2009年11月に観たお薦め映画

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「ミリオンズ」観た

 | 犯罪  com(2) 
Tag:イギリス 

ミリオンズ
製作:イギリス/アメリカ’04
原題:MILLIONS
監督:ダニー・ボイル
ジャンル:ファンタジー/コメディ/ドラマ/犯罪

【あらすじ】信心深い8歳の少年ダミアンと、10歳にして現実主義者の兄アンソニー。母親を亡くし、郊外の街へ越してきた彼らは、大金の入ったバッグを拾う。ユーロへの切り替えで12日後には紙クズになるそれを、ふたりは思い思いに使い始め…。

いきなり空からお金の詰まった鞄が降ってきて、そのお金のせいで騒動に巻き込まれるお話。
周りの人には見えない聖人たちといつも話しているダミアンは、大好きな母親に少しでも近付きたい想いでお金を貧しい人のために使おうとします。
一方兄は、好きな物を買いあさり、クラスメイトを家来にし、不動産投資まで考えるちゃっかり者。寄付なんて以っての外という態度なんですが、父親に恋人が出来たとき”きっと彼女は金を持って消え、パパはまた笑わなくなる”みたいなことを言っています。きっと母親を失った悲しみが大きすぎて、”物質的な幸せ”しか信じられなくなっているんでしょうね。この兄弟、正反対なようで根底は同じなのかもしれません。
そこに、平凡な善人である父親や偽善者にも見える父親の恋人、鞄の持ち主などが絡んできて、期限も迫って騒動に発展していきます。
鞄の持ち主がちょっとトロくてもたつくこともあるんですが、なぜ鞄が空を飛んできたのか、大量のポンドをどう使うのか(とくに将来会計士確実な兄の機転がよい)など、それなりに楽しめるファンタジー・ドラマでした。弟の前に現れる聖人が、空想ともファンタジーとも取れる曖昧さも良かったです。ただ、光が滲んだような映像がずっと続くのは人によっては好きになれないかも…。

映画「16ブロック」観た

16ブロック
製作:アメリカ’06
原題:16 BLOCKS
監督:リチャード・ドナー
ジャンル:★アクション

【あらすじ】NY市警。酒びたりの刑事ジャックは、16ブロック先の裁判所に証人エディを護送する仕事を頼まれた。だが、移送中に何者かの襲撃を受け、バーに逃げ込み応援を要請。そこに現れた元相棒フランクは、とんでもないことを彼らに告げる。

とにかくシンプルなストーリーが解りやすくて良かったです。アクション映画はちょっと苦手なので、登場人物が多かったり場所があっちこっち変わると分からなくなってしまうんですよね。
驚いたのがブルース・ウィリスの見事な”酔いどれ中年刑事”っぷり!
あのたぷたぷのお腹を見たときは、妊婦役みたいに何かつけているのかと思いましたよ。(役作りでだいぶ太ったらしいです)
おしゃべりな証人エディも良かった。ただ喋りたくて喋っているのではなくて、喋らずにはいられない状況という”追い詰められた感”が出ていて。それにその内容も、彼の人柄を表しているような前向きで思いやりのある内容なんですよね。自暴自棄になっているジャックに対して、何度も”人は変われる”と言うところが好きです。
あと「遊戯王」は…(笑)
言葉があまり通じないお爺さんでさえ「お~、ユーギオー!」と反応しているのに、ジャックは全然わからず「遊戯王知らないの?ヤバイよ。」とエディに言われてしまうシーン。さすが、世界一売れてるカードゲームという感じです。

