2009年09月に観たお薦め映画

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

TV映画「シャーロック・ホームズ 四つの署名」観た

 | ミステリー  com(2) 

シャーロック・ホームズ 四つの署名
製作:アメリカ’01
原題:THE SING OF FOUR
監督:ロドニー・ギボンズ
原作:アーサー・コナン・ドイル
ジャンル:★ミステリー

退屈するホームズの元に、メアリーという若い女性が訪ねてきた。彼女の父親は6年前から行方不明で、それから毎年誰かが真珠を送ってくるという。依頼はその相手からの呼び出しに付き添うというもので、彼らはそこで殺人事件に遭遇する。

恥ずかしながらシャーロック・ホームズのシリーズは読んだことがなくて、登場人物の性格やストーリーの正確さは分からなかったんですが、ホームズとワトソンの友情が良かった!ホームズの性格が思いのほか悪かったけれど、この友情があるから許せます。

笑えたのが、メアリーの人となりについて言い争った後のシーン。
さすがに言い過ぎたと素直に謝ったホームズが、こう続けます。
『…でも、この命令だけは従ってくれ。私が言っていいといったこと以外はしゃべらないと!!
素直すぎ(笑)謝るけど意見は曲げません。

その後は、無能な警部に散々邪魔されたり、ワトソンが毒で倒れたり、ふたりの友情やホームズの事件解決への意欲がよく描かれていて楽しめます。ミステリーとしてはいまいちだけど、見終わる頃にはふたりが大好きになってました。
最後にメアリーの人となりが明らかになる展開も良かったです。

映画「0:34 レイジ34フン」感想

0:34 レイジ34フン
製作:イギリス/ドイツ’04
原題:CREEP
監督:クリストファー・スミス
ジャンル:ホラー

【あらすじ】ロンドン、チャリング・クロス駅。深夜0時34分の最終電車を待つケイトは、ベンチで一眠りしている間に駅構内に取り残されてしまった。そこへ何故か電車が到着し、彼女は駅から出るためそれに飛び乗る。だが、まもなく電車は止まり…。

なかなか良さげなホラーだなぁと思って観たら、見事に裏切れられました。
主人公の女性が”薄情な現代人”の典型みたいなひとで、面倒ごとには関わろうとしないし、そのくせ自分が困れば「親切にしてよ!」って態度です。
そんなんだから、一人で駅に取り残されて殺人鬼に追われても、彼女に感情移入できなくて傍観者になった気分。つまり全然恐くありません。
でも、薄暗い地下鉄、姿の見えない追跡者、出会うのは彼女が会ったことのある人ばかり、小さな扉をくぐるとホームレスの住処が…という始まり方には、悪夢を見ているときの感覚と近いものがありました。直前に彼女がうたた寝をしていることもあって、このまま不条理な恐怖に突き落とすのか…と思えばそうでもない。何故か後半はスプラッター系に。

わたしはグロ耐性が高いほうなんですが、終盤に連続でやられるとさすがに嫌な気分になりました。しかも、殺人鬼を殺すシーンが(見える中では)一番グロイって…。主人公どうなのよ?
殺人鬼の正体は、大体想像がつく程度にヒントがでるので腑に落ちないことはないと思うんですが、地下鉄とまるで関係がないのがね。どうにもすっきりしない気分でラストを迎えます。
ラストは、冒頭でホームレスに冷たかった彼女を皮肉っていて、意外にも良かったです。
ちなみに、原題のCREEPは”這い回る”とか”ぞっとする”という意味ですが、おそらく”気味が悪いやつ”を意味するスラングの方でしょう。
ロンドンの地下鉄という、ホラーにおあつらえ向きな舞台をいかしきれていなかったのが残念!

