
原題:LOVE STORY
製作:アメリカ’70 100分
監督:アーサー・ヒラー
原作:エリック・シーガル
ジャンル:★ロマンス
【あらすじ】大学の図書館で出会ったオリバーとジェニー。彼らは次第に惹かれ合い、名家の当主であるオリバーの父の反対を押し切り結婚。ジェニーは生活費のため音楽教師となり、オリバーもバイトをしながらハーバード・ロー・スクールの卒業を目指す。貧しいながらも幸せな日々を送る二人だったが……。
死別で感動させる系は苦手なんですが、これはド直球な愛のドラマで素直に感動できました。恋をすると人間は馬鹿になるというけど、本当に頭がいい二人なら見苦しいことにはならないのかも…。
勘当されて質素な結婚式を挙げるエピソードでは、お互いに愛の詩をささげるくだりがとてつもなくロマンチック。これは豪華な結婚式にも負けない思い出深い結婚式になるわ~と見ていて感心しました。こういうのは教養がないと、なかなか思いつかないでしょう。
夢を諦めて結婚し、貧しい毎日に耐えられるのか心配してしまったものの、元々インテリなのでジェニーは難なく音楽教師に。そしてオリバーも”自分の力で家族を養う”というハッキリとした目標があるので、バイトと勉強(ハーバード)を両立できます。たぶん、父親に言われた通り勉強していた時よりも毎日が輝いていたはず。そんな富豪の御曹司だということを忘れさせるオリバーの姿に、応援せずにはいられませんでした。
雪の中で寝っ転がってスノーエンジェルを作る二人や、新居にはお姫様抱っこで入る儀式、ケンカして家から飛び出したジェニーを探し回って、家の前で再会し仲直りする様子など、素朴で今では使い古されたシーンの一つひとつが、この作品では自然に感じられます。
きっと二人が一瞬一瞬を大事にしているからなんですよね。家の門から玄関まで車で移動しなきゃならないような富豪の息子オリバーとイタリア移民の娘ジェニーが、覚悟を持って一歩ずつ距離を縮め、一緒の人生を歩もうと決意していく、決意を深めていく過程がまっすぐ描かれていたからこそだと思います。
終盤、医者に言われた通りに涙をこらえて彼女と普段通り接するオリバーは見ていて痛々しい。この頃は本人には伝えず、家族にだけに余命僅かだと知らされる時代だったんですね。結局バレちゃって、二人で分かち合って受け入れる姿がやっぱり自然だと思いました。こういう点も訴えたかったんだろうか?
彼女の父フィルとオリバーの父との対比がよかったし、ラストでオリバーが引用した「愛は後悔しないこと」という彼女の言葉が印象に残ります。
物悲しいメロディが二人の愛を際立たせてました。

原題:LA DELICATESSE
製作:フランス’2011 109分
監督:ダヴィド・フェンキノス、ステファン・フェンキノス
原作:ダヴィド・フェンキノス
ジャンル:★ロマンス/ドラマ
【あらすじ】最愛の夫フランソワを亡くして3年。仕事一筋に生きていたナタリーは、ある日同僚のマーカスに無意識のうちにキスをしてしまった。存在感の薄い冴えない彼だったが、その事件をきっかけに距離が縮まっていく。ナタリーは次第にマーカスの人柄に惹かれてゆき…。
地味なタイトルの劇場未公開作品ですが、個人的にはとてもツボに嵌るロマンスものでした。
結婚して幸せの絶頂という時に夫を亡くし、心を閉ざして仕事一筋になってしまったヒロイン・ナタリーが、ふとしたきっかけで冴えない同僚と親しくなっていくという単純なストーリーです。
でも、その冴えない同僚マーカスがとっても可愛いんですよ~。ハゲでひげもじゃの熊さんみたいな風貌と中年体型なんだけど、繊細かつ優しい内面がにじみ出ているような人なんです。
疲れすぎたナタリーに無意識ディープキスかまされた時なんて、それからずっと夢心地で道往く美女の幻が見えたりするし、それを覚えていないと言われても怒らず事実を受け入れようとするし、彼女にその気がないのに恋したら辛いと猛ダッシュで逃げたりするし、なんかもう言動がいちいち可愛い。
それでいて気の利く人で、彼女が話していた想い出の品をしっかり覚えていてプレゼントするエピソードが好きですね。プレゼントを渡す前に子供の頃好きだった曲をかけるんですが、数分の出来事だと思っていたら実際は…という演出も素晴らしいです。
それまで男からのアプローチには頑なを通り過ぎてキレぎみで対応していたナタリーも、打算とかではなく自分のことを想いやって距離を置いてくれる彼が気になっていく流れがとても自然で納得できました。いつの間にか自分のことを話していたり、外出が嫌じゃなくなくなったり、笑顔でいることが増えていき、心を開いていく様子が丁寧に描かれています。
他にも、彼女の親友や家族との絆を大事にしている様子が描かれているのも良かった。
