アニメ「伝説巨神イデオン」TVシリーズ&劇場版観たよ

製作:日本’82
監督:富野喜幸
原作:矢立肇、富野喜幸
ジャンル:★SF/ドラマ/戦争
【あらすじ】植民星ソロ星で、異星人文明の遺跡を発掘していた地球人移民。そこへ、伝説の無限エネルギー「イデ」探索中の異星人バッフ・クランが現れ、両者の混乱から武力衝突へと発展する。移民の子供コスモたちが窮地に立たされた時、第6文明人の遺跡が合体し…。
これは凄かったです…子供向けのアニメというには壮絶すぎる内容。終盤はもうこれホラーだよね!?
ロボットアニメって、普通ロボットがカッコいいじゃないですか。それで、主人公がそれに乗って戦い、辛いことや悲しいことを知って、それを乗り越えて成長する姿が描かれたりします。
でも、これはなんか違う!
デザインはパッとしないけども、イデオンは間違いなく最強レベルのロボットです。イデオンが本気出したら、人類どころか宇宙だって滅ぼせそうだし、バリアを発動できればどんな攻撃でも防げるでしょう(頻繁に計画停電が起こるけど…)。
それなのに、その強さを知れば知るほど、”カッコいい”ではなく”恐ろしい”と感じてしまうんですよね。登場人物たちのなかで膨れ上がるイデオン(正体不明の存在)への恐怖、不安が画面越しに伝わってきます。
また、主人公(だけでなく登場人物の多く)の成長は目覚しいけども、辛いことや悲しいことを乗り越えた、その先が見えない…。
物語が進むにつれてひしひしと迫る絶望感…これでもかというほど人間の愚かしさを見せつけ、そのなかで帰る場所も逃げ場も失った主人公たちの心情の変化、種族を越えて信じ合おうとする姿を描きながらも、否応なしに戦うことに適応していく哀しさが胸に突き刺さります。10歳くらいの少年デクの戦場での冷静さを見てたら、だんだん泣けてきた…。
TVシリーズで描ききれなかった結末が劇場版の発動篇で、そこで明かされるイデの目的と、畳み掛けるような展開にはゾッとしてしまいました。
ラストはみんな幸せそうですが、それはもう戦わなくていいという安堵であり、イデの意思を肯定していたわけではないとは思います。でも、人間がこれまで通り愚かな行為を繰り返すのなら、これしか真の平和をもたらす方法はない…そう突きつけられたような気がして、それを否定できない自分がいて恐ろしくなったり。
見終わって呆然としてしまいました。
イラストは戦闘民族ばりに血気盛んなヒロイン、カーシャ。最初は「異星人なんて根絶やしにすればいいのよ!」的なセリフに「こえー女!」と思っていたけど、終盤になって本音では”戦いを終わらせたい=もう戦いたくない”という事だったんだなぁと思えて好きになっちゃいました。
全体的に女性陣がすばらしく可愛い面を持っています。
あと、面白いシーンも多くて、とくに前半は大笑いでした。ソロシップの登場シーンで、ギジェが「何故、わざわざ地中から…!?」というのがお気に入り。
後半のコスモの「我ながらよく当たる」もいいよね~。一度ヘルメットが壊れて、コスモのアフロがモコッとはみ出てるシーンなんか、笑わせようとしているとしか(笑)
デクといつも一緒にいるリスみたいな動物が、きちんとオーダーメイドの宇宙服を着ているのも可愛かった。ラストにデクと一緒にいたっけ…?
