映画「フィムファールム2」観た
原題:Fimfarum2
製作:チェコ共和国・ドイツ’06
監督:ヤン・バレイ、ヴラスタ・ポスピーシロヴァー、アウレル・クリムト、ブジェチスラフ・ポヤール/ヤン・ヴェリフ
ジャンル:ファンタジー/人形アニメ
シニカルなユーモアに包まれた4つのお伽ばなしを描いたチェコ人形アニメ。
「海はなぜ塩辛い:More, strycku, proc je slane?」ヤン・バレイ
貧乏でも正直で家族思いの男が、親切な悪魔の助言で何でもほしいものを出してくれる魔法のミルを手に入れる。たちまち彼は豊かになり、町の人たちにも分け与えるが、強欲な兄が嫉妬し…。
「三姉妹:Tri sestry a jeden prsten」ヴラスタ・ポスピーシロヴァー
イースターエッグを売ったお金を酒場で使い果たしてしまった三姉妹。帰り際、ルビーの指輪を拾うが、三人で分けられず「夫を一番面白くかついだ者」が持ち主になると決め…。
「ダマスカスのせむしたち:Hrbaci z Damasku」アウレル・クリムト
戦争で片目を失い、背中にはコブがある三兄弟がいた。醜い姿を馬鹿にされた一人がつい人を殺してしまい、三兄弟は町から追放されてしまう。三人一緒では惨めさも三倍だと別々の道を歩み始めるが、やがて兄弟の一人だけが成功し…。
「親指小僧:Palecek」ブジェチスラフ・ポヤール
子供のいない夫婦が魔法のマグカップによって小さな可愛い男の子を授かった。夫婦の愛情に包まれ、小さいながら賢く育った少年は、父親の仕事を手伝うように。だが、それを観た紳士が彼を買いたいと言い出し…。
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全体的に人形のデザインが若干不気味で、いい具合に汚れた感じが味があって作風にあってました。
ブラックユーモアに満ちているんですよね~。とくに「三姉妹」が酷い(笑)
あらすじの時点でそうとう酷い妻たちなんですが、この後、夫が自分から歯を抜くように仕向けたり(悪魔か!)、もう死んでいると思い込ませたりします。
そんな経緯があって、どうして最後はみんなで笑い転げて、指輪の事も忘れて幸せそうに家路につくことができるのか…。
ぽかーんとさせられたものの、このデザインのおかげで完全にお伽話と割り切れたので、結構楽しめました。
「海はなぜ塩辛い」も地獄への入り口がレトロなエレベーターのようだったり、デスクワーク続きの魔王が農夫の男に追いつけなかったり、妙にセンスが光ってました。
物欲が満たされて”幸せ”になる描写がまさに”現代人”(薄暗い部屋でTVに没頭する子供など)なところも皮肉が効いてます。
魔法アイテムの秘密を教えてくれた悪魔は魔王とケンカしてるらしいけど、やっぱり人間を堕落させるお仕事は怠らない!(笑)
「ダマスカスのせむしたち」はイマイチ意味がわからず楽しめませんでしたが、「親指小僧」の方はストーリー的にもキャラ的にも一番童話らしくて良かったです。
自分から紳士に買われて、涙する父親を振り切って旅立ったのは、一人息子として両親に楽させてあげたくて、はやく立派な大人になろうとしたのね。
小さな体で賢く危機を乗り越えていく冒険モノで、一寸法師みたいで親しみも湧きました。
機会があったら1も観たいです。