「バスケットケース2/BASKET CASE 2」 米’90、フランク・ヘネンロッター
一作目を見た時に続編があることを知ってみない方がいいなと思っていたんですが、GYAOで配信してるのを知って見てしまいました(笑) 前作で死んだと思われた二人は実は生きていた!という展開で「おいおい」と思ったものの、これはこれで別物として面白かったです。前作から間を空けたのもよかったかも。 前回描かれていた悲哀はすっかり消え失せて、フリークスという名のクリーチャーがわんさか出てくるブラックジョークのような作品になってます。奇形でそうはならんやろ、というカエル人間みたいなのもいて他の方も言ってるけど完全に”見世物小屋”。 予算がちょっと増えたようで、兄の造形が良くなってるし特殊メイクもやり過ぎなくらいです。ついでに美人も増えました。
そして狂ってるのがベリアルたちを保護したお婆さん。彼らの人権を訴える活動をしてるみたいだけど、実際のところは自分を必要とする人たちとの共依存コミュニティを作りたいだけのような感じなんですよね。殺人容疑で追われるベリアルたちを保護したのも、自分たちの王国を壊そうとする奴を処刑できるベリアルの力が欲しかっただけでしょう。「顔を引き裂いても問題は解決しないわ」と言いつつ、問題解決のために彼の力を利用してるのがその証拠。
地下に集って聖戦のごとく彼らをたきつけるくだりも良い感じに狂ってます。まともそうに見える孫娘さえ、普通に協力的で殺人をやむを得ないことだと思ってるんだもんなぁ。 カメラマンを屋根裏におびき寄せ、フラッシュのたびにフリークスが迫ってくる見せ方は上手かったし、ベリアルが自分と同じような奇形のイブと結ばれる展開には笑うしかなかったです。執拗に描写しすぎ!そして前作の設定を無視しすぎ!(8年経って忘れたのかな…)
また、ドゥエインも恋人を殺されたショックのせいか、それとも頭の打ちどころが悪かったのか、かなりキャラが変わってましたね。さらにラストで色々あって一気に狂ってしまいます。このラストは予想してませんでした。怪力のはずのベリアルを押さえつけられたのは、やはり怒りのパワーが二人の超能力に影響を与えているということでしょうか? 血を吹き出しながら笑うドゥエインの様子はなかなかにゾッとするものがあってよかったです。
「バスケットケース3/BASKETBASKET CASE 3: THE PROGENY」 米’92、フランク・ヘネンロッター
完全に蛇足な三作目。悪趣味なドタバタコメディという感じで、登場人物のほとんどが何も考えてないように見えます(汗) 二作目と同様にルースは”マイノリティの味方”である自分に酔いしれて、ベリアルをいいように使って自分たちの王国を作ろうとしてます。ラストなんて放送局に乗り込み、ニュースキャスターをベリアルに襲わせて宣戦布告してるし…。 面白かったところは、荷台からベリアルの入ったバスケットが落ちたとしか思えないシーン、リトル・ハルの「マァーーーム!!!」、保安官の娘がとんだ変態女だったシーンくらいかな。 相変わらず彼らを見世物にしてるし、彼らがお付き合いするのは”同類”か”美女”の二択。兄弟の事情を知ってる保安官たちが彼らを見て化け物扱いするのは不愉快だったけど、彼らも自分たちとそれ以外の人たちを区別し選民思想的になってて、こんな描き方でいいのだろうか…と思ってしまいました。
関連記事 「バスケット・ケース」観た 原題:疆屍先生 製作:香港’85 97分 監督:リッキー・リュウ ジャンル:★ホラー/コメディ/アクション
【あらすじ】ある富豪から先祖の墓を移す依頼を受けた道士だったが、弟子のいたずらによって遺体はキョンシーとなってしまう。さらに依頼人までキョンシーとなり道士たちは封じ込めに苦戦する。その上、弟子チュウサムは幽霊に憑りつかれ、弟子モンチョイはキョンシーに噛まれてしまい…。
たぶん初見。子供の頃にキョンシー映画は何度も観たけど、女の子が主人公だった気がするので。 キョンシーってゾンビと吸血鬼を足して二で割ったみたいなモンスターなんですね。もち米や墨をしみこませた糸で戦っていたのは、粒とか網目など無数にあるものを数えずにはいられない弱点をアレンジしたのかな? もち米は昔から神聖な食べ物として扱われていたし、墨や鶏の血はよくわからないけど聖水みたいな感じでした。
基本的に噛まれたらゾンビや吸血鬼になる運命という作品が多い中、キョンシーの場合は生きているうちに浄化すれば大丈夫というところがいい。怖すぎず悲しすぎずコメディらしい緩さです。 老け顔の弟子モンチョイがキョンシーになりかけ、米の上で踊り続けるという謎の苦行をさせられるくだりが愉快。生きるか死ぬかの瀬戸際なのに疲れて眠ってしまうし、キョンシーになりかけたら「キョンシーになっても長生きしたい!」とか言い出すし(笑)
あと、息を止めればキョンシーに気付かれないというのも映画的に面白かったです。目の前にキョンシーがいて、息が続かなくなったらまた襲われるという緊張感がいい。 それでいてコミカルさは忘れてなくて、長い筒を使って吐いた息がキョンシーの背後に行くようにして長時間やり過ごそうとしたり。ヒロインと交互に息継ぎをするというシチュエーションもオイシイです。
そして、おバカな弟子二人に振り回されていた道士が、正装?で幽霊やキョンシーと戦う終盤は、キレのあるアクションもあってカッコいい! 銅銭みたいなのを糸で繋げた剣とか八卦鏡などのアイテムも魅力的だし、師弟対決も痺れました。 幽霊美女の虜になってしまった弟子チョウサムの目を覚まさせようとする時に、彼女の素顔を見せようとはしないところが紳士だよねぇ。最後は弟子の判断に任せて、本当に彼女が弟子のことを想っていたんだと驚くところが好きです。 「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」といい本作と言い、香港には幽霊と恋する作品が多いんでしょうか? まあ、あれだけ麗しい美女だったら幽霊でもなんでもいいという気持ちもわからなくもない。ふわ~っと彼の自転車の後ろに舞い降りるところなんてまるで天女のようでした。
ついでに調べてみたところ、キョンシーがぴょんぴょん歩くのは死後硬直だったからなんですね(笑) そして黄色い衣装で札付きキョンシーをお客さんと呼んでいた人は、遺体を故郷に返すために一時的にキョンシーにして連れ歩いてたのか。説明なしでも香港の人には通じるのかな…。 あと、キョンシーが動くのは魂魄の魄が大地に還らなかったせいだという説明も見かけました。魂は精神的なエネルギー、魄は肉体的エネルギーだということで、風水的によくない埋葬方法だと魄が大地に還らず、遺体が動き出してしまうんだとか。 キョンシーというと映画のキャラクターのイメージなので、ちゃんとした道教の背景があるということを忘れがちです…。
原題:47 METERS DOWN 製作:’2017 90分 監督:ヨハネス・ロバーツ ジャンル:★パニック/ホラー
【あらすじ】メキシコでバカンスを楽しみに来た姉妹リサとケイト。地元の若者たちと意気投合した2人は、“シャークケージ・ダイビング”に誘われる。行動的な妹ケイトに押し切られる形で挑戦することになるが、ワイヤーが突然切れてケージもろとも深さ47mの海底へ落下し…。
