ドイツタグを含むお薦め映画

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

短編アニメ「グラファロ もりでいちばんつよいのは?」観た

グラファロ もりでいちばんつよいのは?
原題:The Gruffalo
製作:イギリス・ドイツ’09 27分
監督:ジェイコブ・シュー、マックス・ラング
原作:ジュリア・ドナルドソン(作)、アクセル・シェフラー(絵)
ジャンル:★ファミリー

【あらすじ】外を怖がる子リスたちに、母リスは小さなネズミの物語を聞かせる。木の実を求めて森を歩いていたネズミは、道中でキツネ、フクロウ、ヘビという天敵に出会ってゆく。か弱いネズミは知恵を絞り、天敵をかわしてゆくが…。

小さいお子さんと一緒に見たくなるような短編アニメーション。絵本が原作なんですね。
天敵に追われる母を見て、食料を取りにいくのも怖がるリスの子たちに、母親が勇気の出るお話をしてあげるという流れ。
小さなネズミが、キツネ、フクロウ、ヘビなどの天敵と出会った時どうするのか?
知恵を絞って危機を乗り切る展開は王道ながら小気味良く、そのホラ話が実は…という展開とその後の機転の良さもあって、幼児向けですが意外と大人も楽しめるかも。
キャラクターの造形も案外可愛いし、まるでクレイアニメのような質感のCGも温かみが感じられます。キノコをぴょんぴょんと渡って行ったり、たんぽぽの綿毛を掴んでふわ~っと飛ぶシーンなど、森の描写も良かったです。
ちいさなネズミから勇気をもらった子リスたちが、率先して外の木の実を取りに行くラストに、「リスのお母さんやるな!」と思いました。
良作ファミリーアニメだったと思います。

ちなみに、続編の「グラファロのおじょうちゃん」も観ました。そちらは怪物の幼い娘が主役で、父親に「森には怖い怪物がいる」と教えられていたのに、夜中にその怪物を見に森へ、というお話。
何でも自分の目で確認しなさいという教訓なのかもしれませんが、危険だから行っちゃダメだという親の言葉まで無視されたら困るのでは…(汗)

映画「誰でもない女」観た

 | サスペンス  com(0) 
Tag:ドイツ ノルウェー 

誰でもない女
原題:ZWEI LEBEN(TWO LIVES)
製作:ドイツ/ノルウェー’2012
監督:ゲオルク・マース
原作:ハンネロール・ヒッペ
ジャンル:サスペンス/ドラマ

【あらすじ】ノルウェーで母や夫、子供たちと幸せに暮らしていたカトリーネ。だが、1990年のベルリンの壁崩壊後、彼女の元にスヴェンという弁護士が訪ねてくる。戦後にドイツ兵の子を出産した女性への迫害について、ノルウェー政府を訴えるため彼女の母親に証人になってほしいと言うのだが…。

第二次世界大戦時に行われたレーベンスボルン計画を下敷きにしたストーリーには色々と考えさせられました。
ナチスに関する作品はたくさん見てるのに、まだまだ知らないことばかりです。
かつてドイツでは、人口増加と民族浄化のため、より純粋なアーリア人とされるノルウェー人女性との間に子供を作るよう推奨されてたんですね。レーベンスボルン(生命の泉)計画というもので、ドイツ国内やノルウェーにたくさんの母子保護施設が開設されたそうです。(他にも、占領地でアーリア人的特徴のある子供の誘拐も行われた)
でも、ドイツ兵の子供を産んだノルウェー人女性たちは、ドイツに子供を奪われ、終戦後はノルウェー政府によって「対敵協力者」として強制収容所に入れられてしまう…。

物語は、ノルウェー政府に損害賠償を求めるため、主人公の母親の証言が必要だという弁護士の出現で動き出します。
主人公の不可解な行動と頻繁に入る過去回想から、少しづつ浮かび上がってくる哀しい真実…。やがて判明する悲劇と、母親の受けた衝撃に涙せずにはいられません。
家族の心がバラバラになりつつも、今まで感じたものは本物だったと信じようとしていたのが救いでした。ママと呼べたこと、窓越しに見つめる母親の表情を観て、これは母と娘の映画なのだとわかります。
…主人公が、孫を乗せた乳母車を店の前に置いて離れるシーンがなければ、もっと確信持てたけど!