また、周囲も彼女のそんな変化に気付くんですが、まさか相手があの平々凡々なマーカスとは思っていなくて、彼を目にして驚く様子がそれぞれコミカルに描かれて面白かったです。ナタリーに目をつけていた慎重な社長がマーカスを社長室に呼び、そわそわしながらやってきた彼に「アポが入ってる」と追い払ってから本人だったと知ってまた呼び出すくだりには笑わされました。
ラストは二人の幸せな未来を暗示するハッピーエンドで、その二人のいる場所が前の夫との思い出の場所というのが素敵なんですよね~。マーカスは彼に勝ちたいわけでもないし、忘れてほしいとも思ってなくて、彼女の人生すべてを受け入れて一緒に歩んでいきたいと思っているんだろうなと優しい気持ちになれました。
ちなみに、原題はオランダ語で「デリケート」の意味。主演二人を表しているようなタイトルなので、邦題もこれでよかったのにな~。

原題:P.S. I LOVE YOU
製作:アメリカ’07 126分
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:セシリア・アハーン
ジャンル:★ドラマ/ロマンス/コメディ
【あらすじ】ニューヨーク。陽気で情熱的なアイルランド人の夫ジェリーとつましくも幸せに暮らしていたホリー。だがある日、彼は脳腫瘍で帰らぬ人に。悲しみのあまり引きこもり状態になっていたホリーだったが、3週間後の誕生日、バースデイケーキとテープレコーダーが入った贈り物が届き…。
クリスマスイブに、何度も涙を堪えてウルウルしながら観ました。オンエア直後じゃなく、このタイミングで観て良かった~。
内容を知らずに観たのでバカップル(この夫婦好き)の話かと思ったら、バカップルなんて思ってごめんなさいな展開に。でも、重くはなくて、するすると最後まで流れるように観られました。
コメディという程ではないんだけど、程よくコミカルで湿っぽくならないんですよね。とくにホリーの親友の”男に片っ端から「独身?ゲイ?仕事は?」と聞いて最終的にはキスで判断していた彼女(名前忘れた!)”が、いい感じに微笑ましいんですよ。
ホリーにとって気の置けない親友っていうのがすごく伝わってきて、ちょっとお下品でも嫌な感じはしません。それどころか彼女のそんなところに救われてるんだろうと想像できて…。彼女が運命の人を見つけた時は素直に良かったねと思えました。
また、夫ジェリーとの出会いや想い出のシーンがちょくちょく挟まって、ふたりの愛の深さやホリーの寂しさが伝わってきます。彼からのメッセージはどれも愛がこもっていて、本当に傍にいるようで、彼がいかに濃密な時間を過ごしてきたのかわかりました。運命の赤い糸で結ばれていると言われても信じられるくらい、一緒にいるのが当然の二人だったんだなぁと。
だからこそ過去と現実を行き交うような構成でも違和感がなくて、とても自然なことだと思えました。
終盤、彼女の相談役だったのがいつの間にか恋に変わっていた彼との流れも素晴らしく、もしこれ以外の展開になっていたら冷めていたかも。
ジェリーの故郷アイルランドが美しく、ホリーやその母親にも特別な地となる展開も納得できました。
この時期にピッタリの愛と再生の物語だったと思います。
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製作:日本’96
監督:森田芳光
ジャンル:ロマンス/青春
【あらすじ】“ハル”というハンドル名でパソコン通信の映画フォーラムに参加した速見昇。それがきっかけで、(ほし)という人物とメールのやり取りが始まる。お互い相手の実像を知らないまま、二人は次第に本音を伝え合うようになり…。
GyaOで鑑賞。パソコン通信という言い方とか色々と時代を感じたけども、顔文字とか変わらないし、顔の見えない相手とのすれ違いも今と同じで、普通に楽しめました。
個人的にハルはあまり好きになれなかったものの、メールで心を通わせていく過程は意外と胸キュン。文字だけの画面が続くのに、音楽が二人の心情を表していて退屈しないんですよね。まあ、人によっては眠くなるかも…。いつもより時間が長く感じたのは確かです(笑)
この時代のパソコン通信って、あの様子を見ると画像はやりとりできなかったんですね。でも、もし簡単に画像を交換できる時代でも、あの二人は写真を交換しただろうか?あんまり想像できないなぁ。
新幹線の見送りのエピソードは、真剣にやっているところ悪いんだけど、ビデオカメラ片手にハンカチ振り合うシュールな画に笑ってしまいました。「ハンカチ振りに行きますね」の台詞からして、素で意味がわからなかったし。
にしても、ストーカーが怖すぎて、いつ事件が起こるかと冷や冷やでした。エロい事ばかり言うローズも、頭がおかしいか犯罪がらみを想像してしまいます。今なら完全にスパムメールだよ(笑)
そんなメールを読んで会おうと思うハルも危なっかしい…。
でも、ローズの正体には驚かされたし、分かってからいくつか伏線が思い当たって唸らされました。
あとは、深津絵里がとても可愛かったですね。心通わせた相手がこんなに可愛いとか、ハルは超幸せ者!!