8月31日に鑑賞。ホラー企画の〆はサメ映画でと気楽に観始めたら、怖いし絶望的なやつでした…。 ジャンルとしては「ロスト・バケーション 」や「オープン・ウォーター 」に近いですね。実際にサメにケージを壊され侵入されたという事故が2016年頃にメキシコで起こった(被害者ゼロ)ようなので、それから着想を得たのかも? 評価が割と低めの作品なんですが理由はわかります。映画としてもホラーとしてもアレはね…。でも、悪意すら感じるその絶望が嫌いじゃなかったんですよ。何故かというと、リサの想いが切なすぎるから。
実は鑑賞後にリサとケイトが姉妹だと気付きまして(友人だと思ってた)、それで色々納得できる点があって余計に私の中で好感度アップでした。 このシャークケージダイビングに無理やり姉を参加させたケイトと、終盤で今までの弱気がウソのように妹を守るため必死に戦ったリサ。リサは自分が引っ込み思案で内向的で正反対の妹にコンプレックスを抱いているものの、リサの方もそんな姉に対して虚勢を張っているところがあるんですよね。ケージから脱出し「連絡の届くところまで泳いで行くから待っていて」とリサに言い聞かせていた時はまるでお姉さんのようなのに、いつサメが襲ってくるかわからない恐怖の中、やっと船と連絡がついた時は「怖いの」と泣き出しそうな声で助けを求めます。
きっと姉にコンプレックスを抱かれてるというのは昔から感じていて、姉があんなに気弱なのは自分のせいかもしれないと責任を感じたり、だからこそ自分がしっかりしないといけないと常に気にかけてたのかなぁと。 せっかく地元の若者といい雰囲気になったのにダイビングでは姉妹一緒に行動していたのも、ケイトにとって男より姉が重要だからでしょう。むしろ地元の男性と仲良くしてたことすら、姉を焚きつけるためだったかもしれない。 やけに大丈夫大丈夫と気楽に言っていたのも、姉が不安な時はいつも彼女が元気づける、そういう役割をずっと担ってきたからじゃないのかと思えました。
一方、妹にコンプレックスを抱いていたリサも、本当は妹を守れるお姉ちゃんになりたかったんですよね…。気弱じゃなければそうなれたかもしれないと思えるエピソードもあって、方向を見失ってパニックに陥りかけていた時、ケイトから明かりが見えるかどうかで方向を確認したのは素直にすごいなと感心しました(私ならパニくって絶対思いつけない)。なので終盤、彼女がサメを追い払って妹を連れて船まで辿り着いた時は「ロストバケーション」の時みたいに燃えました。 だからこそ彼女の妹に対する想いに心打たれたわけで、あのオチも姉妹愛映画としてはありだなと最後に納得できました。リサにとって、もっとも残酷な結末でしたが…。
実際にダイビングに詳しい人が見たらツッコミどころが多いかもしれませんが、姉妹愛がメインでもパニックホラーがメインでも映画的な曲解は演出としてアリだと思いました。…エアの持ち時間とか、モグリっぽい業者の指示内容とか。 何匹いるかわからないサメが、血の匂いを辿って暗い海の向こうから何度か現れるのは割とリアルに感じたし、冷たくて暗い海底47mの恐ろしさ、エアが減っていく恐怖も「絶対にダイビングなんてしたくない!」と思えるほど怖かったです。
たまにエアが足りないのにキャーキャー騒ぎすぎという人がいますが、強い恐怖を感じると脳の酸素消費量が上がるんだから呼吸を抑えようとしたくらいでコントロールできるものじゃないと思います。酸素消費量が増えたのに呼吸を抑えたら酸欠になるよ? オチに関しては窒素中毒だけじゃなくて、足の痛みや寒さ、精神的ショックと酸欠状態などが重なって、体が休息状態に入ったんじゃないだろうか。半分寝てたと思えば、あれもおかしくはないんじゃないかと。 私的にはこの映画が今年のホラー企画の〆で良かったと思える作品でした。
読み:ろすとばけーしょん 原題:THE SHALLOWS 製作:アメリカ’2016 86分 監督:ジャウマ・コレット=セラ ジャンル:★サスペンス/ホラー
【あらすじ】医学生のナンシーは、亡き母が教えてくれた地元サーファーのみが知るビーチで休暇を過ごそうとしていた。だが、サーフィンを楽しんでいた彼女に何かが襲い掛かる。何とか避難するものの傷口からは大量の出血があり、さらに巨大なサメにより岸から200メートル離れた岩場で孤立してしまい…。
サメ映画と思って見始めたら、7割サバイバル、2割サメ、1割自分探しみたいな感じでした。 サメに噛まれて酷い怪我を負った状態で、小さな岩場に避難しひたすら救助を待つ時間が長いんですよね。でも、ぜんぜん退屈ではない。手元にある物だけで無理やり応急処置するシーンが痛々しい…! こんな場所なので手に入ったものは何でも取っておいて、それを終盤で生かす展開が面白かったです。あれがここで役立つのか!と驚かされたり。食べ物も水もなく夜の寒さが襲ってくる絶望的な状況で、少しでも生き残る確率を上げるために頑張ります。
そんな彼女の横にちょこんといるのが、同じくサメによって翼を怪我をしたカモメちゃん。CGだと思うけどつぶらな瞳が可愛いし、不安なのでそばに居たいという気持ちが伝わってきて癒されました。 ヒロインも彼(彼女?)に支えられているところがあって、終盤では羽を応急処置した後、折れたサーフボードに載せて送り出します。助かってほしいと祈りながら送り出す様子にホロリ…。
そして、母親を亡くして医者になる道をあきらめようとしていた彼女が、このサバイバルで戦い続ける強さを手にし、生きるために泳ぎ出す展開が熱い! その道を照らすかのようなク○○の群れが幻想的で、多少の都合の良さも気になりませんでした。 ブイでのサメとの対決も熱く、照明弾に海底から延びるチェーン、絶体絶命のピンチにまさかあんな方法で打ち勝ってしまうとは驚きでした。このこ「ジョーズ 」ともタメ張れるのでは!? 暑い夏にぴったりのホラーでした。
読み:ぱにっくまーけっと 原題:BAIT 製作:オーストラリア・シンガポール’2012 89分 監督:キンブル・レンドール ジャンル:★ホラー/パニック
【あらすじ】オーストラリア。親友がホオジロザメに食い殺されたトラウマから、ライフセーバーをやめた青年ジョシュ。だがある日、津波によってスーパーマーケット内に閉じ込められてしまう。陳列棚の上に避難した13人の生存者たちは、店内を回遊する巨大ホオジロザメの存在に気付き…。
CMだかトレーラーだかで見た時はおバカ映画みたいな雰囲気でしたが、割と王道のパニック映画でした。 定番の”トラウマ持ち、バカップル、問題を抱える親子、犯罪者、嫌な奴、死ぬには惜しい善人”などが揃っていて誰が死ぬのか分かりやすかったものの、水浸しの店内、棚の上に避難する生存者と水の中を回遊するホオジロザメという画がいいよね。 サメのCGもお目目が可愛く、アニマトロニクスを使ったシーンもあって気合入ってます。
津波のシーンはやはり怖かったです。人間関係の方もわりとシリアスに描かれているので、個人的に駐車場に残されたバカップルが癒やしでした。喧嘩ばっかりしているけども、彼女の愛犬のポメラニアンは可愛く、偽ブランド品にずっと気付かなかった天然彼女さんも可愛い。バカ彼氏に愛犬を囮にされて本気で怒るところも好感持てます。
はっきり言って主人公ジョシュは地味すぎて印象に残らないんですよね。元カノの彼氏が死んだのはジョシュがホースを回収しちゃったからだと思うし、死ぬ気のパパさんを素直に送り出してしまうのも「え、止めないの?」という感じでした。 彼より駐車場で奮闘する冴えないライアン君とか反抗期少女ジェイミーの方がかっこよかったです。とくに反抗期少女が父親の決意を知って「それなら自分が」と水に飛び込むシーンに感動。サメをハンマーで殴って追い払うところもステキでした。 ライアンとジェイミーはカップルなので、この二人が主人公で良かったのでは?
