製作:日本’01 107分
監督:りんたろう
原作:手塚治虫
ジャンル:SFファンタジー/アニメーション
【あらすじ】ロボットと人間が共生する巨大都市国家・メトロポリス。一見理想的な社会かに見えるこの国だが、発達したロボットによって大きな恩恵を受けた者がいる一方、そのロボットたちによって働き口を奪われた者、ロボットにも人権をと主張する団体など様々な確執が噴出し始めていた……。
久しぶりに映画を見ました。たぶん地上波初放送の時に一度見てますね。
CMが少なかったのもあって前より大分楽しめました(後半は”ながら見”でしたが)。
何と言ってもロックの養父に対するクソデカ感情ですよ(笑)
ひな鳥が最初に見た者を親と思ってひたすらついてくるのと同じように、最初から最後まで”自分を見出して養子にしてくれたレッド公”のことしか見えてません。たとえ父が冷たい態度を取っても彼の愛は微塵も揺るがず、ただ父が彼よりも関心を向ける相手がいれば容赦なく抹殺するだけ!
どうしてそんなに極端思考なのかといえば、彼の大大大好きな父親もまた視野の狭い極端思考の持ち主だから…。
だって、亡き最愛の娘に似せて作った完璧な人造人間ティマに、いきなり世界を支配する力を与えようとする父親ですからね。
彼自身が世界を手中に収めたいなら、兵器を娘そっくりに作る意味が分かりませんから、愛する娘に世界(娘の死という間違いを犯したものであり、完璧な支配によって正さなければならないもの)を捧げるのが彼の愛情表現ということなのだと思いました。
そして、ロックもまた『あの椅子に座るのはお父さんでなければならない!(”お義父さん”呼びではないはず)』と言っています。つまり父親と同じく、世界(父に救い出されるまで何もしてくれなかったものであり、完璧な支配によって正さなければならないもの)を捧げることが、最大級の愛情表現だったのかなと。
ロックの(何も見えてないが故の)まっすぐな愛情は刺さるものがあったし、終盤の『お父さんはロボットなんかに殺させない!』と自爆スイッチ(なぜレッド公はそんなものを建物につけたのか…)で心中するくだりはウルっときました。独占欲もここまでくれば立派よね…(?)
あとは最下層の清掃ロボ・フィフィが好きです。ちゃんとケンイチやティマのことを覚えていたのは、他のロボットと並列化でもしたんだろうか。それともデータ部分は壊れなかったのかな。フィフィが修復できたならティマも…という暗示なのか、形見を渡すためだけに復活させたのか気になるところです。
ちなみに、手塚治虫さんは1927年の「メトロポリス」自体は見ていなくて、雑誌か何かで女性ロボット誕生シーンの写真を見てインスパイアされたようです。メトロポリスという単語も耳に残ってたんでしょうね~。
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読み:そいれんとぐりーん
原題:SOYLENT GREEN
製作:アメリカ’73 98分
監督:リチャード・フライシャー
原作:ハリー・ハリソン
ジャンル:★SF/サスペンス
【あらすじ】2022年、爆発的な人口増加と環境汚染により、ニューヨークの街もかつての姿を失い、この世の終わりのような様相を呈していた。そんな中、合成食品ソイレント・グリーンの製造会社社長が殺され、刑事ソーンが捜査を開始する。やがて、背後に大きな陰謀があるとわかっていき…。
実は記事にできるくらいの感想を2012年に書いていたものの、いまいち自分の中で消化しきれていなくてお蔵入りしていた作品。今回ようやく再見して記事にしてみました。
映画の内容は、環境破壊してばっかりいると食糧危機で緩やかに滅亡するしかなくなるよ、という人類への警鐘モノ。人類の危機になっても生き残るのは金持ちで、民衆は底辺というのがリアルに描写されていました。
アパートの階段には飢えて無気力になった人々が足の踏み場もないほど座り込み、教会には食べ物も寝床もない人々であふれています。仕事と余裕のある一部の人々を除き、人間らしい様子が見られるのは食糧の配給の現場だけ。暴動を起こす時以外はカロリーを消費しないようにじっとしているという、滅びへ向かう世界をありありと描いていました。
主人公の刑事ソーンはまあまともな生活が送れるご身分で、家も食料もある上に、事件現場から生活必需品などを”押収”するのを大目に見てもらっています。
ある富豪の殺人現場で初めて見る生鮮食品をひょいひょいと紙袋に入れ、洗面所で顔を洗って石鹸の香りを恍惚の表情でかぐシーンがいいですね。それだけで満足していた彼が、シャワーを勧められて「お湯が出るのか!?」と驚愕するところも面白いです。あまりにも世界が違いすぎて職権乱用もやりつくせないという。
また、ソーンの相棒ソルとのやり取りも良かったです。過去を知る年寄りを”本”と呼び、刑事の相棒として一緒に暮らしています。合成食品しか知らない世代にとって食事は空腹を満たし生きるための行動でしかなく、老人たちは本物の食事を知っているからこそ満たされないという対比がよかったです。
彼が富豪の家から食料を持ち帰ったのも、最近”ホーム”に行きたがるソルを元気付けるためでした。ソルが作った”贅沢”な食事を堪能するシーンが印象的。ソルは昔を思い返しながら、ソーンは初めての食事らしい食事に戸惑いつつ、それを味わい楽しみます。初めて香りに初めての食感と味。キラキラと目を輝かせる二人が本当に幸せそう。現代人からしたらどうってことないメニューなのに、信じられないくらい美味しそうに見えました。
ただ、女性を”家具”と呼ぶのは正直嫌な感じでしたね。再見なのでそこまで気にならなかったものの、やはり当然のように刑事と寝る”家具”のヒロインの気持ちはよくわかりませんでした。円滑に生きるための行動なのか、ソーンに少なからず希望を見出したのか(部屋の主が殺され、次の住人がいい人とは限らない)。
ヒロインの気持ちはともかく、女性の地位が下がるというのはまあ納得できました。人口増加と食糧危機の世界で妊婦がどんな目で見られるかは想像に難くない(一人では妊娠できないけど目立つ)し、あの世界では女性にできる仕事は限られているでしょうから。
…まあ、ラストで絶望したソーンが口走ったようなことにはならないと思います。飼うではなく狩るの間違いでは?