しかも、不器用そうに見えて様々な職業をこなすスペックの高さ。司書の資格は大学時代に取ってたのかな。…まあ、それを言うなら中国語マスターしたハルもすごいけど。
タイトルはあの男のハンドルネームなんですが、見る前はてっきり深津絵里の事だと思ってました。終盤にわかる、その名前に関する告白も良かったです。何気ないところに運命って転がってるもんですね~。

原題:JANE EYRE
製作:イギリス’96
監督:フランコ・ゼフィレッリ
原作:シャーロット・ブロンテ
ジャンル:★文芸ドラマ/ロマンス
【あらすじ】幼い頃に両親を亡くし、自分を嫌う叔母の家や、過酷な環境の寄宿学校で子供時代を過ごしたジェイン。強く賢い女性に成長した彼女は、貴族フェアファックス・ロチェスターが引き取った少女アデールのガヴァネス(女性家庭教師)となるが…。
久しぶりに良い文芸ドラマを観たなぁという感じです。
内容は王道で、身分差ロマンスからの実は…な展開なんですが、ヒロインは当時にしては珍しい器量が良くないという設定。まあ、私から見たら十分美人でしたが。
静謐でしっとりした空気が感じられる映像と、雰囲気ピッタリの女優さんたち、イギリスの貴族社会を感じさせてくれる美術や衣装なんかが上手く調和して、見ごたえある作品になってました。
名前は出てこないけど見たことある俳優さんが多いなぁと思っていたら、成長したジェインを演じていたのはシャルロット・ゲンズブールだったんですね。「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」と「恋愛睡眠のすすめ」以来だなぁ。
原作は知らない(「ブロンテ姉妹」が作者か!)けども、ジェイン・エアという女性が今ここにいると思わせるくらいしっくりきて、聡い瞳をした子供時代からそのまま成長しましたように見えました。子役も良かった♪
意地悪な叔母もブレなくて良かったですね~。終盤でジェインに謝るものの、それは地獄に落ちるのが怖いからで悪いとは全く思っていないところとか。
あと、妙に印象に残るのが病人が本当に病人に見えることですね。青白くて細くて今にも倒れそうな感じ。ヘレンとかとくに。中には病人じゃないのにそう見える人も…(汗)
過酷な子供時代の描写もインパクトあって、洗面器の水が凍るような部屋で寝てて凍死しないのかと心配になったけど、これが実際に作者が通っていた学校をモデルにしたと後から知って更にビックリ。
ヘレンはその学校で亡くなったお姉さんがモデルのようで、この作品によって学校を告発して改善したんだとか。まるでジェインはシャーロット・ブロンテの分身のようです。
終盤は急展開すぎて物足りなかったけども(牧師さんと三角関係になるのかと思った)、それを差し引いても楽しめました。彼女とロチェスターの抑えた感情が繊細に描かれていてやきもきさせられたし、謎のうめき声とかミステリアスな展開も面白かったです。
「ジェイン・エア」は他にも映像化作品がたくさんあるようで、他の作品を観たらまた印象が変わるかもしれませんが、とりあえずゲンズブールのジェインを観られてよかったです。
機会があったら他のも見たい♪
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原題:LADY CHATTERLEY
製作:イギリス’93
監督:ケン・ラッセル
原作:D・H・ロレンス
ジャンル:★文芸/ロマンス
【あらすじ】イングランドの名門貴族クリフォード・チャタレイと結婚したコニー。だが、戦争で彼が下半身不随となり、彼女への愛情は屈折していく。心も体も満たされない毎日に、コニーは森番のメラーズに接近していき…。
タイトルだけ知っていて初めて見たんですが、想像してたのとぜんぜん違って面白かったです。215分の長さもまったく感じず一気に見られました。
これはあれですね、看護婦ボルトン夫人の華麗なるサクセスストーリーってやつですよね?(笑)
コニーとクリフォード両方の信頼を得て、言葉巧みに二人の間にあった溝を修復不可能なレベルにしていく手口はもはやプロ!
心配しているように見せかけて煽ったり、協力的な態度で二人を誘導していくテクには感動すら覚えました。
コニーがメラーズの元へ行く決意をしたくだりで、「やった♪」とメイドと目配せするシーンはニヤニヤですよ。召使たちを”自分が生かしてやってる家畜”同然に扱っていたクリフォードに「彼女は召使じゃない」と言わせるほどの信頼を勝ち得て、さらには邪魔な”奥様”を追い出したんだから、すでにチャタレイ邸は彼女の支配下にあると言っても過言ではありません。
後は、クリフォードが馬鹿やって破産なんて事にならないように上手く操縦していくだけ!
ボルトン夫人の一人勝ち。スッキリ爽やかハッピーエンドでした。
たぶん2年以内にコニーが貧しさに耐えられず逃げ帰ってくると思うけど、クリフォードに子供を奪われて離婚されるでしょうね~。
だいぶ一般的な見方からはズレてしまったかもしれないけど、完全版というだけあってコニーやクリフォードの心情は丁寧に描かれており見ごたえありました。
はっきり言って二人ともどっちもどっちで、ボルトン夫人がいなくてもダメになっていたのは明白なので、感情移入できるのは彼らを冷静に見ているボルトン夫人だけ。むしろ、たきつけることでドロドロ期間を短縮してあげた二人の救世主なんだから、やっぱり彼女が主人公でいいと思うよ!

(画像クリックでyoutube予告編へ)
原題:ONCE
製作:アイルランド’06
監督:ジョン・カーニー
ジャンル:★ロマンス/音楽
【あらすじ】穴の開いたギターで毎日のように街角に立つストリート・ミュージシャン。そんな彼の前に、チェコからの移民で、楽しみは楽器店でピアノを弾く事という女性が話しかけてくる。彼女のピアノに心動かされ、ふたりは一緒に演奏することで絆を深めていくが…。
gyaoで観賞。これはブログDEロードショーで観たかったなぁ。
地味なものの、ありふれた風景、どこにでもいそうな人たちの心情を、音楽によって繊細に描いているから自然に共感できます。
この作品のために書き下ろされた曲がまたいいんですよ。本当にこの登場人物がつくったみたいにしっくりきて、彼らの想いを代弁していました。
とくに「Falling Slowly」の歌詞がいいんですよね。胸に響きます。
どこか懐かしい感じもする曲で、抑揚のはっきりしたところはわたし好みです。
音楽が人と人とを結びつけ、心を動かすというのが何度も描かれていて、楽器屋さんでセッションするところとか、融資を頼みに行ったらギター聴かされるとか(笑)、やる気のなかったレコーディングスタジオの管理人がいつの間にか仲間みたいになっているところがよかった。
後にミュージカルで舞台化されたくらいなので、ホントよく歌ってるんですよ。
まあ、上手くいきすぎ感は否めないし、音楽のPVみたいな雰囲気もあるものの、その音楽さえ合えば楽しめると思います。
ちょっとしたユーモアもあって、冒頭から泥棒と追いかけっこして捕まえたら「5ユーロくれる?」とか言われるし、彼女が街中で掃除機をガラガラ連れて歩いたりするシーンも面白かったです。
あとは、出来上がったCDを父親に聞かせたくだりも感動的でした。電気屋さんの頑固親父という感じだったお父さんが、本当に嬉しそうで。
最後に「もう一度聴きたい」と言う時の笑顔ときたら!