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映画ブログやってるのに「E.T.」を生まれて初めて観た

E.T.
製作:アメリカ’82
原題:E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL
監督:スティーヴン・スピルバーグ
ジャンル:★SFファンタジー

【あらすじ】植物調査にきた異星人たちが人間に追われ、一人の異星人が取り残される。月夜に彼と出会った少年エリオットは、彼をETと名付けクローゼットに匿うのだった。やがて、地球の言葉を学んだETは、故郷へ連絡したいと言い出す。

いやぁ、TVで感動のシーンとかよくやってるから、すっかり観た気になってました。初めの草むらを逃げているシーンはかろうじて観たことあったけれど、それ以降はまるで知らなくてびっくりだよ。
こんなに面白い映画を子供の頃に観てなかったなんてさ!!
でも、大人になった今でも自転車と車のチェイス・シーンは興奮ものだし、自転車が空中に飛び上がったのにはドキドキでした。
エリオットがカエルを逃がすのもいい。どさくさに紛れて好きな女の子にキスしちゃうシーンなんか、可愛くて大好きです。妹の機転で、ハロウィーンのおばけに扮装したE.T.がよちよち歩くのも可愛いし。
母親が読んであげていた「ピーターパン」のティンカーベルが生き返るお話が、冷たくなったE.T.がエリオットの「大好きだよ…」という言葉で蘇るところで利いてくるのもニクイ。
兄妹がいい子すぎるのと、母親の影が薄いのがちょっと気になったけれど、それでも観てよかったと思える作品でした。
というわけで、どうしても描きたいあのシーンで締めたいと思います。

E.T.2
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「宇宙戦争(2005)」観ました

アニメ「イヴの時間」観ました

 | マンガ/アニメ  com(4) 

イヴの時間
「未来、たぶん日本。”ロボット”が実用化されて久しく、”人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」という言葉から始まる、各話約15分の全6話からなる物語。(ファースト・シーズン)

<ストーリー>
高校生のリクオは、自宅にいる女性型ハウスロイド・サミィの行動履歴のなかに、命令した覚えのない行動を発見する。隠し事をしている事に不安を感じ、友人マサキと記録の場所にいくと、そこには「イヴの時間」という喫茶店があり…。

穏やかな雰囲気と、独特の間、空気感がわたし好みでよかったです。
ストーリーも心温まるもので、主人公リクオがいろいろな”ひと”と出会って、様々な悩みや想い、葛藤に触れ、自分なりの答えを見つけ出す。それを、笑いあり涙ありのエピソードで綴っています。(中でも最終話は泣ける…)
全話でちょうど映画一本くらいの時間なので、オムニバス作品のような感覚で観れました。
「どうしたら人間が傷つくかなんてロボットにも分からない。ロボットだって悩んでいるんだ」というようなセリフが印象に残ります。

映画「革命児サパタ」観た

革命児サパタ
製作:アメリカ’52
原題:VIVA ZAPATA!
監督:エリア・カザン
ジャンル:★ドラマ/歴史劇

【あらすじ】1909年メキシコシティ。畑を奪われたメキシコの農民たちが、サパタを中心にディアス大統領に陳情にやってきた。だが、大統領は友好的な態度をとるものの具体的には何もしてくれない。やがて、サパタは革命家マデロに呼応して武装蜂起し、大統領追放に成功するが…。

革命のために闘うサパタや農民たちが、力強く描かれていました。
とくに、サパタが連行されようという時、周りの人々が静かに石を鳴らし始め、それに答えるかのように民衆が警察を取り囲みサパタを救出するシーン。
どこからともなく無言で集まってくる民衆は怖い!
いつの時代にも搾取される人々がいるけれど、集まって結束すればそれだけで”ちから”になるということがよく分かりました。
また、サパタの恋人ホセファもなかなかたくましくて、父親に結婚を反対されて嘆いたり逃げたりせずに、”父を納得させられる男になりなさいよ”という態度をとるところが素敵です。「私の愛した男なら、それくらい出来るわ!」という自信にあふれてる感じなんですよね。
念願の結婚式当日に、彼女の母親が銃弾ベルトを着けたサパタ(正装!?)と言葉遊びをするシーンも面白かったです。あれはメキシコの伝統とかなんでしょうか?
ラストは”メキシコ革命の成就”…とはいかないんですが、サパタの精神は農民たちに受け継がれていくのだなと思わせる力強いものでした。
イラストに描いた傍観者たちの姿が印象に残ります。

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「エデンの東」観ました

映画「イージー・ライダー」感想

 | ロードムービー  com(2) 

