映画「過去をもつ愛情」観ました
原題:LES AMANTS DU TAGE
製作:フランス’54
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:ジョセフ・ケッセル
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】44年8月パリ解放の日、喜び勇んで帰宅した歴戦の勇士ピエールは、浮気の真っ最中だった妻を思わず射殺してしまう。だが、同情され無罪となり、放浪の末タクシー運転手に。そんなある日、英国貴族の未亡人カトリーヌが彼のタクシーに乗り…。
まず、主人公と同じアパートに暮らす母子の関係にほのぼのしました。
10歳くらいの息子が可愛いんですよ。賢くて商売上手な上に甘え上手。自分が可愛がられているのを自覚しているので、カフェで一休みする主人公にちゃっかりパフェをご馳走になったり(笑)
でも母親想いだから、家計を助けるために商魂たくましく商売に励みます。観光客相手に絵葉書などを売っていたんだけど、商売敵のカメラ売りが現れたら、即行カメラフィルムを商品として扱い始めたり、法外なチップをくれる客がいたと聞けば、すぐに見つけ出して専用の観光ガイドに!
そんな訳で、少年のおかげで主人公は再び美しき未亡人カトリーヌと出会います。再会の場所は音楽を楽しめるレストランで、そこで聞けるポルトガル民族歌謡ファドの「暗いはしけ(youtubeに飛びます)」がまた良いんですよ。主人公が歌詞を翻訳してあげて、それがたまたま今の彼女の心情を表していたというのがロマンティック。この後、ふたりが急接近するのも、このシーンのおかげですんなり納得できました。
ただ、途中から母子の登場はほとんどなくなってしまうのが残念。代わりに二人の幸せを脅かす黒い影、ルイス警部が現れます。つやつやのカウンターに写る歪んだ顔という登場シーンが印象的!
悪人ではないものの、やり方がいやらしいんですよ。彼ら自身よりも彼らの気持ちがわかっているかのように、主人公を手のひらの上で転がして、猜疑心を煽ります。
わたしも思いっきり彼の言動に惑わされてしまいました。
ラストの決断には強い愛と悲壮な想いを感じます。余韻が素晴らしい作品。
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