ちなみに、主人公が「彼をまだ愛してる?」と聞いたら彼女がチェコ語で答えるんだけども、その答えは「I love you」だそうです。タイトルが「ONCE」だという事を考えると切ない…!

原題:LETTER FROM AN UNKNOWN WOMAN
製作:アメリカ’48
監督:マックス・オフュルス
原作:ステファン・ツヴァイク
ジャンル:★ロマンス/ドラマ
20世紀初頭のウィーン。決闘を明日に控えたステファンは名も知らぬ女からの一通の手紙を受け取る。そこには、彼がピアニストとして嘱望されていた頃、彼の隣室に住んでいた少女の初恋から始まる物語が、その想いと共に綴られていた…。
これはよかったですね~。後半の流れに「あれ?」と思ったものの、結局のところ泣かされました。私的に後半の主役は旦那!
まずヒロインが本当に美しくて儚げで引き込まれるんですよ~。金髪でも赤い口紅をしてないせいか、どの年齢を演じている彼女も素晴らしいと思えました。たぶん16歳~35歳くらいを演じてたんじゃないかな?(当時31歳だと!?)
少女の頃に恋に落ちた、美しいピアノの音色を響かせる甘いマスクの青年。貧しいながら出来る範囲でオシャレをしたり、ダンス教室の外から見よう見まねで練習したり、彼の執事?の手伝いをしてこっそり家に侵入したり…、幼くも一途でひたむきな恋模様にキュンとさせられました。
そして、一度しか直接会うことなく、憧れと募る恋心を抱えたまま大人になった中盤。仕事が終わったら彼の家の前で毎日毎日毎日張り込みし(一晩中じゃないよね…?)、ついに再会して”ミステリアスな女”を演じるところがまた可愛い。粘着質だけど余りある可愛さ!
この彼女の行動(自分の素性を隠す)が後の悲劇に繋がるとも知らず、デートを楽しむくだりも胸キュンです。
人力で背景を動かす列車のアトラクションで、もっと一緒に過ごしたいと彼が何度も最初からやり直させて、その後も演奏家が逃げ出すほどダンスを続けたり(笑)
でも、この脳みそ溶けてる男は、彼女に対して(たぶん深層心理レベルで)特別なものを感じながらも、いつもの女遊び程度の感覚で別れちゃうんですよ。しかも、またしても顔を忘れてしまうという…。”忘れじの”面影なんじゃないの!?
その後の彼女の行動は共感できないけれど(悲恋に酔って自分の事しか考えてない気が)、二度目の再会を描いた終盤で、一気にもう一人の男の人生が浮かび上がってきます!
冒頭で、ステファンがすっぽかそうとしていた決闘が一気に重い意味を持ち、どんな結末になっても何も報われないことがわかるんですね。おそらく生き残るだろう彼の事を思うと涙が…。
繊細なタッチの美しいモノクロ映像と、ドラマティックな展開が見事な、悲しいメロドラマでした。
ちなみに、原題の意味は「見知らぬ女からの手紙」。あと邦題と同じタイトルのあの有名な歌とは関係ないです。

描いていて幸せな気持ちになりました(笑)
原題:LE NOM DES GENS
製作:フランス’2010
監督:ミシェル・ルクレール
ジャンル:★ロマンス/エロティック
【あらすじ】フランスに同姓同名が1万人以上いるというアルチュール・マルタンは、平凡な40代の鳥類学者。そんな彼が恋に落ちたのは、珍しい名前の自由奔放な娘バヤ・ベンマームード。彼女は“ラブ&ピース”の信条のもと、ファシストと次々に寝ては彼らを転向させていて…。
Gyaoで鑑賞。
政治的娼婦として誇りを持って男と寝る破天荒なヒロインと、保守的で平凡で慎重な男の不思議なラブストーリーでした。
ロマンスものなのに、恋する本人たちと同じくらい(もしくはそれ以上)彼らの両親に重点を置いているんですよね。バヤの父親はアルジェリア移民として苦労し、アルチュールの母親はユダヤ人だという事を隠して生きてきて、それがバヤとアルチュールの人格、人生に強く影響を及ぼしています。
遠い過去からの連なりがあって今があり、過去を知ってこそ今がわかるということでしょうか。
その過去の見せ方も面白く、アルチュールがモノローグで馴初めを語るくだりで、父親の若かりし頃が想像できなくて現在の姿だったり、悩みがあると、アウシュビッツ収容所で亡くなった祖父母(民族衣装のイメージで登場)と相談したり。
そういうところも彼の性格を表してました。
印象に残ったのは、
- 着替え中に携帯に気をとられて、素っ裸だと忘れて地下鉄まで来てしまうバヤ。
- 裸の女性の前だと緊張するというアルチュールに、服を着せてもらうバヤ(イラストのシーン)
- 労働者は芸術家にはなれないと思い込むバヤの父親に、アルチュールが機転をきかせて絵を描いてほしいと頼むシーンと、表情を輝かせて絵を描く様子。
- 悲劇より楽しかった事があった日を記念日にする方がいいと言った彼が、母親から聞けなかった”あの日”の事を、”初めてクリームを食べた記念日”だったと自分を納得させたところ。
