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素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「華麗なる激情」観ました

華麗なる激情
原題:THE AGONY AND THE ECSTASY
製作:アメリカ・イタリア’64
監督:キャロル・リード
原作:アーヴィング・ストーン
ジャンル:★歴史劇

【あらすじ】1508年。シスチネ礼拝堂を建てた法皇は、天井に使徒のフレスコ画を描けとミケランジェロに命じる。気が進まない彼は描きかけのまま一度は姿を消すが、カララの石切場で突如構想がひらめく。法皇から旧約創生記を描く許可をもらったミケランジェロは、天井画制作に心魂を傾けてゆく。

これは見ごたえある作品ですね。とくに教会関係の芸術が好きな人にお勧めです。
ミケランジェロって、名前からしてキラッキラしてそうなイメージ持ってたんですが(笑)、映画では汗・砂埃・絵の具まみれで高貴な身分の人に仕えてるようにはまったく見えませんでした。戦争ばかりで資金難なのか、まともに給料ももらえず庶民以下の暮らしだったかも。
でも、のめり込んだら寝食も忘れて制作に励むタイプなので大丈夫。ホント頑丈な人だなぁと感心するほどで、上を向いて腕を上げて描く様子は見てるだけで肩と首が痛くなりそう。これを何年も続けるなんて常人には無理でしょう。
まあ人間なので、無理をしすぎれば当然倒れたりもするんですが…。彼を守ろうとする幼馴染に法皇が言った「奴の体には絵の具が流れている」というセリフがしっくりきました。

そんな身を削って絵を描き続けるミケランジェロに対し、そわそわしながら毎晩のように絵の進行具合を確認に来る教皇が可愛かったです。「私の絵はまだ完成しないのか?」という感じで(笑)
そんな二人が、芸術を介して不器用ながら友情を育んでいくのが良いですね。怖いもの知らずなミケランジェロはズケズケものを言うし、なんだかんだそれを許してしまう教皇もいつしか彼の前では本音で話せるように。こういう身分差を越えた友情って素敵です。
戦場で敵がすぐそこに迫ってきてるのに、二人して新しい天井画計画に夢中になるくだりは、ホント二人とも芸術を愛してるんだなぁと微笑ましくなりました。
終盤は教皇がいいこと言ってて、とくに「生まれ変わったら芸術家になりたい」という台詞は、ミケランジェロの才能を心から尊敬し、僧侶として自分がやってきた事について真剣に考えているのが伝わってきて感動しました。

ちなみに、原題の意味は「苦痛と恍惚」で、ストレートだけどわかりにくいかも。邦題はまったく内容が想像できないし、何か日本人にもわかりやすい粋な邦題にしてほしかったです(他力本願)。

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映画「ジャック・ソード 選ばれし勇者」観た

 | 歴史・実録ドラマ  com(0) 
Tag:フランス 

ジャック・ソード 選ばれし勇者
原題:JACQUOU LE CROQUANT
製作:フランス’07
監督:ローラン・ブトナ
原作:ウジェーヌ・ル・ロワ
ジャンル:★歴史劇/ドラマ/アクション

【あらすじ】1815年フランス。革命により貴族たちが国に戻り、村人たちはごう慢な態度をとる彼らに日々不満を募らせていた。農夫の子として生まれたジャックは両親と共に幸せに暮らしていたが、ナンサック伯爵の無慈悲な行動により両親は命を落とし…。

GYAOで鑑賞。こんな邦題だけど農民一揆を題材にした歴史劇です。
原題「JACQUOU LE CROQUANT」の意味は「百姓ジャック(ジャクー)」。ジャックという人物はフィクションっぽいですね。CROQUANTはこの映画の時代のちょっと前に一揆を起こした農民たちの事。
フランス版ロビンフッドと紹介されていて、アクションはたいしてなかったけど、とても見やすく150分の長編でも集中して観られました。
長くてもムダなシーンは一つもなかったし、衣装とかダンス対決が素晴らしい。
ダンス対決と書くと馬鹿っぽいけども、相手は伯爵ですからね。人前で貴族に恥をかかせるのがどういう事かわかっててやってるんで、にらみ合いながらプライドを賭けて勝負するくだりはやたらと緊張感があって引き込まれました。
しかも、ダンスの時に流れる音楽が超私好み!
好きなゲーム「クリスタルクロニクル」とよく似た雰囲気の曲で、あのゲームはフランスのあたりの民族音楽を参考にしてたのかなぁ。

その後、伯爵に捉えられて下水に落とされたジャックが、ボロボロになりながらもそこから脱出するくだりや、平民を舐めるなと言わんばかりの城攻めはぐいぐい引き込まれたし、彼らしい決着のつけ方にも納得。
この時代は平民も裁判を受ける事ができ、貴族も平民も法の前では平等ということになっていても、実際には権力を持つ者が勝つのが現実で、彼が成し遂げた復讐はその形ばかりの裁判への復讐とも言えるかな。
裁判の様子を窓からのぞく子供たちに、悲しい子供時代の記憶を重ねる描写に目頭が熱くなりました。
そして、何よりも素晴らしかったのがヒロインです。
正統派幼馴染ヒロインもいいけど、主人公に命を救われたことがある(危機に瀕した原因も主人公だけど最後まで打ち明けなかった 笑)伯爵の娘がツンデレで、乗馬と弓が得意な男装美女とかわたしのためにいるのかというくらい好み。
ラストの爽やかさもこのふたりがいたからこそだと思います。

にしても、この邦題とパッケージの残念なことと言ったら…。剣なんてほぼ持たなかったと思うし、パッケージで剣を持ってるのは合成。本国のパッケージではジャックの”J”が草刈用の鎌になってるんですよ。
彼がいつも使ってたやつ。どうして変えたのかなぁ…。

映画「バンディット」観た

原題:JANOSIK. PRAWDZIWA HISTORIA
製作:ポーランド、スロバキア、チェコ'09
監督:アニエスカ・ホランド、カシア・アダミク
ジャンル:歴史劇/ドラマ

