ポール・ハギスタグを含むお薦め映画

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映画「スリーデイズ(2010)」観た

 | サスペンス  com(6) 
Tag:ポール・ハギス 

スリーデイズ(2010)
原題:THE NEXT THREE DAYS
製作:アメリカ’2010
監督:ポール・ハギス
ジャンル:★サスペンス/犯罪/ドラマ

【あらすじ】愛する家族と幸せな毎日を送っていた大学教授ジョン・ブレナン。だがある日、妻ララが殺人容疑で逮捕されてしまう。妻の無実を信じて奔走するジョンだったが、3年後ついに裁判で有罪が確定。絶望したララは自殺を図り、ジョンは脱獄のスペシャリスト、デイモンに教えを請う。

(若干ネタバレ!)「すべて彼女のために」のリメイクを、93分番組で観ました。…41分カットかよ!(笑)
でもスピーディで面白かったです。オリジナル版で引っかかった部分はすべて改善されてて、やっぱそこ気になるよね~と思ったり。
<注意:以下はあくまで93分版の感想です>
まずは母子の愛情がオリジナル版よりハリウッドテイストでした。脱獄の方法を伝授してくれたおじさんが「これができなきゃ諦めろ」と言っていたものの1つ「(いざという時)子供を置き去りに出来るか?」が終盤のオリジナルエピソード(だよね?)に繋がって、よりいっそう彼らの逃亡成功を祈ってしまいます。
オリジナル版の「ママ」と心を開く感動シーンは、可愛く変更されていたけど若干薄味かな?
刑務所では無表情で完全無視だったのが、再会でほんのり安心して、ラストで刑務所での台詞に繋がるので、ワンクッションある分、感動が薄まってしまったかも。いいシーンではありましたが。
この作品ではむしろ父子の関係が気になります。父親が何をしようとしてるのか子供心に察していて、バンに侵入する後姿を黙って見つめているシーンが何とも言えない…。父親が悪い事をするところなんて見せられたら子供は傷つきますよね。しかも、母親のためなら黙っているしかない。共犯者みたいなものです。それすら気付いていないところが彼の終盤の決断にも繋がっていて、良くも悪くも今は妻しか見えてないというのが伝わってきました。
また、中盤の資金調達で麻薬密売人のアジトを襲撃するくだりで、彼らが組織と深く関わっていないのが伺えます。みかじめ料?とかは払っていたと思うけど、彼らをどうこうしたからと言って報復されるようなものじゃないのが警察の捜査方針からわかるので、逃亡後の不安要素が1つ取り除かれました。
そして、終盤のゴミ袋の件ですが、これは上手く逆手にとっていたと思います。オリジナル版を見た人も未見の人も痛快かも。
主人公はこれが初めてとは思えないほどの手際の良さでした(笑)
事件の真相も最後の最後にほのめかすところが良かったです。
他にも細かいところでオリジナルのネタがあって、とくに母娘と知り合うエピソードは意外と印象に残りました。息子が女の子と仲良くなるんだけど、パーティに行った時は二度と会えないかもしれないってわかってたのかな~?と想像すると切ない。
41分カット編集が何気に上手くて最後までグイグイ引き込まれました。いつかフルで……見ないかもしれない(笑)

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「告発のとき」観ました

映画「告発のとき」観ました

告発のとき
原題:IN THE VALLEY OF ELAH
製作:アメリカ’07
監督:ポール・ハギス
ジャンル:サスペンス/ドラマ

【あらすじ】2004年11月1日、元軍警察のハンクのもとに、イラクから帰還した息子マイクが行方不明だとの連絡が入る。彼は息子の行方を捜すため、基地のあるフォート・ラッドへ向かい、独自に捜査を始めるが…。

邦題から法廷モノと勘違いして観てしまったものの、反戦のメッセージがずしりと響いてきて、ぐいぐい引き込まれました。
邦題は、イラク戦争を続けるアメリカを告発する作品という意味では合ってるけども、作中で語られる、旧約聖書のダビデとゴリアテの逸話の舞台「エラの谷」を意味する原題の方が誤解がなくていいかも。
その物語を気に入った女刑事の息子が「なぜ王様は戦うのを許したの?まだ子供なのに」というセリフが痛烈。