ところで、ソイレントグリーンは海中プランクトン、ソイレントイエローは大豆由来、じゃあソイレントレッドは何由来だったんでしょう。昆虫食かと思ったものの、従来のレッドよりもグリーンは栄養満点と言っていた気がするし…。現在、一番現実的なのがコオロギやバッタやGなどによる昆虫食なんだよなぁ。
多少古臭さはありますが、オチを知っていてもサスペンスとして引き込まれるものがあったし、テーマはこれから先どんどん現実味を帯びていくもので、ドラマとしても面白かったです。
ホームでの「美しいだろ」「ああ。(こんな美しい世界)想像しようがない」のやり取りも忘れ難いものがあります。自然を大切にしようというメッセージだけじゃなく、神の作った世界を賛美する意味もあったのかも。
あれを見ると、美しい世界を見ながら心穏やかな時を選べるのも一つの幸せだよなぁと思ってしまいます。
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読み:とぅるーまんしょー
原題:THE TRUMAN SHOW
製作:アメリカ’98 103分
監督:ピーター・ウィアー
ジャンル:★SF/ドラマ
【あらすじ】美しい妻や長年の親友に囲まれ幸せな毎日を送るトゥルーマン。だがそれは、ある者の手によって作られた偽りの世界だった。ある日、溺死したと思われていた父親と再会した彼は、かつて無理やり引き離された女性の言葉を思い出す。真実を確かめるため街を出ようとする彼だったが…。
久しぶりに再見。これはコメディというよりSFドラマなのでは。しかもホラー寄りの。
ジム・キャリーには苦手意識があったんですが、このトゥルーマンは彼以外には考えられないと思うし、いつものようなくどさは感じませんでした。
ストーリーはほぼ覚えていて、虚構に包まれた彼の姿に笑えるわけもなく、もし自分の人生も誰か(宇宙人とか次元の違う存在など)に管理されていたら…という恐怖感の方が強かったです。あとは悲しみですね…。誰もかれもが彼を騙しているし、親や妻、親友だと思っている相手から与えられる愛情は嘘っぱち。そんなの悲しすぎます。
そんな彼の唯一の味方とも言えるヒロインは美しく、彼女の言葉が彼を導く展開は切ない愛の物語のようでした。役者として接するのをやめた唯一の人であり、彼女だけがトゥルーマンに真実を伝えようとし、番組制作者に対して本気で怒って抗議しています。…ただ、引き離されてからトゥルーマンが”現実”に疑いを持つようになるまでの数年間、彼女が何かしたという描写はないのが若干不安なんですよね。それほどTV局が力を持っていたということなんでしょうけど、トゥルーマンと恋人同士になれば世間に注目されそうですし…(騙してるというわけではなく、無意識下で別世界の人への憧れとか色々含まれてそうな)。うがちすぎでしょうか?
そして、今回注目したのが番組ディレクターのクリストフ。神になろうとした男の傲慢さと滑稽さでした。
平凡な普通の人生を送ってほしい。それだけ聞けば父親のようですし、眠るトゥルーマンの映像をいとおしそうに撫でる様子には、エド・ハリスの演技も相まって愛情があるかのようにも見えます。
ですが、トゥルーマンが外の世界に飛び立とうとするのを徹底的に邪魔するのは、彼にとってトゥルーマンが”自分の最高の作品”でしかないということ。次の金の卵を生み出すために必要な駒といったところでしょう。
親に子供の人生を支配する権利はないし、もちろん番組ディレクターにもない。彼を見ていて、そんなことを思いました。
さらに、この作品で最も恐ろしいのがトゥルーマン・ショーに夢中になる視聴者でした。こんな番組がまかり通るのは、他人の人生をフィクションとして楽しむ視聴者の存在があるから。彼らにとって”トゥルーマンという真実”は感動を盛り上げるための魔法の言葉であって、本当に彼が一人の人間として生きているということはどうでもいいことです。
見ている間は感動して涙もするし、熱い気持ちで応援したりもするけれど、番組が終われば一瞬で興味が失せて自分の生活に戻っていく…。そんな他人の人生をコンテンツとして消費していくのは、何もこの映画の中だけでなく現実でもあることなんだと気付かされます。感動ポルノなんてその代表みたいなものですよね。
思わず自分はどうだったかと省みてしまいました。考えさせられる作品です。
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原題:CRIMINAL
製作:イギリス・アメリカ’2016 113分
監督:アリエル・ヴロメン
ジャンル:★サスペンス/アクション/SF
【あらすじ】CIAロンドン支局のエージェント、ビル・ポープが極秘任務中に命を落とした。彼は世界的なテロを防ぐのに必要な情報を持っており、CIAは記憶移植手術でビルの記憶を他人に植え付けることに。移植相手に選ばれたのは、人間的な感情や感覚を持たないサイコパスの死刑囚ジェリコで…。
これは設定的にダメかと思ったんですが意外にも良かったですね。
個人的に「同じ記憶を持つ大切な人とは別の存在」は本人とはまったくの別物という認識で、そういうのを生み出したり求めてしまうのは、(とくに亡くなった人の場合)本人を否定するのも同然だと考えていました。なので、簡単に受け入れてしまう登場人物なんかがいると冷めてしまっていたんですよね。
でも、この作品はほとんど気になりませんでした。以下、ネタバレあります。
他の作品との大きな違いは、誰よりも記憶定着を望んだのが記憶を移植された死刑囚・ジェリコ(ケヴィン・コスナー)自身だったからだと思います。最初こそCIAの都合で勝手に記憶を移植されたものの、その被験者に選ばれた理由は幼少時の怪我による脳の障害で、感情を司る部分が未発達だったから。つまり、彼は物心ついてから感情はもちろん愛というものを感じたことがありませんでした。
必要なものは奪い邪魔なものは排除するという、ただ自分がやりやすいように生きてきたジェリコ。そんな彼が、妻子を持ち使命に命を捧げたCIAエージェント・ビルの記憶を移植され、初めて感情というものを理解します。
まるで「アルジャーノンに花束を」のように、彼の世界は変貌してゆきます。ビルと妻子との幸せな想い出に触れ、実際に彼女たちに会って「守りたい」という思いが湧きあがり、そしてかつての自分が何も持たない哀れなモンスターだったと知るのです。
放っておけば48時間で元の自分に戻ってしまう、それがわかってからの彼の表情は迷える子羊のよう…。
ビルの記憶は使命を忘れてはいないものの妻子への想いで溢れ、そしてジェリコ自身は空っぽだった自分に戻ることに少なからず恐怖を感じていました。一度知った感情を伴う世界を失えば、きっと大きな喪失感だけは消えずに残る…そんな予感があったのかもしれません。
そんな彼に無意識に心を許す幼い娘と、彼と娘を見ているうちに夫は彼の中で生きていると感じた妻。そして、ジェリコの状況を一番理解している医師(トミー・リー・ジョーンズ)の同情的な視線など、彼に好意的な人間と記憶移植手術を望んだ人間が別だというところも受け入れやすいポイントだったと思います。
