時に気付いて直したところだったんですよ(笑)
行き違いになってしまいましたね~。
2013/09/25 07:38  宵乃〔編集
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