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素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

映画「オーバードライヴ(2013)」観ました

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原題:SNITCH
製作:アメリカ’2013 112分
監督:リック・ローマン・ウォー
ジャンル:★サスペンス/アクション

【あらすじ】運送会社を営むジョンの18歳の息子ジェイソンが麻薬密売容疑で逮捕される。売人の容疑を掛けられた友人が、誰かを密告すれば刑が軽くなるという制度を悪用してジェイソンを嵌めたのだ。最低10年の禁固刑と知り、ジョンは息子を救うために連邦検事キーガンにある提案をし…。

実話から着想を得た作品だそうです。
息子のために突っ走る親父が素敵でした。なんか評判があまりよくないようですが、大体はロックさんのド派手なアクション目当てで見たら地味だったというもの。割と現実的なサスペンスがお好きな方なら楽しめると思います。

まずこの作品で素晴らしいのは、アメリカで実際に行われている密告制度の恐ろしさを描いていることですね。麻薬密売容疑で逮捕された者は他の売人を密告することで刑を軽減できるんですが、無関係の友人に「ヤクを代わりに受け取ってくれるだけでいい。なんなら味見してもいいから。」と言って、荷物を受け取って開けさせるだけでいいんですよ。たった一度魔が差しただけで、最低十年の禁固刑です。
減刑するには売人を密告するか、友人を嵌めるしかない…。

そこで父親が立ち上がるんですね。離婚して離れて暮らしていた父親で、どちらかというと冷たい父親だったんだけど、覚悟を決めてからの彼はまさに父親。気高い精神を持つ息子に恥じないよう、法を犯すことなく息子を助けようと命がけで臨みます。
本当にどこまでが事実なんだろう?と言うくらい危険なことに身を投じるのですが、ド派手なアクションはなく地味に展開していくサスペンスがリアリティを保っていて、緊張感ありまくりでした。
息子との面会が二回あり、その時に感じる二人の間にある確かな絆に涙腺も緩みます。こういうのに弱いんだ…(涙)

しかも、この親子の話だけでも引き込まれるのに、彼に巻き込まれたもう一つの親子のエピソードも泣けるんですよ。元売人で、今は幼い息子と妻のために必死にまっとうな仕事で生活しようとしていた男性です。
雇い主だった主人公に対して恩を感じていたのに、強引に巻き込まれて恨み言を言いながらもなんとかやっていく二人の様子が良かった…。最後まで、行動の動機が友情とかではなく家族のためというのがいい。同じ目的のために一緒に戦う同志です。ラストも爽やかでした。
ちなみに原題の意味は「警察などへの密告者」。典型的なダメな邦題が残念。

映画「ヒート・ストローク」観た

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ヒート・ストローク
原題:HEATSTROKE
製作:アメリカ’2013 91分
監督:イヴリン・モード・パーセル
ジャンル:サスペンス/アクション

【あらすじ】ハイエナの研究者ポールは、恋人タリーとアフリカの砂漠地帯に旅行に行こうとしていたところ、別れた妻の頼みで娘のジョーも連れて行くことに。タリーを嫌うジョーはまるで言うことを聞かず、すぐに家に送り返すことになるが…。

サバイバルものと思って観るとガッカリするかもしれないけど、何も知らずに観たら結構楽しめると思います。序盤の展開は意外性あったし、荒野の映像が美しいし、何より動物を悪役にしてないのがいい。
何でそんな行動を?と思うシーンや雑な展開もあったものの、情の深いタリーにいつしか感情移入していたのでスルーできました。

途中、彼女が何か訓練を受けているのか?というような戦いぶりを見せてくれますが、きちんと人の命の重さを感じてる描写もあって最後まで一般人っぽさは保ってます。それでいて決着をつける下りはさっぱりしていて痛快なんですよね。序盤はハッキリ言ってポールさんにもタリーさんに良い印象は持たなかったし、ジョーもあんまり可愛くないなぁとか思ってたんですが、後半になる頃にはすっかり好印象に。

とくにポールの描写がいいんですよ。娘と歩いてくる様子を、タリーが微笑みを浮かべて見つめるシーンとか。ラストにジョーも見たとわかりグッときます。
ハイエナの生態を研究しているポールの、「ハイエナの一番すごいところは、どんなに強い相手でも子供を守るために命がけで戦うところだ」という言葉が、彼女の力になっていたというのがいいですね。
荒野の真ん中で、仲の悪かったジョーとタリーが肩を並べているラストが印象的でした。

映画「ザ・コール 緊急通報指令室」観た

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ザ・コール 緊急通報指令室
原題:THE CALL
製作:アメリカ’2013 94分
監督:ブラッド・アンダーソン
ジャンル:サスペンス

【あらすじ】わずかなミスで通報者を救えず、自責の念に苛まれていた911のベテラン・オペレーター、ジョーダン。仕事を辞めようと決意した矢先、拉致されて車のトランクの中から助けを求める少女ケイシーの緊急通報を受ける。今度こそ通報者の命を救おうと、的確な指示を与える彼女だったが…。

これは緊張感あって引き込まれました。ラスト以外は良かったです。
警察で通報を受けるオペレーターって、マジでキツイ仕事なんですね。命の危機に面している人からの通報で、どうすることもできず電話の向こうで亡くなってしまったり、ましてや自分のミスで救えなかったりしたら…。
ミスをしない人間なんていないですから、冷静になれば何故そんな馬鹿なことをしてしまったんだというミスを犯す時があります。この作品の主人公ジョーダンがまさにそれで、ありえないミスで相手を死なせてしまいます。普段なら絶対にしないミスを、絶対にあってはならないタイミングでやってしまう…。それで若い女の子が無残に殺されてしまったら、一生それを背負って生きなければなりません。
(緊急通報の録音は犯人の声が入った重要な証拠なんだけど、よく表沙汰にならなかったなぁ…)

彼女もそれで仕事が続けられなくなり、職場案内みたいなことをしていたんだけど、そこに拉致された少女(アビゲイル・ブレスリン)からの緊急通報が…!
ここからがもう手に汗握る展開で、取り乱す少女を落ち着かせ、わずかな情報も逃すまいとトラウマも乗り越えて必死に対応する姿に痺れます。
少女の協力を得て手掛かりを見つけたり、発見しやすいようにその場にあるものを使って外部に気付いてもらおうとしたり。電話という生命線が、緊急時にいかに大切なものになるのか伝わってきました。

