映画「馬上の二人」観た
原題:TWO RODE TOGETHER
製作:アメリカ’61
監督:ジョン・フォード
原作:ウィル・クック
ジャンル:★西部劇/ドラマ
【あらすじ】旧友の騎兵隊員ゲイリー中尉に、強引にグランド砦へ連れて行かれた保安官マケーブ。コマンチ族に連れされられた開拓民の家族を、交渉により連れ戻してほしいというのだ。気乗りしないマケーブだったが…。
実際はどうだったのかはわからないけど、拉致問題や偏見、エゴについて考えさせられる作品でした。惨い部分とコミカルな部分のギャップがあるものの、重過ぎないので観やすいです。
主役の一人マケーブが、悪徳保安官でけっこう嫌なヤツなのが面白い。最初はとても主人公とは思えなかったんですが、裏表はないし、最初から「この任務は気が乗らない、金のためならやる」ときっぱり主張して変えないので、後半にはちゃんとらしく見えるんですよね。
一方、正義感が強くて誠実なキャラを貫くゲイリー中尉も、まさしく西部劇のヒーローという感じでバランスが取れてます。彼の友人ならマケーブもそんなに悪い奴ではないんだろうと思えるくらい。
この二人の意見がぶつかったり、ぴったり合うのを見ていくうちに、いつの間にか西部劇における先住民の描かれ方、それを描いている白人について考えさせられていました。
救出後の開拓民によるあからさまな差別の描写はおぞましいものがあります。コマンチ族として生きてきた者を無理やり連れ帰ってきたくせに、その姿を見た瞬間にもう”厄介者”扱い。オルゴールの使い方も上手くて、少年の哀しい運命に胸が締め付けられました…。
でも、ラストはベルの粋な計らいもあって、明るい未来を感じさせるもので良かったです。もう一人の拉致被害者エレナのため、わざとキツイ事を言ってマケーブをたきつけたり。彼は追いかけられるより追いかける方が好きなんですよね(笑)
あまり評判はよくないようですが、考えさせられる良作でした。