とはいえジョシュにも見せ場はあって、二本の配管に足をかけてぶら下がりスタンガン(遠距離用)でサメを倒すシーンはスパイみたいでした(笑) 色々ツッコミどころもあったけど、サメ映画好きなら楽しめると思います。
原題:THE SHINING 製作:イギリス’80 119分 監督:スタンリー・キューブリック 原作:スティーヴン・キング ジャンル:★ホラー
【あらすじ】冬の5ヶ月間、山奥のホテルの管理人となった一家。そこではかつて、同じく管理人になった男が発狂し、妻と2人の娘を惨殺する事件が起こっていた。幼い息子ビリーは「シャイニング」という第6感によって不吉なビジョンを視るが、次第に作家志望の父親ジャックの様子がおかしくなっていき…。
映像に引き込まれますね~。人がいる時は普通のホテルに見えたのに、冬季に入ってあの一家だけになった途端にホテル自体から異様な雰囲気がただよってきます。まだ幽霊っぽいものが出てきてない時点で、ここはヤバいぞ!と身構えてしまいますよね。 でも、執筆に集中したいジャックが一人になるのはわかるけど、ダニーがなぜママの元を離れてこんなホテルで一人で遊ぶのか気になりました。あのくらいの年頃なら怖がってくっついてそうなのに(なんせ双子が怖い)。シャイニングのせいで気が大きいのか?
なぜジャックが狂ったのか考えながら見たところ、コックさんの「シャイニングは誰でも持っているが使い方がわからない」のセリフから、ジャックは潜在的に能力発揮したのかなと思ったり。 小説家志望?のジャックにとって、この仕事は最後のチャンスだったのかもしれません。それなのに自分の才能のなさに打ちのめされ、現実逃避したい一心でホテルの過去、亡霊たちを引き寄せてしまったのかも…。 最初からジャックの顔に余裕のなさが見えた気がするし。
また、彼のオーバーな演技も、淡々としたこの作品のアクセントになっていてよかったです。 怖いといわれている奥さんの顔はそんなに怖くなかったですね。普通の痩せぎすの苦労してるお母さんという感じで好感持てました。 あと、ダニーが父親を巨大迷路におびき寄せ、隠れてやり過ごした後、自分の足跡を辿って出口まで逃げるくだりが頭良すぎ。同じシャイニングを持っていたらしきコックさんは、車を運んできただけみたいな役割だったのに…。
初見時に比べたら怖さは半減しましたが、無視できないところのある作品でした。
関連記事 「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」観た(同監督) 「ゴールデンボーイ」観た(同原作者) 読み:くろのす 原題:CRONOS 製作:メキシコ’92 92分 監督:ギレルモ・デル・トロ ジャンル:★ホラー
【あらすじ】16世紀、陶器のような肌をした錬金術師の奇妙な遺体が発見された。そして現代、骨董屋を営む老人ヘススは売り物の天使像の中から金色のスカラベ「クロノス」を発見する。中から飛び出した鋭い鉤爪のようなもので手を怪我してから、彼の身体に異変が起こり…。
ギレルモ・デルトロ監督かぁ! なんかこう冒頭からただものじゃない雰囲気を醸し出してました。錬金術に機械仕掛けのスカラベ、そして永遠の命とその代償…。言葉にして並べればありがちなものに感じるかもしれないけど、見ている間は次に何が起こるかわからなくてグイグイ引き込まれました。
なんといってもずるいのは、主人公が優しい古物商のおじいちゃんヘススと、口をきかない(自閉症?)幼い少女アウロラの組み合わせです。この組み合わせでホラーに転ぶとは思わないじゃない! 序盤は仲の良いじいじと孫というほのぼの展開だったのに、それが商品の天使像からゾロゾロとGが出てきてから抜け出せない地獄のような展開に。あの時、馬鹿なアンヘルがその場で像を買って持ち帰っていれば、こんなことにはならなかったのに…!