展開はほとんど読めてしまうんですが、それなりに楽しめるし、なによりラストシーンには感動させられました。
観ても損はない作品だと思います。

関連記事
映画まとめ感想「タイムライン」
「暗殺者」観た

映画「ビフォア・サンセット」観ました

ビフォア・サンセット
製作:アメリカ’04
原題:BEFORE SUNSET
監督:リチャード・リンクレイター
ジャンル:★ロマンス

【あらすじ】ウィーンでの出会いから9年。ジェシーはあの日の出来事を綴った小説を書き、その読書会で遂にセリーヌと再会する。彼の帰りの飛行機が出るまでの85分間、2人は9年の空白を埋め合わせるように思いを語り合うのだった。

前作を観たのが結構前だったので、作中の”9年越しの再会”の雰囲気つかめるかと思ったが全然そんなことはなく。むしろ、彼らにとっては”何年経っても消えないあの日の思い出”という感じなので、素直に前日に放送していた「恋人までの距離(ディスタンス)」を観ておけばよかったと後悔しました…。
さて、この作品はちょっと変わっていて、限られた時間しか一緒にいられない男女の会話劇をリアルタイムで追っていきます。ジェシーが彼女を家まで送っていく間、カメラは自然な会話を続けるふたりをストーカーのように付回していくんですね(笑)
冒頭の念願の再会シーンから、まるで旧友に会ったみたいに軽妙なやりとりが続きます。時間を惜しむように、それはもう次から次へと言葉が出てくるんですが、9年前の約束をすっぽかした(ちゃんと理由はあったが)彼女をジェシーはなかなか名前で呼べなかった…ような気がします。(すみません、字幕では中盤まで彼女の名前が出なかったと思うんですが、はっきり確認したわけではありません。)
また、「溶けてしまうか確認したい」といきなり彼女に抱きつかれたときの、一瞬こわばった後のジェシーの表情。歌手のものまねで踊りながら「飛行機に乗り遅れるわよ、ぼうや」と声をかけるセリーヌに、「わかってる…」と答える時のなんともいえない表情が良かったです。
甘いようなほろ苦いような余韻が残るラストがたまりません。

映画「ローマの休日」観ました

ローマの休日
名シーンばかりなのに、あえて寝起き王女
製作:アメリカ’53
原題:ROMAN HOLIDAY
監督:ウィリアム・ワイラー
原作:ダルトン・トランボ(イアン・マクレラン・ハンター名義)
ジャンル:★ロマンス/コメディ

【あらすじ】ローマに親善訪問したアン王女は、連日のハードスケジュールに疲れ大使館を抜け出した。だが、睡眠薬のせいで眠りこけ、たまたま通りがかった新聞記者ジョーに助けられる。翌朝、彼は”急病”を報じる新聞でアン王女の写真を見て…。

運よく他に観るものがなかったので再見。
結末まで知っていることもあって、アン王女が無邪気に楽しむほど、ふたりが楽しげにしているほどに切なくなってしまいました。
でも、ローマの街をウキウキ見て回りながら、ジェラートを食べたり髪を切ったりと、ささやかな望みをかなえて幸せそうな彼女を見ていると、やっぱり楽しくなってしまうんですよね。
そんなわけで、観ている間ずっと、楽しくなったり切なくなったり笑ってしまったり忙しかったです。あと、ジョーの借金が増えていくのにハラハラしたり(笑)
船上パーティで、お互いの想いと別れを意識しだした頃からは、油断すると涙腺崩壊しそうになって大変でした。タクシーでの別れのシーン、「祖国と王室に対して義務があればこそ戻って来ました」というセリフ、ラストの記者会見での表情…心に残る珠玉の名作です。

関連記事
「ミニヴァー夫人」観ました
「ジョニーは戦場へ行った」観ました(ダルトン・トランボ)

映画「HELP!四人はアイドル」観た

 | コメディ  com(10) 
Tag:イギリス 

HELP!四人はアイドル
製作:イギリス’65
原題:Help!
監督:リチャード・レスター
ジャンル:★コメディ/音楽

【あらすじ】バハマ、カイリ教が儀式で使用する”生贄の指輪”がなくなった。それをファンから受け取っていたリンゴ・スターは、教徒たちに執拗に追われる破目に。なんとか指輪を外そうとするがそれも叶わず、困リ果てた四人の前に謎の美女が現れる。