終盤、記憶定着手術をとるか、妻子救出をとるかという展開は、わかっていても盛り上がりますね。
ラストはそれでいいのだろうか…と若干悩んでしまうものでしたが、ここまで引っ張ってくれたのでまあいいかと思えました。SF好きならおススメ。

原題:STARSHIP TROOPERS
製作:アメリカ’97 128分
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原作:ロバート・A・ハインライン
ジャンル:★アクション/SF/戦争
【あらすじ】ブエノスアイレス。高校を卒業したジョニー・リコは、両親の反対を押し切って軍隊に入る。軍役に就けば市民権が得られ、恋人カルメンが宇宙海軍アカデミーに入学したからだ。だが、宇宙進出を続けていた地球は昆虫型異星生物(バグズ)の襲撃を受け、ついに全面戦争に突入する。
例の93分番組で観たので安っぽさも感じてしまいましたが、面白かったです。個人的には「スター・ウォーズ」より断然好き。
97年製作だということを考えると驚くほどよくできた宇宙空間などの特撮と、70年代を感じさせるデザインや中途半端な俳優さんたち(テレビドラマ風にしたかった?)とのギャップが、この世界のプロパガンダCMの嘘くささと相まって、すごくしっくりくるんですよね~。
若者たちは能天気で、とくに恋人と(精神的に)離れたくない一心で自分も軍隊に入ってしまった主人公は、まさに政府に洗脳された者の一人。
物語の流れ的にも、軍にいたおかげで災難を逃れたという恩義や、バグスへの復讐心から、命を懸けて戦うことに疑問を抱く余地はなく、壮絶な死闘を繰り広げて希望を得る展開は何気に熱いものがあります。
ツッコミどころは多いし(貧弱装備、応急処置もできない)、ベタな展開なんだけども、圧倒的な数で押し寄せるバグスとの絶望的な戦いがメインなので、むしろベタなくらいじゃないと一息つく暇がない(笑)
そして、またまた入るプロパガンダCMでは、そんな家族や仲間を想って必死に戦った若者たちが、新たな犠牲者を募るために利用されているんですよ。侵略戦争を仕掛けてる地球連邦軍のえげつなさ!
バグスたちからみたら、人間の方が害虫のようなものです。
こういうところから、監督の戦争への嫌悪感がひしひしと伝わってきて、疑問を抱く主人公を描いて反戦を訴える作品は多いけど、こういうやり方もあるのか~と感心しました。
ただ、個人的にはバグスのデザインがじっくり見られなかったのは残念。昆虫の機能美溢れるフォルムと、カラフルな色使いが好きなので、このバグスは色合いが悪い気もしたし…。
続編もあるらしいけど、思いっきりしょぼくなってるようなので見ないでおこうかな。それより完全版が観たいです!
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原題:THE TERMINATOR
製作:アメリカ’84 108分
監督:ジェームズ・キャメロン
ジャンル:★SFアクション
【あらすじ】1984年ロス。どこからともなく現れた謎の男が、サラ・コナーという名の女性たちを殺し始める。平凡な女子学生サラは怪しい男につけられて怯えていたが、警察に保護してもらおうとしたところ、殺人事件の犯人の襲撃を受けるのだった。だが、彼女をつけていた男カイル・リースに救われ…。
昔はTVで「2」を何度もやっていて、そっちが印象に残っていたけど、やはり原点である1作目はストーリーもしっかりしていて面白いですね。再見するのはたぶん15年ぶりくらいなので、初見のように楽しめました。
それにしても、戦う女になる前のサラ・コナーが初々しい!
男に尾行されていることに気付いて、涙目で電話する姿なんか守ってあげたくなります。
何にも知らないで観れば、真っ裸で現れた謎のマッチョと人相悪い男、どちらが敵でどちらが味方だかわからないようになっているので、サラの不安な気持ちに寄り添えたでしょうね~。
命を救ってくれたとしても、荒唐無稽な説明をする相手を心から信用できるのか?
カイルさんが警察で尋問される様子を見て、何を信じたらいいのかわからないという描写も上手かったです。ここがあるから、その後のカイルさんが話す”この任務についた理由”でグッとくるんですよ。
人相悪いなんて思ってごめん(笑)
それにしても、怖い目に遭い、友人を失った直後の彼女の弱々しい姿を見て、誰が女戦士となった彼女を想像できるでしょう。知ってても同一人物だと思えないのに!
ですが、そんな彼女が彼と結ばれてから、一気に強い女に成長するんですよね~。負傷して自分を置いて早く逃げろと言う彼に「立ちなさい」と喝を入れるくだりや、骨格のみになったターミネーターとの這いずりながらの一対一の対決…。彼女が将来人類の指導者を産み育てるという話が、途端に現実味を帯びてきます。
リンダ・ハミルトンさんの演技が光ってました。
そして、やっぱりターミネーターが素晴らしい。
シュワちゃんのつくりものみたいなマッチョな体と、表情のない無機質な雰囲気がマッチして、メチャ怖いんですよね。途中から眉毛が消えていたり、壊れた片目を抉って機械の部分が見えたり、それをサングラスで隠して乱射&タンクローリーで突っ込む姿は、本当に心を持たない破壊兵器のよう。
爆破で表面が焼け、中の骨格部分だけになってからも怖いです。闇夜に赤い目の光が浮かび上がるシーンとか怖いけどカッコいい!
あと、2で印象的な「I'll be back」が、わりとどうでもいいシーン(警察の窓口)で使われているのに驚きました。
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読み:ばっくとぅざふゅーちゃーぱーとすりー
原題:BACK TO THE FUTURE PART III
製作:アメリカ’90 119分
監督:ロバート・ゼメキス
ジャンル:★SFコメディ
【あらすじ】ドクとの度重なるタイムトラベルの中、マーティは1955年に取り残され、ドクは1885年に飛ばされてしまった。ドクが過去の世界で殺されてしまうと知った彼は、55年のドクの協力で開拓時代へ飛ぶ。だが、そこでマーティはマッド・ドック・タネンと決闘することになり、ドクは女教師クララと恋に落ちて…。
ファンタジー企画4作品目は、IIに引き続きIIIです。
時計台に始まり、時計台に終わる大冒険って感じでしたね~。ホント後から付け足したとは思えない完成度でした。
冒頭は前回の終わりである、55年のドクがマーティを85年に送り返したところから。偉業を成し遂げ感慨に浸っているところへ、再びマーティが現れて卒倒してしまうドクが何度見ても面白い。そりゃあ、あれだけ苦労した直後に戻って来たとか言われたら卒倒するよね(笑)
しかも、そのショックで軽い記憶障害を起こしているドクがまた絶叫!