そしてスカラベの造形がまたいいんですよね。ぱっと見は綺麗な金細工、けれど手のひらに乗せていたら突然昆虫の脚のような鉤爪が飛び出して、手の肉に食い込みます。その時に中の歯車が動く様子が映されるんだけど、そこにちらりと映る不気味な塊がもうね。理屈ではなく「これはヤバいやつだ」とわかるし、生理的な恐怖を感じました。
それからのおじいちゃんの変化も不気味で、まさか鼻血を出した男性を追ってトイレであんなことをするとは…。演技でも嫌ですよね…。それくらい理性を失ってしまうというのがまた怖い。 あの憎たらしいアンヘルのせいで、何も知らないヘススは自分が人間ではなくなってしまったことに気付かされます。
それでも唯一の味方として側にいる少女アウロラの存在が、この物語の良い意味での歪さを際立たせていました。 本来ならこの二人は、こんな物語の主役になんてなるはずがなかった、と思い出させてくれるんですよね。 光が苦手になった祖父のために、大きなおもちゃ箱の中に寝床を作ってあげる孫に涙が…。 一歩間違えば足を踏み外してしまいそうなヘススを踏み止まらせ、神々しささえ感じさせるラストに繋がったのも彼女のおかげだったと思います。一度だけ発した「おじいちゃん…」と呼ぶ彼女の声が印象的でした。
関連記事 「パンズ・ラビリンス」観ました 原題:THE BURNING 製作:アメリカ・カナダ’81 91分 監督:トニー・メイラム ジャンル:★ホラー/サスペンス
【あらすじ】キャンプ場の管理人クロプシーは、サディスティックな性格で子供たちに嫌われていた。ある夜、少年たちは彼に復讐するためいたずらを仕掛けるが、予想外の事故でクロプシーは火だるまとなり生死不明のまま姿を消してしまう。数年後、学生たちで賑わうキャンプ場に不穏な影が現れ…。
80年代の古き良きスプラッターホラー。「13日の金曜日」の後に作られたようで、殺人鬼の背景が違う以外はほとんど同じ? でもその殺人鬼が「クロックタワー」のシザーマンの元ネタと思えるもので(プレイしたことはないです)、後半は割と引き込まれました。
何と言ってもこの殺人鬼、かくれんぼが得意なんですよ。全身大火傷のせいで視力がやや悪く、獲物が近付いてきそうなところにじっくりひっそり潜んで待ってます。 カヌーが流れてくるところなんて、てっきり先ほど殺された犠牲者が入ってるのかなと思ったらこいつが出てきたんでビックリしました。だって、このカヌーを見つけてくれる保証はないし、見つけてもらえるまで何時間かかるかわかんないんですよ? この執念深い殺人鬼のサービス精神にハート鷲掴みでした(笑)
この後も、死体を見つけてびっくりする展開を想像してたら奴が出てきて私がビックリ。薄い毛布を掛けた女生徒の死体と一緒に隠れてたみたいなんですが、あれで気付かれないってどういうこと!? 地面に穴でも掘ってたんだろうか…。 なんとなく戦場で遺体に爆弾を仕掛けるトラップを連想しました。火傷する前は酒浸りのサディスト野郎だったらしいので、もしかしてPTSDを患ったベトナム帰還兵だったのかも。一応、病院を出るまでは「子供たちを恨んではいけない、不幸な事故だったんだ」と自分に言い聞かせていたみたいだし…。
終盤はいじめられっ子だったアルフレッドが奮い立つところが良かったですね。それまでキャンプのリーダー(責任者?)トッドに守ってもらうヒロインみたいだったのに、最後は彼を守るためにハサミでグサリ! 最後に映るキャンプで怖い話をしてるのは、トッドの後を引き継いだアルフレッドなのかな? あれだけ凄惨な事件が起こったキャンプ場で、しれっとその話をネタに楽しむ精神が怖いですね。何気にこの物語で一番恐ろしいのはトッドとアルフレッド(ラストの青年が彼なら)かもしれない。
読み:ざんえすんではいけないへや 製作:日本’2015 107分 監督:中村義洋 原作:小野不由美 ジャンル:ホラー/ミステリー
【あらすじ】怪談雑誌で読者の体験談をもとにした短編を連載している小説家。ある日、今住んでいる部屋で奇妙な音がするという手紙に興味を持った「私」は、彼女と一緒に調査を開始する。すると、過去にそのマンションに住んでいた人たちが、引っ越し先で不可解な死に遭遇していると判明し…。
ひぇ、怖すぎた…。 ホラー耐性あるつもりでしたが、やはり日本の普通の家が舞台だと怖さ倍増ですね。しかもこの作品はリアル志向で、ビジュアルが怖いモンスター的なものが出てくるわけでもないところが余計に怖い。物音や影、不幸な死を遂げた住人達という、実際にありそうなものばかりで責めてくるので他人事とは思えなくなってしまいました。
日本は基本的に狭いから、どの土地でも過去にさかのぼっていけば凄惨な事件ぐらいどこにでもあるんですよね。ここで描かれているのは、そのほんの一つのケースに過ぎなくて、もしかしたら今私たちが住んでいる家や土地にも穢れが蓄積しているかもしれない…。そして、その穢れが一定以上に蓄積すると、呪いという形でこういう事件を引き起こすのかもしれないと考えてしまいました。 根源がハッキリと描かれることが多い悪霊の類よりも怖いです。
小説家の主人公の元に届いた奇妙な体験や不気味な体験が、ある奇妙な音について調べていくうちに繋がっていくという展開は、金田一耕助がルーツを調べていくのと似たスリルがあります。映像や音響に頼ったホラーが苦手な人におススメ。 ただ、ラストの編集者の身に降りかかった出来事は蛇足でしたね。邦題のサブタイもいらないと思います。 とは言え、夜に1人で見たら怖くて眠れなくなりそうな作品でした。(原作者が「十二国記」の小野不由美と知ってびっくり!)
関連記事 「アヒルと鴨のコインロッカー」感想 ちょっと時間がかかったけども肝試し企画で観た作品のまとめ感想です。「エイリアン」を再見 して過去記事に追記しました
8/20「セル(2016)」 コミックの登場人物が夢に出るようになった辺りから「最初からぜんぶ夢だったというオチじゃないだろうな?」と警戒してしまいましたが、いちおうそれは免れたのでホッとしまし(夢オチじゃないとは言ってない)。ただ、暗くて見えないシーンが多いし、あの現象が何なのかいまいちわからないままなので、登場人物の行動もふわっとしたものばかり。夜は安全なので必死感も少ないし、面白かったかというと…。にしても、あいつら一緒にいればエネルギー補給を電波から受けられるのかね?ある意味便利な身体だなぁ。噛まれたりするゾンビものと違って、電話するだけで新人類の仲間入りができるなら…とせーのでやっちゃうグループもいそう。でも、あんまり他のグループが描かれないのよね。
8/18「ターミネーター2」 たぶん初めて字幕フルバージョンを鑑賞。T-1000が追ってくるのはホラーっぽいかなと思って見てみたけど、一作目のシュワちゃんの方が怖かったような?孤高の戦士のようになってしまったサラにはあまり魅力を感じないし、可愛いジョン・コナー君とT-800との交流は良かったとはいえ描写が少なくて物足りなく感じてしまいました。でもラストは泣ける!