回想の入れ方がやや煩雑な印象だったし、ラストはハッキリと映像で描かない方が余韻に浸れたと思うものの(尾行の車のシーンだけで十分)、地味ながら観てよかったと思える作品でした。
原題は「ふたつの人生」。誰でもないということはないので、邦題は微妙です。
ちなみに、イラストは主人公が待ち合わせに使った公園なんだけど、大きな十字架が印象的でした。レーベンスボルンと何か関係ある慰霊碑か何かかもと思って調べるもわからず。ドイツのどこだったっけなぁ…。

映画「ワルキューレ」観ました

 | 戦争  com(8) 
Tag:ドイツ 

ワルキューレ
原題:VALKYRIE
製作:アメリカ、ドイツ’08
監督:ブライアン・シンガー
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】第二次大戦下、劣勢のドイツ。アフリカ戦線から奇跡の生還を果たしたシュタウフェンベルク大佐は、軍内部のレジスタンスメンバーたちから作戦を聞くが、成功の見込みがないと協力を辞退する。だが、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を耳にし、“ワルキューレ作戦”を利用することを思いつき…。

戦争ものだと顔が見分けられなくてついていけなくなることが多い私ですが、今回は大丈夫でした。うん、わかりやすいって素晴らしい!
ビル・ナイは言われないと気付かないくせに(私好みのおじいちゃんだなとは思ってた)、トム・クルーズはいつも一目でわかるんですよね。たぶん、若い頃から年を重ねていくのを見てるからだと思う。顔も特徴的だし。
で、トムの眼帯&軍服姿が意外とカッコよかったです。片目と指と手を失って、それでも自分にしか出来ないことに命を賭ける姿に痺れました。

家族の描写も、さらっと描かれているのに印象に残ります。とくに子供たちが無邪気に劇を始めるところ。
可愛い娘の顔をじっと見つめ、家族を危険に晒していいのかと思う一方で、この子たちが将来ドイツ人であることを恥じるような、ドイツ人であるために後ろ指指されるようなことがあっていいのかと、葛藤しているのが伝わってきて。
その後、息子がかけたレコードの「ワルキューレ」を聞いて、ハッと作戦をひらめくシーンも、画的に静かながらグッときます。

彼らが動き出してからもグイグイ引き込まれましたね~。一人の人間が怖気づいたり失敗したりすれば全てが台無しになってしまう…。その上、不測の事態が起こるのは当たり前で、それを機転と度胸で乗り切っていくスリルがたまらないです。”ヒトラーが生きているかどうか”という情報だけで状況が一気に変わってしまうのも面白かったし。
ただ、あの爆弾の説明を聞いていたら、会議の場所が変わった時点で威力が半減するのはわかってたと思うんだけどなぁ。最後のチャンスだったんでしたっけ?

処刑のシーンも印象的でした。ドイツ人はヒトラーだけではないという想いは伝わると、顔を上げて死んでいく姿や、主人公を庇って死んだ中尉…。シュタウフェンベルクの目を見て力強く頷く様子は「後悔はしていない」と言っているよう。
トムはドイツ人には見えなかったけれど、ぜんぜん気にならなかったです。
最後に彼の家族は無事だったとあって、心からホッとしました。

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映画「ヒトラーの旋律」観ました

 | 戦争  com(0) 
Tag:リトアニア ドイツ 

ヒトラーの旋律
一瞬だけお互いの立場を忘れられそうだったタバコ休憩。
原題:GHETTO
製作:ドイツ/リトアニア’06
監督:アウドリアス・ユツェナス
ジャンル:戦争/ドラマ

【あらすじ】1941年ナチ占領下のリトアニア。ユダヤ人のビルニュス・ゲットーを担当しているのは、芸術を愛するが冷酷な若きナチ将校キッテルだった。彼はユダヤ警察の隊長ゲンツを使い、ユダヤ人たちに劇場のステージでの上演を命じ…。

Gyaoで鑑賞。ネタバレもあるよ。
青年将校の気まぐれひとつで殺されかねないゲットーで、彼の思いつきから劇場を蘇らせ、死と隣り合わせの舞台をやる…という実話を基にした作品。
調べたところによると、すでに強制収容所でリトアニアのユダヤ人の大半が殺された後で、ドイツの物資不足を補うためか、生き残りをゲットーに集めて働かせていた時期の終盤頃が舞台みたいです。
働けば給料も支払われて、工場が稼動してからは食事にもそれほど困ってない様子だったのが不思議に見えました。