【あらすじ】1711年、戦乱に巻き込まれ皇帝軍に身を置いていたヤノシークは、ビトチャ城に投獄されていた盗賊団の首領トマーシュと出会い意気投合する。彼の脱獄を手伝い、皇帝軍からの除隊にも成功した彼は、平穏な生活を求め牧童として働き始めるが…。

gyaoで鑑賞。145分の長尺作品で前編後編に分かれてます。
「秘密の花園」や「敬愛なるベートーヴェン」の監督と、その娘さんで撮った作品ということで鑑賞。
一言感想に書こうかと思ったんだけど長くなりそうなので記事に。イラスト描く気力は湧きませんが。
ヤノシークの伝説自体を知らないし顔が見分けられなかったので十分理解できたとは言えませんが、「チェコの古代伝説」の衣装などと似たような登場人物たちが見られたので最初から楽しめました。
結構グッとくるセリフが多くて、「これからはお前と俺の名誉を守る」というような事を未来の嫁さんに誓うシーンや、病に倒れた仲間がヤノシークに「どんなに強い軍にいても死からは逃れられない。殺るか殺られるかだ。でも、盗賊団でなら人を殺さなくてすむ」と言うシーンが印象に残りました。
反戦映画でもあると思います。

あと、女がみんなインパクトあって、宿屋の娘がヤノシークに目をつけて、ヤクを盛って既成事実を作るところとかマジ肉食系。
死にかけた男に、新鮮な馬糞の絞り汁を渡して「死にたくないなら私を信じて飲め」というおばあさんとか(笑)
後半はもっと恐ろしい女が出てきて、むかし”魔女”と呼ばれた人たちの中にはネグレクトとかサイコパスとか本気でヤバイひとたちも含まれてたんだなぁと思いました。
残酷なシーンもハッキリ描いている作品なので、そこらのホラー映画より怖いかも…。
拷問や残酷すぎる死刑方法とか見ると、現代の日本に生まれてよかったと心底思えます。
終盤は本気でゾッとしたから、死刑制度廃止を訴える作品でもあるかも。
一方で、酔った時や瀕死の時に空を飛んでいって(亡くなった?)おばあちゃんとお話しするなどのファンタジックな表現もあって、それプラス、ラストの美しい日の出やそれを見るヤノシークの表情に少し救われました。

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映画「フェア・ゲーム(2010)」観た

フェア・ゲーム(2010)
完全に頑張りどころを間違えたわー。
原題:FAIR GAME
製作:アメリカ’2010
監督:ダグ・リーマン
原作:ジョセフ・ウィルソン、ヴァレリー・プレイム・ウィルソン
ジャンル:サスペンス/ドラマ

【あらすじ】9.11同時多発テロ以降、アメリカのブッシュ政権はアルカイダへの報復を進めていた。やがて、イラクが核兵器開発を行っているとの疑惑をもとに、CIAの女性諜報員ヴァレリー・プレイムがその証拠を固めに動き出すが…。

Gyaoで観た実話もののサスペンスドラマです。
前半は顔が見分けられない人がだんだん増えていって(笑)、誰がどの立場なのかも混乱してあやふやなままかろうじて付いていったという感じでしたが、後半はぐいぐい引き込まれました。
食卓でのケンカも、マスコミや世間の反応も、戦争の始まりも、すべて似たようなものだという事でしょうか。
疑いがあるというだけで、真実を知っているわけでもないのに”悪”だとか”敵”だとか決め付けて排除する…その理不尽さに気付くのは、排除される側になった時なのかもしれません。
夫婦を演じるナオミ・ワッツとショーン・ペンの演技が素晴らしかったです。
CIAのイメージってあんまり良くなかったけど、彼女はCIAである前に彼の妻で、双子の母親で、一般家庭に生まれた普通の女の子だったんですよね。
彼女がくじけそうになった時、父親が幼い娘が投げ縄の練習をしている姿を差して、「上手くできるまでロープを離さん。頑張り屋だ」と言い、それを見て自分の進むべき道をみつけるシーンが印象的。
政府に裏切られ、大切なものをズタズタに引き裂かれていく過程がじっくり描いていて、じわじわと押しつぶされるような感覚からラストの開放感がよかったです。
でも、助けは必ず来ると信じていた例のお兄さんの顔がちらつく…。
彼らのような人が他にどれほどいるんでしょう?
ちなみに、原題の意味は「格好の標的」だそうです。原作のタイトルで、劇中でも使われています。

映画「サン・ルイ・レイの橋」観ました

サン・ルイ・レイの橋
原題:THE BRIDGE OF SAN LUIS REY
製作:スペイン・フランス・イギリス’2004
監督:メアリー・マクガキアン
原作:ソーントン・ワイルダー
ジャンル:★歴史劇/ドラマ

【あらすじ】18世紀、ペルーの都市リマ。山奥の聖地へと続くサン・ルイ・レイ橋が落ち、偶然居合わせた5人が不慮の事故で命を落とす。目撃者の修道士は、彼らの死の理由…神の意思を知るため、6年もの歳月をかけて彼らの人生と共通点を探るが…。

Gyaoで鑑賞。ほんのりネタバレしてるかも?
宗教色の強い作品かなぁと身構えてしまったんですが、異端審問とかあるものの、一番大切なのは”愛”という普遍のテーマなので問題なかったです。
まあ、異端審問やこの時代の事をわかっていた方がわかりやすいですけどね。大雑把にまとめると、こんな調査をせずにはいられない神を疑う心の持ち主は、教会にとって不都合ということでしょう。彼の影響を受けて、信者たちが自分の頭で考え出したら扱いにくいという事です。
でも、この作品において彼の行動や理屈に大した意味はなくて、彼らの物語を伝える事が役目だったと思いました。