二度三度楽しませてくれるところがさすがです。
でも、そんな混乱状態の中でも”1885年”にピンとくるところがドクらしいというか、いつまでも少年の心を忘れていない証拠なんですよね。空想科学小説が大好きで、西部劇が大好きで、新しいことに挑み続けるドクが大好きです♪
その後の話運びがまた見事で、瞬く間にドク救出作戦が始まり(マーティに命運を任せる55年のドクの信頼!)、現代に帰ることが出来なくなり、ドクが恋に落ちて、マーティが決闘することに。さらにIでやったネタをもう一度入れてきたりニヤリとさせられることもしばしば。めまぐるしい展開だけど、IIと同じくグイグイ引っ張っていってくれるので余計なことを考えずに楽しめます。
ドクとクララの出会いなんて本当にロマンティックで、お互い一目惚れなんていうベタな展開でも納得。マーティそっちのけで見詰め合ったり、祭の夜にダンスを楽しんだりする様子はピュアで可愛いし、クララを守るようにタネンの前に毅然と立ちはだかる姿は痺れました!
その一方で、チキン(腰抜け)と呼ばれると我慢ならないマーティが、自分のご先祖さまとの交流や、これまでの失敗から、このままではダメだと少しづつ成長していくんですね。
決闘の時のクリント・イーストウッドの「荒野の用心棒」作戦は見事だったし、現代に戻ってから自分で未来を変えたところはグッときました。ドクの予想に反して記憶が残っていたジェニファーも、そんなマーティの姿に惚れ直したみたい。他に将来の不安があるとしたら、娘が誰に似るかということくらいか(笑)
やはり、このシリーズはドクとマーティのふたりが主役でした♪
他に良かったところと言えば、やっぱりデロリアンがバチバチ!と光りながら火のラインを残してタイムスリップするところがカッコいいですね。空を飛ぶデロリアンや、蒸気機関車型(ホバーボードを解析して未来の技術を手に入れたんだろうな)もいいけど、ちょっと物足りない。
また、ピンクのなんちゃってカウボーイの姿から、本格的な西部の衣装に着替えたマーティもサマになってました。何気に西部劇らしいアクションをたくさん見せてくれたし。
さすが当時の型紙から再現した衣装だけあって西部の町並に溶け込んでおり、お馴染みのキャラたちも西部の住人になりきってます。ビフ役の人は、この姿が一番似合っていたかも。
なんせ現代では使用人みたいになってますからね…。ハッキリ言って、肥やしに頭から突っ込むシーンだけで十分溜飲は下がるし、IIで自分を殺そうとしたサイコパスとは縁を切りたいというのがマーティの本音だと思うなぁ(汗)
でも、彼がマッドドッグのような犯罪者にならずに済んだのは、ある意味マーティのお父さんとお母さんのおかげか。彼らへの執着がなかったら、きっと悪の道まっしぐらだっただろうから。
ビフの扱いについては若干引っかかったものの、それでも大好きな作品だと改めて実感できました。再見してよかったです♪
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読み:ばっくとぅざふゅーちゃーぱーとつー
原題:BACK TO THE FUTURE PART II
製作:アメリカ’89年 108分
監督:ロバート・ゼメキス
ジャンル:★SF/コメディ
【あらすじ】ドクに未来の息子のピンチだと言われ、急遽未来へ向かったマーティ。なんとか将来の危機は回避するが、つい欲が出て買ってしまったスポーツ年鑑が元で、現代に戻ると宿敵ビフが町に君臨していた。彼が改変した過去を元に戻すため、マーティは再び1955年へ行く。
ファンタジー企画ということで大好きなSF作品も観ることにしました。
う~ん、やっぱりいいですね~。1作目が人気が出たからとつくった続編なのに、こんなにも面白いってすごいことだと思います。タイムトラベルものなので、整合性をとるのも大変ですし。
今回は未来へ行ったかと思えば現代が滅茶苦茶になっていて、再び1955年へ行ってと展開がめまぐるしいですが、流れるような話運びで引き込んでくれました。
自分たちの任務を遂行しながらも、前回のマーティたちの動きを妨げないようにと、1955年にふたりのドクと、ふたりのマーティと、ふたりのビフがいるなんて考えただけでもややこしいのに、観ててぜんぜん混乱したりしないんですよね。むしろ「前作のあのシーンだ!」と前回の興奮がよみがえってきたり。
整合性とか考える気にもならない!