イージー・ライダー
製作:アメリカ’69
原題:EASY RIDER
監督:デニス・ホッパー
ジャンル:青春ドラマ

コカイン密売で儲けた大金をバイクのタンクに隠し、放浪の旅に出たワイアットとビリー。彼らは南部を目指しながら、ヒッピー部落やラスベガスのパレード、ニューオリンズの謝肉祭に寄っていく。だが、彼らが求めたものはそこにはなく…。

わたしはロードムービーは好きなほうだし、アメリカン・ニューシネマも嫌いではないんですが、コカイン密売で得た金で幸せになろうなんて人間には吐き気がするので、この主人公たちの末路には何の感情も覚えませんでした。
家族と暮らす男に敬意を感じるシーン、楽しそうにパレードについて回るシーン、ただ颯爽とバイクを走らせているシーンなど、心惹かれる場面はたくさんあるけれど…。やっぱり、彼らの売ったコカインで、育児放棄や家庭内暴力、親を失って路頭に迷う子供がいると思うと楽しめません。
ただ、彼らに対するあまりにも理不尽な行為は、サイコサスペンスを観たときのような言い知れぬ気味の悪さを感じました。最近多い”ホームレスへの暴力”と同じように、当時のアメリカではヒッピーへの暴力が多かったのかも。
突然訪れるラストは、彼らを”自由”ということも、その見せ掛けの自由を恐れることも、どちらも間違っているといってるんでしょうか…?

ちなみに、タイトル「イージー・ライダー」の意味は、”気ままにオートバイであちこち移動するヒッピー”をさす言葉らしいです。そして、彼らは生活も気ままだったことで、”売春の斡旋業で生計を立てている奴”など悪い意味も色々あるそうです。

映画「50回目のファースト・キス」観た

 | ラブコメ/ロマコメ  com(4) 

50回目のファースト・キス
ワッフルのおうち。
製作:アメリカ’04
原題:FIFTY FIRST DATES
監督:ピーター・シーガル
ジャンル:★ロマンス/コメディ

【あらすじ】ハワイの水族館で獣医として働くヘンリー。ある日、カフェ出会ったルーシーといい感じになるが、翌日には冷たくあしらわれてしまった。実は、彼女は事故の後遺症で一日しか記憶を保てないのだ。それでも、彼は毎日ルーシーと出会い…。

冒頭は、ヘンリーのプレイボーイっぷりや、ときどき悪ノリしてしまう性格をコテコテのコメディ調で描いており、これはハズレかなぁと思ってしまいました。
でも、大丈夫。中盤からぐっと面白くなってきます。
まず、彼女が記憶障害だと知ったヘンリーが、毎日出会うところから始めて恋に落ちようと努力する姿がいいですね。あのプレイボーイがなんで、とは思うものの、ひたむき且つお茶目に出会いを演出するヘンリーを見ていると応援したくなります。
次に、ルーシーが異変に気付きショックを受ける姿をみて、このままではいけないと知恵を絞るところ。今まで彼は、彼女の家族が努力してきた”事故のことに気付かせないよう、彼女にとっての翌日を演じ続ける”事に反さず頑張っていましたが、これじゃあ彼女の人生は止まったままだと気付くんですよね。そこで、毎朝目覚めた時に事故や障害のこと、自分との出逢いと恋に落ちたことをまとめたビデオを見せることを思いつきます。
「朝ビデオを観て、泣いて、友人と会って。その後は彼女の人生を歩める」という彼の前向きな考え方が素敵です。
そして最後。ちょっと切ないけれど爽やかで、ヘンリーの深い愛情が伝わってくるラストに、あたたかい気持ちになりました。
コメディ部分は人によっては過剰に感じるかもしれませんが、ほんわかした気持ちで観終われる良質のラブコメディだと思います。

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「ゲット スマート」観た

映画「トプカピ」観ました

 | 犯罪  com(0) 