5人それぞれ思うところはありましたが、やはりキャシー・ベイツ演じる公爵夫人が印象に残りました。
おそらくユーモアのセンスのある頭のいい人なのに、それが誤解されて愚かな変人扱い(原作では吃音があるらしい)。頻繁に娘への手紙を書き続けているものの娘は冷たく、酒に溺れてふらつく(そして失敗して嗤われる)姿が哀しい…。
「ベラスケスの絵のネックレスが見事だったから、(絵の中の)王妃から貰い受けた」なんて表現してしまうお母さん、素敵ですよね?
映像化されたそのシーンも素晴らしかったです。

途中、彼女の世話をしていた修道女のペピータが、「帰りたい」という内容の手紙を夫人に見つかってしまうんですが、その時「美しい手紙ね」と言われて「こんなもの」とばかりに捨ててしまうのは、自分を恥じたからでしょうか?
夫人の届かない手紙を大事に全部とっておいたのも彼女だし、誰よりも夫人の才能と孤独を知っていたわけだから、自分の弱さや夫人には及ばない文章、夫人を悲しませたかもしれないという事で、いたたまれなくなってしまったのかなぁと思いました。

この作品、基本的に心情を表すセリフが少ないので(修道士の調査に基づいてるから)、何考えてるかわからないシーンが多いです。
想像力を働かせないと置いてきぼりくらうかも…。
でも、最終的には修道院の院長がまとめてくれるから難しくはないです。
「みな、誰かに愛され、そして忘れられる。
~生者の国と死者の国を繋ぐのは愛。愛だけは残る、唯一意義のあるもの。」

5人の犠牲者すべての物語を目にした後だと、このセリフが深く心に響きました。
衣装や美術は素晴らしいし、キャストも豪華で見ごたえある秀作です。

映画「モリエール 恋こそ喜劇」観た

 | 歴史・実録ドラマ  com(4) 
Tag:フランス 

モリエール 恋こそ喜劇
原題:MOLIERE
製作:フランス’07
監督:ローラン・ティラール
ジャンル:★歴史劇/ロマンス/コメディ

【あらすじ】1644年フランス。駆け出しの劇作家兼役者モリエールは、劇団の経営難で債権者に追われる日々を送っていた。そんな時、金持ちの商人ジュルダンが、借金を肩代わりする代わりに演劇の指南役を依頼。司祭“タルチュフ”と名乗り末娘の教育係としてジュルダン家に潜り込んだモリエールだったが…。

なんというか、私的にこの作品の主人公は”稀代の間抜け”を演じていたジュルダンでしたね。彼が終盤、夫としての自覚と尊厳を取り戻すことにより、不倫も”荒療治”だったと思えるというか…。引き際が良かったのもあって嫌悪感はほぼなかったです。
実は観たのがファンタジー企画の頃で、はっきり覚えてるのはジュルダンのシーンばっかり!
若く美しい公爵夫人にのぼせ上がり、才能もないのに詩や芝居を披露しようと頑張ったり、舞い上がって大仰な挨拶を繰り返したり、まるで少年みたいに自分も周りも見えなくなってしまっている姿が憎めません。
夫としても父親としても最低なのに、きちんと喜劇としてみせてくれるんですよね~。
お気に入りは、憧れの公爵夫人の本性を知るためとある方法で潜入し、真実を知って冷静になり、彼女にささやかな反撃をするシーン。あの格好で真剣な表情、痺れるセリフを言うものだから、カッコいいやら笑えるやら!
また、奥さんが浮気している事に気付いても相手についてはぜんぜん思い当たってなくて、よりによってモリエールに相談してしまうところは、もはや間抜けを通り越して人を疑う事を知らない純粋な人なんじゃないかと思えてきたり(笑)
商人として成功してるから、慎重で狡猾な部分もしっかりあるはずなのになぁ…。
とにかく、ファブリス・ルキーニ演じるジュルダンが魅力的で、前半の間抜け面から後半のキリリとした表情の変化、ギャップがたまらないです。
ネタバレですが、財産目当てで政略結婚をさせようとしていた伯爵を追い払うため「火事で財産を全部失った」と一芝居うつ時の、冷たさを秘めた表情もいい!
気持ちよく見終えることができました。

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映画「アポロ13」観ました

アポロ13
読み:あぽろさーてぃーん
原題:APOLLO 13
製作:アメリカ’95
監督:ロン・ハワード
原作:ジム・ラヴェル、ジェフリー・クルーガー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ/実録

【あらすじ】1970年、NASA。アポロ13号打ち上げの準備が進められ、ジムら3人の飛行士チームが乗組員に任命される。だが、ケンが風疹と診断され、予備クルーのジャックが代替搭乗する。4月11日、13号は月へ向けて打ち上げられるが…。

久しぶりに再見。やっぱりいいですねぇ、名作です!
ジムの奥さんに感情移入できるようになって、もう最初から何度も涙腺が緩みました。
悪夢で目覚めたり、幼い息子に事故の話をする夫を、扉の影から見守ったり、結婚指輪を排水溝に流して取り乱すなど…気持ちがわかって涙で画面が見えなくなりそう(笑)
そんな出発前から不安に押しつぶされそうになっていた彼女が、いざ不安が現実のものになろうという時、家族を守り、マスコミに毅然と対応する姿に感動!
彼女がしっかり描かれている分、ジムの地球へ帰りたいという気持ちも際立ってました。
一方、緊張感溢れる船内の主人公たちと、彼らを支えた管制室の面々が一丸となって事態に対処していく過程も、手に汗握ります。
限られた資材、電気、時間の中で、どうやって必要なものを船内からひねり出すのか?
それを全員が必死に試行錯誤している姿を見たら、宇宙に行くというのは宇宙飛行士だけではなく、たくさんの仲間の協力があってのことなんだなぁと、しみじみ思えました。
中でも、風疹と診断されて地球に残る事になったケンの活躍が、爽やかな感動をもたらします。
何気に一番かっこいいのが主席管制官ジーン・クランツ。ビシッと白いベストを着こなし、的確な指示を出す姿に痺れました。祈るように返答を待つ時の表情も印象的。
ラストはどうなるかわかっていても、みんなと一緒に「わーーー!!」っと喜びたくなってしまいますね。
色褪せない感動を味わえてよかったです♪