- 世界中が雑種になれば人種や宗教で争わなくなると、生まれた子供に国籍不明の名前をつけた事。
などなど、色々あって上手くまとめられないけど、ヒロインがめっちゃ可愛くて、クスクス笑えて、なんとなく幸せな気持ちになって、愛で世界は平和になると信じたくなる作品でした。

原題:NEW YEAR'S EVE
製作:アメリカ’2011
監督:ゲイリー・マーシャル
ジャンル:★ロマンス
【あらすじ】ニューヨークの大晦日。タイムズスクエアでのカウントダウン・イベントが迫る中、イベント関係者や、それを楽しみにしている人々らが、特別な想いや決意を抱いてそこに集まる。
安定感のある群像劇で楽しめました。
とくに”目標リスト”の女性イングリッドが良かったです。気弱な彼女が一世一代の勇気を振り絞って行動を起こしたというのが伝わってきたので、彼女が笑顔になるたびに「よかったね!」と言ってあげたくなりました。
配達員の彼もチケットのためとはいえ頑張っていて、イマジネーションを働かせて無茶な願いを叶えていきます。
すべては、今まで暮らしてきた見慣れた街での出来事なのに、彼のおかげでまるで世界が変わったような、夢のような1日に。
これって結構すごい事ですよね。街の隅々まで熟知している彼だからこそ成せるわざ。それを見抜いたイングリッドは観る目あります。
あと、個人的に嬉しい驚きだったのが、好きなミュージカルドラマ「glee」の主人公がエリーズ役で出演しており、思いっきり歌ってたこと!
化粧が濃くて顔を見ただけでは気付かなかったんだけど、歌声を聴いて「え!?」と驚いてしまいました。そうか~、映画デビューか~。
相変わらずの歌声で、劇中で2回も歌っていたし、どちらも印象的なシーンで頑張ってたと思います。色々あって大変だろうけど、これからもその才能を発揮していってほしい!
他にも、一年越しの再会のエピソードの見せ方は良かったです。あの時計のシーン、驚かされました。王道でありながらひねりも利いていて好感持てます。ただ、個人的にはここで”彼女”が来たら良かったかなぁ…なんて。
ボールドロップの責任者のスピーチも何気に感動的で印象に残りました。
群像劇は顔を見分けるのが大変でついていくのが大変だけど、今回は知った顔が多くて観やすかったのも良かったです。
EDのNG集風のおまけも楽しくて、時計下の別バージョンとか、おばあちゃんのカチンコとか、双子の「バレンタインデー」DVDとか笑顔で見終えられます。
この時期に観るにはぴったりの作品でした♪
では、みなさん今年も一年ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。
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原題:LAST CHANCE HARVEY
製作:アメリカ’08
監督:ジョエル・ホプキンス
ジャンル:★ロマンス/ドラマ
離婚してNYで一人暮らしをしているCM作曲家ハーヴェイは、一人娘の結婚式のためロンドンへ。だが、仕事が気がかりで携帯が手放せず、娘にバージンロードは義父と歩くと告げられてしまう。バーでやけ酒をあおっていた彼は、孤独な女性ケイトに声をかけ…。
しみじみといい作品でした。
距離のとり方が優しくてロマンティックなんですよ。
孤独を感じて披露宴会場から一人去ろうとしていたケイトを、ハーヴェイが使われてない隣の会場でピアノを弾いて引き止め、逃げ出そうとした惨めさを思い出させることなくダンスに誘って会場に戻る…ステキです!
一緒にいる時のふたりはとても自然体で、孤独を知る物同士だからこその配慮、というだけではないと思えました。
また、ハーヴェイと家族との溝を埋めた、披露宴での花嫁の父親のスピーチが感動的。
ケイトの後押しがあって、本当に大切なものから逃げ出さなかったハーヴェイ。今まで言葉に出来なかった気持ちをしっかり娘に伝え、わだかまりが解けた瞬間でした。
終盤の超有名なロマンス映画みたいなすれ違いは、ひねりがなさすぎてもっと何かなかったのかと思ってしまいましたが、その後、恩人であり大切な人であるケイトに誠実に向き合う姿に涙が。
ここでも距離のとり方が優しくて、そっと彼女のこころを解きほぐしていくのがいいですね。
初めて話した時と同じ「(電話を切ったのは)僕ともっと話すためなら笑って」というセリフに、彼女が思わず見せた笑顔が可愛い。
靴を脱いで(身長差をなくして)腕を組んで歩き出すラストに幸せな気持ちになれました。
あと、途中で入るケイトの母親と隣人のエピソードが微笑ましくて、物語全体がふわっと明るくなってたと思います。エンディングロールで描かれる彼らのその後もお見逃しなく!