トプカピ
製作:アメリカ’64
原題:TOPKAPI
監督:ジュールス・ダッシン
原作:エリック・アンブラー
ジャンル:★犯罪コメディ

女泥棒エリザベスの次の獲物は、イスタンブール、トプカピ宮殿博物館のエメラルドをあしらった宝剣だ。早速仲間を集め、武器の運搬にガイドのシンプソンも雇う。だが、彼はトルコ国境で逮捕され、一味逮捕のためスパイを強要されるのだった。

冒頭のエリザベスがひとりでしゃべっているシーンが”いかにも古臭いコメディ”という感じで、安っぽい印象を受けたんですが、それがとんだ大間違い。観ているうちにどんどんひきこまれて、あのどこかゆる~い雰囲気を醸している登場人物たちと、ハラハラドキドキの侵入・強奪シーンに、時間が経つのも忘れて楽しんでいました。
主人公はちょっと抜けてるシンプソン。何も知らされず車を届ける仕事を引き受けた彼は、彼らに関わったためにテロ容疑→スパイ強要→窃盗団の一員に、と巻き込まれていくんですよね。その経緯がユーモラスに描かれ、中でも一味に加わる時に行ったテストで、ロープの先に結ばれたソファから「あなたならできるわ、がんばって」というエリザベスの声に、一気にやる気を出すシンプソンの表情は笑えました。
しかし、実際に計画が始まってからは雰囲気が一変します。
高所恐怖症で小太りなシンプソンが屋根伝いによろよろと歩くシーン、ロープで吊り下げた軽業師を合図だけを頼りに下ろしたり引き上げたりするシーンは、まさに手に汗握る緊張感!
今までのゆるさが嘘のように、スリリングな時間を味わわせてくれました。
後はまたゆるい雰囲気なんですが、あっけらかんとした明るさがあってこの作品にぴったりのラストだったと思います。

Wii「428 ~封鎖された渋谷で~」クリアしたよ。

 | ゲーム  com(0) 

428 ~封鎖された渋谷で~
またしてもゲームの感想です。興味のない方はスルーして下さいね~。

ついに428を完全クリアしました。
この作品は、同じチュンソフト製作で、わたしの大好きなノベルゲーム・ベスト3に入る「街 ~運命の交差点~」とほぼ同じシステムだと聞き、珍しく買って直ぐにプレイしはじめました。それはもう、家事と映画の合間にこせこせと。
感想としては…もう大満足です!
物語の途中に選択肢があって正しい選択をする事で物語を進めるノベルゲームに複数の主人公がいること。そして、それぞれの行動が影響し合っていてバッドエンドを回避して物語を進める、という部分は前回と変わりません。
あと、渋谷の街をやたらと爆破するところもね(笑)
でも今回は、主人公たちの物語がある事件を中心に複雑に絡み合い、一つの結末に収束していくという、サスペンス映画さながらのスリリングな展開となっているのですよっ!!
文章のテンポのよさ、味があって面白い登場人物(実写)、次々替わる静止画、物語を盛り上げるBGMなどなど、始めたら止まらない面白さでした。
ほんともう、文章を読むのが嫌いじゃなければ誰でも楽しめる作品なので、WiiやPS3、PSPを持っている方は是非、ぜひぜひっ!!

イラストは、隠しキャラ含め9.5人(?)の主人公の中でもお気に入りの、着ぐるみ主人公タマ(もちろん本名ではない)。前半はコメディ担当ですが、着ぐるみを脱いだ後半はシリアス展開でビックリです。また、ある条件を満たすと出現する主人公カナンはアニメ絵・声付きなんですが、なんか好きになれないなぁと思っていたらシナリオが私の苦手な奈須きのこさんでした。でも、これの二年後を描いたアニメ「CANAAN」には、味のある主人公・御法川実も登場しているらしいので、後でまとめて観ようかな? (アニメのみのさんって、どんなだろう?)