しかも、いくらオペレーターが的確な判断をして、被害者の協力が得られたとしても、それに気付いた一般人が正しい対応が取れるとは限らないんですよ。やっと見つけてもらえた!と思ったら、良かれと思って一般人がやったことで犯人に逃げられたリ、被害者の状況を悪化させてしまったり…。善意でやってるというのは分かるんだけど、思わず「バカー!!」と声に出してしまう程でした(笑)
終盤も「なんで戻って通報しないの?」という疑問は浮かんだものの、犯人の狂気や薄暗い地下室はホラー映画のようで恐ろしかったし、直接対決は手に汗握るものがありました。
ただ、ラストが…。確かに気持ちは分からないでもないけど、一過性の爽快感でしかないんですよね…。

<ネタバレ注意!>
あんな死刑確実な殺人犯のために自分の手を汚し、一生バレやしないかとビクつきながら生きるなんて割に合わないでしょう。
しかも、彼が死んだか確認しないと不安で(手の骨を折るとか、逃げ出そうと思えば逃げ出せそう)一度は現場に戻ってくるだろうし、死体があればいつ発見されるかもわからない地下室に放置するわけにはいきません。
さらに、あれだけやって警察が犯人を取り逃がしたということになれば、被害者の遺族が必死にメディアで情報提供を呼び掛けるだろうし、犯人の家族は一生”逃亡した殺人犯の家族”扱いです。
後になって、自分たちのやったことがいかに自己中心的なことだったか気付いても遅いんですよ。
せめて正当防衛で殺したように見せるくらいにしておけばよかったのに…と思ってしまいました(汗)

映画「恐怖のメロディ」観ました

恐怖のメロディ
原題:PLAY MISTY FOR ME
製作:アメリカ’71 108分
監督:クリント・イーストウッド
原作:ジョー・ヘイムズ
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】カリフォルニア、モントレーの地方局でDJを務めるデイブ。ある日、いつも“ミスティ”をリクエストしてくる女性イブリンと、出来心から一夜を共にしてしまう。しかし、しだいに彼女の態度が常軌を逸してきて…。

怖いですね~。最初は浮気癖のある主人公が自業自得で「ざまぁ」とか思ってられたけど、だんだんとエスカレートしていって、彼の周りの人にまで危険が及んでくると、もうイブリンが怖くて怖くて。
元カノとイチャラブしてる後ろの木の陰にじっと立ってるシーンなんて「ヒェッ」って感じです(笑)
一つずつ見ればよくあるスリラーの要素なんだけども、彼女の存在感というか目のイっちゃってる感が素晴らしくて、「恐怖のメロディ」というタイトルに相応しい怖さを醸し出してました。
何といっても怖いのが、あれだけ異常な彼女が一度精神病院に入れられたのに、すんなり出てきたってことですよ。いちおうプロであるはずの病院の人たちを騙して、治ったと思わせることができたというのが怖い。異常さを隠した人間が、すぐ隣にいるかもしれないという恐怖ですね。
主人公も最初すっかり騙されていたわけで、彼女が今まで似たようなことをしてきたのかもしれないとすら思わせます。
デイヴの肖像画をハサミでザックザック切り裂くシーンが「サイコ」みたいにインパクトありました。

しかし、主人公の家の悪趣味なこと…。前半はずっとそればっかり気になってたし(笑)
どんなに色男でも、あの部屋を見たらドン引きですわ。でも、家政婦さんも刑事さんもとくに気にしてませんでしたね。私の好みじゃないというだけなのか?
あと、家政婦さんと刑事さんも結構いいキャラだったので、犠牲者になるべくして登場した感じはちょっと残念でした。
そして、イーストウッド監督の趣味なのか、野外ラブシーンが延々と続くのは(汗)
ああいうの見ると、マダニや蚊による感染症、被毒、犯罪者との遭遇なんかを想像してしまうので、まったくロマンティックに感じないんですよね~。ジェイソンがいたら真っ二つですよ。
イヴリンの再登場の方法は予想がついたものの、この作品が撮られた時代にはストーカーという概念すらなかったので、それを考えると初監督でこれは素晴らしいとしか言いようがないと思います。
きちんと最後まで観られて良かったです♪

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映画「白い肌の異常な夜」観ました

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Tag:ドン・シーゲル 

白い肌の異常な夜
たぶん手に持ってるのはランプです(汗)
原題:THE BEGUILED
製作:アメリカ’71 101分
監督:ドン・シーゲル
原作:トーマス・カリナン
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】南北戦争末期、南部にある深い森の中。戦火を避け、自給自足の生活を送っていた女子学院に、負傷した北軍兵士マクバーニー伍長が運び込まれる。敵方の兵士であることに戸惑いながらも、彼女たちは彼を匿い介抱するが…。

面白かったです。もしかしてイーストウッド主演作品では「ダーティハリー」シリーズ並に好きかも?
蜘蛛の糸に必死に手を伸ばすがごとく、女たちに良い顔をするマクバーニー伍長。
女心を掴むためなら、流れるように嘘を吐きます。フラッシュバックのように入る回想が効果的。
もうこの頃のイーストウッドにピッタリのはまり役で、自分で修羅場にしておいて追い詰められていく様が良く似合ってました(笑)
別に取り入るなら男の魅力以外でもよかったのに、モテモテだったからこういう方法しか思いつかないんでしょうね~(せめて的を絞れ!)。

また、彼が破滅するのは目に見えているとはいえ、彼女たちは想像の斜め上を行ってくれるから油断できません。
淡々としたモノローグなんて、最初からちょっと不気味だし。途中、下心見え見えの兵士たちを追い払う、学院長の気丈な姿には圧倒されるほど。
こちらも回想によって過去が垣間見えるんですが、それによって彼女たちの誰かが、すでに越えてはいけない一線を越えていたことが伺えます。
近親相姦、奴隷へのレイプ未遂、消えた兄…。
そんな秘密を抱えた閉鎖的な女の園で、怪我をした男がひとり暴れまわったらどうなるか?
闇夜に浮かぶ学院長の妖しい表情に、マクバーニーすら気圧されるメイドの怒り、そして彼が目覚めさせてしまった”女の狂気”!
学院長を中心とした女たちのたくらみにはゾッとしてしまいました。少女の最後の微笑みといったら…。