原題:LES AMANTS DU TAGE
製作:フランス’54
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:ジョセフ・ケッセル
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】44年8月パリ解放の日、喜び勇んで帰宅した歴戦の勇士ピエールは、浮気の真っ最中だった妻を思わず射殺してしまう。だが、同情され無罪となり、放浪の末タクシー運転手に。そんなある日、英国貴族の未亡人カトリーヌが彼のタクシーに乗り…。
まず、主人公と同じアパートに暮らす母子の関係にほのぼのしました。
10歳くらいの息子が可愛いんですよ。賢くて商売上手な上に甘え上手。自分が可愛がられているのを自覚しているので、カフェで一休みする主人公にちゃっかりパフェをご馳走になったり(笑)
でも母親想いだから、家計を助けるために商魂たくましく商売に励みます。観光客相手に絵葉書などを売っていたんだけど、商売敵のカメラ売りが現れたら、即行カメラフィルムを商品として扱い始めたり、法外なチップをくれる客がいたと聞けば、すぐに見つけ出して専用の観光ガイドに!
そんな訳で、少年のおかげで主人公は再び美しき未亡人カトリーヌと出会います。再会の場所は音楽を楽しめるレストランで、そこで聞けるポルトガル民族歌謡ファドの「暗いはしけ(youtubeに飛びます)」がまた良いんですよ。主人公が歌詞を翻訳してあげて、それがたまたま今の彼女の心情を表していたというのがロマンティック。この後、ふたりが急接近するのも、このシーンのおかげですんなり納得できました。
ただ、途中から母子の登場はほとんどなくなってしまうのが残念。代わりに二人の幸せを脅かす黒い影、ルイス警部が現れます。つやつやのカウンターに写る歪んだ顔という登場シーンが印象的!
悪人ではないものの、やり方がいやらしいんですよ。彼ら自身よりも彼らの気持ちがわかっているかのように、主人公を手のひらの上で転がして、猜疑心を煽ります。
わたしも思いっきり彼の言動に惑わされてしまいました。
ラストの決断には強い愛と悲壮な想いを感じます。余韻が素晴らしい作品。
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原題:LOLA:DONNA DI VITA
製作:フランス/イタリア’60
監督:ジャック・ドゥミ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】仕事にあぶれたローランは、幼友達ローラに似た雰囲気の少女と出会う。そしてその矢先、10数年ぶりにローラと再会するのだった。初恋のひととの思いがけない再会に運命を確信するが、彼女は7年前に忽然と姿を消した恋人ミシェルを待ち続け…。
最初はケバイ女だなぁと思って観てたんだけど、彼女の母親としての素顔が見えるにつれ引き込まれてしまいました。主人公がちょっと頼りなげな根暗青年なのも私的に感情移入しやすくていいです(笑)
子供を学校へ送ったり、寝かしつけたり、主人公と再会して話してても子供から目を離さず、こまごまと母親としての描写が入り続けて、最後まで変わらなかったことに感動。さすが「子供のためにギャンブルやめて立ち直る!」と修行の旅に出た夫(恋人?)を7年も信じて待ち続けるだけあります。
強い母親であり、ダンサーとしても男たちを魅了してしまう彼女は、何事にもやる気がなかった主人公が生きる喜びを見出すのも納得なヒロインでした。
また、13歳の美少女を女手一つで育てつつ父親にふさわしい相手を探す女性や、みんなに甲斐性なしと思われている息子の帰りを待ち続けるお婆さんが良かった。母親がみんな素敵なんですよ。
それに、仕事ではふらふらしてる主人公も、彼女への態度や他の人との会話から他人への誠実さが伝わってきて好感が持てます。ついかっとなってヒロインに酷い言葉を投げつけてしまった翌日、きちん誠心誠意謝るのがよい。こういう描写は省略してはいけないよね。
モノクロの美しい映像が、ラストの切なさを際立たせてました。ローラ(ローランでした)のその後が語られるという「シェルブールの雨傘」もいつか観てみたいです!
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製作:アメリカ’61
原題:GOODBYE AGAIN
監督:アナトール・リトヴァク
原作:フランソワーズ・サガン
ジャンル:ドラマ/ロマンス
【あらすじ】室内装飾家ポーラは、いつしか5年来の恋人ロジェとの結婚を望むようになっていた。だが、互いに束縛しない約束で、それを言う事もできない。そんな時、彼から紹介された取引先の一人息子フィリップと出会い、彼から熱烈なアプローチを受け…。
最後に「憐れな女…」と思ってしまったものの、フィリップにほだされるところまでは納得できたというか、浮気なのに珍しく嫌悪感は覚えなかったです。バーグマンの演技のたまものかな。
その彼女に恋するフィリップが、出てきた瞬間からマザコンオーラがあふれ出てて、15歳差も気になりません。後から「サイコ」のノーマンをやってた人だと知って納得しました。マザコン男とか甘えん坊なお坊ちゃんがしっくりくる俳優だなぁ(笑)
フィリップを選んでも上手くいったとは思えないけど、ロジェは最悪な選択ですよね~。現代の作品なら二人とも選ばないでしょう。でも、今でも共感できる人は多いのかもしれない!