たくさんの死を見てきただけあってみんな生き残るために必死なんだけども、そんな中でも自分さえ良ければいいという人と、危険を顧みず同胞を救おうとする人たちがいます。
たくさんの人たちを救うために、ドイツにとって必要とされる生産性のあるゲットーでなければならないと、働けない老人や病人を選別して処分したゲンツの苦悩と覚悟に泣かされました。
そして、赤ん坊を助けるために身代わりになった女性にも…。
若き将校キッテルは、確かに残忍で狂っているけれども、彼を狂わせたのも戦争だというのが伝わってきます。時折見せる、年相応の表情、感情が哀しい。
ヒトラーなんてまるで尊敬していない彼が、唯一愛していたのは音楽だったのか…?
女性を撃った後の手が微かに震えていたように見えた事や、銃を棄ててサックスを持って行くのが印象的でした。
音楽がなければ観てられなくて、”命をかけた偽りのステージ”であっても音楽があるひと時は彼らにとって多少の救いになっていたというのが皮肉かも。彼の最後の置き土産は、そんな救いなんてかき消してしまうようなものだったけど…。

ところどころ(日本人には?)説明不足で状況がわからない事もあるものの、最後まで目が離せないものがありました。
ヒロインを演じる「暗い日曜日」のエリカ・マロジャーンをはじめ、キッテルやゲンツ、腹話術師やその相棒、金の亡者のヴァイスコフなど、俳優陣はみんな良かったです。
原題はゲットーで味気ないので、この邦題は良かったと思います。

映画「ベルンの奇蹟」観た

 | 家族  com(2) 
Tag:ドイツ 

ベルンの奇蹟
原題:DAS WUNDER VON BERN/THE MIRACLE OF BERN
製作:ドイツ’03
監督:ゼーンケ・ヴォルトマン
原作:クリストフ・ジーメンス
ジャンル:★ドラマ/スポーツ

【あらすじ】1954年夏、敗戦後ドイツの工業地帯エッセン。サッカーが大好きな11歳のマチアスは、地元のサッカー選手ラーンを心から慕っていた。だがある日、戦争で捕虜になっていた父リヒャルトが11年ぶりに帰ってくる。厳格な父親であろうとする父に、マチアスや家族は戸惑い…。

とても優しい気持ちになれる作品でした。
1954年のワールドカップを題材にしているものの、メインはある家族のドラマです。
個人的にはサッカーパートはあんまり印象に残ってなくて、むしろスイス合宿での青い空が印象に残ってますね。主な舞台が薄暗いドイツの炭鉱町なので、そのギャップが主人公の心情にリンクしてました。
戦争帰りで家族との距離を埋められず、つい威圧的になってしまう父親のせいで、大好きなサッカーから遠ざかってしまうんですよ。彼にとってサッカーは希望そのものなので、ラーンが行ってしまえば太陽も翳ってしまいます。
しかも、この父親が不器用すぎて見てられない…。悪い人ではないというのはわかるものの、もし主人公と同じ立場だったらあんなふうに理解を示すことはできないと思います。
主人公の周りの人は誰も彼もがいい人で、彼が辛い時は必ず支えてくれる人がいるし素晴らしい助言をくれたりするので、できすぎだなぁと思う瞬間はあったものの、素直な気持ちで観れば感動ものでした。
実は主人公は出征後に生まれたので父親とは初対面なんだけども、だからこそ捕虜として過ごした辛い日々の事を聞けたし、父親も素直に話すことができたのかなぁと思います。やはり辛い気持ちを吐き出させる事が第一ということでしょう。父親の話をサッカー中継より優先したとこは尊敬します。
同じ表情で笑う父子、新聞記者と奥さん、主人公の友達の女の子なども良かった。
ただ、誕生日のくだりは…バケツの中を映す必要があったの?
↓以下ネタバレ注意!