邦題からしてゆるくて、いったい何の映画だろうと思いながら観始めたらビートルズ映画第二弾でした。第一弾は「ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!」で、タイトルは知ってるけど観たことはありません。
ビートルズについては有名ロックバンドだとしか知らず、なんだかんだで彼らが格好良く活躍するのかなぁと思っていたら、予想以上にナンセンスなドタバタコメディで驚かされました。でも、彼らを知らなくても気楽に笑って楽しめる作品になっています。
オープニングは「Help!」のプロモ映像で、教祖がメンバーの顔に向かってダーツの矢を投げるというもの。他にも、四つの玄関がある四人の家とか、郵便ポストのなかに潜む教徒とか、指輪を弛めるための変な機械でズボンがずり落ちるとか、薬でポールが小さくなって「踏んじゃったかも!?」と騒ぎ出したりと、ベタなんだけど笑えるネタがたくさん!
なんといっても、四人とも楽しそうなのが良いですね。アルプスでスキーのシーンがあるのも、彼らがスキーをやりたいと言ったからだそうです。(自由だ!)

「ヘルプ!」「恋のアドバイス」「悲しみはぶっとばせ」「涙の乗車券」「アイ・ニード・ユー」「ザ・ナイト・ビフォア」「アナザー・ガール」の7曲が使われていました。(わかったのは4曲だけだった…)

映画「パリは燃えているか」観ました

 | 戦争  com(6) 
Tag:ルネ・クレマン フランス 

パリは燃えているか
製作:フランス/アメリカ’66
原題:PARIS BRULE-T-IL?(仏)、IS PARIS BURNING?(米)
監督:ルネ・クレマン
原作:ラリー・コリンズ ドミニク・ラピエール
ジャンル:戦争

【あらすじ】1944年8月。独軍占領下のパリではレジスタンスが一斉蜂起のタイミングを計り、連合軍の到着を首を長くして待っていた。一方、ドイツ軍司令官コルティッツ将軍は、正気を失ったヒトラーに撤収時にパリを破壊するよう命じられる。

以前感想を書いた「まぼろしの市街戦」で、”北フランス寒村から撤退するドイツ軍が、嫌がらせに時限爆弾を仕掛けていく”というのに状況が似てると思いながら観賞。あの作品では”戦争をする人間は狂っている”と訴えていたので、なんとなくそういう目でみてしまいました。
レジスタンス内での派閥争いや、市街戦に突入してからの市民の目(最終的には犠牲者約1500人出したのに、解放間近で嬉しさが隠し切れないというか、ハイになっているというか…)、そしてもちろん「パリは燃えているか!」というヒットラーの叫びなど。やっぱり、狂わなきゃやってられないんだなぁという感じ。
また、「パットン大戦車軍団」を観た時は”戦場でしか生きられない男”に見えたパットンが、レジスタンスに救いの手を差し伸べるシーンを見たとたん”戦場では頼りになる男”に感じられたり(笑) 実際にはこんな好意的じゃなかったらしいけどね。
解放後、無条件降伏したコルティッツ将軍が、民衆に囲まれリンチされそうになっていたのも恐いです。その後、彼はパリを救った英雄として名誉パリ市民号を受けたけど、ナチス協力者たちは民衆の餌食にななりました。
中盤、駅で一人の男が殺されたシーンの、悲鳴のような汽笛が耳から離れません。

関連記事
「パリは霧にぬれて」観た

予約録画後にPC自動シャットダウンできなくて悪戦苦闘したよ

 | PC関係  com(2) 