また、未来の世界が2015年だったのも面白かったです。もう去年のことですよ。
残念ながら車が飛び交ったり、スケボーが浮いたり、服に自動乾燥機能がついているような未来にはなりませんでしたが、CGの進化は予想を上回ったかもしれないし、ドローンが飛び回ってますよね。
巨大なテレビやハイテク家電も実現したといえるものの、この作品のように誰でも持ってるわけじゃないからなぁ。
このなかで一番実現してほしいものをあげるとしたら、やはりエアボードでしょう。子供の頃からの憧れでした♪
あと、未来の娘はインパクトありますね。3役(4?)で頑張ってるからゴツいんだけど、案外可愛い(笑)
そして、IIIを知ってる状態で見ると、次回への布石がたくさんあってそれも面白かったです。
とくにドクが「今度はもうひとつの宇宙の神秘を研究しよう、そう女性だ」というような台詞が、次回のロマンスを予感させて胸キュン。そのための若作りだったのか?(マーティを驚かせないようにと整形前のマスクをしてたところも可愛かった)
若干気になったのは、恋人の扱いが雑だったことかなぁ。過去を変えれば時間の復元力によって余計な記憶は消え、元の彼女に戻るとさらっと言っていたのが…。自分の記憶がホイホイ書き換えられたら嫌だろうに。
でも、「IIIへ続く」となるこの作品で一番好きなのは終盤なんですよね~。
取り残されて呆然と立ち尽くすマーティの前に、雨の中近づいてくる謎の車。…そして何故かマーティの名を知っている謎の男の登場に、どうなるのか知っていてもドキワクです。
さらに、マーティを送り帰した直後のドクと再会するシーンの面白いこと!大笑いしてしまいました。
これを観たらIIIを観ずにはいられないでしょう♪
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原題:SOURCE CODE
製作:アメリカ’2011 93分
監督:ダンカン・ジョーンズ
ジャンル:★SF/サスペンス/ドラマ
【あらすじ】列車の中で目を覚ましたコルターは、見知らぬ女性から親しげに話しかけられ当惑しているうちに、大爆発に巻き込まれる。再び意識を取り戻すと、そこは軍の研究室だった。彼は次の犯行を食い止めるため、特殊プログラムによって構築された爆発事故8分前の世界へ送り出される…。
タイムループ的な作品ということで観てみました。
思った以上に過酷な8分間の繰り返しで、思わず主人公に同情してしまいますね。彼を任務に向かわせる博士がいい感じに冷酷で憎たらしく、悲壮な決意で任務に当たる主人公を応援せずにはいられません。
また、犯人を見つけるという任務と同時に、そのシステムの仕組みや彼が選ばれた理由などが少しづつ判明していって、それも主人公への同情に繋がるという…。ミシェルという女性に惹かれていくロマンス展開さえも悲壮感を増すんだけど、一方で心の支えにもなっているので、短時間(繰り返した回数によるけど)で恋に落ちるのも納得。
そして、この作品で一番ドラマを感じたのは、仕事をこなすクールな美人オペレーターの心情の変化でした。時間がない焦りから問答無用で主人公を任務に向かわせていたのが、彼が必死にあがく姿に”道具”ではなくひとりの”人間”として見るようになっていきます。自分の立場が危うくなるのをわかっていながら、葛藤しつつも彼の頼みを聞き入れる展開はグッときました。
<以下、ネタバレ注意!>
ただ、SFの印象は割と薄かったです。
博士の説明では「パラレルワールド」という単語が出てくるものの、話を聞いていると「限りなくリアルな仮想現実」のことを指しているようにしか聞こえず(マッドサイエンティストお得意の誇張表現 笑)、そこは荒唐無稽ながらSFしてるんですが(そんなもの作れるなら爆弾の場所も犯人もコンピューターで特定できるだろうけど)、ラストの解釈は「ショーンどこいった!?」と考え始めると、並行世界でもプログラムでもなく、コルターの望んだ未来…つまり死後の世界みたいに思えたので。
まあ、私が観ていてそう感じただけで、監督の意図したものは違うみたいですが。(こちらの方の「完全ネタバレ!映画『ミッション:8ミニッツ』の秘密を徹底解説!!ラストシーンの謎を解明できるか!?」という記事の考察が詳しいです)
映画なので解釈は観客次第でいいと思うし、一人の人格を蔑ろにするのは後味悪いので私の解釈は変わりませんけどね。
SFではじまり、「パンズ・ラビリンス」みたいな印象で終わる作品でした。
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原題:THE ISLAND
製作:アメリカ’05
監督:マイケル・ベイ
【あらすじ】近未来。大気汚染から守られ、管理の行き届いた安全で快適なコミュニティで暮らすリンカーンたち。彼らの夢は、地上最後の楽園“アイランド”への移住者として選ばれることだった。だがある日、リンカーンは換気口から迷い込んだ一匹の蛾を見て、ある疑念を抱き…。
<ネタバレあり>
初見時はツッコミどころの多さと、おそらくTVカット版だったためにアッサリ感が強くて楽しめなかったんですが、それを割り切った上で完全版を観たら意外と楽しめました。けっこう笑えるシーンもあったし。
もっとミステリー展開が長い方が好みではあるものの、監督の得意分野で勝負したのは正解かも。アクション満載の二人の逃亡劇はスピード感あって見応えありました。
見た目は大人、知能は15歳並み、でも脳細胞はピッチピチの3年ものなので、ものすごい勢いで学習していくんですよね。しかも、人体の神秘とばかりに、オリジナル本人の”記憶”も不完全ながら持っているというロマンティックな設定。
外に出たばかりの時は、マッチの文字と同じ標識を見つけただけで無邪気な少年のような笑顔を見せていたリンカーンが、友人の死やさまざまな危機を乗り越えていくうちに狡猾さや冷淡さも身につけていくのが寂しいような、怖いような…。
だって、一日二日の間に出産と殺人を目撃し、命を狙われ身を守るために相手を殺し、さらには敵を欺いて邪魔者を殺させたりしてるんですよ?
「人間は生きるためなら何でもやる」と誰かさんのセリフを使い、それを実行していく姿は、いつか彼が彼をつくった人間たちと同じ穴のムジナになってしまうのではと不安になります。
これから先、彼らがどうなるのか考えると(とくにリンカーンは危険人物として拘束されそうで)、ハッピーエンドとは思えないし…。
まあ、不安を煽るラストは近未来ものの定番だし、だからこそ「命とは何なのか」「人の侵してはいけない領分とは」など、色々考えられると思えば、これもいいかなぁと思いました。
いちおうツッコミどころも書いておくと…
- ・いくら植物と変わらないと言っても、姿形が人間と変わらなければ反対する社員、団体が必ず現れると思う。
- ・命を持たない(から臓器売買可)と証明するために、政府だかに研究報告して不正がないか調べるのでは。
- ・世界的に注目され、産業スパイや人権団体による攻撃に晒されながら、クローンたちにもバレてはいけないとかコスパ悪そう。
- ・クローンたちは、男女の接触を禁じられるのを何と説明されて納得していたのか?
- ・あんな生活してたのに二人とも運動神経と反射神経よすぎ。ついでに運も。

なぜかエイリアンシリーズになると気合が入る(笑)
原題:ALIEN: RESURRECTION
製作:アメリカ’97
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
ジャンル:SF/アクション
【あらすじ】リプリーが命を賭してエイリアンとの決着をつけてから200年。エイリアンを軍事利用しようとする軍部は、残されたDNAからリプリーのクローンを開発。彼女の体からエイリアンを摘出し、養殖をはじめる。
「3」も観たんですけど、やっぱり冒頭のあれがあるし(デヴィッド・フィンチャーめ!)、キャラの描き分けが微妙かつ状況がわかりづらくて好きじゃないです。一番ハラハラするはずの建物を使ったエイリアン誘導作戦も、どういう状況かわからないと怖くないんですよね~(わかる人は楽しいだろうけど)。武器なしでの対決という思い切った展開だったんですが、私的には肩透かしでした。
しかし、それを超展開によってなんとか感動にまで持っていった4の離れ技には、ある意味脱帽です。リプリーが人外になってしまったのは…うん、まあ過ぎた事は仕方ないよね!って感じですが、人間とエイリアンの中間の立場になった彼女が、ラストにどちらの道を選ぶのか。その選択が予想外に泣けるんですよ!!