日本だとウサギは捨てるところがないと言われていたし、ドイツと言えば腸詰というくらいで食べつくすイメージなんですが…。
調理技術がなかったのかもしれないけど、あんな体験をした父親が、まだまだ貧しいのにあんなに可食部や毛皮を棄てているのは違和感があるというか、それをわざわざ見せるのはショッキングなシーンを入れたかっただけなのではと疑ってしまいます。
ショックを受ける表情と悲鳴だけでよかったような…?
ここさえなければ私的にほぼ満点だったので残念です。

映画「列車に乗った男」観ました

列車に乗った男
原題:L' HOMME DU TRAIN
製作:フランス・ドイツ・イギリス・スイス’2002
監督:パトリス・ルコント
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】シーズン・オフのリゾート地。くたびれた革ジャン姿の中年男ミランが列車から降り立ち、ひょんなことから知り合った初老の男マネスキエの自宅に泊まることに。少年に詩の個人教授するだけの平凡な日々を過ごすマネスキエと、流浪のアウトロー・ミランという対称的な2人だったが…。

Gyaoで鑑賞。ベタベタしないふたりの男の友情が、ふっと笑みがこぼれるような可愛らしさとあたたかさを含みながら描かれてました。
もうね、マネスキエが可愛いんですよ!
水がなくて頭痛薬が飲めずに困っていた男ミランを自宅に招くんだけども、さっさと薬を飲んで去ろうとする彼に、話し相手がほしいというオーラを全身で発しつつも、おしゃべりは我慢してほどほどに切り上げるところとか。結局他に泊まるところがなくて帰って来た彼を、ウキウキしながら一番いい部屋に案内するところとか。冒頭から見ててニヤニヤしちゃいました。
他にも、こっそり彼のジャケットを着て、鏡の前でワイアット・アープごっこをする姿は胸キュンだし、ピアノを弾きながら「わたしは刺繍以外なら、20世紀初頭の女性の教養は身につけている」とか、床屋で「出所直後とスポーツ選手の中間みたいな髪型にして」とか、銀行で「一度でいいから銀行を襲ってみたい」と言って周りをギョッとさせたりと、とにかく可愛いくて面白いおじいちゃんなんです。
これだけ並べると最初に書いた”ベタベタしない友情”ってのが嘘っぽいかもしれないけども、基本的にマネさんが一方的に話しかけたりしてるばっかりで、ミランが心を開いた頃にはマネさんも落ち着いてきているので(笑)、描かれる友情はホントさらっとしてます。
お互い自分のなりたかった人生を送っていて、そこに憧れと敬意を抱くようになっていくんですよね。
お店で騒ぐ迷惑な客に注意したり、夫に我慢し続ける姉に本音をさらけ出すように言うといった、マネさんにとっての大冒険ができたのも、勇気付けてくれるミランという存在があったからです。
ミランも自分とはまるで違う価値観を持つマネさんの影響を受け、人生を振り返ってみたり。
ふたりが何気なく、でも大切にこの数日を過ごしているのが丁寧に描かれていました。
ラストは”旅立ち”をやや曖昧に描いていて最初は戸惑ったものの、やはり特別な出会いだったんだと感じられるもので良かったです。(おそらく贈り物の室内履きを履きながら)ピアノを弾く男と、列車に乗る男の表情がいい!
列車の音のようなリズムのED曲を聴きながら、余韻に浸れました。

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映画「血の伯爵夫人」観ました

血の伯爵夫人
原題:LA COMTESSE
製作:ドイツ・フランス’09
監督:ジュリー・デルピー
ジャンル:★ドラマ/ロマンス/伝記

【あらすじ】16世紀、ハンガリー貴族の名家出身で、伯爵夫人となったエリザベート。荘園管理に采配を振るう彼女だったが、夫が急死して、やがて青年イシュトヴァンと愛し合うように。彼の父親により2人は引き離されるが、それを知らぬ彼女は若さや美しさに執着し始め…。

Gyaoで観てとても気に入り、監督を調べて納得。主演女優であり「パリ、恋人たちの2日間」の監督で「恋人までの距離」シリーズのセリーヌをやってたデルピーさんじゃないですか。
わたし的に相性がいいというのもありますが、この作品は”吸血鬼のモデルとなった歴史的な殺人鬼”を題材にしているのに、同情を誘うというか、嫌悪感を抱かせず上手に引き込んでくれます。
彼女との仲を引き裂かれた恋人イシュトヴァン目線で語られるので、彼が愛したエリザベートと、後から人づてに聞いた”殺人鬼”としての彼女と、はっきり分けて見せているからでしょうか?
それに、財産を狙って彼女を陥れようとする人物が描かれており、史実通りの彼女のおぞましい姿を見ても、無実を信じたくなってしまいました。
何気に殺人シーンより怖かったのが、恋人の髪を大切にするエピソード。「飢餓海峡」の八重さんを思い出し、やっぱり爪じゃなくて髪だよなぁと思ってたら、体内(心臓の辺り)にそれを埋め込んで縫合するという八重さん以上のサイコっぷりを見せられて唖然としました…。
また、エリザベートの庇護下になければ魔女狩りの対象になっていたと思われるダルヴリアが印象的で、エリザベートを愛し、側に仕え、キスだけを求める彼女との関係が切ない!
狂っていき、疎まれても決して彼女を見捨てず、最後までエリザベートの身を案じ、老いて死ぬのは自然で美しい事なんだと気付かせようとする彼女の深い愛は、イシュトヴァンとの激しい恋よりも心に残りました。
日本では未公開どころかDVDすら出てないのが悲しいです…!