しかし、初めて”切断”して成功させちゃう学院長がすごいです。医学書を持っていたから、彼女自身かお兄さんが医療系の大学にでも行ってたんでしょう。
開放骨折?だったようなので、切断しなければ壊死の恐れがあるというのは本当だったと思います。戦場でも大した設備のないところで切断してたわけだし、一か八かの大勝負に出たわけですね。
それをマクバーニーにあんな風に言われたら、プッツン切れるのもわからないでもない…かも?
そんな風に思えるくらい、みんな演技も見せ方も上手かったと思います。

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「ダーティハリー」観ました

映画「知りすぎていた男」観ました

知りすぎていた男
原題:THE MAN WHO KNEW TOO MUCH
製作:アメリカ’56 120分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】モロッコに家族旅行に来たベンは、バスで知り合った男の死に立ち会う。その時、某国の首相暗殺計画を知らされたために、息子ハンクを暗殺犯たちに誘拐されてしまうのだった。彼と妻ジョーは、警察の助けも借りず犯人を探し始める。

好きなんだけど、タイトルが覚えられない作品(笑)
事件が起こってからが見事ですね~。再見なのにすっかり忘れていて『人の良さそうな顔に騙された~!』となりました。息子のことを知って取り乱すジョーの姿にはウルウルくるし、してやられたベンの胸中を思うと…。
ただ、一度犯人のアジトに迫るところは、もうちょっとどうにかならなかったのかな?
警察に正直に話さなくたって、悲鳴や銃声を聞いたとか嘘をつけば突入できたのではと思ってしまいました。まあ、バレたら怒られるでしょうけど。
劇場でのジョーの葛藤も見事でしたね。何よりも大切なもののために、目の前で起ころうとしている凶行を見て見ぬ振りができるのか!?
そして、やはり見どころは終盤の「ケ・セラ・セラ」と坊やの口笛のくだり。この名シーンがあのおばさんの良心によるものだったなんてすっかり忘れていたので、余計に感動しました。
ラストは「まだいたのかよ!」なあの人たちがオチを持っていってクスリと笑わせてくれます。

しかし、思い返してみると主人公ろくに活躍してねー!
実はベンは主人公じゃないの?タイトルにもなってるのに…。
最初の出会いに作為的なものを感じたのは奥さん。あの夫婦の目線に気付いたのも奥さん。アンブローズ・チャペルの真実に気付いたのも奥さん。暗殺を止めたのも、最後の計画の要も、息子のSOSを聞けたのもぜんぶぜんぶ奥さんのおかげ!
主人公の活躍って、最後の犯人を倒すところだけじゃね?
ここまでヒロインの引き立て役で、ジェームズ・スチュワートはよくこの役を引き受けたな~と変なところで関心してしまいました。

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「レベッカ(1940)」観ました

映画「誰でもない女」観た

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Tag:ドイツ ノルウェー 

誰でもない女
原題:ZWEI LEBEN(TWO LIVES)
製作:ドイツ/ノルウェー’2012
監督:ゲオルク・マース
原作:ハンネロール・ヒッペ
ジャンル:サスペンス/ドラマ

【あらすじ】ノルウェーで母や夫、子供たちと幸せに暮らしていたカトリーネ。だが、1990年のベルリンの壁崩壊後、彼女の元にスヴェンという弁護士が訪ねてくる。戦後にドイツ兵の子を出産した女性への迫害について、ノルウェー政府を訴えるため彼女の母親に証人になってほしいと言うのだが…。

第二次世界大戦時に行われたレーベンスボルン計画を下敷きにしたストーリーには色々と考えさせられました。
ナチスに関する作品はたくさん見てるのに、まだまだ知らないことばかりです。
かつてドイツでは、人口増加と民族浄化のため、より純粋なアーリア人とされるノルウェー人女性との間に子供を作るよう推奨されてたんですね。レーベンスボルン(生命の泉)計画というもので、ドイツ国内やノルウェーにたくさんの母子保護施設が開設されたそうです。(他にも、占領地でアーリア人的特徴のある子供の誘拐も行われた)
でも、ドイツ兵の子供を産んだノルウェー人女性たちは、ドイツに子供を奪われ、終戦後はノルウェー政府によって「対敵協力者」として強制収容所に入れられてしまう…。

物語は、ノルウェー政府に損害賠償を求めるため、主人公の母親の証言が必要だという弁護士の出現で動き出します。
主人公の不可解な行動と頻繁に入る過去回想から、少しづつ浮かび上がってくる哀しい真実…。やがて判明する悲劇と、母親の受けた衝撃に涙せずにはいられません。
家族の心がバラバラになりつつも、今まで感じたものは本物だったと信じようとしていたのが救いでした。ママと呼べたこと、窓越しに見つめる母親の表情を観て、これは母と娘の映画なのだとわかります。
…主人公が、孫を乗せた乳母車を店の前に置いて離れるシーンがなければ、もっと確信持てたけど!

回想の入れ方がやや煩雑な印象だったし、ラストはハッキリと映像で描かない方が余韻に浸れたと思うものの(尾行の車のシーンだけで十分)、地味ながら観てよかったと思える作品でした。
原題は「ふたつの人生」。誰でもないということはないので、邦題は微妙です。
ちなみに、イラストは主人公が待ち合わせに使った公園なんだけど、大きな十字架が印象的でした。レーベンスボルンと何か関係ある慰霊碑か何かかもと思って調べるもわからず。ドイツのどこだったっけなぁ…。

映画「見知らぬ医師」観ました

見知らぬ医師
原題:WAKOLDA
製作:アルゼンチン/フランス/スペイン/ノルウェー’2013
監督:ルシア・プエンソ
ジャンル:サスペンス/ホラー

【あらすじ】1960年代のアルゼンチン、パタゴニア。自然に囲まれた町で民宿を営むことになった夫婦は、最初の客としてとあるドイツ人医師を迎え入れる。彼は、実年齢よりも幼く見える12歳の娘リリスに興味を示し、彼女も彼を信頼するようになっていくが…。

<ネタバレあり>
ミステリーではないけど、ミステリアスな雰囲気のある作品でした。
まあ、ナチスに詳しい人なら早い段階で医師の正体はわかるんだろうけど、最初から最後までとある少女の目線で描かれているので、彼が何をした人間なのか詳しいことは描かれず「本当はとても怖いおじさんだった」という曖昧な不気味さだけが漂ってきます。
彼が言葉巧みにその家族に近づいていく姿に、何か恐ろしいことが起きるのではないかとハラハラしながら見てました。