三ヶ月前にリカバリしてから調子の良かったうちのXP。
録画したい映画がかぶった時は、プリインストールされていたTVfunSTUDIOで録画していたんですが、最近使ってみたら予約録画終了後に電源切れなくなってたよ!!
リカバリ後に何をどう設定したか、前と何が違うのか、色々考えたけど全くわからんし。(設定をいじるくせに、何をしたか覚えていないやつ)
それで、いつものように”同じような体験談”とかサポートとか調べて、アップデートやら再インストールやら頑張ったけど…やっぱり、ムリ!目が充血するまで調べまくったけど、所詮わたしは万年パソコン初心者さ。

というわけで、今度は別の方法で電源切れないか考えました。
いや、シャットダウンタイマー使えば一発なんだけどね?こんなことのためにソフトダウンロードしたら、負けた気がするじゃない?
今のところ、時間になったらPC起動して録画開始、録画終了後TVfunSTUDIO終了までは自動でできているから、あとはシャットダウン…というか節電的な状態に出来ればOKなわけよ。
と、そこで思い出したのが電源オプション!!
一応説明すると、一定時間(設定可)パソコンをアイドル状態にしておくとパソコン本体やモニターの電源を切ったり、スタンバイ、休止状態にしてくれる機能。画面プロパティのスクリーンセイバーのとこにあります。
確か予約録画中は”アイドル状態”にはならないから、1分後に休止状態になるように設定すれば…
で、できたぁ~!自力で解決できたよ~~(違
いちいち電源オプション設定し直さないといけないのが面倒だけど、アナログ放送しか録画できないやつだから、しばらく我慢するか。

とまあ、頑張って解決(?)して嬉しかったものの、疲れ果ててしまったので夕飯はおでんにしました。50分しかなくて大根の皮を剥かず面取りもしませんでしたが、濃い目のつゆと圧力鍋で美味しくできました。
なんか冬は鍋物ばっかだな…。まあ、突然具合が悪いとか言われても、美味しい”おじや”を出せるからいいんだけどね…。

映画「ニューオリンズ・トライアル」観ました

 | サスペンス  com(12) 

ニューオリンズ・トライアル
製作:アメリカ’03
原題:RUNAWAY JURY
監督:ゲイリー・フレダー
原作:ジョン・グリシャム
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】2年前に起きた銃乱射事件で夫を失った女性が、使用された銃の製造会社を訴えた。武器業界全体に関わる重大な裁判に、伝説の陪審コンサルタント・フィッチが動く。彼はあらゆる手段を講じて陪審員候補者を選別するが…。

再見なので緊張感とか驚きは半減するかと心配だったんですが、杞憂に終わりました。幸せな誕生日パーティの映像と、突然襲い掛かる悲劇…。ベタだなと思いつつも、冒頭の勢いのままにテンポ良く物語が進んでいくので、いつの間にか企画の事も忘れて熱中。
そしたら、前回気付かなかったこととか、見逃していた部分がありましたよ!

まず、アパート前の噴水で、主人公とタバコを吸いながら咳き込む老人との「タバコはやめないと」「なんでだ?」というやり取り。原作が銃器会社ではなくタバコ会社を訴えていることを意識してるんですね。

また、主人公が”陪審召喚状”を受け取ったときの「今年はクリスマスが早く来た」という言葉。
どうやって候補者に選ばれたのか謎だったんでが、結局はほとんど運まかせだったんですね。復讐を決意してから、銃器メーカー相手の訴訟が起きそうな(事件が起こった)場所に移住しては、候補者に選ばれるのを待っていたと。これって一生かけるくらいの心構えだったんじゃないでしょうか。そう考えると、召喚状を見つけるシーンは感動的です。きっと彼女のほうも同じように召喚状を待っていただろうから、もし彼女の方にきていたら役割は逆になっていたかもしれません。…でも、キューザックはハマリ役だったから、そうならなくて良かったかも。