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映画「八甲田山」再見

八甲田山再見
製作:日本’77
監督:森谷司郎
原作:新田次郎
ジャンル:★伝記/ドラマ

【あらすじ】明治34年末、日露戦争を目前にして陸軍は寒地訓練の不足を痛感していた。ロシア軍と戦うためには雪中行軍をし、兵士たちに雪と寒さの厳しさを教えなければならない。そして、生きては帰れぬ冬の八甲田山が訓練地に選ばれ…。

ホラーじゃないけど怖い作品です。
前に観たのがTVカット版で、完全版が見たくてBSシネマにリクエストを送ってたのと、最近観たアニメにこれのオマージュがあったっぽいのと、長くてなかなか再見できないと思ってたら肝試し企画が始まったので再見しました(多い!)
やはりすごい作品です。突然発狂して服を脱ぎ出す辺りから、冬山の恐ろしさに背筋が寒くなってきました。
辛いながらも着実に行軍を続ける徳島一行と、ピクニック気分からこの世の地獄絵図に変わり果てていく神田一行。バタバタと人が倒れ、発狂し、絶望に染まっていく様は何度見ても恐ろしいし、そんな状況だからこそ春や夏の美しく懐かしい風景に想いを馳せてしまう人間のたくましさに圧倒されます。これが出来ない人から発狂していったんだろうね…。
徳島一行の案内人への敬意には相変わらず惚れたし、完全版だからか、意外と後半になっても神田一行の士気はかろうじて残っているのがわかって、素直に軍人すげぇと思いました。
サバイバルサスペンス作品とか、ここまでの状況に陥ったらほんの一部以外はばらばらになってしまうのが定番だし。ちゃんと命令聞いて上官を引きずって歩くとかすごいよ!
また、遠く離れていても、弟の最期の声がはっきりと聞こえたくだりや、亡き神田と語るシーン、そして「もっと早く来ていれば…!」という無念の想いには涙ボロボロ。
本気で後悔して反省して耐え切れなくて自害する上官の姿にも複雑な思いがしました。生き残った人も凍傷で手足切断したという話だし…。
この作品を本当に八甲田山まで行って撮影したというのは凄いけど、イカレてるとつくづく思います(汗)
あと、アニメで使われていた軍歌「雪の進軍」も改めて聞くと歌詞が悲惨で、それがこの映画にぴったりだった事に気付きました。
再見できてよかったです。

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「八甲田山」観ました

映画「冬のライオン」観た

 | 歴史・実録ドラマ  com(2) 
Tag:イギリス 

冬のライオン
原題:THE LION IN WINTER
製作:イギリス’68
監督:アンソニー・ハーヴェイ
原作:ジェームズ・ゴールドマン
ジャンル:★歴史劇/ロマンス

【あらすじ】1183年、イギリス国王ヘンリー2世は、後継者を決めるために一族を召集した。リチャード、ジェフリー、ジョンの息子三人のほか、幽閉状態の王妃エレノア、さらにフランス国王フィリップと彼の姉でヘンリーの愛人アレースも呼ばれ…。

まさに私の持つ王族のイメージぴったりで、ぐいぐい引き込まれました。とくに前半のヘンリー2世の、家族や愛人とのやりとりもすべて政治のための謀略の一環で、自分の言うとおりにしていればこの国は平和は保たれるという自信に満ちた態度がいい。係わり合いにはなりたくないものの、彼のような人がいないと国は成り立たないのかもと思えてきます。
まあ、自信の割に問題の多い人でしたが(笑)

この夫婦(家族)はあまりにも謀略に慣れてしまっていて、愛を戦争と同じように思考しているように見えるんですよね。
みんなして後継者を自分の思う者に(もしくは自分に)決めさせようとして、家族内で腹の探りあい、騙し合いを繰り返し、まるで権力を手にすれば愛に飢えた心が満たされると思っているような節がありました。
彼らでなくとも、王族とは家族の問題と政治の問題を切り離せないものなんでしょう。
でも、ほれた弱みを隠すかのように「一度もあなたを愛した事はない」とお互いに傷つけあう姿には、歪んでいるなぁと思わざるを得ません。
ラストは夫婦で共倒れしつつ、なんとか夫婦として、好敵手として、あらたな?関係が始まったようでよかったような、未解決問題山積みでぜんぜんダメなような…(笑)
ぶっちゃけ、彼らの駆け引きについていけなかったけど、なんだか王族の苦悩がわかったような気になれる作品でした。
にしても、王族の女は強い!
タイトルの意味は晩年の王様のことだろうけど、彼女たちも充分ライオンでした。

映画「アメイジング・グレイス」観ました

 | 歴史・実録ドラマ  com(5) 
Tag:イギリス 

アメイジング・グレイス
原題:AMAZING GRACE
製作:イギリス’06
監督:マイケル・アプテッド
ジャンル:★ドラマ/歴史劇

【あらすじ】18世紀。イギリスの収入の多くが奴隷貿易によるものであることに心を痛めていたウィリアム。元奴隷船の船長である恩師が、その罪を悔いて作詞した「アメイジング・グレイス」を心の支えに、彼は政治家として奴隷貿易廃止を懸命に訴え続ける。