愚かな選択をしても、変わらず側にいてくれるメイドさんがいい人でした。…給料が良いだけかも知れないけど(笑)
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製作:フランス’84
原題:SUBWAY
監督:リュック・ベッソン
ジャンル:ドラマ/アクション/ロマンス
【あらすじ】美しい人妻エレナに招待されたパーティで、金庫を爆破して重要書類を盗んだフレッド。彼は追ってから逃れ、パリの地下鉄の、さらに深くにある迷路のような地下溝に迷い込む。警察も動き出す中、彼は夢のためにある計画を進め…。
うん、いつも私が見ている夢とだいたい同じ(笑)
街でのカーチェイスとか、入り組んだ地下での追いかけっこ。思いがけない所に扉や通り道があって、あっちこっち行ったり来たり。変な人たちと友達になって、色んな服に着替えて、追いかけられてるのに気にせず自分のやりたいことをやったり…。
『この監督、わたしと同じ夢を見てる!?』と思いたくなるくらい、いつもの夢と感触が同じでビックリです。
夢の中ではテンション異常だし、自分の性別も年齢も色々で、この作品の主人公みたいに「愛する女の腕の中で死んでいく俺、超カッコイィ!」というノリでわざとらしくガクッと力尽きるんだけど、実はまだ意識があって周りの様子をぼんやり満足気に眺めているという終わり方も、「あるある!」って感じで頷いてしまいました(お前だけだ!)
好きでも嫌いでもないけど、ある意味、特別な作品かも。
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製作:アメリカ’98
原題:EVER AFTER
監督:アンディ・テナント
ジャンル:ロマンス
【あらすじ】昔々、優しい父と田舎の屋敷で暮らしていた少女ダニエル。だが、父が再婚相手の男爵夫人とふたりの娘を連れてきた日に急死。10年後、メイドとしてこき使われていたダニエルは、フランスの王子ヘンリーと運命的な出会いを果たし…。
もしも「シンデレラ」のモデルとなった人物が実在していたら、というお話。ファンタジー要素のない現代版シンデレラです。
ドリュー・バリモア演じる”シンデレラ”ダニエルが可愛いですね。小さな頃から男勝りで、王子とのファースト・コンタクトでは「馬泥棒!」と林檎を投げつけ、落馬させるというもの。王子の助けを待たずに自分で戦っちゃうし、継母にいじめられても泣かないし、文句も言わず平然と召使の仕事をこなしたり、さばさばしていてカッコよかったです。
そんな、ドリューにぴったりの、新しい「シンデレラ」の姿にすぐに引き込まれました。
また、意地悪な継母がいいんですよね~。役になりきってて違和感もないし、実際にいそうなリアリティもあります。
ダニエルの中に見える前妻の面影と、亡き夫の面影。別に恋愛感情で結婚したわけではなかったけれど、もし彼が亡くなったりしなければ、自分がこんなに暮らしの事で気がもめることもなかったし、少しは母娘らしくなっていたかもしれない…。そんな感情が見え隠れするシーンもあって、酷い人なのに嫌いになれなれませんでした。
あとは、ダニエルの味方をしてくれる次女も好き。ジプシーのおじさんも素敵だったけど、自分の事をジプシーと呼んだりするのかね?
そんな感じで観ている間は楽しかったんですが、わたし的に印象に残ったのが、ヘンリーのダメさ加減だったんですよ。見せ場らしいものもなかったし、人間として魅力を感じなかったので、ダニエルが彼を選んだのも”王子”だからだと思えてしまいました。ヒロインに担がれて敵前逃亡しても平気なのに、彼女が平民だと知れば怒るとか(笑)
でも、ドリューファンなら観て損はないです。
タイトルは童話でお決まりの結び文句ですね。その後ずっと、幸せに暮しましたとさ。めでたしめでたし。
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製作:イギリス/アメリカ’95
原題:SENSE AND SENSIBILITY
監督:アン・リー
原作:ジェーン・オースティン
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】19世紀初頭、イングランド南東部。ダッシュウッド家の主ヘンリーが亡くなり、法律によって財産は先妻の息子ジョンに相続される。彼の妻と3人の娘エリノア、マリアンヌ、マーガレットは、悲しみにひたる間もなく早速新しい家を探し始め…。
久し振りに恋愛モノを観て大満足できました。
最近、また寒くなって若干イライラしてたんですけど、これを観始めたらフィーリングが合う作品だとすぐにピンときて、寒いのもだるいのも眠いのもぜんぶ忘れて没頭してました。これは”じれったい”恋愛モノが好きな女性にはたまらない作品だと思います。
ストーリーはなんて事ないんですよ。しっかり者の長女と情熱的な次女を対比させながら、それぞれ恋愛で苦難を乗り越え、最後はハッピーエンド。いかにも女性向けな甘い展開なんだけども、登場人物がみんな魅力的だし、やや軽めの雰囲気も見やすいし、なにより姉妹愛、家族愛がいい。
姉妹でロマンスというと「ブーリン家の姉妹」を連想するけど、あちらが重苦しくて寒々しい気持ちになる作品なら、こちらは真逆ですね。姉妹の恋愛事情を家族が把握していて、家族みんなで応援したり心配したり、空気読んで二人きりにしてあげたり(笑)
可愛い娘を裏切った男を”目つきが悪かったわよね”と言うお母さんが可愛い。二人きりにしておいて、外のツリーハウスからふたりの様子を実況する末っ子も可愛い。雨女設定で恋愛も人生もドラマティックに演出できる次女も可愛い。好きな人が結婚しなかったとわかって思いっきり泣き出しちゃう長女も可愛い!この一家、みんな可愛い!!
ついでに、彼らに家を貸してくれた空気読めない世話好きな寂しがり夫人も憎めないし(側にいたら殴りそうだけど 笑)、その夫人に性格がそっくりな娘とどうして結婚したんだというクールに耐え忍ぶ旦那さんも素敵だったし、姉妹の相手役の一途で控えめな男二人もよかった。
とにかく、みんな可愛くて、みんな好きです!