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映画「ブレイクアウト(1975)」観た

 | アクション  com(0) 

ブレイクアウト
製作:アメリカ’75
原題:BREAKOUT
監督:トム・グライス
原作:エリオット・アシノフ、ウォーレン・ヒンクル、ウィリアム・ターナー
ジャンル:★アクション

【あらすじ】1971年メキシコ。護送中の囚人が殺され、アンの夫ジェイが28年の実刑判決を受ける。それは、彼が証人台に立つと困る祖父の仕業だった。何も知らないアンは夫の脱獄のため、金のためなら何でもやるパイロット・ニックの元を訪ねる。

実際の脱獄事件をもとにしたアクション映画。ハッキリ言って最後の脱出はあっけなく、緻密な計画や駆け引きなんてありません。原作が「十秒間の刑務所脱獄」というだけあって、サーっと降りてサーっと脱獄、みたいな。
でも、それまでに二度失敗していて、それでも諦めない男気がイイ!
一度目は報酬に釣られて。何も知らず飛んでいったら撃たれたので即撤退。
二度目は高額の報酬とプライドで。女装でノリノリの相棒を面会に送り込むという本気かどうか分からない作戦。即バレてボコされます。
三度目はアンの涙と、男の意地で。美女(保安官の妻で昔なじみ)が『襲われる~』と叫んで警備の気を引き、その間に広場に出たジェイをヘリコプターで回収する作戦。今度は本気です。

まあ、こんな感じの流れなんですが、一番の見所はニックの饒舌さとお気楽さでしょうか。アンに希望報酬額を伝えたらあっさり承諾され、未練がましく~ドル~セントと付け加えてみたり、嫉妬深い保安官を宥めるシーンが妙に和みます。アンへの淡い恋心も微笑ましい!
アクションとしては物足りないものの、私的には十分楽しめる作品でした。

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映画「ツォツィ」観ました

 | 社会派  com(6) 
Tag:南アフリカ イギリス 

ツォツィ
製作:南アフリカ/イギリス’05
原題:TSOTSI
監督:ギャヴィン・フッド
原作:アソル・フガード
ジャンル:★ドラマ/犯罪

【あらすじ】南アフリカ、旧黒人居住区ソウェトのスラム街。不良を意味する”ツォツィ”を名乗り、仲間と暴力や窃盗、殺人までも行う青年がいた。ある日、女性からBMWを奪った彼は、後部座席に生後数ヵ月の赤ん坊を見つける。

以前BS2で録画失敗したけれど、BSジャパンでやってくれたので夜更かしして観ました。デジタル放送はまだ録画環境を整えてないんですよね…。
感想としては、観てよかった!!
”親の愛情を求める”という人間として当たり前の欲求。それを満たす事が出来なかった主人公の心の叫びが、ストレートに胸に響きました。
とくに素晴らしいのが、女性が赤ん坊に乳を与えるのを見つめる彼の表情。その前に、銃を突きつけて赤ん坊に乳を与えろと脅す経緯があるんですが、それまでの険しい表情が嘘のように、穏やかで幸福に満ち溢れた表情をするんですよね。
それはまるで、病気だからと母親に触れる事も許されなかった(間違った知識&蔑みからくる父親の横暴)幼い頃の自分を、今、目の前で幸せそうにしている赤ん坊に置き換えているようでした。
彼女を見る目も、”女”として見ているというよりは、”母親(もしくは聖母)”として見ていて、彼女と一緒にいる彼はどこか幼い子供を彷彿とさせます。
また、ガラスで作ったモビールを見て「割れたガラスに金をとるのか」と問うツォツィに、「ガラスだけじゃない、色と光があるわ」と返す彼女とのやりとりには、私もハッとさせられました。ほかにも心を揺さぶられるようなセリフがたくさんあり、南アフリカのストリート・ミュージックもドラマを盛り上げます。

それまでのツォツィの行いは酷いものですが、それでも「彼にチャンスを!」と願わずにはいられない、そんな再生の希望を描いた物語だったと思います。

映画「影武者」観た

 | 時代劇  com(8) 
Tag:黒澤明 日本 

影武者
製作:日本’80
監督:黒澤明
ジャンル:時代劇/ドラマ/アクション

【あらすじ】戦国時代。野田城侵攻で武田信玄が撃たれ、その噂は瞬く間に各武将に届いた。真偽を確かめるため密偵が放たれるなか、”三年は死を隠し通せ”という信玄の遺言を守るため影武者が立てられる。その男は、かつて処刑されかけたところを、信玄に瓜二つだという理由で助けられた盗人だった。