ホラー的な描写はないのだけど、”少女や胎児を実験体としか見てない”という静かな狂気に、背筋が寒くなってきます。彼の手帳に描かれた詳細なスケッチやメモからも、”実験体”が自分と同じ人間であるということを一切意識してないのが伝わってくるんですよね。
そんな彼に丸め込まれ、良かれと思って自ら”実験体”になってしまう母娘が危なっかしい。
それと比べると父親はかなり冷静で警戒しているものの、やはり長年の夢に出資してくれるとなると油断してしまいます。…その金がどこからきたものなのか、考えもしなかったでしょう。

その父親の夢というのが人形の大量生産で、機械的に作られていく人形のパーツを満足げに眺める医師のシーンは、上手い暗喩だったと思います。「人形は全て同じにした方がいい」と彼を説得していたのも印象的でした。
実は、原題のワコルダはリリスのお気に入りの人形の名前で、彼女と医師の出会いも人形を拾ったのがきっかけ。
その人形は胸に心臓のからくりが埋め込まれた父親のオリジナル作品で、彼女は他と違うからその人形を選んだと言います。成長が遅れていて背が低い自分と同じだから。
だからこそ、それを治療してくれる”先生”を慕って信じてしまうんですよね…。
彼に限らず、悪意を持つ者はこうやって簡単に忍び寄ってくるのかもしれません。

淡々としながらも、じわじわと恐怖が迫ってくるのは、これが実話に基づいているからでしょうか。実際に逃亡中に実験をしていたかはわかりませんが、正体を隠してアルゼンチン人の一家と暮らしていたというのは事実だそうです。
鑑賞後、死の天使と呼ばれたナチス将校ヨーゼフ・メンゲレについて調べると、もっと恐ろしくなるかも。

映画「激突!(1971)」観ました

激突!(1971)
なぜここで本気を出してしまったのか、自分でもわからない…。
原題:DUEL
製作:アメリカ’71
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:リチャード・マシスン
ジャンル:★サスペンス

【あらすじ】取引先が休暇に入る前に商談を済ませようと、車を走らせていたデヴィッド。その道中、何気なく追い抜いたタンクローリーが、挑発するかのようにまた前方をふさぐ。イラつきながらもまた追い越したデヴィッドだったが、やがてタンクローリーは明確な殺意をもって彼を執拗に追いかけるようになり…。

勝負映画企画、最後の作品。スピルバーグ監督作品が連続してるのは偶然です。
ちょうどオンエアがあってピッタリな作品だと思ったら、原題は「デュエル(決闘・勝負)」なんですよ。まさしく勝負映画の代表みたいな。
ずっと前に一度見たきりなんですが、追い越したのがきっかけで目をつけられたのかと思いきや、どう見ても最初から「次すれ違った奴で遊んでやろう」と考えてたように見えたのには驚きました。タンクローリーという凶器をもったシリアルキラーというところでしょうか?
それだけでも怖いのに、さらに怖いのは相手の運転手の顔が見えないところ。最初から最後まで、ガソリンスタンドで見かけたブーツと、窓から出す左手くらいしか見えません。まるでタンクローリー自体が悪意を持って追いかけてくる怪物のようで、不気味さを際立たせていました。
これほど悪役としてキャラが立っている車は他にないかも(笑)

また、基本的に主人公が追われているだけの映画なのに、最後までまったく飽きさせないのもすごいです。カフェで客の中にあの運転手がいるかもしれないという緊張感、ふと背後に現れたり人目も気にせず突進してくる恐怖、逃げられない状況でトンネルの向こうからヘッドライトを点灯し近づいてくる不気味さなど、ぐいぐい引き込まれるんですよね。
デヴィッドを精神的にいたぶる敵のいやらしさもさることながら、何も知らないスクールバスの子供たちのウザさがまたイライラや緊張感を煽ってきます。
カメラワークや構図も凝っていて、タンクローリーがあそこまで怪物じみて見えるのも撮り方が上手いからだと思いました。音が怪獣みたいだったし!

<結末まで書いてるので未見の方は注意!>
終盤ついに覚悟を決めて、タンクローリーとの真っ向勝負に出るデヴィッドはカッコよかったです。眼鏡をかけて、シートベルトをしめる姿は、カウボーイハットとガンベルトで決める決闘前のガンマンのよう。
途中ピンチに陥りながらも、最後はギリギリの勝負に出るところは痺れました。ただのセールスマンなのに頑張った!
ラストも印象的で、荒野の真ん中で呆然としている姿を見ると、列車の音で恐怖に目を覚ました彼が思い出されます。きっとこれから先ずっとトラウマに悩まされるんでしょうね…。

勝負映画企画のおかげで、この作品を再見する良いきっかけになりました。リクエストして下さった方、本当にありがとうございます♪

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映画「レベッカ(1940)」観ました

レベッカ(1940)
原題:REBECCA
製作:アメリカ’40
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ダフネ・デュ・モーリア
ジャンル:★サスペンス/ミステリー

【あらすじ】リビエラ旅行にホッパー夫人の付き人として来た少女は、英国紳士マキシムと出会い、恋に落ちる。そして、帰国することなく彼の後妻としてイギリスの屋敷に向かうのだった。だがその屋敷には、マキシムの死んだ前妻レベッカの影が付きまとい…。

色々と後味が悪いけど、先の読めない展開の連続で見応えありました。
まず、ヒロインを演じる女優さんがすごいんですよ。最初は”恋する少女”のようだったのが、屋敷に来て怯える子猫のようになり、そしてすべてを知って(状況が良くなったわけじゃないのに)女としての自信を得て生き生きしだすなど、別人のように変わっていくのが面白かったです。
逆にマキシムの方は、個人的には最初から最後まで魅力を感じず、彼女がどうしてこの男に入れ込むのかよくわかりませんでした。終盤になって彼の心の内がわかってからは、普通の男になってマシだと思えたけど、やはりただの”キレやすい自己中な中年”にしか見えません。