8/15「IT/イット」 あー、やられた!無料放送は前編だけだったのか…。でも、評判通り前半は「スタンド・バイ・ミー」っぽさがあって面白かったです。神出鬼没なピエロが一見普通のピエロっていうのが怖いですよね。見るからに人外みたいな容貌をしているとピエロの怖さとはちょっと違う気がするし。その普通のピエロが突然恐ろしい表情をして尖った牙を見せるのが怖い。対する子供たちは、みんな大なり小なり問題を抱えている子たちで、ピエロに出会うのは幸せを掴みかけた時というのが酷い…。前編の終わりがすごくモヤっとするシーンで、後半を見たいけど評判がなぁ…。
8/14「アナコンダ vs. 殺人クロコダイル」 ああ、これクロスオーバー作品だったのね。「アナコンダ」シリーズは知ってるけどクロコダイルの方は見たことあったっけか…?冒頭からB級の定番をそのままなぞった感じ。アナコンダもクロコダイルもCGがしょぼいので怖くないし。ムカつく奴が多い上に、そいつが食われるシーンでとくにカタルシスも得られませんでした。
8/13「メキシコ・オブ・デス」 メキシコ製作のオムニバスホラー。呪いとか幽霊っぽい題材もあるけど、半分くらいはメキシコなら起こりそうだな…という人間による恐怖を描いています。子供や観光客の失踪、臓器売買、薬物、レイプ、首切りなどなど。終わり二つが特に面白かったですね。謎の儀式で死者をよみがえらせる話と、不幸な過去を持つ女性たちがポールダンサーとして店に立つお話。どちらも見終わってスッキリする系でした。しかしエログロがあるので苦手な人は注意です。
8/13「悪魔のいけにえ」 前半のヒッチハイカーを拾ったところが一番怖かったかなぁ。中盤は車いすのお兄ちゃんがボッチで可哀そうだし(彼以外のアホな若者たちがうざい)、後半は暗くてよく見えなかった。異様な食事風景はインパクトあったけど。お前ら、お年寄りに無茶させるんじゃあないよ…。しかし、ヒロインはよく走ったね~。チェーンソーを稼働させた状態で夜の山道を走るレザーフェイスも無謀(笑)終盤はめちゃくちゃで笑った。
原題:BASKET CASE 製作:アメリカ’1982 93分 監督:フランク・ヘネンロッター ジャンル:★ホラー
【あらすじ】バスケット・ケースを抱え、NYの安ホテルへやってきた青年ドゥエイン。彼は双子の兄ベリアルのため、かつて兄を殺そうとした医者たちを探し出す。だが、そこで出会ったクリニックの受付嬢シャロンとドゥエインが恋に落ち…。
これは切ねぇ…。思わず泣いてしまいました。 異形ゆえの孤独、兄弟の絆…などのキーワードにピンときた方は、ネタバレを避けて映画を見てください。何にも知らずに見るのが一番面白いと思います。 以下、ネタバレありの感想です。
最初はいかにもなB級ホラーという感じがして、笑いながら見てたんですよね。 兄ベリアルの造形がチープでなんだか間抜けだし、ストップモーションで描かれる動きがぎこちなくて見てて(転んだりしないか)不安になります。 あと、食事の時にバスケットケースにポイポイ食べ物を放り込むドウェインの雑さがいい。缶詰そのままって(笑) 力任せに復讐を果たしていく様子はぜんぜん怖くなくて、顔面にメスとか刺さるシーンなんかは「頑張ってるなぁ」と微笑ましくなりました。
でも、後半になって彼らの背景がわかってくると一気に切なさが増してくるんですよね。 出産時に母親を亡くし、醜いシャム双生児だったために父親に憎まれてきたこと。それどころか、金に物を言わせて医者にベリアルを取り除かせるなんて残酷にもほどがあります。手術時のベリアルの悲鳴といったら…! 生理的嫌悪感を抱かせるには十分な造形をしていたベリアルが、いつの間にかドゥエインと同じただの子供に見えてきました。 とくに唯一の理解者である祖母の優しさに触れている時、とても穏やかな目をしているんですよね。ずっと大好きなお祖母ちゃんと暮らせていたら、きっと医者への復讐なんて考えなかったでしょう。
ドゥエインもベリアルのことを大切に想っていて、トイレの便器に隠れていた兄をすぐ抱き上げるくらいには仲良しです(笑) そんな兄弟の絆の強さが双子同士のテレパシー(切り離されてベリアルしか使えなくなった)という形でも表れており、それが終盤の悲劇に繋がってしまうんですよね。 一人では外を出歩くことはできず、何もかもを弟に依存しなければならないベリアル。誰もが自分を一目見るなり悲鳴を上げて、恐怖に顔を引きつらせます。それに対し、ドゥエインはわき腹の手術痕の他に変わった部分はなく、それどころか見た目は好青年?なのでモテモテです。 双子なのに理不尽なまでに境遇が違い、テレパシー能力のために隠し事ができない二人…。ベリアルにとって青春を謳歌する弟はどうしようもないくらいにうらやましかったはずですし、同時に自分から離れていってしまうかもしれないという寂しさと恐怖を感じる出来事だったと思います。 悲痛な兄弟喧嘩の末に、まるで繋がっていた頃のように二人が横たわっているラストが印象的でした。
ちなみに、タイトルの意味は入れ物としてのバスケット・ケースのほかに、(手術などで)両腕両脚を切断された人という意味も含まれているようです。 あと、何気に三部作なんですが、続編はこの作品の良さをぶち壊す展開のようなので、この作品が好きなら見ない方が良いかも。…ホント、ちょっと気になって調べたのを後悔したので、調べない方がいいと思います。
関連記事 「バスケットケース2・3」感想 原題:TREMORS 5: BLOODLINES 製作:アメリカ’2015 99分 監督:ドン・マイケル・ポール ジャンル:★アクション/ホラー/SF
【あらすじ】老いてなお現役の怪物ハンターであるバート・ガンマーだったが、世間は彼を忘れ始めていた。そんな彼のもとに、南アフリカで出現したアスブラスターを生け捕りにしてほしいと、野生動物省の役人から依頼が舞い込む。バートは彼の大ファンだというトラヴィスとともに南アフリカへ向かうが…。
久しぶりの続編ということでワクワクしながら見ました。グラボイズの進化っぷりには「ん?」と思うこともあったけど、ここまでくるとそれも愛おしく感じてきます。 未だに化け物相手に頑張ってるらしい禿げ頭のバートが、宿敵グラボイズの生態をわかりやすく解説してくれておさらいもばっちり! ただ、惜しみなく登場したグラボイズは、なんとなく今までの可愛さが感じられなくて残念です。CGは意外と頑張ってるんですけどね。 でも、グラボイズに集まってくる頭のおかしい人たち(詐欺師とかヘリの操縦士のおじいちゃんとか)の描写は従来のトレマーズらしくて、ホラーなはずなのにカラッと明るいところは健在です。
しかし、この作品で何と言っても魅力的なのは獣医のヒロインでしょう。アフリカ系の美人で獣医なのに普通に弓矢を使いだすんですよ~。しかもセクシーで強い! 華麗な弓さばきで仲間を助ける姿にしびれました。 あと、彼女に思いを寄せる保安官が、彼女の娘とアスブラスターから厨房を逃げ回るシーン。完全に「ジュラシック・パーク 」へのオマージュで笑えます。よくここまで忠実に(笑)
バートのファンであるトラヴィスを本能的に嫌うバートもよかったし、このまま二人でグラボイズと戦っていってほしいですね。今度はケヴィン・ベーコン出演のテレビドラマシリーズが始まるようなので、いつかそれも見てみたいです!