奴隷制度が酷かったというのはわかっていたつもりだったけど、ここで伝えているのは想像以上でした。まるで苦しめるためだけに捕まえてきたかのような扱い…。もし映像で見せられてたら、ウィリアムのようにうなされそうです。
冒頭の馬のエピソードがこれから描かれるものの全てを要約してるといってもいいですね。凍えるような雨のなか、体調が優れないのに馬車を止めて馬を助けるウィリアム。誰かが苦しんでいるのを見てみぬ振りをする方が、自分が苦しい思いをするより辛いという彼の性分がわかります。使用人たちが彼と友人のように接しているのも、彼の人柄が伝わってきました。
ウィリアムの現在の苦悩とバーバラとの出会いを描きつつ、理想のために戦った過去を振り返っていく構成が微妙に混乱したけど、二つの時系列がひとつに繋がって、そこから本当の戦いが始まるという展開が熱い。彼に足りなかったのは彼女だった!
ラスト、彼が最期まで不正と戦い続けた事が示され、妻の事は触れられてないものの、彼女が支えたからこそ戦い続けることが出来たんだと思えました。
また、かつて奴隷船の船長で、今は後悔して牧師をしている恩師も忘れちゃなりません。「我々が猿で、彼らだけが人間だった…!」というセリフとか、盲目になって「今なら見える」と涙を流すシーンが印象的。
アメイジンググレイスという曲に込められた想いや、奴隷制度廃止のために戦った人々について知ることができて良かったです。

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映画「クロムウェル~英国王への挑戦~」観た

クロムウェル~英国王への挑戦~
原題:TO KILL A KING
製作:イギリス'03
監督:マイク・バーカー
ジャンル:ドラマ/歴史劇

【あらすじ】17世紀のイギリス。絶対権力を振りかざすチャールズ1世に反発し、打倒王政を誓う議会派のオリヴァー・クロムウェル。親友トーマス・フェアファクスと軍を率い、勝利を収める。だが、やがてふたりは意見の違いからすれ違い始め…。

イギリスの歴史は良く知らないけど、一度だけ共和制になった時のお話みたい。主人公のクロムウェルは、「わが命つきるとも」でヘンリー8世の結婚に賛成し、大出世したトマス・クロムウェルの子孫です。
無慈悲な暴君を見限ったクロムウェルと、まだ良い王になる可能性を捨てきれない忠誠心の高いトム。ふたりがすれ違っていく過程が丁寧に描かれてました。
クロムウェルの苦悩がじわじわ伝わってきます。盟友であるトムに強い憧れというか、絶対にこうはなれないというコンプレックスを抱いていて、なんとなく奥さんを敵視…もとい革命の不穏分子として警戒してるんですよね~。
奥さんもそれに気付いていて、自分の理想を実現するためにトムを利用し(てるように彼女には見える)、危険を呼び込むクロムウェルから、なんとか夫を取り戻そうとします。
まあ、奥さんとクロムウェルがトムを取り合う話みたいな(笑)

一度は夫の信念を裏切るような行動をとってしまう奥さんですが、王やら王党派やら、今まで信じてきたものに「このままじゃトムが死ぬ」と口々に言われたら、彼女の行動も仕方ないかなぁと思えました。一番身近に感じる登場人物です。
トムの方も、平和を望んでいたのにクロムウェルが暴走するわ、奥さんは冷たいわ、王様は反省しないわで大変そう。途中、危険を冒してまでホーレスを逃がした意味がよくわからなかったけど、あのひと幼馴染だったのか…老けた幼馴染だ。
ラスト直前はもうちょっと引っ張って、盛り上げてほしかったなぁ。あっさり淡々と顛末を描いていて、余韻にも浸れなかったです。
でも、17世紀のイギリスがリアルに描かれており、戦闘シーンはほぼないものの見ごたえある歴史劇でした。

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映画「ナチスの犬」観ました

 | 歴史・実録ドラマ  com(0) 
Tag:オランダ 

ナチスの犬
弟くんが「シー」と言われるのは2回、意味があるのかな?
原題:SUSKIND
製作:オランダ’2012
監督:ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
ジャンル:★実録/ドラマ/戦争

【あらすじ】1942年夏、ナチス・ドイツ占領下のアムステルダム。ドイツ系ユダヤ人のズスキントは、家族のためにユダヤ人評議会で職を得て強制送還を免れた。彼は表向きはナチス親衛隊の高官と親しつつ、レジスタンスの協力で子供達を逃す地下活動を続けるが…。

自分と家族のため、同胞に憎まれるのは覚悟の上で、ユダヤ人移送の指揮官となった主人公。
映画を観てる分には「まあ必死になるのも当然だよね。」という気持ちでしたが、もし戦時下で能力も財産もない自分が連れて行かれて、彼のような人がそれを指揮していたら、間違いなく”裏切り者”と憎んだと思います。
でも、彼は自分の事だけを考えていられるほど冷酷な人間ではありませんでした。少しでも同胞を守るチャンスを得ようと、積極的に孤独なフュンフテン大尉に取り入ります。
あれほど簡単に取り入る事が出来たのは、才能だけでなく、彼が保身を考える普通の人間だったからかもしれません。正義感が強すぎても、あのたくさんの子ども達は救えなかったかもしれない…。そう考えると、普通の人たちの持つ小さな良心というものは、「海と毒薬」の時とは逆に、とても強いものだと思えました。
誰かがやらなければならない仕事…ならば彼で良かった!
隠れているユダヤ人を見つけ、ドイツ軍に引き渡す事を商売にしている男も登場し、その差が際立ってました。
利用されるフュンフテンも見ていて辛くなります。この人だって、やりたくてこんな事をしてる訳ではないのだから…。戦争がなければ親友になれたと哀しそうに笑うのが印象的でした。
また、夫婦の描き方も良かったです。いつも話し合って想い合って、夜は娘を抱きながら一緒に床下で眠る…。娘の描写は少なかったけど、娘への愛はしっかり描かれてました。
終盤、子供たちを救いに行かせるための奥さんの決断が痛ましい。金網越しに手を伸ばすシーンも切ないです。
やるせないラストですが、彼のおかげで再会できた姉弟と母親の笑顔に救われます。