今回は、「シネマ・イラストレイテッド」のMardigrasさんと「映画鑑賞の記録」のサイさんが企画した、バーチャル鑑賞会にちゃっかり参加してみました。

冒頭がいいですね、あのなんとも言えない”間”の取り方。主従関係で本体と影の関係でもある兄弟の会話が、ほどよい距離感を出していたように思います。
そして、そこに盗人が連れてこられ、おっかなびっくり信玄に文句をつけるところが、またいい。時代劇というと現在の日本とあまりにも違って、わたしは少なからず別の世界の話という気がしてしまうのですが、黒澤監督の描く時代劇の人物は(特異な人物を除いて)なんら私たちと変わらないと思えるんですよね。この盗人の”ふつうっぽさ”に、すごく親近感を覚えます。
あと、違う雰囲気を纏った三人が同じ格好をして並んでいるのも、なんだか笑えました。

その後、盗人が本格的に影武者になったり、ばれそうになっても度胸で切り抜けてしまったり…。色んなことがあるけれど、わたし的には孫が出てきたときの”ほわぁ~”と和んだ空気が好きです。盗人の事は”盗みで磔に”ということしか出てきませんが、きっと孤独だったんだと思うんですよね。だから、信玄たちが自分を必要として、孫があんなにも慕ってくれて、いつの間にかあそこが自分の居場所になってしまった…。それがラストの行動につながるのかもしれないけれど、影ではなく自分自身として死んでいったのだから満足だったのかなぁと思います。
でも、終盤の合戦シーンはわたしにはよく分からなくて、正直かなりきつかったです。途中何度か寝そうになってしまったけど、企画のおかげで最後までちゃんと観れたのでした(笑)

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映画「ギルバート・グレイプ」観ました

 | 青春  com(4) 
Tag:ラッセ・ハルストレム 

ギルバート・グレイプ
製作:アメリカ’93
原題:WHAT'S EATING GILBERT GRAPE
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:ピーター・ヘッジズ
ジャンル:★青春ドラマ

【あらすじ】冴えない田舎町エンドラ。食料品店で働くギルバートは、知的障害をもち警鐘塔に登るのが好きな弟アーニーの面倒をいつも見ていた。家の中にも外にも問題は絶えないが、間もなくアーニーの18歳の誕生日だ。そんなある日、トレーラー・ハウスで祖母と旅を続ける少女ベッキーと出会い…。

町に新しいものが入り込み、それを受け入れる人々と取り残される人々がいる。それを傍観する主人公も内心では焦りを感じているものの、今は大切な家族を守ることでいっぱいだ。
でも、家族を愛していても不満に思うことはたくさんあって、それを押さえ込もうとしても苛立ちはふいに顔を現す。それは家族も一緒で、そんな彼らの心を表すかのように、彼らの家の床は軋んだ音を立て始めていた。

大切なものを失って、やっと自分の人生を歩み始めるというラストが、なんとも切ないです。
でも、その新しい人生には、大事な弟と大切な女性ベッキーがいて…。
彼らの前には確かに道が続いている。そう思える、希望のあるラストでした。
弟役のディカプリオとギルバート役のデップ(観終わってから彼だと知って、顔を覚えられない自分に驚いた…)の好演が光ります。

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第2回ブログDEロードショー「影武者」

製作:日本’80年
監督:黒澤明
開催:2009/9/4~9/6
影武者
「2001年宇宙の旅を皆さんと一緒に見る会」が盛り上がったので2回目もしようという話になり、たまたまmiriさんとMardigrasさんが再見(初見)したかったけどなかなかできなかったこの作品に決まったそうです。

企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

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映画「雲の中で散歩」感想

 | ロマンス  com(4) 

雲の中で散歩
製作:アメリカ’95
原題:A WALK IN THE CLOUDS
監督:アルフォンソ・アラウ
ジャンル:ロマンス/ドラマ/文芸

第二次世界大戦が終結し、結婚後すぐ出征したポールは再会した妻との間に溝を感じた。そんなある日、出張の途中で悩める女性ビクトリアと出会う。彼女は葡萄の収穫で実家に帰る途中だったが、別れた男の子どもを身ごもっていたのだ。