関連記事 「トレマーズ2・3・4」観た 原題:BLACK CHRISTMAS 製作:カナダ’74 93分 監督:ボブ・クラーク ジャンル:★サイコスリラー/サスペンス
【あらすじ】クリスマスイブ、女子学生寮にいつものイタズラ電話がかかってくる。楽しい雰囲気を台無しにされ、つい「変質者」と罵ると「殺してやる」という言葉とともに電話は切れてしまった。やがて、少女クレアが姿を消す。彼女の恋人と父親が捜索願を出したことで警察による捜査が始まるが…。
クリスマスの女子寮を舞台としたサイコスリラー。カナダの作品で初めて聞くタイトルでしたが、これはホラー好きの方にお勧めですね。この作品に影響を受けたホラー作品が多いということで、今では見慣れた手法も結構使われています。でも、犯人からの異常な電話がザワザワするような怖さで、それだけでも一見の価値ありです。
始まりはいやらしいイタズラ電話。それが女学生の挑発で一気に殺人までエスカレートしていきます。 割と序盤から犯人の行動や犯行の異常性を見せているんですが(顔は映らない)、それは鑑賞者に対してだけで彼女たちは殺人事件が起こっていることにも気付いていません。女の子が1人見当たらなくなっても彼氏のところに泊ってるんだろうで済んでしまうし、時期が時期だけに寮に残っている人は少なく、気付かないところで次々殺されていくのが怖い! さらに本格的な捜査が始まってからも、電話にばかり気を取られて身近で起こっている連続殺人事件に気付かないんですよね。みんな精神的に不安定になっているから、部屋で休むと言えばしばらく部屋を訪ねる人はいなくなるわけです。
受付の警官は無能だったものの担当刑事はそれなりに頑張っていて、見張りの配置や電話の逆探知などを迅速に手配してくれたし、主人公であるジェス(O・ハッセー)が隠し事をしていると見抜くところなどは見ていて気持ちよかったです。 あと、逆探知の様子を描写している作品はかなり珍しいと思いました。電話局らしき場所でいくつもの装置が並んでいて、通信中の装置を目視で確認していく感じです。たぶん現在ではこんなアナログなことはしていないだろうけど、こういう風に逆探知していたのかと驚きました。
ただ、受付の警官が無能すぎて、こいつが犯人なのではと思ってしまったり(笑) 時間的に無理なのはわかるんですが、言われたことすらできない始末で…。ラストの悲劇も彼のせいで引き起こされたと言っても過言ではないのでは。「確認してもらいたいことがあるからすぐ出てきてくれませんか?」と冷静に伝えれば余計な被害は出なかったのに…。 まあ、主人公であるジェスに思いやりが足りなかったのも一因でしたけどね。何も試験前日に言わなくても…。
ラスト、最後まで見つからなかった屋根裏の遺体など、これから起こるだろうことを予感させる終わり方が良かったです。…にゃんこが無事生き延びられるのかどうかが気がかり。 ちなみに原題はブラッククリスマスで、今回は邦題に軍配が上がりました。アメリカやカナダで有名な都市伝説を基にしているそうです。
関連記事 何も考えずに観れる映画2本立て「ターク182」 原題:DEEP BLUE SEA 製作:アメリカ’99 104分 監督:レニー・ハーリン ジャンル:★スリラー/SFパニック
【あらすじ】太平洋上ににある巨大な海洋医学研究施設アクアティカでは、サメの脳組織からアルツハイマー治療薬を製造する研究が進められていた。だが研究を急ぐあまり、責任者であるスーザン博士はDNA操作によってサメの脳を大きくする。それによって高度な知能を持つ巨大サメが襲い掛かってきて…。
これ好きなんですよね~。サメ映画と密室脱出系パニック映画を足したようなB級パニック作品! この手の作品のお約束を無視してあえて突っ走るところや、緊迫シーンで笑いを取ろうとする姿勢が好きです。これぞB級。
サメさんの食いつきっぷりもよかったし、DNA操作で巨大化・高知能化したサメなので、いい具合に主人公たちを追い詰めていってくれます。おかげで水没&崩壊しつつある研究施設から脱出するシーンは「ポセイドン・アドベンチャー 」みたいでハラハラできたし、サメとの対決もあって緊張感を持続させてました。 あと、黒人のコックさんがホント魅力的で、彼がいるだけでこの作品の好感度が3倍くらいにになってると思います。
とくに厨房でサメと対決するシーンがお気に入りです。ピンチなのに相棒のオウムを助けようとするし、それで水に投げ出されて必死にオーブンに逃げ込んだ時の「コックがオーブンで丸焼きなんて、何かの冗談ですか!神様!!」というような祈りが好き。思わず「神様じゃなくて監督or脚本家の仕業だよ」と教えてあげたくなりました(笑) あと、ビデオカメラを見つけた時に家族にメッセージを残すところも彼らしさが出ていて大好きですね。色々悩んで、一番伝えたいことが「美味しいオムレツの作り方」というところが。 すごく良い人で死んでほしくないと思えるキャラなので、ピンチになるたびに必死に応援してしまいました。 ラストは思わぬ大活躍でカッコよかったです。因果応報な結末もスカッとしました。
関連記事 「マインドハンター」観た 原題:HAUNTER 製作:カナダ・フランス’2013 97分 監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ ジャンル:★ホラー/サスペンス
【あらすじ】ある朝リサは、自分が誕生日の前日を何度も繰り返していることに気付く。家族に訴えても信じてもらえず、いつもと違う行動をとっても結局は同じ繰り返しに。外に出ることすらできない彼女は、この家で起こる怪現象に注目し…。
Gyaoで9月11日まで。きもだめし企画で観た最後の作品です。 これは個人的に好きですね~。主人公の黒髪少女が眼力あって素敵だなーと思ってたらアビゲイル・ブレスリンちゃんでびっくり。頑張ってるようで嬉しいです。 「CUBE」の監督さんのホラー(どちらかというとサスペンスファンタジー)作品ですが、グロは一切なしの安心設計。考えるな、感じろ!という流れは見る人を選ぶものの、家族や自分と同じ年頃の女の子たちのために必死で戦うヒロインが好きなら楽しめると思います。あとは、ストーリーのある悪夢を何度も繰り返してみるタイプの人にお勧めな作品。リアルな悪夢感を楽しめます。
私はそういうの大好きなので思いっきり嵌りましたね~。最初は「またこのタイプか」と思ったけど、それが明かされてからが本番! なんだかよくわからない曖昧なルールを、フィーリングと意志の力で解き明かして、道を切り拓いていきます(笑) 正直、ヒロインの行動やセリフで初めて「あ、そういうことなの?」となったこともちらほらあったものの、繰り返す一日、薄暗い洗濯室、洗濯機の裏にある小さな扉、通気口の向こうから聞こえるクラリネットの音と声、濃霧で何も見えない家の外…など不気味でミステリアスな雰囲気に身を任せて楽しめました。 相手の持ち物を通じて呼びかけるとか、クラリネットの演奏でシンクロするところとか、自分のためよりも誰かのために頑張るヒロインの気持ちが伝わってきて感動的。 悪役も実に悪役らしい奴なので、彼女を素直に応援できるんですよね~。色んな役を演じ分ける渋い俳優さんも良かった! ラストは彼女と家族の笑顔が見られて思わずホロリ。思わぬ拾い物でした。
原題:13 EERIE 製作:カナダ’2013 87分 監督:ローウェル・ディーン ジャンル:ホラー/SF
【あらすじ】大学で犯罪科学捜査を学ぶ6人の若者たちが、人里離れた元刑務所で本物の死体を使った試験を受けることに。だが、用意していない4つ目の死体を発見し…。
クリスマスに鑑賞したゾンビ映画です(笑) 低予算ながら、安心して観られるゾンビ映画でした。この邦題は意味不明ですが、ゾンビ(仮)の発生源となった場所が「恐怖の13号刑務所」だからということだと思います。ぜんぜん人造人間じゃない!