ハマリ役といえば、悪徳陪審コンサルタント・フィッチ役のハックマンも相当ハマリ役でした。伝説と言われるくらいだから、この職業が登場した70年代からやってる設定なんですかね?
モニターがずらっと並ぶ薄暗いアジトで(表のオフィスはないの?)、彼が”私にわからないことはない”というような顔をしてエキサイティングしてる様子が素敵。わざわざ弁護士に隠しカメラを持たせてまでアジトに篭もったりしていたけど、身体検査しないのでしょうか。
日本でもそのうち現れるだろうから、こういう性質の悪いコンサルタントを取り締まる方法を考える必要があるんでしょうね。あと、主人公のように他の陪審員をコントロールするのも防がないと…。日本の裁判員制度もまだまだ問題山積みなんだなと実感させられました。

スカッと気持ちよく観られるだけでなく、色々考えさせられるタイムリーな作品です。まだ観たことがないという方、観ておいて損はないですよ。

第4回ブログDEロードショー「ニューオーリンズ・トライアル」

製作:アメリカ’03年
原題:RUNAWAY JURY
監督:ゲイリー・フレダー
開催:2009/11/13~11/15
ニューオリンズ・トライアル
今回から参加しているブロガーさんが選ぶ事になり、この時点でただお一人、希望作品を数点考えていて下さった「そのスピードで」のケンさんにお願いしました。
理由は、傑作なのに案外知られておらず、日本の裁判員制度もはじまって、いまこそ観る価値がある。
ジョン・キューザック、レイチェル・ワイズ、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマンと配役が豪華で、しかも皆気合いの入った演技をしているから。…とのことです。

企画内容については、サイドバーにある「ブログDEロードショー」欄の”企画概要+参加者名簿”のリンク先をご覧下さい。

→Read More

映画「ハリーとトント」観ました

 | ロードムービー  com(4) 
Tag:にゃんこ 

ハリーとトント
製作:アメリカ’74
原題:HARRY AND TONTO
監督:ポール・マザースキー
ジャンル:★ドラマ

【あらすじ】ニューヨーク。区画整理のためアパートを追い出されたハリーは、愛猫トントと共に長男バートの家へ。だが、嫁の嫌味に耐えかね、今度はシカゴで暮らす娘シャーリーを訪ねる事に。トントと一緒に行くため、彼は車を買いシカゴへ旅立つ。

猫出ずっぱりで、魅力的な爺ちゃんが主役で、ロードムービーという、まさに私好みの作品。
ハリーがとにかく”猫中心”の生活を送っていて、人間と同じ様に話しかけるし、飛行機でトントが荷物扱いされるのが嫌でバスに変えるし、トントがトイレを嫌がったら途中でもバスを降りるし、微笑ましいんだけど老人の孤独をひしひしと感じます。
それは、友人の遺体確認や認知症になった初恋のひととのダンスのシーン、変わってしまった子供たちとの再会などにも表れていて、淡々とした中に哀愁が漂っていました。
また、沈黙の誓いを立てた孫やヒッピーコミューンを目指す年齢不詳少女、高級娼婦や無免許で治療行為を行ったインディアンなど、ちょっと変わった出会いもあります。
どんな相手でも変わらぬ態度で接するハリーが素敵でした。
今のところ”あったかくてユーモアがあって、哀愁漂う猫映画”という感想ですが、きっと年を重ねていくほどに感慨深いものになっていくんじゃないでしょうか?
いつか必ず再見したいと思える作品でした。

関連記事
「パラドールにかかる月」観ました

映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺(たんげさぜんよわ ひゃくまんりょうのつぼ)」観ました

 | 時代劇  com(4) 
Tag:日本 

丹下左膳餘話 百萬兩の壺
製作:日本’35
監督:山中貞雄
原作:林不忘
ジャンル:★時代劇/コメディ/ドラマ

【あらすじ】ある小藩に伝わる”こけ猿の壷”に、百万両の在りかが示されていると判明した。だが、壷は婿入りした弟・源三郎に譲っており、彼もすでに手放してしまっていた。一方、矢場に居候する用心棒・左膳は、孤児・安吉を引き取り…。