一番好きなのは痛々しくて人間らしいシェリルさんでした。絶望したのは彼女だけって…彼らタフすぎでしょ。
エンディングテーマ「コスモスに君と」は名曲です。後半に入ると泣ける泣ける…。この歌を歌っているのと、ヒロインの一人カララの声優が戸田恵子だと最後の最後で気付いてビックリした(笑)
■ Comment
TV版では割ときれいに纏まっていたのですが、劇場版でここまでしてしまうとは…アニメとはいえ、かなりえぐいシーンの連続で初めてみたときには衝撃的でした。
イデオンは双方共が自分たちの「地球」を守って戦っていたところが珍しく、好戦的な人はいても悪人はほとんどいないんですよね。
解釈(白旗の意味など)や行き違いから戦争状態に突入してしまったことは本当に悲しい限りでした。
ラストはもう一度やり直すために新しい「地球」を目指したのでしょう。海はすべて生物の母ですし。
イデオンはロボットモノの中では最強クラス、それも桁違いに。
ゲームロボット大戦でも別格に扱われてますね。(^^;
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
白くじらさんもイデオンをご覧になってたんですね。劇場版は本当に壮絶でした…。
子供が観たらトラウマものです。
> イデオンは双方共が自分たちの「地球」を守って戦っていたところが珍しく、好戦的な人はいても悪人はほとんどいないんですよね。
そうそう、コスモのセリフで、みんな怖いから守るために戦っているというのが、すごい納得でした。同胞でも、違う星に住んでいれば異星人と同じというのも哀しい…。
> 解釈(白旗の意味など)や行き違いから戦争状態に突入してしまったことは本当に悲しい限りでした。
白旗のエピソードは印象的でしたね。この世界でも、普通だと思っていた挨拶が外国では失礼な行為だったりして、実際に異星人と遭遇したら、そういう事が起こってもおかしくないんだとハッとさせられました。
> ラストはもう一度やり直すために新しい「地球」を目指したのでしょう。海はすべて生物の母ですし。
そうでしょうね~。悪しきこころを滅ぼし、善きこころを取り戻すには、今の人類を滅ぼして最初からやり直すしかないだなんて、もはやイデオンが悪役にしか思えない…(笑)
最後までそれに徹底的に抗った彼らが、憎しみや悲しみにとらわれることなく、希望を持ってやり直そうとする姿に少し救われました。
> イデオンはロボットモノの中では最強クラス、それも桁違いに。
> ゲームロボット大戦でも別格に扱われてますね。(^^;
噂は聞いてます。
とある攻略本の内容が、ほとんどイデオンに頼った手抜き攻略だったとか(笑)
知っているロボットを比べてみても、イデオンに勝てそうなものなんて思いつきませんよね~。
こんばんは
>デザインはパッとしないけども、
(笑)・・・子供心に「イデオンだせーなー」とか言いながら観ていたのを思いだします。
>イデオンは間違いなく最強レベルのロボットです。
>それなのに、その強さを知れば知るほど、
”カッコいい”ではなく”恐ろしい”と感じてしまうんですよね。登場人物たちのなかで膨れ上がるイデオン(正体不明の存在)への恐怖、不安が画面越しに伝わってきます。
そうなんですよね~。
お書きになられている通り
だんだん、ロボットではなくて
“強大な兵器そのもの”
それもあまりにも大きすぎるもの・・・
よくある“人間が手にしてはならない力”とかいうものを
これほど端的に表現した作品を
他には思いつきません
そんな力を持った故に
あの結末にたどりつかねばならなかったのか・・・とか思います。
>エンディングテーマ「コスモスに君と」は名曲です。後半に入ると泣ける泣ける…。
嗚呼・・・色んなこと思い出してきました。
♪たったひとつの 星にすてられ
終わりない旅 君とあゆむと
いつくしみ ふと わけあって
傷をなめあう 道化しばい
コスモス 宇宙(そら)をかけぬけて
いのりを いま君のもとへ
コスモス 宇宙(そら)をかけぬけて
いのりを いま君のもとへ♪
サビが良いので、聞き逃してしまいますが
サビの前にサラッと酷いこと言ってますよね。
“傷をなめあう 道化しばい”って・・・
OPの「復活のイデオン」なんて
王道のロボットアニメ風なのに・・・
“スペース・ラナウェイ・イデオン”って
カタカナで書くと凄くまぬけですが(笑)
♪きこえるか きこえるだろう はるかな轟き~
闇の中 魂(こころ)ゆさぶる 目覚め 始まる
大地わり そそり立つ姿 正義の証(あかし)か
伝説の巨神の力 銀河きりさく~
雄叫びが 電光石火の 一撃をよぶ
ふるえるな 瞳こらせよ 復活の時
人よ 生命(いのち)よ 始まりを見る
スペース・ラナウェイ イデオン イデオン
スペース・ラナウェイ イデオン イデオン♪”
正義の証(あかし)って・・・今聞き返すと
複雑な気持ちになりますね。
あー。色々書いていると
観たくなってきました(笑)
ありがとうございました それでは!!
2013/08/07 18:30 きみやす
> (笑)・・・子供心に「イデオンだせーなー」とか言いながら観ていたのを思いだします。
最初はイデオンのダサさと、主人公の髪型に目が行きますよね。アムロの次はアフロか!みたいな。
ツッコミ入れつつ笑って見ていたのが、どんどん笑えなくなっていくという…。
子供の頃に観たきみやすさんは凄いです(だまし討ちに遭ったようなものかもしれないけど…)。
これを子供向けに放送した富野さんがヤバイ!!