で、中盤に主役級の存在感を発揮するメイドはホラーでしたね!
一目見ただけで”奥様”を見下しているとわかる表情、たまりません。この目の演技には「嘆きのテレーズ」のお義母様を思い出しました(笑)
とくに、仮装パーティーの衣装選びでスッと助言する時の悪意のオーラは怖すぎです。ある意味、飛び降りを唆すシーンより怖くて、ヒロインはよく気付かなかったなぁ。
しかし、本当に怖いのはこのお人じゃないんですよね…。
以下ネタバレがあるので、未見の方は映画を先に見た方がいいですよ~。

なんと言っても、この作品で一番悪魔的なのは、亡き奥様レベッカでしょう。一度も姿を見せる事なく、鑑賞者に強烈な印象を残してくれます。さすが真の主役!(ヒロインは最後まで名無しだし…)
マキシムを手の上で転がし、貴族社会を嘲笑い、最後の最後まで悪意と絶望を彼に遺していく執念には、何ともいえぬ恐怖を感じます。
一体どうしてあそこまで世の中を憎むようになったのか?
何が彼女を破滅に駆り立てたのか?
もしかしたら可哀想な人だったのかもしれません。最後まで憎しみに溺れながら、救われる事なく死んでいったと思うとね…。主人公たちの幸せも、彼女の不幸の上に成り立ってると思うと後味が悪いし、きっとあの二人も長く続かないだろうなぁと思ったり。
それでも最後まで目を離せないのは、ヒッチコック監督の手腕によるものでしょう。観てよかったです!

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映画「スリーデイズ(2010)」観た

 | サスペンス  com(6) 
Tag:ポール・ハギス 

スリーデイズ(2010)
原題:THE NEXT THREE DAYS
製作:アメリカ’2010
監督:ポール・ハギス
ジャンル:★サスペンス/犯罪/ドラマ

【あらすじ】愛する家族と幸せな毎日を送っていた大学教授ジョン・ブレナン。だがある日、妻ララが殺人容疑で逮捕されてしまう。妻の無実を信じて奔走するジョンだったが、3年後ついに裁判で有罪が確定。絶望したララは自殺を図り、ジョンは脱獄のスペシャリスト、デイモンに教えを請う。

(若干ネタバレ!)「すべて彼女のために」のリメイクを、93分番組で観ました。…41分カットかよ!(笑)
でもスピーディで面白かったです。オリジナル版で引っかかった部分はすべて改善されてて、やっぱそこ気になるよね~と思ったり。
<注意:以下はあくまで93分版の感想です>
まずは母子の愛情がオリジナル版よりハリウッドテイストでした。脱獄の方法を伝授してくれたおじさんが「これができなきゃ諦めろ」と言っていたものの1つ「(いざという時)子供を置き去りに出来るか?」が終盤のオリジナルエピソード(だよね?)に繋がって、よりいっそう彼らの逃亡成功を祈ってしまいます。
オリジナル版の「ママ」と心を開く感動シーンは、可愛く変更されていたけど若干薄味かな?
刑務所では無表情で完全無視だったのが、再会でほんのり安心して、ラストで刑務所での台詞に繋がるので、ワンクッションある分、感動が薄まってしまったかも。いいシーンではありましたが。
この作品ではむしろ父子の関係が気になります。父親が何をしようとしてるのか子供心に察していて、バンに侵入する後姿を黙って見つめているシーンが何とも言えない…。父親が悪い事をするところなんて見せられたら子供は傷つきますよね。しかも、母親のためなら黙っているしかない。共犯者みたいなものです。それすら気付いていないところが彼の終盤の決断にも繋がっていて、良くも悪くも今は妻しか見えてないというのが伝わってきました。
また、中盤の資金調達で麻薬密売人のアジトを襲撃するくだりで、彼らが組織と深く関わっていないのが伺えます。みかじめ料?とかは払っていたと思うけど、彼らをどうこうしたからと言って報復されるようなものじゃないのが警察の捜査方針からわかるので、逃亡後の不安要素が1つ取り除かれました。
そして、終盤のゴミ袋の件ですが、これは上手く逆手にとっていたと思います。オリジナル版を見た人も未見の人も痛快かも。
主人公はこれが初めてとは思えないほどの手際の良さでした(笑)
事件の真相も最後の最後にほのめかすところが良かったです。
他にも細かいところでオリジナルのネタがあって、とくに母娘と知り合うエピソードは意外と印象に残りました。息子が女の子と仲良くなるんだけど、パーティに行った時は二度と会えないかもしれないってわかってたのかな~?と想像すると切ない。
41分カット編集が何気に上手くて最後までグイグイ引き込まれました。いつかフルで……見ないかもしれない(笑)

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「告発のとき」観ました

映画「ハングリー・ラビット」観た

 | サスペンス  com(10) 

ハングリー・ラビット
原題:SEEKING JUSTICE
製作:アメリカ’2011
監督:ロジャー・ドナルドソン
ジャンル:サスペンス/アクション

【あらすじ】ニューオーリンズの高校教師ウィルは、愛する妻ローラと平凡ながら幸せな毎日を送っていた。そんなある日、彼女が何者かに暴行され、重傷を負って病院に運ばれる。激しく動揺するウィルの前に、謎の男サイモンが現れ奇妙な提案をしてきて…。

Gyaoで鑑賞。普通に面白くてぐいぐい引き込まれました。やっぱりニコラス・ケイジは上手いです。
公開時にちらっと感想などを読んで、そんな怪しい人に頼む?と思っていたんですが、何気に詐欺の手口を使っていて、あれじゃ頼んじゃうなぁと納得でした。殺人を依頼したわけじゃなく、チョコ菓子2個買うだけですもんね。直接的じゃないほど罪悪感が薄れるってテレビで言ってた(たとえば冷蔵庫に現金を置いておいても盗まれないけど、ビールだと盗まれるみたいな)。
そして、忘れた頃にやってくる見返りの要求…。ここは「運命のボタン」を思い出しました。
簡単な要求からだんだんとエスカレートしていくわけですが、あれで使えるか確認してるんでしょうか?
顔と電話番号と指示を覚えて、怪しまれないように尾行するなんてアホな私にはできそうもありません。パニクって不審者丸出しで尾行した挙句に、相手に気付かれて通報されそう(笑)
使えないと判断されたら処分されちゃうんだろうかと考えたら、一人で怖くなってしまいました。