でも、一番印象に残ったのは、主人公の奥さんでした。事件の捜査に没頭する夫に放っておかれ、息子の荷物さえ触るなと命じられて、家でひとり過ごしていた彼女。終盤、帰ってきた夫との会話シーンもありません。
それなのに一度電話の向こうで大泣きした以降は、怖いくらい静かで、夫が帰ってきたことも気にとめてないように見えるんですよね。
…日常生活を普通に送りつつも、心は別の場所…悲しみの暗い沼の底にしずんでしまったようで、そんな様子に胸が締め付けられました。
一方、息子の死の原因を探って黙々と情報を集める夫も、彼なりに悲しみを乗り越えようとしているのが伝わってきます。一時は「どうして一緒にいてやらないのか」と思ってしまいましたが、二人にはそれぞれ悲しみと向き合う時間が必要だったのかも。

ただ、ちょっと気になった事がいくつかあって…
1)イラク戦争は、ベトナム帰還兵である主人公が衝撃を受けるほどの闇を抱えていたのか。(主人公はイラク戦争の酷さをまったく想像できなかったのか)
2)軍上層部はどの時点から事件の真相を知っていて、どこまで関与していたのか。
3)青年が自殺した理由は、良心の呵責か、女刑事に責めらたからか、それとも殺されたのか。息子の腕時計をポケットに入れたのは誰か。
4)どんな手がかりでもほしい時に、息子が生前送った荷物をどうして確認しようとしなかったのか。

まあ、2と3は実際の事件を基にしてるんだから、真実は闇の中という事なんでしょう(はっきり描かなかったのは疑ってるから?)。4は麻薬でも入っていたらと思うと怖くて確認できなかったのかな?
1は主人公が直接ベトナム戦争の惨さを目にしなかったとしても、聞いて知ってたはずですよね。知っていても、イラク戦争はそこまで酷いわけがないと思っていたという事でしょうか?
つまり、主人公はイラク戦争を支持していた懲りないアメリカ人の代表?
彼が逆さまの星条旗を掲げるラストが心に重くのしかかります。

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「スリーデイズ(2010)」観た
「クラッシュ(2004)」観ました

映画「クラッシュ(2004)」観ました

 | 社会派  com(3) 
Tag:ポール・ハギス 

クラッシュ(2004)
製作:アメリカ’04
原題:CRASH
監督:ポール・ハギス
ジャンル:★ドラマ/犯罪

【あらすじ】クリスマスを間近に控えたロサンゼルス。さまざまな立場、さまざまな人種の人々がいるその街で、差別、偏見、憎悪が渦巻くなか、悲しみを抱えた人たちがぶつかりあう。

疲れる作品だと聞いていたので気合を入れて鑑賞。最初は頭がこんがらがったけど、なんとか大体のところは理解できたかも…?(汗)
冒頭から差別的な発言、行動を見せ付けて「うわぁ…」と思いました。今でもアメリカではこんな状況なんだろうかと考えてしまったけど、たまたまアメリカは様々な人種に溢れているから、怒りやストレスのはけ口が人種差別として現れているだけで、イライラして怒鳴ったり八つ当たりしたりするひとなんてどこにでも溢れてますよね…。なので、そういうトゲトゲした気持ちばかりで人間らしいふれあいを忘れ、他人を信じられなくなってしまった現代人を描いた作品として観ることができました。
印象に残ったのが、透明マントと事故車から救出のエピソード。透明マントは先が読めるものの、二人の天使の思いやりにホロリ。事故車からの救出は、人間の多面性というものを痛感しつつ感動で涙が。ちょっと話しただけで相手の本質を知ったような気になってはいけませんね。
それらと逆の意味で別の一面に気付いてしまう、聖母像と兄弟と母親のエピソードはきついものがありました。本人が気付いていないような人間の弱くて残酷な一面も、やはり”真実”だということでしょうか。
残念だったのが、サンドラ・ブロックのエピソード。階段から落ちてメイドに助けられるまでの心細さと不安をもっと見せてくれてもよかったと思います。ただでさえ出番少なかったのに…。
車の衝突と、人と人との衝突をかけた「クラッシュ」というタイトルが冴えてました。

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