> だんだん、ロボットではなくて
> “強大な兵器そのもの”
> それもあまりにも大きすぎるもの・・・
「イデオンに取り込まれた」というセリフが、その大きさ、恐ろしさを物語ってました。”ロボット=操縦するもの”が逆転していく恐ろしさ!
> よくある“人間が手にしてはならない力”とかいうものを
> これほど端的に表現した作品を
> 他には思いつきません
ですよね…最初はイデオンの力をコントロールするために研究したがっていたシェリルさんが、後半にはイデオンから逃れたくて、生き延びたくて必死になっているようで、こういう力は気付いた頃にはもう遅いんだ…と思ってしまいました。
この哀しい結末はもう忘れられません。
> サビが良いので、聞き逃してしまいますが
> サビの前にサラッと酷いこと言ってますよね。
> “傷をなめあう 道化しばい”って・・・
そうなんですよ、物語が進むにつれて歌詞の意味がわかってきて、”道化しばい”が胸に突き刺さりました…。コスモの「助けるのか?シェリルさんを?」と、助けた後、笑顔で「シェリルさんはソロシップに必要な人だから」というセリフが思い出されます。
サビも切なくて染み入る…。
> OPの「復活のイデオン」なんて
> 王道のロボットアニメ風なのに・・・
そうみせかけて、イデオンの恐ろしさを知ると”魔王復活”の曲のように聞こえたり(笑)
”銀河きりさく”なんて、イデオンソードをそのまま歌ってたのかと驚かされましたよ。
> “スペース・ラナウェイ・イデオン”って
> カタカナで書くと凄くまぬけですが(笑)
あはは、その部分大好きで、毎日のように歌ってます。
楽しく歌えるのが自分でも不思議!
> 正義の証(あかし)って・・・今聞き返すと
> 複雑な気持ちになりますね。
ですね~。(ギジェあたりの)問いかけにも聞こえる見事な歌詞だと思います。
> あー。色々書いていると
> 観たくなってきました(笑)
> ありがとうございました それでは!!
わたしもお話できて楽しかったです♪
今は新めのアニメを観てますが、その後また古い作品も観ていきたいですね~。
ちなみに、夏アニメで気に入ってるのは「有頂天家族」です。食べちゃいたいくらい可愛いたぬきと、老いらくの恋に溺れる老天狗と、もののけより怖い人間の、まったりとした、でもにぎやかな日常がツボでした。妖怪もの大好きです。
>デザインはパッとしないけれども
「いいですかみなさん、これは第六文明人の遺跡です」
制作前、メーカーから主人公メカのおもちゃのデザインを見せられた冨野監督は、スタッフの前でいったそうです。
「まともな人間なら、こんな悪趣味なロボット、作ったりしません」
(笑)
あの監督のことだから話半分に聞いておけ、ですが、よくできた話だと思います(笑)
2019/08/16 10:09 ポール・ブリッツ〔
編集〕
いらっしゃいませ!
あのロボットはおもちゃメーカーによるデザインだったんですね~。売る気があるのか疑いたくなります(笑)
今再放送の「∀ガンダム」を毎週見てるんですが、ヒゲのモビルスーツもかなりダサいです。これは有名な人がデザインしたと聞いたんだけどなぁ。
しかし、当時は「アニメは子供がみるもの」という風潮だったのに、よくこんな絶望しかないアニメをやりましたよね。おもちゃメーカーは白目むいてたんじゃなかろうか(笑)
お子さんにつきあうのも大変ですね(笑) >∀ガンダム
それなら、もし、地上波でも衛星でもCSででも「Go!プリンセスプリキュア」か「Hugっと! プリキュア」がかかるときがあったら、ぜひご覧になってください。あの二作はプリキュアシリーズのみならず、近年の日本アニメ界でも屈指の収穫です。「シリーズ全話」が面白い回、という奇跡的な作品です。
損はさせません。
2019/08/18 17:29 ポール・ブリッツ〔
編集〕
わたしもガンダムは結構好きなので、ながら見ながら楽しんでます。
実はGガンダムの再放送とオリジンも観てますし(笑)
一番好きなのはVガンダムのカテジナさんとポケットの中の戦争のバーニィ、一番嫌いなのはZZのグレミー、こいつを撃たなかったルー・ルカさんもあまり好きではないです。
> 「シリーズ全話」が面白い回、という奇跡的な作品です。
プリンセスプリキュアは観てました。記憶が薄れ始めてますが、主人公が元気で可愛かった覚えが…。ハグプリはたぶんほぼ観てないですね。プリキュアは画面がキラキラしすぎてケバいので少し苦手です。変身少女ものというと「おジャ魔女どれみ」とか「プリンセスチュチュ」が好きでしたね~。