タイトル漢字ばっかだし音質悪いし、どうかなぁと思って観始めたら超面白かったです。
主役は隻眼隻腕の恐そうな剣豪なんだけれども、情に脆くて安吉を引き取ってから完全に”親ばか”になってしまいます。
安吉に父親が亡くなったことを伝えられず、「お前男なんだから、そう簡単に泣いたりしないよな?」「一度も泣いたことがないんだな?」と念を押した挙句、「ああ、一度だけ泣いたんだった。おっ母が死んだときに。」と言われてやっぱり伝えられなかったり。(結局、矢場の女将お藤に頼んだ)
寺子屋でいじめられていると聞いて、いてもたってもいられず後から追いかけ、現れたいじめっ子を一喝したりと、どっからどうみても”ほのぼのパパさん”です。
一方、お藤はというと、「あんな小汚い子供、ここに置いてやるもんかい」とか「わたしは子供が嫌いなんだ。面倒なんてみないよ!」ときついことばかり言います。でも、画面が切り替わると、さっきやらないと言っていたことを母親のような顔をしてやっているんですよね。もう、いっぺんに好きになってしまいました。
他にも、安吉を道場にやるか寺子屋にやるか言い争う様子とか、お藤が唄いだすと左膳が招き猫を後ろ向きにしていたのを安吉がやるようになったりとか、口喧嘩を聞いて家を出た安吉を迎えに来た二人の様子とか、実に家族らしい家族でみていてあったかい気持ちになります。
源三郎と妻とのやりとりや壷を巡るどたばた劇も、文句の無い楽しさでした。
時代劇で一番好きな作品になったかもしれません…。

関連記事
第7回「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」を観ませんか?
映画「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」再見しました

映画「みなさん、さようなら」観ました

 | 社会派  com(0) 
Tag:カナダ フランス 

みなさん、さようなら
製作:フランス・カナダ’03
原題:(仏)LES INVASIONS BARBARES(加)THE BARBARIAN INVASIONS
監督:ドゥニ・アルカン
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】父親の病状悪化の連絡を受け、カナダ・モントリオールに帰ってきたセバスチャン。愛人をつくり家族を苦しめてきた父親レミを嫌い、彼はロンドンで証券ディーラーとして働いていた。だが、末期ガンで死にかけている父を前にして…。

社会主義の父親は、主義に反するからアメリカでの治療を断りました。
でも、資本主義の息子は、父親を苦しませたくないから金で幸せな最期を演出しようとします。
快適な病室、ヘロイン、父親のかつての教え子、美人マッサージ師。金で集めても虚しいものもあるけど、父親を想う気持ちは本物です。
ヘロイン入手と使用のため、父親の元愛人の娘で麻薬常用者のナタリーに「父の分と君の分の(ヘロインの)金を払う」と言ったときは『悪魔かこいつ!?』と思ったけど、レミとの出会いは彼女のためにもなったので結果オーライ。というか、彼女の再生の物語だと思うのです、これは。
また、母親や(自主的に)集まった父親の友達や愛人たちが「このエロジジイ」とふざけあう様子は、死を間近にしているとは思えないほど明るく幸せそうでした。(下ネタと知的な会話は聞いていても楽しい)
それに、自由気ままに太平洋を航海中の娘は、帰ってこれなかったものの溢れんばかりの愛情をビデオレターに込めて送ってきます。
きっと、どれが欠けてもダメだったし、どれも欠けることなく揃っていた彼は幸せ者だと思います。
最後に息子と抱き合い、「お前のような息子を育ててくれ」と言葉をかけるシーンに涙が溢れ出しました。
唯一気に入らなかったのは、ダサい邦題。原題の意味は”蛮族の侵入”です。

映画「イン・グッド・カンパニー」観た

 | ドラマ  com(6) 