高校教師であるウィルにはそれくらい軽いですが、後半にみせるなかなかの判断力と身体能力はよくあるB級サスペンスっぽいかも。でも、妻があんな目に遭ったんだから守れるように鍛えていてもおかしくないし、そこまで超人的でもない。
スリップするトラックに轢かれそうになったり、手下が轢かれてずるずる引きずられたシーンは本気でゾッとしてしまった!
奥さんも結構動じないひとで、奏者なので元からプレッシャーには強そうなものの、真相を知って浮かべた不安そうな表情が自分も戦うこと前提という感じでちょっと怖い…。
立ち直るために護身術を身につけただけでなく、精神的にも”戦う女”になっていて、マジでウィルと自宅にいる時しか気が休まらないんだろうなぁと思ったら切なくなりました。

何故ウィルが嵌められたのかがよくわからずモヤモヤしてしまったけど、最後まで緊張感があって見ごたえあるサスペンスだったと思います。
サイモンの気まぐれでターゲットが増えていったら、手が足りるとは思えないんだけど…。最初に死んだレイプ犯は本当にレイプ犯ってことでいいんだよね?
ちなみに、タイトルの「ハングリー・ラビット(空腹のウサギは跳ぶ)」は組織の暗号で、法に従わず人間性や理性、正義に従うという意味(空腹=人間性、ウサギ=理性、跳ぶ=正義、を表す)。原題の意味は「正義を探して」。

<追記:ネタバレ考察>
色々推測した結果、サイモン(組織?)がやっていたのは、彼らのような人を誘惑して犯罪者を始末させ、その殺人の決定的証拠を押さえて逆らえない駒を増やすというもので、一度頼ったら一生抜け出せないシステムだった事。
ウィルは、ターゲットと話そうとした挙句に正当防衛で殺してしまったため、ビデオが脅迫のタネとならず、組織の秘密を知る不穏分子として始末しようとした…という事で納得できました。

映画「ファミリー・プロット」観ました

ファミリー・プロット
原題:FAMILY PLOT
製作:アメリカ’76
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ヴィクター・カニング
ジャンル:★サスペンス/コメディ

【あらすじ】富豪の老婦人に取り入って、唯一の遺産相続人である息子を探し出す事になったインチキ霊媒師ブランチ。彼女とその恋人ジョージの調査により、まもなく宝石店を営むアーサーを見つけ出す。だが、アーサーには裏の顔があり…。

例の93分番組で再見。
30分ほどカットされていたにもかかわらず違和感なく観られたし、ジョージの声を当てているのが山田康雄さんでピッタリ。もしかしたら初見より楽しめたかも?
冒頭からヒッチコックという感じが全くせず、ヒッチコック作品の金髪ヒロインは苦手なのに、このブランチはとても可愛かったです(当時40歳とか!?)。ジョージとの夫婦漫才なやり取りとか、ラブラブなところが良かった。
事故後、顔を踏んづけられても、ふらふらでも、道が悪いところはお姫様抱っこしてあげるとか紳士すぎ!
コミカルながら序盤の展開は先が読めなくて面白かったし、犯人カップルも意外と憎めません。アーサーが彼女を心からは信用してないと臭わせる宝石の隠し場所もいいですよね。最初にあれを考えた人って誰なんだろう?
司教様や依頼者の老婦人がどうなったのかいまいちわからなかったけど、素人探偵なのになんだかんだでアーサーにたどり着くところとか、ブランチの霊媒の仕事っぷり、犯人の前で芝居をうってチャンスをうかがう彼女の度胸、ラストの機転の良さなど、このコンビの魅力で最後までぐいぐい引っ張ってくれました。
ユーモア満載なこの作品がヒッチコックの遺作というのもよかったです。最後まで映画を楽しんで撮っていたんでしょうね~。彼の作品の中で一番好きかも!
ちなみに、ファミリー・プロットとは「一族の墓地」の事で、「家族計画」の意味も含まれているようです。

再見追記(2017/06/05)
オリジナルの121分版を観ました。私には長すぎるかなと思ってましたが普通に楽しかったです。でも、TV版でカットされていたのがどこだったのかわからなかった(笑)
大筋を覚えていても初見時のように楽しめて良かったです。ヒッチコックの登場シーンも気付けたし。
アーサーが彼女のことをどう思っていたかについては、逆に謎が深まりましたね。ダイヤの隠し場所は秘密にしていたのかと思いきや、彼女に「シャンデリアの飾りが増えるぞ」と話していたので、後でちゃんと話したようだったし。今回の彼女の大失態(司祭様を隠そうとして失敗)について、捕まった後に彼がどう反応するのかなぁ…。意外とラブラブだったし醜態をさらすのは嫌いっぽいので、案外かばい合ったりするのかな?
やっぱりヒッチコック作品の中で一番好きですね~。

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映画「サディスト(1962)」観た

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サディスト(1962)
原題:THE SADIST/PROFILE OF TERROR
製作:アメリカ’62
監督:ジェームズ・ランディス
ジャンル:サスペンス/ホラー

【あらすじ】車で野球観戦に出かけた教師仲間3人は、車の故障で寂れた修理工場に立ち寄る。だが、周辺に人は影はなく、屋内を調べると食べかけの温かい食事が。そこへ銃を手にした若い男女が現れ、金目のものと車のキーを奪った挙句、早く車を修理するよう脅すのだった…。

Gyaoで鑑賞。前半を倍速で観られてたら名作に感じたかも!?
犯人が小物臭溢れるバカップルというのも、隙だらけなのに主人公たちが何も出来ずにぐずぐずしているのも、リアリティ溢れてたんですが、その分、終盤までかなりスローテンポ。主人公たちが精神的に追い詰められていく様子をじらすように描いてます。
最近の作品に慣れていると、前半は結構辛いものがあるかも…。割と慣れてるわたしでさえ「あと20分短いか、前半を倍速で観られたらなぁ」と思ってしまったくらいなので。
でも、最後まで観てよかったです。なんせ、どんでん返しもないのに衝撃的!
予想もしなかった展開でありつつ、アメリカのド田舎ならありそうだと納得できるものでした。
ちゃんと伏線もあったしね~。
犯人と出会わなければ行っていたはずの、野球のラジオ中継が効果的に使われており、ラストはなんともいえない余韻が残りました。
ちょい役のにゃんこも可愛いです!