「父親のいない子供を産むなんて知れたら、厳格な父に殺される。」と嘆く彼女に同情し、一日だけ夫役になると約束したけれど…というラブストーリー。
冒頭で”出迎えもせず、毎日書いた手紙も読んでおらず、話も聞かない”妻と再会し、その後に主人公が旅行してるふうだったので、てっきり妻と別れて新しい人生を探しに出かけたのかと思っていたんですが…。実際は、妻の言うままに好きでもないチョコレート・セールスの仕事をしていただけだと分かってがっくり
出鼻を挫かれた気分でしたが、ビクトリアの家族の可愛げのあるキャラクターと、葡萄園での様子は見ていて楽しかったです。
とくに、とぼけた感じのおじいちゃんと不器用な父親との対比が面白いんですよね。父親がポールを追い出したがれば、おじいちゃんはチョコレート食べたさに歓迎するし、父親が葡萄収穫の速さを競い合っていれば、おじいちゃんは代々伝わる葡萄の木を見せてあげるし。実は、事情どころか二人の想いにまで気付いてる(と思われる)おじいちゃんの行動がナイスです。
また、霜から葡萄を守るために、火を焚いて両腕につけたウチワの様なもので暖かい風を送る作業は幻想的でロマンチック。娘たちによるナマ足さらしての葡萄踏みも楽しげでしたが、潔癖症ぎみのわたしには靴脱いでそのまま樽に入るというのがちょっと…。
途中、ポールが孤児だった事がわかり、それじゃあ妻と別れられないかと思い直したりもしたんですが、結局ポールは最後まで自分から行動しようとせず周りに流されていただけで、ハッピーエンドの感動も薄まってしまった気がします。離婚は自分で決断して欲しかった…。

映画「ジャスティス(劇場未公開)」観た

 | ドラマ  com(0) 

ジャスティス(劇場未公開)
製作:アメリカ’02
原題:THE BADGE
監督:ロビー・ヘンソン
ジャンル:ドラマ

ルイジアナ州の小さな町ルサールで、女性の他殺体が発見される。真面目とはいえないが住人に好かれる保安官ダールは、被害者が性同一性障害だと知って捜査する気を失くしていた。そんな時、酔って知事に絡んだせいで免職させられ…。

GyaOで鑑賞。同じ年に同じタイトルでブルース・ウィリス主演の作品があるので、完全に日陰の存在となっています。原題は「THE BADGE」
邦題から受けるイメージに反して、実際の主人公は酒飲みで女ったらしで偏見に満ちた男です。トラック事故が起きてもさして捜査もせず、散乱した荷物を住人に配り「次の保安官選挙はよろしくね」と人気取りを優先します。しかも、現場で見つかった美女モナに男性器があると分かった途端、もうやる気ゼロ。モナを知る人物スカーレットに遺体確認してもらった後、彼女がモナの妻だと聞いてつい笑ってしまうシーンには殴り飛ばしたい思いがしました。

そんなダメ男がまともに捜査をするはずもなく、その後は妻子との冷めた関係やら父親や弟との確執、町の有権者たちの思惑が明らかになっていきます。あまり事件と関係なくて「あれ?」という感じなんですが、妻と親しい知事に喧嘩ふっかけたのをきっかけに、モナと接点がある知事は(深読みしたのか何なのか)事件をもみ消すために彼を免職に追い込みます。(ここら辺よく分からなかった…)

最初は私怨と復帰のために捜査を始めたダールでしたが、もみ消そうとした理由や犯人の動機が”モナが性同一性障害だったから”という偏見からきたものだとわかり、自分が今までどんなに矮小だったかを思い知るんですよね。
ダメダメな主人公が、この事件とめぐり合ったことで保安官のバッジより大切なものに気付き、家族とも向き合えるようになる。そんな人間ドラマとしては、なかなかに楽しめる作品でした。
ただ、ジャケットや煽り文句(”事件をもみ消そうとする権力者にも屈しない保安官が、真実を追究していく姿を描くサスペンス”)に釣られたひとは、事件の真相にガッカリするかも。

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