イン・グッド・カンパニー
日本人顔になってしまった。
製作:アメリカ’04
原題:IN GOOD COMPANY
監督:ポール・ウェイツ
ジャンル:★コメディ/ドラマ

スポーツ雑誌営業部に長年勤めるダンは、大手企業による買収で息子並に年の離れた青年カーターに重役ポストを奪われた。妻の妊娠や長女の大学進学で仕事を辞める訳にはいかず、その上いつの間にか彼と娘が付き合い始め…。

この間、不注意でドアに頭を激突し「こりゃコブになるな~」と思っていたら、むしろうっすら凹んでました(笑)
まあ、いざ感想を書こうとしたら内容がよく思い出せないのは、これが原因というわけではないと思うんですが…。観ている間は結構楽しめたのに、思い返すと印象的なシーンがほとんどないんですよね。イラストに使うシーンを探すのにもすごく手間取りました。
メインは家族のために頑張る父親ダンと、家族愛に飢えた青年カーターが反発しながらも信頼関係を築いていくというもの。カーターは最初から、ダンを人生の先輩として慕っているところがあるので、割と珍しいタイプかもしれません。
全体的にほんのりコメディという感じ。ダンが妊娠検査薬を見つけて心配してたら娘じゃなく妻だったとか、カーターが新車を買って店から出た途端ぶつけたりとか、リラックスして観られます。誰もいない家に帰りたくなくて家庭料理をごちそうになりに来たというカーターに、アレックスが「ムチャクチャ正直ね」と言ったのには笑えました。
ラストはハッピーエンドとは言い切れないような、それでいて安心感はあるような。お決まりの流れではないところに好感が持てます。
未公開だったのは、やっぱり印象的なシーンがなかったからかなぁ?

映画「刑事(1959)」観た

 | ドラマ  com(2) 
Tag:イタリア 

刑事(1959)
製作:イタリア’59
原題:UN MALEDETTO IMBROGLIO
監督:ピエトロ・ジェルミ
原作:C・E・ガッタ
ジャンル:★サスペンス/ドラマ

【あらすじ】ローマのアパートに泥棒が入り、宝石が盗まれる。イングラバッド警視は隣室バンドゥッチ家の使用人の恋人ディオメデを取り調べるが、彼にはアリバイがあった。その数日後、バンドゥッチ夫人リリアーナが刺殺体で発見され…。

昨日録画してみたら観たことある作品だったけど、面白かったので結局最後まで観てしまいました。
主人公イングラバッド警視のモチベーションが高く、序盤からキビキビと捜査が進むので、観始めたら目が離せなくなってしまうんですよね。怪しい人物を調べ、確かなアリバイがあれば次の容疑者を探し、とにかく迅速な捜査が心地よいです。
そのため主人公の人物像描写は控えめになっているんだけれど、刑事が天職だということだけは一目瞭然。全身からかもし出す渋さや、サングラスの使い方が魅力的でした。
捜査方法はかなり強引で、盗まれた被害者が非協力的だと叱るし、隣で殺人が起きたら彼の部屋を連絡場所に使うし、家宅捜査なんて”ホテルに荷物を運んでやる”と容疑者に嘘ついて行ってました。現在じゃ通用しない捜査方法です。
でも、ろくでもない女たらし2人をパンッパンッと引っぱたいてやったのは気持ちよかった。
推理モノというよりは、とある刑事の日常を切り取った感じかな?