映画「(エド・ウッドの)牢獄の罠」観た

エド・ウッドの牢獄の罠
原題:JAIL BAIT
製作:アメリカ’54
監督:エドワード・D・ウッド・Jr
ジャンル:サスペンス/犯罪

【あらすじ】著名な整形外科医の息子ドンは、悪党ヴィックと組むようなうつけ者だった。姉のマリリンが非行を止める様に説得しても一向に聞く耳を持たず、やがてその不安は現実となる。ドンはヴィックと共に劇場を襲って警備員を殺害。警察に追われる身となり…。

Gyaoでエド・ウッド作品を配信してたので、よくわからない義務感により鑑賞(笑)
紹介文が「迷匠エド・ウッドによるギャングサンスペンス。映画通が唸る逸品。」っていうのにまず笑いました。映画通が唸るかぁ…わかるようなわからないような。
確かに、犯人も警察も真面目にお馬鹿さんな上に、まるでやる気がみられませんが、エド・ウッド作品なのに(失礼)割とまともにサスペンスしてました。先が読めるのはご愛嬌!
時間も71分と短いし、くどさもほとんどなくて、彼の作品だと知って観ればツッコミ入れながら楽しめると思います。
いつもの強いメッセージ性はなく、彼らしさには欠けるものの、終盤は先が読めてても楽しめましたね。…なんかこう「頑張ったね!ちゃんとサスペンスしてたよ!」と嬉しくなって(笑)
親の愛情と愚かさについて考えさせられる作品だったかも?
ちなみに、タイトルは原題通りですが、”ムショ行きを誘うような女性…つまり(性交すると強姦罪になる)承諾年齢未満の子ども”という意味もあるようで、そちらは内容とはまったく関係ありません!

映画「サイコ(1960)」観ました

サイコ(1960)
原題:PSYCHO
製作:アメリカ’60
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ロバート・ブロック
ジャンル:サスペンス

【あらすじ】アリゾナ州フェニックス。不動産会社に勤めるマリオンには恋人サムがいたが、彼は経済的な理由でマリオンとの再婚に踏み切れないでいた。そんな時、彼女は仕事で4万ドルを預かる。そのまま逃亡した彼女は、ベイツモーテルに立ち寄り…。

観るのは三度目でしょうか。初めて見た頃はグロいのとかエグいのが大好きだったので、物足りなく感じ、二度目は前半と後半が別作品みたいな構成にいまいちノレず、やっと今回はこの作品の良さを味わいながら観られました。
OPから音楽で不安を煽ってきますね~。とくに怖い映像がある訳でもないし、ストーリーもわかっているのに身構えてしまいます。
そして、このヒロインが私的にあまり好みじゃなかったりするんですが、この眼力、表情の演技が素晴らしい。荷造りしながらちらっちらっと大金を見てしまうシーンや、パトカーを目にしてからの瞬きの少なさ、パトカーが別の道に入った途端、思い出したかのように瞬きするくだりは、目元を強調するような化粧もあって動揺や緊張がこっちにまで伝わってきます。
もうやめようと決心してからの晴れやかな表情も、この後の事を知っているから切ない…。
後半はノーマンがやっぱり好みじゃなかったりするんですが、それはノーマンというキャラクター自体がどこかアンバランスで観ていて不安になるタイプの人間なので、つまりは演技が素晴らしくてはまり役だったということでしょう。
終盤にサムが当初の目的(時間稼ぎ)を忘れて核心を突いてしまうくだりは、他人を危険にさらす行動だし「オイオイ」と思ってしまったけど、彼と対峙してたら不安になって抑えられなくなったと考えれば納得できるかも。
あと、陰影による表情を見せない演出も不気味さを増してたし、ラストのミイラと重なる笑みが印象的。サスペンスの傑作というのも納得です。
あと、どうでもいいけど、彼の事を説明する医者のドヤ顔に若干イラッとしました(笑)

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映画「ラスベガスをぶっつぶせ」観た

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原題:21
製作:アメリカ’08
監督:ロバート・ルケティック
原作:ベン・メズリック
ジャンル:サスペンス/ドラマ/青春

【あらすじ】頭が良く成績も優秀なMITの学生ベンは、医者を目指すために必要な巨額な学費に頭を悩ませていた。そんなある日、ミッキー・ローザ教授に自分の研究チームに入らないかと声を掛けられる。その研究テーマは、“カード・カウンティング”という手法を用いたブラックジャックの必勝テクニックで…。

イラストを描くつもりだったけど、また画像を紛失してしまった…。なんかもうどうでもいいや。
ミステリー企画3作品目です。「スティング」みたいな展開があるのかなぁと思って期待して借りたんだけども、先は読めるし目新しいことはなかったですね。普通に楽しめる青春ドラマでした。実話を基にしているらしいですが、エッセイの段階で脚色されまくってそう(笑)
もしこれが事実だと、ベンたちがギャンブル依存症一歩手前くらいに感じられて、あんまり明るい未来が思い浮かばない…。ベンの親友がとてもいい人だったから、最後は引き込んでほしくなかったです。
で、ミステリー企画で観て失敗だったかというと、それが違いました。かなり最初の方で、主人公の才能を見出すエピソードに、とてつもなく悩まされるんですよ。
わたしの頭が残念なだけかもしれないけど(笑)

教授がベンに出した問題で、三つの選択肢のうち一つがアタリで、ベンが1を選びます。その後、教授が3はハズレだと明かし、1のままにするか2に変えるか質問。ベンは「2の方がアタリの確立が高い。変数変換だ」と説明するんですが…それがどうしても納得できなくてね~。映画の内容より、そっちに気をとられてしまいました。
最終的にネットで調べて、それが「モンティ・ホール問題」というものだと知り、時間をかけてやっと理解しました。

つまり、出題者(教授)が”ハズレ”を明かした時点で、回答者の選んだもの以外の中からハズレを教えるという暗黙のルールが発動するという事ですね?(本来なら”暗黙の”ではいけないけど…)
そのため、回答者が最初にハズレを選んだ場合、必ずもう一つのハズレが明かされ、その結果アタリがわかります。
回答者が最初にアタリを選ぶ確立は1/3だけど、ハズレを選ぶ確立は3/2なので、ハズレを選んだ場合の対応をとること、すなわち”選択を変える事”でアタリを引く確立があがる………という事で合ってる…はず?
間違ってたら教えてください…。
ミステリーとはちょっと違うかもしれないけど、久しぶりに頭痛がするくらい考えさせられました(笑)