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映画「フィムファールム2」観た

フィムファールム2
原題:Fimfarum2
製作:チェコ共和国・ドイツ’06
監督:ヤン・バレイ、ヴラスタ・ポスピーシロヴァー、アウレル・クリムト、ブジェチスラフ・ポヤール/ヤン・ヴェリフ
ジャンル:ファンタジー/人形アニメ
シニカルなユーモアに包まれた4つのお伽ばなしを描いたチェコ人形アニメ。

「海はなぜ塩辛い:More, strycku, proc je slane?」ヤン・バレイ
貧乏でも正直で家族思いの男が、親切な悪魔の助言で何でもほしいものを出してくれる魔法のミルを手に入れる。たちまち彼は豊かになり、町の人たちにも分け与えるが、強欲な兄が嫉妬し…。

「三姉妹:Tri sestry a jeden prsten」ヴラスタ・ポスピーシロヴァー
イースターエッグを売ったお金を酒場で使い果たしてしまった三姉妹。帰り際、ルビーの指輪を拾うが、三人で分けられず「夫を一番面白くかついだ者」が持ち主になると決め…。

「ダマスカスのせむしたち:Hrbaci z Damasku」アウレル・クリムト
戦争で片目を失い、背中にはコブがある三兄弟がいた。醜い姿を馬鹿にされた一人がつい人を殺してしまい、三兄弟は町から追放されてしまう。三人一緒では惨めさも三倍だと別々の道を歩み始めるが、やがて兄弟の一人だけが成功し…。

「親指小僧:Palecek」ブジェチスラフ・ポヤール
子供のいない夫婦が魔法のマグカップによって小さな可愛い男の子を授かった。夫婦の愛情に包まれ、小さいながら賢く育った少年は、父親の仕事を手伝うように。だが、それを観た紳士が彼を買いたいと言い出し…。

****************
全体的に人形のデザインが若干不気味で、いい具合に汚れた感じが味があって作風にあってました。
ブラックユーモアに満ちているんですよね~。とくに「三姉妹」が酷い(笑)
あらすじの時点でそうとう酷い妻たちなんですが、この後、夫が自分から歯を抜くように仕向けたり(悪魔か!)、もう死んでいると思い込ませたりします。
そんな経緯があって、どうして最後はみんなで笑い転げて、指輪の事も忘れて幸せそうに家路につくことができるのか…。
ぽかーんとさせられたものの、このデザインのおかげで完全にお伽話と割り切れたので、結構楽しめました。
「海はなぜ塩辛い」も地獄への入り口がレトロなエレベーターのようだったり、デスクワーク続きの魔王が農夫の男に追いつけなかったり、妙にセンスが光ってました。
物欲が満たされて”幸せ”になる描写がまさに”現代人”(薄暗い部屋でTVに没頭する子供など)なところも皮肉が効いてます。
魔法アイテムの秘密を教えてくれた悪魔は魔王とケンカしてるらしいけど、やっぱり人間を堕落させるお仕事は怠らない!(笑)
「ダマスカスのせむしたち」はイマイチ意味がわからず楽しめませんでしたが、「親指小僧」の方はストーリー的にもキャラ的にも一番童話らしくて良かったです。
自分から紳士に買われて、涙する父親を振り切って旅立ったのは、一人息子として両親に楽させてあげたくて、はやく立派な大人になろうとしたのね。
小さな体で賢く危機を乗り越えていく冒険モノで、一寸法師みたいで親しみも湧きました。
機会があったら1も観たいです。

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第38回ブログDEロードショー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」

原題:BUENA VISTA SOCIAL CLUB
製作:1999年ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ
監督:ヴィム・ヴェンダース
期間:2013/5/10~12
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
それまで知られていなかったキューバの老ミュージシャン一人一人の来歴、演奏・収録シーン、キューバの光景を織り交ぜたドキュメンタリー映画で、ストーリー性は薄い。
監督は「パリ・テキサス」、「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース。1999年 アカデミー賞 長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品です。