映画「街の灯」観ました

街の灯
製作:アメリカ’31
原題:CITY LIGHTS
監督:チャールズ・チャップリン
ジャンル:★ドラマ/ロマンス

【あらすじ】一目惚れした盲目の花売り娘に、裕福な紳士だと勘違いされた浮浪者のチャーリー。その夜、酔って自殺しようとする大金持ちの男を助け親友になるが、酔いが醒めれば他人だ。チャーリーは目の手術代を稼ごうとするが…。

ひさしぶりに再見してみました。
う~ん、やっぱりいいなぁ。心が洗われるようです。
セリフ(字幕)なんてわずかしかないのに、それに気付かないくらい夢中になって観てるんですよね。チャップリンのコミカルな動き、それを盛り上げる音楽…冒頭から一気に楽しい気分にさせてくれます。
ボクシングの試合で大笑いしたのはもちろん、裸婦像の前で行ったり来たりするシーン(後ろの穴は何なんだろう?)とか、パーティで酔っ払い同士世話し合っている様子も面白かったです。あと、冒頭の演説に「ぺぺぺーぺぺ、ぺぺーぺぺぺ」という擬音が入っていたのも地味に笑えました。

そしてラスト、チャップリンが浮かべた精一杯の笑顔…。
ふたりの心情を知りたくて、思わず巻き戻して何度も観てしまったんですが、何度観ても涙がこみ上げてくるんですよね。
不朽の名作とはこういうものを言うのだと再確認できました。

関連記事
「キッド(1921)」観ました
「チャーリー」観た

映画「僕の大事なコレクション」観ました

 | ロードムービー  com(4) 

僕の大事なコレクション
製作:アメリカ’07
原題:EVERYTHING IS ILLUMINATED
監督:リーブ・シュライバー
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
ジャンル:★ドラマ/コメディ

【あらすじ】コレクション癖のあるユダヤ系アメリカ人のジョナサン。彼は亡き祖父の命の恩人アウグスチーネ捜すため、祖父の故郷ウクライナへとやって来た。だが、雇ったガイドは英語があやふやなアレックスと、彼の祖父で自称盲目の運転手だった。

”僕の~”などで始まるタイトルには若干イラつくものを感じるようになってきた今日この頃。(だって、どれがどれだか分からなくなるんだもの)
またか、と思いつつ観賞し始めたけれど、これがなかなかの一品でした。
内容は、ユダヤ系の青年が古い写真をきっかけに、祖父の過去を辿る旅に出るというロードムービー。
家族にまつわる品物や目に留まったものを何でもジッパーつきのビニール袋に入れコレクションしてしまう、ベジタリアンで犬嫌いの青年ジョナサン。メチャクチャな英語を話すアメリカ大好き青年アレックス。金持ちユダヤ人を嫌いながら”ユダヤ人のルーツを探るツアー”のガイド業を営む、自称盲目の偏屈な老人。そして、この老人の唯一の友、猛犬のサミー・デイビス Jr. Jr.。
一癖も二癖もある登場人物たちの”ずれ具合”に大笑いし、しだいに打ち解けていく姿にほんわかあったかい気持ちになりました。
どこか郷愁をさそうロマ・ミュージックと、水色の車が走る美しい田園風景(ロケ地はチェコのプラハ)。青空とシーツと向日葵のコントラストなど、優しくノスタルジックな雰囲気が心に残ります。

終盤はホロコーストに関わる話なので、今までの軽妙さが嘘のように重くなってゆくのですが、それでも観終わっての後味は不思議と悪くないんですよね。
ネタばれですが、アレックスの祖父はこの旅の最後に自ら命を絶ちます。それは終盤に明らかになる彼の過去…小さな村で起こったユダヤ人虐殺で生き残り、ユダヤ人であることを捨て、名前を捨て、”自分”を殺して”ユダヤ人嫌いのウクライナ人”として生きてきた彼の、償いか解放か…?
老人の満足そうな表情が何を示しているのか、本当のところはわかりませんが、戦争の残した深い傷跡について考えさせられました。
「忘れそうで恐いからコレクションする」というジョナサンの言葉、「過去は常に私たちと共にある」というアレックスの言葉が印象に残ります。
ちなみに、原題「Everything Is Illuminated」は”全てが明らかにされた”という意味。

関連記事
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」観ました(同原作者)
.