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映画「マジック(1978)」観た

マジック(1978)
原題:MAGIC
製作:アメリカ’78
監督:リチャード・アッテンボロー
原作:ウィリアム・ゴールドマン
ジャンル:サスペンス/ホラー

【あらすじ】人形を使った腹話術で人気を博した手品師コーキー。だが、成功を目前に、マネージャーの手をはなれ突然故郷へ帰ってしまう。彼はそこでかつての恋人である人妻ペギーと再会し愛を育むが、マネージャーはしつこく追ってきて…。

わたしの肝試し企画はまだまだ続きます!
こちらはホラーにギリギリ分類できる感じのサイコサスペンスでした。
とはいえ、当たり前のように腹話術人形と会話している様子が自然すぎて、それが普通のように見えてしまうのが結構怖い!
しかも、操作してるとわかってても、まるで自分で動いているように見えてしまうことがあるんですよね。人形と若かりしホプキンスの演技力にドキっとさせられました。(というか、一度勝手に目が動いていたような…)
彼の正気を確かめるため、人形を5分黙らせるというテストのシーンは、命がかかってるわけでもないのに、緊張感があります。まるで禁断症状のようにそわそわしだし、冷や汗を流す主人公…。
最近のホラーやサスペンスと比べると、テンポは遅いし、淡々として地味なものの、じわじわ主人公の異常さが見えてきて、今まで操っていた人形に操られていく展開は不気味な空気をかもし出していました。
ラストは予想外に切なくて静かな余韻を残します。ヒロイン(人妻かよ!)がもっとまともな人だったら、ちょっと泣けてたかも…。

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映画「過去を逃れて」観ました

 | サスペンス  com(0) 

過去を逃れて
原題:OUT OF THE PAST
製作:アメリカ’47 97分
監督:ジャック・ターナー
原作:ジェフリー・ホームズ
ジャンル:★サスペンス/犯罪

カリフォルニアの小さな町。ガソリンスタンドを経営するジェフの前に、黒服の男が現れる。男と話した後、彼は恋人のアンに過去を打ち明けるのだった。ニューヨークで私立探偵をしていた頃、彼はギャングのボスの依頼で、4万ドル盗んで消えた愛人キャシーを連れ戻す仕事を引き受け…。

「午前0時の映画祭」というオンライン上映イベントがあったので観てみました。「午前十時の映画祭」は若い世代が参加できないという事で便乗した始まった企画らしいです(笑)
典型的なフィルムノワールかぁと思って観ていたら、後半にはぐいぐい引き込まれました。男を惑わし騙すファムファタールと、惑わされつつも手玉には取られないスマートな探偵、そして恩と不義理は忘れないギャングのボス。彼らの巧妙な駆け引きが見ごたえあります。
似た雰囲気の美人が3人登場して時々混乱したけど、「三つ数えろ」よりは分かりやすいかな。
ファムファタールを演じるジェーン・グリアが素晴らしいんですよ。恐ろしいほどに冷酷で利己的な女を見事に演じてます。外見が美しいだけに、その本性の醜さが際立ってました。
一方、主人公もめちゃくちゃカッコよくて、目の前に罠があると気付くと、その罠に向かいながら敵の思惑を推察し、逆にそれを利用してしまうような頭の切れる男です。あんまりカッコいいから、やたらとキスシーンが多くても「当然だよなぁ」と納得してしまいました(笑)
そんな素晴らしい主演ふたりに負けず劣らず光っていたのが、ギャングのボス…ではなく、主人公の元で働く聾唖の少年です。釣竿を使って主人公を助けるシーンには「そんな使い方があったのか!」と驚かされたし、アンへの優しい嘘にはグッときました。主人公の名前が書かれた看板に向かって挨拶するラストも秀逸。
ハッとするような印象的なカットや粋なセリフも多く、未公開なのが不思議です。リメイクしたら「カリブの熱い夜」になってしまったというのも理解できない…!
この作品の上映が終わる前にイベントに気付いてよかったです。

映画「嘆きのテレーズ」観ました

 | サスペンス  com(14) 
Tag:フランス 

嘆きのテレーズ
この目に惚れた(笑)
原題:THERESE RAQUIN
製作:フランス’52
監督:マルセル・カルネ
原作:エミール・ゾラ
ジャンル:★ドラマ/サスペンス

【あらすじ】リヨンの裏町。両親を亡くしラカン夫人に引き取られ、そのまま息子カミーユの妻となったテレーズ。彼女は病弱でわがままな夫を世話し、夫人にこき使われる毎日を送っていた。そんなある日、夫がイタリア人のトラック運転手ローランを家に連れて来て…。

タイトルと最初の展開から、アホな不倫ものか~と思って観てたんですが、意外にも、すごく面白かったです。
ダメで嫌味な義母と、病弱でずるい夫と共に暮らし、一緒にいるだけで陰鬱な気分になりそうな表情をするテレーズ。はっきり言って彼女が魅力的とは思えなかったんですが、不幸な女に嵌る男は多そう。
不倫相手となるトラック運転手も、可哀相なヒロインを救出する王子様の気分で口説いてたのかな。「旦那の友人として会っていれば、いずれは結ばれる運命なんだから、今駆け落ちする方が傷は浅いぜ!」みたいな事を、あの眼力で自信満々に言われたら、テレーズのような境遇ならいちころでしょうね。
ただ、長年ダメ親子と暮らしていたせいか、彼女にもずるいところが。「恩を仇で返すわけにはいかない」と言いつつ、駆け落ちはできないけど一緒に居たいと、ずるずる不倫関係に持ち込むんですよ。しまいにゃ「夫が死んだら?」というような事まで口走って、見えない蜘蛛の糸で男を操っているようにも。
だんだんと悪女になっていく様子は怖いものの、すっかり彼女のいいようになっている男には、つい笑ってしまいました。

義母の陰湿さもいいですね~。ショックで死ぬのかと思いきや、口は利けないけど数年は生きるだろうと医者に保証され、ただただ 「お前が殺したんだろう」という目で彼女を見続けるという執念深さ。これほどの復讐があるだろうか?
そして、終盤は珍しく脅迫者との円満な解決となるはずが…。
…これはあれですね、義母の呪いです。生霊となって復讐を果たしたんでしょう!
それくらい出来そうな眼力でした(笑)
脅迫者は意外といい人だったので少し可哀相なものの、わたし的に主人公や夫、義母にはまったく同情できないので、とてつもなく痛快なラストでした。苦手な不倫絡みなのに後味爽やか~♪

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