邦題はともかく、内容は良かったです。とくに導入が興味深い。人里離れた場所でオッサン二人が死体をあれこれいじっているところから始まるんですが、そこに若者がやってきて恐怖体験!?と思いきや、科学捜査研修生の卒業試験の場所なんですよ。で、本物の死体を使って現場と遺体の検証を行っていたところ、用意していないはずの4つ目の死体を発見し…という流れ。
みんな卒業のために必死だし、死体には多少慣れてるし、そもそも変なことがあっても「これはテストだ。教授が俺たちの反応を見てるんだ」と考えてしまって、なかなか逃げ出しません。 本能的に恐怖を感じているひともいるものの、誰も相手にしてくれない! 二人一組で三か所に分かれてるから、異常を察知した人たち同士はなかなか出会わないという…。
ゾンビは走る系で、元刑務所という舞台なのに外や小屋での戦いが基本。ボロいから床からバーン!と出てきたりして、これはこれで緊張感あります。タトゥを入れたゴツめの囚人服ゾンビがなかなか怖いかも。 一番グロイシーンは化学薬品を使ってゾンビを倒すところですかね。しかも相手は元友人たち。容赦なく一人で二体と戦うヒロインに痺れました。かと言って無敵というワケではなく、ちょっとしたドジで彼氏を殺しかけたり…。
期待しすぎると肩透かしになりそうですが、低予算だと割り切ってみれば十分見られる安定のシリアスゾンビ系。ラストはちょっぴり茶目っ気もあって、ベタだけど好きです。 しかし、ヒロインと教授はもっと早く本気出せよ!
原題:A NIGHT TO REMEMBER 製作:イギリス’58 124分 監督:ロイ・ウォード・ベイカー 原作:ウォルター・ロード ジャンル:★パニック/ドラマ
【あらすじ】1912年、不沈の船と言われる豪華客船タイタニック号は、2200人以上の乗客を乗せ処女航海に出た。だが、氷山との衝突によって想定外の損傷を負った船体は、ゆっくりと黒い海の中に沈み始め…。
実は先月上旬に見ました。音楽がというか、演奏シーンがとても印象的だったので、そのつもりで見たわけじゃないけど音楽映画祭の作品にしようか迷ったくらい。 さて、邦題は”SOS”の部分がちょっとダサいけども、これは傑作だと思います。タイタニックの事故のことを知りたいならこれを観ればいいし、キャメロン監督の「タイタニック」が好きな人にもぜひ観てもらいたい!
まず、1958年に作られたのに映像でガッカリすることはほとんどないというのが素晴らしいです。ショボく感じたのは氷山くらいかな? モノクロの映像をテレビの小さい画面で見たにもかかわらず、船が軋み真っ黒い海に沈んでいくシーンは圧巻でした。たぶん構図とかも上手いんだと思います(キャメロン監督が真似したぐらいだし…)
それでいて映像に頼り切りというわけでもないんですよ。「この船が沈むわけがない」と思い込んでいる人たちののんきな様子と、一等客室(の女子供)を最優先で助けるのが当然という空気、それをわかっていて最後まで人々のために音楽を奏でる演奏家たち、そして、すぐ目の前で起こっていることに最後まで気付かなかったカリフォルニアン号の船員たち…。その様子が淡々と描かれており、どうなるかわかっている鑑賞者の焦りと恐怖を掻き立てます。
ホントもう、救難信号を必死に送り続ける通信士や、海水が侵入してくるなか修理を続ける機関士たち、母親とはぐれた幼い子供と彼を必死に抱くおじさん(演奏家のひと?)などを観ていると、『カリフォルニアン号許すまじ!!』 って感じですよ!!! あの船の通信士が眠ってなければ、通信に気付いた人が通信士を起こしていれば、船長が報告を真面目に受け止めていれば、甲板にいた船員が異常に気付いていれば、…あと、タイタニック号も救命ボートを人数分以上用意していれば、きっとほとんどの人が死ぬことはなかったのに! あの場にいたのがカルパチア号だったら、と何度思ったことか…。
この事件の後、救命ボートの数と通信士の24時間体制のルールが追加されたらしいけど、ナレーションのように「この事故は無駄ではなかった」とは素直には思えなかったです。むしろ、ここまで死者を出さなければわからなかった、ということが腹立たしいし哀しい。その2つが見直されるのは当然のことで、それ以上に事故の予防、事故が起きた時の被害を減らす方法を徹底的に話し合ったかどうかが気になります。
船に残ると決めた設計士アンドリュースと、ボートでも周りの人たちを救ったライトラー2等航海士の自戒の言葉が印象的でした。
原題:COCKNEYS VS ZOMBIES 製作:イギリス’2012 88分 監督:マサイアス・ヘイニー ジャンル:★コメディ/ホラー
【あらすじ】祖父が入居する老人ホームが閉鎖されることになり、仲間を集め銀行強盗を決行したテリーとアンディたち。しかし、なんとか金を手に入れたところで、町中にゾンビがあふれかえっていることに気付く。兄弟は祖父を助けるため、ゾンビを掻い潜り救出に向かうが…。
これは良いゾンビ映画ですね。OPからカッコよすぎだし選曲もセンスあります。 前半は割と普通なんですけど、舞台がお祖父ちゃんたちがいる老人ホームに移ってからグッと面白くなってくるんですよ。数あるB級ゾンビ映画に埋もれないように個性発揮してます。 この作品のゾンビは昔ながらのノロノロ、知性なしで、怪力でもありません。ノロノロでも緊張感を出すには、数で勝負したり、人間側にも不穏分子を置いたり、逃げ場がない状況に追い込んだりしますが、この作品はまったく別の方法を編み出しました。動きがノロノロのゾンビには、同じくノロノロの老人で対抗すればいい!という新発想です(笑) このノロノロ追いかけっこが、見せ方がいいのもあって大笑いなんですよ。ノロノロしてるのに物語のテンポも悪くなってないし、むしろここからが本領発揮。