映画「八甲田山」観ました

八甲田山
製作:日本’77
監督:森谷司郎
原作:新田次郎
ジャンル:★伝記/ドラマ

【あらすじ】明治34年末、日露戦争を目前にして陸軍は寒地訓練の不足を痛感していた。ロシア軍と戦うためには雪中行軍をし、兵士たちに雪と寒さの厳しさを教えなければならない。そして、生きては帰れぬ冬の八甲田山が訓練地に選ばれ…。

集中して観たかったので先にCMカットをしたら、雪山を歩く映像ばかりで「これ面白いの?」と思いながら観始めたんですが、すごく見ごたえあって最後まで目が離せなかったです。
なんと言っても自然の恐ろしさ、それを舐めている人間(についていく)の恐ろしさがありありと描かれていて、寒い部屋がさらに寒く感じました。
服装同じ上に顔真っ白で見分けつかないよと思っていたら、指揮官が判断を間違う度に状況が悪化していって、後半は一目瞭然っていうのも怖い。しっかりした足取りで迷い無く進んでいく徳島大尉一行と、まるで死神を背負っているかのような虚ろな目で真っ青になって歩き続ける山田少佐一行…。白い地獄とはよく言ったものです。
そんな指揮官の下、このままじゃヤバイとわかっていても何もできない神田大尉のもどかしさが…!
ちょうど前日に見た「しあわせの隠れ場所」でマイケルが死地に向かう兵について「バカでも勇気は持てる。でも誇りがあるから人は頑張れる」というように書いていたんだけど、それを思い出してしまいました。彼も誇りを持って最後まで頑張ってましたよね…。
一方、人間らしい顔色を保つ徳島大尉の”案内人への敬意”が素晴らしかったです。女の子の案内人について歩いていた時、振り返りつつ先導する彼女の微笑みが、天使か女神の加護のように感じたんじゃないかな?
村に入ったとたん「案内人を最後尾に移動させますか?」と部下に言われても、それが軍では当然だっただろうにきっぱり断ったところが素敵。お別れの時の「案内人殿に敬礼!」はマジで痺れました。
しばしば入る、子供の頃の思い出や春うららかな風景の回想なども良かったです。
ラストは戦争の虚しさを感じました…。

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映画「裁かるゝジャンヌ」観た

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Tag:フランス 

裁かるゝジャンヌ
原題:LA PASSION DE JEANNE D'ARC
製作:フランス’28
監督:カール・テオドール・ドライエル
ジャンル:歴史劇/ドラマ

【あらすじ】ルーアン城。祖国フランスを守るも、英軍の手に落ち捕虜となったオルレアンの乙女ジャンヌ。痛手を負った英軍の総督ウォーウィックは、同じく彼女に恨みを抱くコオション司教を味方にひき入れる。彼らは難問をつきつけ、”聖女”の仮面を引き剥がそうとするが…。

宗教も歴史も撮影技法もよく知らないけど、サイレントでこれだけ顔のアップばかりが続いても引き込まれるのはすごいですね~。
文字で表示されるセリフも最小限で、彼女の表情だけで審問官の問いに答えた内容を想像しなければいけない部分も多く、それがもどかしかったり、本当に言葉はいらないと思わせる表情にドキッとしたりしました。
また、審問官らの表情も内面を表していて素晴らしかったです。ジャンヌの目に怯む者、頭がおかしいのだと嘲笑う者、哀れな少女に同情する者、利害しか頭にない者などなど…。それぞれ違った表情を見せてくれるものの、ジャンヌの言葉を心の底から信じるひとはいないようでした。
役者さんの演技でここまで真に迫ってるんだもの。そりゃ、わからないわ…。まあ、彼らにとって真実かどうかなど問題ではないというのが哀しいところですが。
ただ、わたしが審問官だったら、彼女の信念を目の当たりにして一体どういう顔をしただろうか?と考えてしまいました。
人間の残酷さが描かれている作品だったと思います。
原題の意味はジャンヌダルクの受難。この受難は、イエスキリストが十字架にかけられて受けた苦難の事かな。

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「あるじ」観ました

映画「ある公爵夫人の生涯」観ました

ある公爵夫人の生涯
製作:イギリス・イタリア・フランス’08
原題:THE DUCHESS
監督:ソウル・ディブ
原作:アマンダ・フォアマン
ジャンル:★歴史劇/ドラマ

【あらすじ】18世紀後半のイギリス。スペンサー家の令嬢ジョージアナは、世界有数の名門貴族デヴォンシャー公爵と結婚する。だが彼は男子の後継者をもうけることにしか興味がなく、自分をまるで愛していないという現実を突きつけられ…。

これは凄かったですね~。ずっしりきたし、終盤はボロボロ泣いてしまいました。
最初はジョージアナを演じるキーラ・ナイトレイのキツイ表情はどうだろうと思ってたんですが、彼女の苦悩の日々を見るうちに納得。こんなに芯の強そうなひとでも、かろうじて耐えられるかという張り詰めた雰囲気が緊張感を増してました。
耐えるばかりの夫婦生活に沈む表情と、それを埋めるように社交界での八方美人な笑顔が増えていくんだけど、それが娘の前では別人のように幸せに満ちた表情になるんですよね。
イラストは娘が生まれて間もなくの頃。この作品のなかで初めて彼女を美しいと思ったシーンです。

一方、彼女に対してあまりにも無情であり続けた夫、デヴォンシャー公爵を演じるレイフ・ファインズも素晴らしかった。結婚は契約でしかなく、妻の役割は男児を産むことだけ。会話すら無駄な事だと思っているかのように、用がある時しか話さず、犬と戯れる時以外はほぼ無表情。
まるで苦痛に気付かないフリをする病人のようだと思っていたけど、彼を苦しめていたのは重すぎる家名…跡取りが生まれない間は常に、先祖代々の亡霊に押しつぶされそうな気持ちでいたんでしょうね、きっと。