これはもう、ニューボーンの造形のたまものだと思います。白い肌のグロテクスな容貌と、その奥に見えるつぶらな瞳!
最後の悲鳴が「ママー!ママー!」と聞こえたのは私だけではないはず。「2」、「3」と二度も”娘”を失ったリプリーの「許して」の言葉が切ない…。
クローンの失敗作を焼き払うシーンも印象的だし、このシリーズでずっと描かれてきた”一番醜いのは人間”というのも、今回が一番だったかも。
番外編くらいに思って見れば、楽しめる作品だと思います。
ちなみに、原題の”RESURRECTION”は復活という意味です。
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原題:PLAN 9 FROM OUTER SPACE
製作:アメリカ’59
監督:エドワード・D・ウッド・Jr
ジャンル:SF/ホラー
【あらすじ】飛行中に突如強風に煽られ、空飛ぶ円盤を目撃した飛行機パイロットのジェフ。一方、二人の墓掘りが奇妙な音を聞き、死んだはずの女性が歩いているのに出会ってしまう。やがて、死者が人々を襲いはじめ…。
ついに、観たかったウッド作品をぜんぶ観終えました。「グレンとグレンダ」の動画ページのmylistリンクに、これと「怪物の花嫁」もあったんですよ。感謝です!
で、内容なんですが、観る順番を間違えたかなぁ。途中で寝そうになってしまいました。シーンの使い回しが前にも増して多い気がするし(ルゴシが亡くなってしまったので仕方ないけども)、無意味な会話シーンが長いし、宇宙人のやりたい事がいまいちピンとこない。
でも、妖艶なヴァンパイラをやっと観られた~。登場シーン少ないけど、彼女のおかげでホラーの雰囲気出てました。トーも相変わらずぬぼ~とした動きがゾンビにぴったりで、今回は感情がないので怖さも倍増!
ただこのゾンビ、リモコンでon/off切り替えできるうえに、リモコンが壊れても叩けば直るんだぜ!(一気にほのぼの…)
後半はもう笑うしかないというか、一周回って爆笑ですよ。どいつもこいつも言ってる事が支離滅裂で、展開も予想の斜め上を行ってます。
主人公たちのバタバタ騒ぎで何故か爆発が起きて、宇宙船が炎上とか(笑)
それを”我々より進歩している”と称して眺めるシュールさがたまらないです。
いちおう反核というメッセージは込められてるものの、そこまで情熱は感じなかったかな。
伝説の迷作を観たいならぜひ!
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この手の動きを見よ!
原題:BRIDE OF THE MONSTER/BRIDE OF THE ATOM
製作:アメリカ’55
監督:エドワード・D・ウッド・Jr
ジャンル:SF
【あらすじ】放射能で超人を造り出そうとし、祖国から追放されたヴォーノフ博士。復讐を誓った博士は、ロボという助手を使い、沼地に迷い込んだ者たちを次々と実験台にするが…。
こちらもパブリックドメインという事で鑑賞。
これは普通のB級映画ですね。これより酷い作品はゴロゴロ転がってます。まともすぎて、逆にツッコミどころがないと物足りなく感じる人もいるみたい。
でも、ベラ・ルゴシ主演ですよ?
ウッドが彼のために撮った愛に満ちた作品ですよ?
「エド・ウッド」が好きなら、この作品が作られた背景を知ってるなら、楽しめないわけないじゃないですか!
見どころはたくさんあります。まずはやっぱりルゴシの熱演。ハンガリー人にしか出来ない手の動きや眼力、ラストのタコとのバトルも凄いけど、彼の心情を反映した例のセリフ…あれには痺れました。ルゴシとエドの想いと絆が込められています。
そして、プロレスラーのトーが演じるロボもいいですね。タイトルの”怪物”とは彼の事かと思いきや、チベットかどこかで拾った怪力男だった(笑)
強面で演技も上手くないのに、そのたどたどしさが逆に役にぴったりで、妙にカワイイです。
いちおう主演という事になっている肉屋の息子も見所のひとつ。親が主演にというだけあってなかなか整った顔ですが…早撮りのエドが何度も撮り直したくらいで演技はしょぼい。セリフ少ないし、声小さいし、動かないし!
でもそれなりに頑張ってるのは伝わってきました。
また、例の女の対決シーンも楽しめます。舞台裏を知ってるから、バチバチ火花散らしてるのがマジで見える気がしたり(笑)
警察署長?が肩に乗せている小鳥も微笑ましくて、観客のストレスを緩和しようというエドの思惑があった…のかも?
ラストはエグゼクティブ・プロデューサーの希望通りになっており、一瞬ポカーンとさせられたけども笑えました。
「エド・ウッド」ファンなら観るべし!