「セピア色の映画手帳」の鉦鼓亭さんからリクエスト頂きました。
選んだ理由は、
「グレン・ミラー物語」とはジャンルが全然違うけど、音楽映画として「グレン・ミラー物語」と並ぶ良い印象を持ちました、もう一度観てみたい作品。
…との事です。
企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

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映画「K-19」観た

K-19
原題:K-19 THE WIDOWMAKER
製作:アメリカ・イギリス・ドイツ’02
監督:キャスリン・ビグロー
ジャンル:★ドラマ/サスペンス/アクション

【あらすじ】1961年、米ソ冷戦最中のソ連。原子力潜水艦K-19の処女航海の艦長にボストリコフが任命された。副艦長には経験豊富なポレーニンが就き、艦は出航。しばしば対立しつつも、K-19は順調に任務を成功させていく。だが突然、原子炉の冷却装置にひびが入り…。

ハリソン・フォードのシワが素敵(特殊メイクだった!)と思いながら再見(笑)
初見では艦長と副艦長の対立をメインに観てました。艦長の傲慢さ不器用さに「あ~!そんな言い方して!」とハラハライライラしたり、そんな艦長にあからさまに反発する不穏分子を放っておき、自分も持ち場を離れたりした副艦長に疑問を感じたり。
でも、元はといえばこんな危険なものを乗せた艦に、安い部品を使ったり無理させる上層部が悪い!ということで、今回は艦長との対立についてはわりと冷静に観られました。
完璧とはいかないまでも艦長としての責任を果たそうとするボストリコフと、信頼と結束が何より大事な局面だと(やっと気付いて)、個人的感情は抑え艦長を助けるポレーニンのドラマは見ごたえあります。
そして、再見するまですっかり忘れていて、今回記憶にしっかり刻まれたのが原子炉の事故。ハリウッド映画で、ここまで放射能の恐ろしさを克明に描いた作品は珍しいと思います。いちおう観る人への配慮もあって、被爆レベルは低めの状態のメイクにしたそうですが、それでも寒気がするほど怖かった…。
放射能の影響で吐いているのを見ても、決死の思いで作業に向かう姿。手の震え。倒れつつも最後までやり遂げる決意…。
彼らは英雄になりたかったわけじゃなく、ただ仲間や祖国を守りたかったんですよね。集合写真が切なかったです。
実話を基にしていると言っても、実際にあったのは”進水式でシャンパンが割れなかったこと”と、”原子炉事故があった”という部分だけだとか。でも、放射能の恐ろしさをしっかり伝えてました。

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映画「やわらかい手」観ました

やわらかい手
製作:ベルギー・ルクセンブルク・イギリス・ドイツ・フランス’07
原題:IRINA PALM
監督:サム・ガルバルスキ
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】ロンドン郊外の小さな町。難病の孫に手術を受けさせるため、渡航費を工面しようとするマギー。”接客係募集・高給”の貼り紙に釣られ店を訪れるが、そこはセックスショップだった。彼女の手を見たオーナーは、ある仕事を紹介し…。

何があっても諦めない、たくましいお祖母ちゃんが素敵でした。
何も知らず時給の良さに釣られて入っていった店は、なんと風俗店。おばあちゃんが相手にされるわけがないと思っていたら、オーナーが彼女の滑らかな手に可能性を見出しちゃうんですよ。必死さにほだされたのか、目ざといのか…。とりあえず、手を触りすぎです。
いざ本番というシーンでは、観てる私も身構えてしまったけど、息の詰まりそうな部屋と、壁越しに聞こえる男の声、哀愁漂う音楽など、直接的な描写なしで伝えていて、その上どこかユーモラスな雰囲気が。
”イカせる未亡人”とか、テニス肘ならぬ”ペ○ス肘”とか、変な名前が飛び交ったり、部屋が日に日に彼女色に染まっていくのも面白かったです。
孫の手術の日が迫る中、足りない渡航費を一気に手に入れようと、オーナーと駆け引きするくだりも見ごたえあり。ここで働くようになってから活き活きとしだした彼女は、堂々としていて魅力的です。
(後から、マギーを演じるのが「あの胸にもういちど」のフェイスフルだと知り驚きました。裸に黒のライダースーツの彼女だよ!)
家族にばれてしまう終盤も引き込まれましたね~。息子と嫁の反応がバレる前とは真逆になり、男は父親より息子として、女は義理の娘より母親としての反応を見せるところが面白い。
観終わって、じんわりあったかい気持ちになれる作品でした。
ちなみに、タイトルのイリーナ・パームはマギーの源氏名。邦題のほうが内容を表していて好きかな。