そんな彼らの中に入ってきた強かなエリザベスも、辛い立場でした。
暴力亭主から子供たちを取り戻すためならどんな手段でも、と心に決めていただろうに、同じ様に結婚生活で苦しんでいたジョージアナを裏切った事、その罪悪感がひしひしと伝わってきます。ジョージアナの背中を押し、ひと時の甘い恋を味あわせたのも、少しでも償いたいという気持ちがあったからでしょう。
ジョージアナが娘たちのために戻った時、愛人との子供を手放した時、最も彼女の気持ちを理解し、子供への深い愛情と別れの苦しみを自分の事のように感じていたのは、エリザベスだったんじゃないでしょうか。
友情を裏切った事実は変わらないけど、彼女と寄り添う姿を見たらエリザベスがいてよかったと思ってしまいました。

でも、こんな彼らを見て涙しつつも、一番共感したのが屋敷の使用人たちだったりするのはどうなんだろう(笑)
どんなに近くにいても、見ていることしかできない辛さとか、映画を観ているわたしたちと近いものがある気がします。

映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」観ました

ダンス・ウィズ・ウルブズ
製作:アメリカ’90
原題:DANCES WITH WOLVES
監督:ケヴィン・コスナー
原作:マイケル・ブレイク
ジャンル:★ドラマ/歴史劇

【あらすじ】1863年、南北戦争の激戦地、セッジウィック砦に自らやって来たジョン・ダンバー。愛馬シスコとトゥー・ソックスと名付けた野性の狼と共に、不思議に満ち足りた日々を送る。やがて、シスコを盗みに来たスー族と交流を深めるようになり…。

タイトルをよく耳にしていたので気になって観てみました。狼と心を通わせていく作品かと思いきや、意外と狼の出番が少ない…。でも、先住民との異文化交流が丁寧に描かれており、言葉の壁を越えてスー族との友情を育む様子に引き込まれました。わけあってスー族として生きる白人女性が居るのもいいですね。
また、大自然の美しさも堪能できたし、バッファローの大群と狩の迫力も素晴らしい。3時間の長編にも関わらず一気に観られました。トゥー・ソックスも可愛いし!(撃たれたシーンが辛い…)
ただ、最初の方で拳銃自殺した人の意味がよくわからなかったのと、部族同士の戦いの時に銃を使わせたのがどうもひっかかります。
スー族の生き方を知って、その生き方をリスペクトしていたのに、友人たちを守るためとはいえ白人の銃文化を持ち込むのはいいの?
白人が攻めてきた時に持ち込むならまだしも、弓やら斧やらを構えた他部族相手にはちょっと…。しかもほとんど虐殺状態になってるし。
そこが引っかかったけれど、ラストの余韻も心地良く、観てよかったと思える作品です。

映画「シシー ある皇后の運命の歳月」観ました

シシー ある皇后の運命の歳月
製作:オーストリア’57
原題:SISSI - SCHICKSALSJAHRE EINER KAISERIN
監督:エルンスト・マリシュカ
ジャンル:★ロマンス/歴史劇

【あらすじ】19世紀、オーストリアの支配下にあるハンガリーでは反オーストリアの気運が高まっていた。シシーはハンガリーの人々に愛されていたが、ソフィー大公妃は彼女の長期滞在を快く思っていなかった。やがて、帰国した彼女は結核を患い…。

シシー三部作は以前BSで全部観て感想を書いたような気になってたけど、そういえばこの三作目の後半を録画失敗したなぁと思い出し、イマジカ無料放送で鑑賞。タイトルが邦題とDVD題と二種類あってわかりづらいんですよ。原題はドイツ語で、邦題とほぼ同じ意味です。
本当は最初から見直したかったものの、さすがに連日映画漬けで諦めました。でも、観ているうちに記憶が蘇ってきて、最後はもう感動で涙が…!
やっぱりこれは三作全部観てこその作品ですね。愛情豊かで美しいシシーを観ていると、ラストにあっけなく民衆が受け入れる展開も納得できてしまいます。
こんな奥さんがいたら、皇帝の地位なんて捨てたくなっても仕方がないよ、うん。地味だけどシシーを心から愛している皇帝さんもよかったし、責任感が強すぎるあまりに息子に対して大公妃としてしか接する事ができないゾフィーも良かったと思います。
でも、この作品で一番光ってたのは母娘の絆でした。シシーが病に倒れた時に、母親がすぐに駆けつけて気落ちした彼女を励まし外に連れ出す展開が大好きです。子供の頃からお父さんと自然の中で楽しい毎日を送ってきた彼女にとって、一番の薬ですよね。
そしてラスト、愛するわが子の姿を見つけて、思わず駆け寄って抱き寄せるシーンがいい!
ベタだけど、あの距離をドレス姿で一生懸命走るのがいいんです。それを見守るシシーの母親と同じような心境になってしまいました。
あと、ついでにシシーの護衛、ベックル大佐の恋模様が面白かったです。語学の才能をナンパに使うとは…(笑)
ずいぶん間を空けてしまったけど、やっと三部作を観終える事ができてよかったです♪

映画「アラビアのロレンス」観ました

アラビアのロレンス
製作:イギリス’62
原題:LAWRENCE OF ARABIA
監督:デヴィッド・リーン
原作:T・E・ロレンス
ジャンル:★ドラマ/歴史劇

【あらすじ】1916年、カイロ。英国陸軍のロレンス少尉は、独立闘争に意気込むアラブ民族の現状を確かめに向かった。そこで、反乱軍が苦境にあると知った彼は、内陸からのアカバ奇襲作戦を提案。やがて、勝利を手にした彼は”英雄”となるが…。

ずっと前に観たきりだったので再見しました。
なんとなく”よくわからない”という印象があったんですが、なぜロレンスがあそこまであの国に執着するのかわからなかったみたいですね。まあ、わからなくていいことだし、そういう”変わり者”だったからこそ後半の苦悩に繋がるのですが。それでも気になって、前半は彼が砂漠に惹かれる理由を見つけようと必死になって観てました。途中、「清潔だからだ」と答えるシーンがありますが(このシーンは良く覚えてました)、それも”今だからそう言うのか、前からそう思っていたのか”と悩んでしまいます。
金髪碧眼の容貌は苦手ですが、彼のミステリアスなところは魅力的でした。