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原題:CHILDREN OF MEN
製作:アメリカ・イギリス’06
監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:P・D・ジェイムズ
ジャンル:★SF/サスペンス/ドラマ
【あらすじ】人類に子供が生まれなくなって18年が経過した2027年。希望を失い世界各国が混沌とする中、英国政府だけはなんとか治安を維持していた。そんなある日、エネルギー省の官僚セオは、元妻ジュリアン率いる反政府組織に協力を要請され…。
設定はしっかりSFでしたが、本質的には反戦映画で考えさせられる作品でした。
子供が生まれなくなった近未来は、絶望に蝕まれ混沌に包まれてるわけですが(ここが納得できないという人がいてビックリ!)、そこに描かれているのは今まで人間がしてきた恐ろしい事をそのまま詰め込んだような未来。他人事ではないのだというリアルさがあります。
そして、そこに差す一筋の希望の光である移民少女キー…。ここに描かれる絶望も希望も、今現実にあるものなんですよね。
ネタバレというほどでもないですが、キーの役割は聖母マリアでした。そんな彼女を守り導くのが主人公のセオ。強いわけでも特別な能力を持ってるわけでもない、ただの平凡な男です。
後半のキーたちを守る描写の中で、彼がいかに子供を愛していたのかが伝わってきて涙があふれてきました。妊婦を見た事がなく、何の知識も持たないキーを安心させ支える姿に、出産も育児も夫婦で協力してきた様子が、幸せに満ちたその光景が目に浮かぶようでした。
出産のシーンはややあっけなかったけども、赤ん坊の泣き声を聞き、その姿を見て、戦いに明け暮れていた兵士たちが銃をおろすシーンは胸に迫ります。こんな未来が訪れるまでもなく、きっと本当は誰もがわかっているはず…。
原題の意味は「人類の子供たち」。複数形であるところが重要なのに、邦題は陳腐なものになってしまいました。エンドロールで流れる子供たちの笑い声も印象的です。

原題:THE WAR OF THE WORLDS
製作:アメリカ’53
監督:バイロン・ハスキン
ジャンル:SF/サスペンス
突如飛来した隕石の中から、突如奇怪な円盤群が出現した。それは、圧倒的火力で街を焼き払い、軍隊をもたやすく壊滅させてしまう。最後の手段と思われた原爆すらも通じず…。
ミニチュア宇宙船や、意外と可愛い火星人、しょぼい合成映像とかは胸キュンものだったけど、期待が高すぎたせいかあまり楽しめませんでした。
冒頭は妙に軽いノリで、あの町の第一の犠牲者三人組の灰が人型なのは笑うべきか迷ったり。ヒロインの叔父が(たぶんダメとわかっていて)信条を貫き亡くなってからは、急に悲壮感漂ってきてたけどね。
気になったのは、対象物を消滅させる光線だと主人公が説明したのに、次の瞬間には燃えまくっていたこと。消すのか燃やすのかハッキリして!(笑)
暴徒の描き方や、終盤の絶望感からの希望は深みがあってリメイクより良かったです。
でも、納屋での攻防は先に観たリメイクの方がハラハラしたし…ずっと前から地中に潜んでいたみたいな描写と、息子がちゃっかり生きてるとこは別として、私的にはリメイクの方が全体的に面白かったかな。
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原題:THE LAST MAN ON EARTH
製作:アメリカ・イタリア’64
監督:シドニー・サルコウ、ウバルド・ラゴーナ
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:SF/ホラー/サスペンス
【あらすじ】1970年代、死者が吸血鬼として蘇る新種のウイルスが蔓延する世界。生き残ったロバートは、吸血鬼が眠る昼間の間だけ外に出て、生活必需品の確保と吸血鬼退治を行っていた。そんなある日、太陽の下で活動する女性を発見し…。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に影響を与えた作品という事で観てみました。
淡々としていてだいぶ長く感じたけど、同一原作の「アイ・アム・レジェンド」と違って狂った怖さがあるというか、オリジナルに忠実だというラストも含めて印象的な作品でした。
前半の無表情に”日課”をこなしていく主人公が怖いんですよ。朝起きて、壁に描いたカレンダーに日付をつけ、食事、吸血鬼撃退アイテム(にんにくや鏡)の点検、木の杭つくり、無線チェックを行います。そして、家の周りに転がっている共食いした”ヤツら”の死体を車に乗せて、生活必需品の調達に出発。途中、焼却場で死体を燃やし、店で必要なものを揃えたら、今度は眠っている”ヤツら”を探し出して、胸に杭を打ち込んで殺し、帰りにまた焼却場に寄って行くんですよね。
もう、3年も続けている生活というだけあって、その”日課”に無駄も感情も一切ありません。
話し相手は一人もおらず、名前を呼ぶのは夜中に家の周りをうろつく吸血鬼たちだけ(この描写が「ナイト~」のゾンビそのもの!)。彼の絶望が不気味なほどリアルに描かれていました。
そんな彼が別人のように嬉しそうな表情を浮かべたのは、真っ黒い犬を見つけた時くらいでしょうか。そんなにも喜んでいたのに、血液検査で陽性だったというだけで(症状が人間と同じかどうかはわからない)殺してしまう描写のあっけなさも恐ろしい…。
ラストはやはり「ナイト~」を思い起こさせる絶望感が良かったんだけども、回避しようと思えばできた気もするし(ワクチン完成の事を伝えろよ!)、なんで今までやられっぱなしだったんだという疑問も浮かんできて、スッキリとはしなかったかも。でも、一見の価値はあったと思います。
二度目の映画化作品「オメガマン」も機会があったら観たいなぁ。
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この後、ロケットがお月様の目に突き刺さります(グロ!)
原題:LE VOYAGE DANS LA LUNE
製作:フランス'1902
監督:ジョルジュ・メリエス
原作:ジュール・ヴェルヌ、H・G・ウェルズ
ジャンル:★SF/アドベンチャー/コメディ
【あらすじ】天文学者学会で月世界探検計画が提案され、一部の反対を受けるが可決される。その計画とは弾丸型飛行船を巨大な大砲で月に撃ち込むというものであった。やがてそれは完成し、会長以下6人の探検隊が船に乗り込む。多くの人に見送られ、船は月に発射されるのだった。
今年最後の記事という事で、そうそう観ないような作品に挑戦!
とにかく古いです。史上初のSFであり、劇的構成を持った初の映画だそうです。
ハッキリ言って、そんなに古い映画ってどんなもんよ?という好奇心くらいしか持ってなかったんですが、観てみたら意外とツボでした。
今よりずっと月が神秘的だった頃の発想と、ジョルジュ・メリエスの描いた世界観が見事マッチしていて、”初の~”という驚き以上の魅力があります。
まず、とんがり帽子を被った天文学者たちがいいんですよ~。あの姿に白いおひげ、そして金ぴかの望遠鏡!
魔法使いにしか見えない彼らがいる場所も、石造りの建物に積み上げられた本、そして空には黄色い顔で見守るお月様にお星様がいるという、まさにファンタジーな世界そのもの。
それらが私の好きなゲーム「ポポロクロイス」のイメージと似ていて、それだけでテンション上がってしまいました。
微妙にグロいかと思えば、月人がショッカーみたいに爆発するあっけらかんとした描写もあり、でも傘がきのこになって成長するファンタジックな表現もあったりで、先が読めないとこもいい。何気に天文学者がアグレッシブなのには笑ってしまいました。
たった16分の作品ですが、思いっきり濃厚です。
一緒に、メリエスの短編「天文学者の夢」と「日蝕と満月」が収録されており、そちらは不気味さアップでちょっと怖かったり。もう一つ、2011年に製作されたドキュメンタリー「メリエスの素晴らしき映画魔術」は一見の価値あり!