映画「サラエボの花」観ました

サラエボの花
製作:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ドイツ、クロアチア’06
原題:GRBAVICA
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】サラエボ。シングルマザーのエスマは、娘サラの修学旅行費を稼ぐためナイトクラブで働いていた。一方サラは、同じシャヒード(殉教者)の遺児サミルと友情を深めていく。だが、母が父のことを教えてくれず、次第に不満を募らせていき…。

内容を知って避けていた作品でしたが、そんなに重くないという事で観てみました。
かなり見やすかったです。母親の秘密についてはっきりと明かされるのは後半なんですが、それは娘が抱えるフラストレーションと、過去を思い出したくない母親の気持ちを表しているようで、真実を知ったときの衝撃をメインにしてなかったところが良かったのかもしれません。
娘サラの反応が自然でいいですね~。あまりにティーンエイジャーそのもので時々ムカついたけど、何も教えてくれない母親に反発するようになっていく気持ちはよくわかりました。
娘の修学旅行費を稼ぐため、きっと吐くほど怖いナイトクラブで働くエスマが泣かせます。沈黙を守るかぎり、娘には伝わらない苦労ですよね。辛そうにしている姿を娘に見せられず、独りで耐えている姿が痛ましい。
そんな彼女と惹かれあう、一見強面、でもよく見ると優しい目をしている用心棒のおじさんも素敵でした。たぶん、エスマを送って家の窓に娘の姿を見た時から、彼女の過去には見当がついていて、細心の注意を払って彼女の側にいたんだと思います。ラストのトラブルの後、大丈夫だったのかな?
あと、疲れ果てたエスマをあたたかく迎える親友も良かったです。工場の仲間からカンパを集めてきて、「もう安心よ。泣きたいだけ泣きなさい」と抱きしめるシーンで涙腺が…。
すべてを知って、父親への思慕の念を断ち切るように、サラが自らの髪を切り丸坊主にするシーンも印象的。ラストで笑顔を見せるエスマに希望が持てました。
ちなみに、原題はグルバヴィッツァで、もっとも激しい戦闘が行われた地区の名前だそうです。邦題はセラピーでエスマたちが歌っていた「砂漠にも花は咲く~」からきているみたいですね。エスマにとってのサラを示す邦題も素晴らしいです。

映画「名もなきアフリカの地で」観た

 | 伝記/自伝/実話  com(2) 
Tag:ドイツ 

名もなきアフリカの地で
製作:ドイツ’01
原題:NIRGENDWO IN AFRIKA
監督:カロリーヌ・リンク
原作:シュテファニー・ツヴァイク
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】1938年4月、ナチスの迫害を逃れ、故郷ドイツからケニアに渡ったユダヤ人一家がいた。弁護士の父ヴァルターは農場で働き、お嬢様育ちの母イエッテルは文句ばかり。そんな中、娘のレギーナは料理人オウアらケニア人と打ち解け…。

シュテファニー・ツヴァイクの少女時代の体験を綴った自伝の映画化。
最初は、何もわかってない母親イエッテルの我がままと差別意識が目立って、ドイツの現状を知らないんだから仕方がないとは思っても、なかなか入り込めませんでした。でもその分、自分たちがどんなに幸運なのかを知って、”違い”を尊重する事の素晴らしさに気付いた後の変化が目覚ましい。
幼い娘が子供らしくすぐにアフリカに馴染んで、料理人オウアやケニアの子供らと心通わせていくのももちろん良かったですが、ナチスの迫害を逃れた事や生きる事の意味について考えさせるのは、この夫婦のエピソードでした。
夫については、真っ先に一人でアフリカに逃げてきたのかと思ったけど、あの妻を迎えるには、ある程度生活の基盤を整えてからじゃないとダメだと考えたのかな?
妻の心情の変化にまったく気付かないし、家族の中でたぶん一番アフリカに馴染めてなかったしで、成長したのか悩んでしまったけど、最後の決断は、家族と一緒にいる事が一番大事だと気付いたからですよね。イナゴを必死で追い払う彼の姿に、やっと家族が一つになったと感じました。
イエッテルの浮気とか夫婦の溝とか、祖国があんなことになってるのに、そんなことしてる場合か!と思わないでもなかったけど、レギーナの無垢な笑顔とオウアのあったかい笑顔に救われて、最後まで観ることができました。
イエッテルの「賢い人は違いを尊重する」と、夫の「僕の愛するすべてがこのベッドの上にある」というセリフが印象的。ちょっと長いし淡々としてるけど、なかなかの良作です。