様々な出来事の中で揺れ動く彼という人間と、雄大な砂漠。(あと、個人的にアウダ・アブ・タイ)
もうそれだけで大満足です。

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「戦場にかける橋」感想
「大いなる遺産(1946)」観ました

映画「墨攻」感想

墨攻
製作:中国・日本・香港・韓国’06
原題:A BATTLE OF WITS
監督:ジェイコブ・チャン
原作:森秀樹、酒見賢一、久保田千太郎
ジャンル:アクション/歴史劇/ドラマ

【あらすじ】紀元前370年頃の中国、攻撃をせずに守り抜く”非攻”を信念とする集団”墨家”がいた。趙の大軍10万の兵を前に、全住民わずか4千人の梁城は墨家に援軍を求める。だが、やって来たのは粗末な身なりの男、革離ただ1人だった。

前半が非常にカッコよかったです。
中国戦国時代に実在した、博愛主義の思想に基づき、各地の守城戦で活躍した武装防御集団”墨家(ぼっか)”。そこからやってきた革離が見せる守城戦術がリアルに描かれています。(レッドクリフみたいにCG満載ではない)
ただ、恋愛対象として無理やり登場させたと思われる女隊長が、王の前で普通に発言したりと、一気に現実に引き戻される瞬間もあったり。恋愛要素はあってもいいけど、時代錯誤な女性を出すのをやめてほしい…。
後半は画面が暗くてよく見えないし、ストーリーは中途半端だし、もったいないなぁと思える作品でした。
個人的には、腐敗した墨家のなかで孤立した革離の苦悩とかを描いてほしかったところ。墨家の決定を無視してひとりで助けに来た、だけで済ましてしまうなんて…!
墨家そのものにスポットを当てていれば、もっと楽しめた気がします。

映画「グローリー(ぐろーりー)」観ました

 | 歴史・実録ドラマ  com(8) 

グローリー
原題:GLORY
製作:アメリカ’89 122分
監督:エドワード・ズウィック
原作:リンカーン・カースティン ピーター・バーチャード ロバート・グールド・ショウ
ジャンル:歴史劇/戦争/ドラマ

【あらすじ】1862年、北軍初の本格的黒人部隊が創設された。指揮官は、黒人兵らと共に戦う決意を抱いた裕福な奴隷解放論者の子ロバート。だが、彼らを待っていたのは、戦場に回されず肉体労働ばかりという、今までと変わらない扱いだった。

実在したアメリカ合衆国初の黒人部隊を描いた作品。
ショー大佐が両親に送った手紙や、第54連隊についての記録を保存する組織などの情報をもとに、かなり忠実に再現しているそうです。賃金受け取り拒否を考えたのが本当は大佐自身だとか、黒人兵の大半が北部出身だったとか、細かい違いはあるみたいですが。

印象的だったのは奴隷だったトリップの涙と、仲間たちと焚き火を囲みながら話すシーン(これを描きたかったけど無理だった)。
黒人のスピリットを描こうとするこの作品に、モーガン・フリーマンなど多くの俳優がギャラを安くしてでも出たがったそうですが、デンゼル・ワシントン演じるトリップはその中でも異彩を放っていました。助演男優賞受賞も納得です。
また、理想に燃え、背伸びしながらも、しだいに成長し信頼を得ていく大佐もよかったです。

あと、戦闘シーンはリアルすぎて怖かったですね。この時代の戦争が”真正面から撃ち合って兵が尽きたら負け”みたいなものだったのは知っているんですが、こういうシーンを観るたびにゾッとしてしまいます。銃を構えて一列に並び、敵も味方もバタバタと倒れていく中、黙々と行進して発砲するんですよ。
ゲームで戦略シミュレーションというジャンルがあって、小隊などの”駒”が攻撃を受けると”数値”が減っていくんですが、それと同じくらい簡単に人が死んでいきます。(こういうゲームは悲しくて遊べない…)
こんな戦い方をしていたため、南北戦争は米国史上桁違いに多くの犠牲者を出した戦争となってしまいました。

ただの”泣ける映画”だとは思ってもらいたくないのだけど、やはり最後は涙腺がゆるみます。その後、wikipedhiaでロバートの父親の言葉「息子があのように埋葬されて誇りに思う」をみつけて、また涙が…。心に残る作品でした。

2018/11/07 再見

内容を忘れたので再見。戦争映画はあんまり何度も見るものじゃないね…。とりあえず、私の感情が麻痺して凄惨な戦場のシーンを見ても何も感じなくなってしまったからなぁ。
よくできた作品であることは間違いなくて、今回もトリップが仲間の前で語るくだりは感動しました。やはりこの作品の主役はロバートとトリップだと思います。他のメインキャラの見分けも付きやすくてストレスなく鑑賞できました。同じ軍服を着て戦った後半も見分けられるのは私的に嬉しい!
また、ロバートの心情を理解して、冷たい態度を取られても彼を信じ続けた友人もよかったですね。クリスマスの夜の一言がロバートにどれだけの安心感をもたらしただろう?

人間として扱いたいけれど、気の緩みは死を招くから決して優しくはできないし上官らしくしていなければならない。その上で兵士たちの気持ちを一つにまとめるために、信頼関係を壊してはならないというのは難しいことだったと思います。とくにロバートはお坊ちゃんだったし。
「あいつも黒人いじめが好きな白人だ」と陰口をたたかれていた彼が、靴の調達や減額給料の受け取り拒否、北軍内の腐敗に立ち向かうエピソードなど、少しずつ信頼を得ていく過程が丁寧に描かれていました。
ラストのことはすっかり忘れていて、淡々と彼の最期が描かれているのがズーンときます。南北戦争を知る上で重要な出来事なのに、どうして忘れてしまうかなぁ…。

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