若い方のチームでは割と早い段階で不穏分子が退場して、最強にクールな老人たちと合流してヒャッハー状態へ突入です。ミッキーとか言うイカレ野郎を仲間にした時は「バカなの?」と思ったけど、入れといて正解でしたわ。彼がいなかったら生き残れなかったもんね~。それに、頭に鉄板入ってる伏線があんな風に活きてくるとは。彼もこの物語に欠かせない人物でした。 戦争経験のある祖父もさることながら、他の老人たちもはっちゃけてて良かったです。歩行器に固定したマシンガンでゾンビを一掃する老人や、銃の扱いに妙に手馴れているおばあちゃんも良い。 ラストは妙な感動と爽快感もあり、若者と老人が手を組んでイギリスを元気にしていこうぜ!という力強さがあって、またいつか観たいなと思えました。 ちなみに、原題の意味は「ロンドン下町っ子VSゾンビ」。まさにそんな内容。
原題:THE BATTERY 製作:アメリカ’2012 100分 監督:ジェレミー・ガードナー ジャンル:★ホラー/ドラマ
【あらすじ】ゾンビが蔓る終末世界。元野球選手のベニーとミッキーは、車で移動しながらキャンプ生活を続けていた。点々と移動する生活にうんざりしていたミッキーだったが、あるとき拾ったトランシーバーからアーニーという女性の声が聞こえてきて…。
これはすごく好きです! ゾンビやグロ描写がほとんどないのにもかかわらず、絶望的で切なくなる青春ロードムービーなんですよ。ゾンビものでロードムービーというと「ゾンビランド 」が思い浮かびますが、あれと比べると超低予算映画なのでグロ描写はほとんどありません。それでも絶望感は断然こちらが上でした。 好きな人はすごく好きだと思います。ぜんぶ説明されるより、描かないことで想像力を掻き立てられるタイプの作品が好きな人にはお勧めですね。
男ふたりが、ゾンビだらけになった世界で旅をしているところから物語は始まります。 髭男のベンは、現実主義者で行動的でタフな男なのに対して、ミッキーはロマンチストで一人じゃ何もできないヘタレ。ゾンビと遭遇してもベンがバットで退治するのをそっと見守るだけだし、その癖、文句ばかりでベンに当たり散らします。 でもベンは、そんなミッキーにキレるわけでもなく、見捨てることもなく、癇癪を起した子供を見守る父親のように接しているんですよね~。
ここでミッキーにイラっとする人も多いかもしれませんが、そんなダメダメなミッキーがいるからこそ、彼の心配をすることでベンは色々な不安から目をそらすことができます。 こんな風になってしまった世界で唯一信頼できる相手が「バッテリー(原題です)」であるミッキーで、ベンにとってもかけがえのない存在だからこそ、ミッキーの子供っぽい言動も我慢できる…どころか、楽しんでいるようにも。 野球っぽい要素はたまにキャッチボールをするくらいなのに、彼らが元野球選手だという設定がいきてました。
この世界で一番注意しなければならないのが”他人”だということは、無線から聞こえてきた女性の声の警戒する態度からもわかります。 彼女に興味を抱くミッキーに対し、彼女が属しているコミュニティは厳しい規律によって安定を保っているようで、関わらないでほしいと冷たく言い放ちます。 他にも、車を奪われそうになるエピソードもあり、ゾンビが少ないのどかな前半が嘘のように緊張感が増してきます。
その後の展開はもう静かながら絶望的で、あまり動きのない映像にもかかわらず心臓がギュッと縮まるような感じがしました。バカ騒ぎをしているくだりが切なくて、二人の神経が削られていくのが見て取れます。 とくに、車内の長回しのシーンは見ていて泣きそうになるくらいで、ベンが初めて見せる動揺が印象的です。バッサリ見せない演出も効いてました。
そしてラスト、ベンが無線に向かって放つ言葉…彼の強い決意が、不思議とこの作品の後味を悲しくも清々しいものにしています。 最近は走るゾンビや運動能力が異常に発達した化け物のようなゾンビが多いですが、のろのろで弱くて知能も低いからこそ、物語が盛り上がる場合もあるんだと教えてくれました。 今年の肝試し企画最後の作品がこれでよかったです♪
さすがにホラー映画ばかりで飽きてきたので、次の単独記事で私の肝試しは終了です。 B級C級Z級の作品を観まくったおかげで、許容範囲が(主に下に)広がったぜ!
8/27「感染創世記」 ゾンビ映画というより戦争映画でしたね。ゾンビから日常を守るために戦う集団に、主人公が取材する様子を描いた作品で、まともな神経では元人間を毎日何百体も殺せないというのがわかっていく。いちばんイカレているのが、若い女ゾンビを捕まえて…のエピソード。感染のリスク高すぎぃ!手ぶれがなければ、社会派ゾンビ映画としてそれなりに観られる作品だったと思います。 8/27「シー・オブ・ザ・デッド」 「ゾンビ沼」と同じ監督さん。相変わらず斬新でBGMが合ってなくて血みどろだったけど、機材がパワーアップしていて映像がキレイ。ブラジルの肉感的な女優さんを楽しめるし、今回はオッパイもいっぱいです。後半ははっちゃけすぎていて意味が分からなかった(汗) 8/27「デス・マングローヴ ゾンビ沼」 Z級ゾンビ映画。見る人は選ぶものの、色々と斬新。一匹かと思ったら沼の中から次々にゾンビが立ち上がって囲まれているという絶望的な状況とか、感染しかけた人をふぐ毒で救うとか。あと、ブラジルの民間療法なのか、焼きレモンが万能薬扱いでウケた。色々と拙い部分が目立ちますが、ゾンビの特殊メイクは力が入っているし、CGなしで頑張っていて好感が持てます。エド・ウッド作品が好きなら楽しめるかも。 8/24「ホステル3」 ホラーおみくじで出たので鑑賞。個人的に拷問系はストレスが溜まるだけだから、パワーダウンしたらしい3でよかったです。それでも最初の犠牲者のシーンは痛々しい…。でも、序盤の展開や、後半のただのアクション映画と化した展開はそれなりに楽しめました。ラストは主人公覚醒しすぎ!ぜったいご近所さんに通報されるだろ(笑) 8/21「シャークネード エクストリーム・ミッション」 なんかついていけないと思ったら3作目か。1も2も観てないよ!しかし、サメ台風という発想は面白いし、チェーンソーでバッタバッタとなぎ倒すノリも好きだけど、89分はさすがに長くないですか?何気に「トリプルヘッドジョーズ」が登場したり、007風のオープニングや、ちゃんと使える金のチェーンソー、ライトセイバー風の改造チェーンソー、ラストの大気圏突入や赤ん坊の登場の仕方などは面白かったです。やはり1作目から見ないとダメか~。 | HOME | OLD » .