映画「悪魔のくちづけ(1997)」感想

悪魔のくちづけ(1997)
彼女が描きたかっただけー。
製作:イギリス/フランス/ドイツ’98
原題:THE SERPENT'S KISS
監督:フィリップ・ルースロ
ジャンル:ドラマ/ロマンス

【あらすじ】17世紀末の英国。英国一の庭園を建設するため、庭園デザイナー、ミニアを雇った領主トーマス。だが、妻ジュリアナは庭園よりも彼に関心を寄せ、ミニアは不思議な娘テアに惹かれていく。また、ジュリアナの従兄フィッツモリスも現れ…。

サスペンスと思わせて、ぜんぜんそんなんじゃないという、悪い意味で謎めいた作品でした(笑)
虚栄心を刺激され庭園造りに没頭する領主と、庭園より若い男に興味津々な妻、その妻に横恋慕する威厳も怪しさも足りない悪役。そして、庭園建設が進むにしたがって、生気と正気を失っていく魔女っぽいヒロイン…。
家庭崩壊とか陰謀とかサスペンス要素は詰め込まれているのに、なんかこうコスプレっぽいし、親子の問題は投げっぱなしだし、悪役の最期とかブラックコメディみたいだったし、よくわからないまま終わってしまいました。
何よりダメだったのは、出来上がる庭園がぜんぜん美しくないんですよね。花も緑もほとんどないなんて…!
主人公の心境の変化とともに、植物にあふれた庭園に変えていくか、彼が美しい自然に感動するシーンでも入れればよかったのにと思いました。
ちなみに、「悪魔のくちづけ」というのは(原題のSERPENT'Sは蛇と悪魔、両方の意味)、庭園の中央に配置された、蛇が自分の尾をくわえている絵を型どったものの事で、この庭園デザイナーのサインのようなもの。
とくに物語には関係しません!

映画「天空の草原のナンサ」観た

 | ドキュメンタリー  com(6) 
Tag:ドイツ 

天空の草原のナンサ
ツボにはまっちゃって…(笑)
製作:ドイツ’05
原題:DIE HOHLE DES GELBEN HUNDES(THE CAVE OF THE YELLOW DOG)
監督:ビャンバスレン・ダヴァー
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】モンゴルの草原で、羊の放牧をして平和に暮す一家がいた。6歳になる少女ナンサは、洞窟で子犬と出会いツォーホルと名付け連れ帰る。だが、オオカミの仲間かも知れないと父親は飼うことを許してくれず…。

ストーリーはなんてことなくて、失われつつあるモンゴル遊牧民の生活とナチュラルな子供たちの姿を見守る作品なんですが、それよりも途中で出てきたお土産の動く犬のおもちゃの禍々しさにやられてしまいました。
え、なんですか、このホラー映画に登場しそうなおもちゃ。ぜんぜん可愛くないし、何か憑いてない?
目を緑色に光らせて、キャンキャン鳴きながら歩く様子が頭から離れません。これを買ってきた父親と、もらって喜ぶ子供たちの感覚がわからない(笑)

…まあそれはともかく、他はのんびり雲を眺めるような感覚で観られました。ゲル(パオ)を解体する様子も興味深かったし、子供が乾いた糞を積み上げて遊ぶ様子にはちょっと引きました(病気とか大丈夫!?)。子供たちがやたらと自然体だと思ったら、この家族は本当の遊牧一家らしく、この作品も半ドキュメンタリーなんですね。
どうして犬を飼っちゃいけないの?と訴えるナンサに、「ひらいた手のひらを噛めないように、目の前にあっても手に入らないものもあるんだよ」と母親が教えるとこが良かったです。
ほのぼのした草原のラストシーンで、国政選挙への参加を呼びかける宣伝カーが横を通り過ぎるのが印象的。
ちなみに原題はどちらも「洞窟の黄色い犬」。劇中で語られる黄色い犬の昔話から。

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