原題の意味は「分別と多感」。邦題は地味だけど、原題だと重っ苦しい文芸モノみたいに感じてしまうから、これくらいがちょうどいいかも。
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彼女が描きたかっただけー。
製作:イギリス/フランス/ドイツ’98
原題:THE SERPENT'S KISS
監督:フィリップ・ルースロ
ジャンル:ドラマ/ロマンス
【あらすじ】17世紀末の英国。英国一の庭園を建設するため、庭園デザイナー、ミニアを雇った領主トーマス。だが、妻ジュリアナは庭園よりも彼に関心を寄せ、ミニアは不思議な娘テアに惹かれていく。また、ジュリアナの従兄フィッツモリスも現れ…。
サスペンスと思わせて、ぜんぜんそんなんじゃないという、悪い意味で謎めいた作品でした(笑)
虚栄心を刺激され庭園造りに没頭する領主と、庭園より若い男に興味津々な妻、その妻に横恋慕する威厳も怪しさも足りない悪役。そして、庭園建設が進むにしたがって、生気と正気を失っていく魔女っぽいヒロイン…。
家庭崩壊とか陰謀とかサスペンス要素は詰め込まれているのに、なんかこうコスプレっぽいし、親子の問題は投げっぱなしだし、悪役の最期とかブラックコメディみたいだったし、よくわからないまま終わってしまいました。
何よりダメだったのは、出来上がる庭園がぜんぜん美しくないんですよね。花も緑もほとんどないなんて…!
主人公の心境の変化とともに、植物にあふれた庭園に変えていくか、彼が美しい自然に感動するシーンでも入れればよかったのにと思いました。
ちなみに、「悪魔のくちづけ」というのは(原題のSERPENT'Sは蛇と悪魔、両方の意味)、庭園の中央に配置された、蛇が自分の尾をくわえている絵を型どったものの事で、この庭園デザイナーのサインのようなもの。
とくに物語には関係しません!

製作:アメリカ/フランス/日本’07
原題:BROKEN ENGLISH
監督:ゾーイ・カサヴェテス
ジャンル:★ドラマ/ロマンス
【あらすじ】NYのホテルで働く30代の独身女性、ノラは、男運が悪く、いつしか恋に臆病になっていた。そんなある日、情熱的なフランス人、ジュリアンが現れ、彼女に熱烈アプローチしてくる。戸惑いつつも、次第に彼に惹かれていくノラだったが…。
恋に臆病になって踏み出せないノラの不器用さが、ほんと見ていてやるせなくって…。いつの間にやら、どっぷり感情移入して観てました。
男運が悪いと嘆いている前半は普通の恋愛モノ?と思って観ていたんですが、彼女に熱烈アタックしてくるフランス人が現れてからは、恋に臆病になる女性が繊細に描かれます。
ちょっとした事で不安になって、このまま恋愛してもいいのか、また傷つくのは自分なんじゃないかと悩んだり、嫌われるようなことをしてしまったと取り乱したり。それでも、こんな自分に「一緒にパリへ来ないか」と誘うジュリアンに、心動かされないはずはないけれど、不安の方が大きくて一歩踏み出せない…。
普通の恋愛モノ目当てで観た人なら、何やってるんだ!とイライラしまくりの作品かもしれません。
でも、思い切ってパリに来てから、躓きつつも自分からジュリアンを探すノラの姿は、いじらしくて応援せずにはいられませんでした。終盤は上手くいきすぎかもしれないけど、さんざんリアルな女性の揺れ動く心をみてきたので、最後はお伽話な展開でも良かったと思います。
母親に「彼女は上手くやってるのに」と引き合いに出されていた親友が、結婚していてもノラのように悩みを抱えているのもよかった。いつも相談に乗ってくれて、ノラと同じ様にパリで”自分の中に愛と幸せ”を見つけるところもナイスです。
タイトルの意味は公式サイトに長々と説明されていて、かいつまんで言うと「言葉によるコミュニケーションは難しいけど、諦めず、そのやりとりの中に意味を見出そうとすることが大切だから」ということらしいです。

原題:THE SCIENCE OF SLEEP(LA SCIENCE DES REVES)
製作:フランス・イタリア’05
監督:ミシェル・ゴンドリー
ジャンル:★ロマンス/ファンタジー
【あらすじ】ナルコレプシーでしばしば夢と現実の区別がつかなくなる青年ステファン。仕事はもちろん恋愛も失敗ばかりの冴えない人生を送っていた彼は、母が大家をするアパートに住むことに。そこへ、知的な女性ステファニーが越してきて…。
最初はアート系の雰囲気に一歩引いて観てたんですけど、夢か現実か区別がつかず好きな人の前で大失敗したり、嫌われているんじゃないかという不安から幻覚を見たりする様子に、この不思議で目茶苦茶な世界は重度睡眠障害(本人は病気だと知らない?)に苦しむステファンが見ている世界そのものなんだと思えたし、
夢の中のつもりで彼女の部屋に行ったら現実で(つまり不法侵入)、今度こそ嫌われたと泣きながら逃げていって、彼女からの慰めの電話に「70歳になったら結婚してくれる?…失うものはない。」というシーンが切なくて切なくて、思わずもらい泣きしてしまいました。電話で話しながら眠りにつき、夢の世界の彼と、現実の世界の彼女が電話で話しているのもよかった…!
ややとっつきにくい作品だったけど、恋愛で浮かれたり苦悩したりという部分は普遍的なものなので、一度入り込んでしまえば最後まで楽しめると思います。
ちなみにフランス語題の意味は「夢の科学」で英語題は「眠りの科学」。邦題はまあ可愛らしくていいんじゃないでしょうか。
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