元奇術師で初の映画監督であるメリエスの映像を使ったトリックショー(これがホントに楽しい!)や、撮影風景の再現映像、フィルムに直接彩色する方法、そして残されたフィルムの途方も無い復元作業など、映画好きなら楽しめる内容でした。おススメです!
というわけで、今年もこれで終りですね。
いつも来てくださる方、コメントしてくださる方、企画に参加してくださる方、本年も御贔屓いただき、誠にありがとうございました。
来年も宜しくお願いいたします!
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原題:TERMINATOR SALVATION
製作:アメリカ’09
監督:マックG
ジャンル:SF/アクション/サスペンス
【あらすじ】2018年。“審判の日”を生き延びた人間たちは抵抗軍を組織し、スカイネット率いる機械軍との死闘に身を投じていた。その一員ジョン・コナーは、将来の父カイル・リースを保護するため捜索を続ける。だが、彼がスカイネットにさらわれたと、謎の男マーカス・ライトに聞かされ…。
思ったよりぜんぜん良かったです。
主人公が誰かわからないけど、群像劇戦争アクションもいいんじゃないだろうか。今まで話で聞くだけだった荒廃した未来の世界も観られたし、みんなが活躍してて良かったと思います。可愛らしいスターちゃんにもきちんと見せ場があるのが嬉しい!
確かに、執拗に追ってくる強敵がいないのは寂しいし、スカイネットのやり方は詰めが甘い気がするけど、そこらじゅうにいるロボットの脅威は、迫力のCGも相まってなかなかのもの。CGシュワちゃんもリアルで驚きました。普段、古い映画ばかり観てるから、なおさらです。
個人的に、一番の胸キュンポイントは、バイクロボット捕獲シーン(バイク・アクションも良かったよね)。あんな古典的な罠にかかって、捕まって、改造されて、利用されちゃうなんて…あのくだりに妙にドキドキしてしまいました(わたしだけ?)
わたしにも一台捕まえて下さい!!
AIもった乗り物と、コンビを組むのが夢なんです(笑)
10/20「ターミネーター3」感想追記
記憶では陰鬱な印象が残っていたんですが、再見したら普通のSFアクションで、ところどころクスリと笑わせてくれました。サングラスにこだわるシュワちゃんとか、心理学をインプットしているのに空気読めないとか。あとカーチェイスはすごかったし、お決まりのセリフも聞けた。でも、女性型T-Xがまったく迫力ないのと、シュワちゃんのとってつけたようなお涙頂戴展開と、主演二人の薄さがなぁ。ラストの無線のところは良かったものの、すぐまた忘れそうな作品。
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子供が間違って押したらどうなるんだろう?
製作:アメリカ’09
原題:THE BOX
監督:リチャード・ケリー
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:サスペンス/ミステリー/SF
【あらすじ】1976年12月16日、ヴァージニア州郊外に暮らすルイス夫妻宅の前に、何者かが箱を置いていく。中には赤いボタンが付いた装置が入っており、翌日謎の男が訪ねてきてとんでもない事を言い出す。それは、ボタンを押せばどこかで見知らぬ誰かが死に、現金100万ドルが夫妻のものとなるというもので…。
昨日、なんとなく観始めたんですが、最初から夫妻の行動がわたしではありえないものだったので、まったく他人事で観てしまいました。
玄関の前に誰かが置いていった箱を、ホイホイ開けるのって普通なんでしょうか?
以前、届いた荷物の差出人に覚えがなくて、家族で「詐欺!?」「爆弾!?」とおろおろしまくった挙句、2週間くらい放置したことがあります。結局、とくに何もなかったので恐る恐る開けてみたら、「当選おめでとうございます」と応募したのも忘れていた懸賞の品が入ってました(笑)
そんな臆病者なので、玄関の前に置かれた箱はそうっと門の外まで運び、「落し物です」と張り紙をして放置すると思うし、怪しい男が来ても敷地内には絶対に入れません。ましてや百万ドルとか言い出したら警戒心MAXで追い返しますよ。
誰も来なかったら箱を警察に届けるかな~。落し物を警察に届けたことは何度かありますし。
舞台が1976年っていうのは、現代アメリカではありえない展開だからというのもあるんでしょうね。
それにしても、ボタンを押すのがいつも母親っていうのは何なんでしょう?
そういう統計でもあるの?
もしくは、押しそうな母親のいる家庭を選んでるとか。いや、ランダムで選ばないとインチキになるか…。
あと、中盤の息子への関心の薄さが気になります。もっと警戒するだろ!
ラストは、罪を背負って、息子に生涯をかけて償うべきですよね。あんなことしたって、事件による傷が一生息子を苦しめるし、もしそれが自分のためだと気付いたら辛すぎる…。
母親は楽になるために逃げたようにしか見えませんでした。
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製作:アメリカ’86
原題:ALIENS
監督:ジェームズ・キャメロン
ジャンル:★アクション/SF
【あらすじ】ノストロモ号事件から57年、唯一の生存者リプリーが眠るシャトルが回収された。エイリアンの存在と危険性を会社に訴える彼女だったが、今やあの惑星は植民惑星となり数十家族が移り住んでいるという。星からの連絡が途絶えた時、宇宙海兵隊と共に彼女は再び悪夢の星へと旅立つ…。
監督が代わって別物になったけど、これはこれで好きです。
手に汗握る展開に、物々しい武器やメカ、ニュートとの擬似親子のドラマ。その上、エイリアンは見た目も動きもずっと迫力が増して、ラストのガチバトルも見ごたえあり。
「エイリアン」と聞いてパッと思い浮かぶのは、なんだかんだ言って「2」だったりするんですよね。オンエア頻度も高いし。
あとは、リプリーが完全に女ソルジャーとして覚醒したのも大きい(笑)
頼りない軍人どもを一喝して、てきぱきと指揮をとり、エイリアン襲撃に備えるくだりなんてマジ男前です。冒頭で悪夢に脅えていたのが嘘のよう。「もうビクビク脅えているのは嫌、決着をつける!」という彼女の決意がひしひしと伝わってきました。凛々しい表情でパワーローダーを操るリプリーがサイコー!
ニュートもホント可愛いし、演技がお上手でした。ひとりでエイリアンから逃げ隠れして生残った少女が、感情を失ったかのような状態から、しだいにリプリーを母親として見るようになっていく過程が自然でよかったです。ラストの「ママ!」は、不意打ちで一気に涙腺緩んじゃいましたよ。
にゃんこのジョーンズに代わって、この作品の癒し要員としてがんばってたと思います。
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